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(2018年5月25日)
「E217系」については[3648]の記事を参照してください。
(2018年9月3日)
「横須賀線・総武線快速へのE235系の投入」については[3673]の記事を参照してください。
千葉駅の話ですが、横浜支社管内の話です。[2939],[2940]でも触れましたが、千葉駅の7〜10番線や東千葉の動向に関わってくる、総武線(快速)や成田線での車両の運用に関する話です。
横須賀線の西大井−横須賀間では、グリーン車の停車位置が、湘南新宿ラインや東海道線と、横須賀線(総武線快速)とで揃っていないという問題が、まだ解決されないまま残っています。
※そろそろ取り組まれてもよいころではないでしょうか、という期待を込めて、まとめます。なお、車両については必ずしも勉強が万全ではなく、かなり端折った話となりますこと、ご了承いただきたくお願い申し上げます。(千葉駅の進路制御に関わってくる範囲内で…というだけでも、かなりバタフライで広範囲な話になってきます。いまどき、未解決の問題のほとんどは、このようなバタフライ的な依存関係があるために長年、後回しにされてきたという、もはや複雑系な問題しか残っていないということでもあろうかと思います。)
この問題、実は、単にE217系の基本編成(11両)と付属編成(4両)の連結を前後に入れ換えるだけ(※)で解決できるのです。それなのになぜ、まだ実施されていないのか、と考えると、いろいろな背景が浮かんできます。
※だけ、とはいいつつも、一部、運転のための停止位置目標(停目)の移設が必要となる箇所もありますし、別途まとめますがグリーン券の発売に関する課題も残っています。
・YouTube 田浦での一部ドア締め切り(いわゆる「ドアカット」)のようす(2014/6/2)
http://www.youtube.com/watch?v=YxivJ0dsy5Y
田浦(東逗子−横須賀間にあります:複線です)では、ホームが短く、現状では列車の一部がトンネル内に停車します。このため、「短い11両編成」でも1両分(+2両目のドア1つ※)、ドアを締め切りとする措置がとられています。
※開けてもよさそうにも見えますが、「黄色い線の外側」になるため開けないんですね。黄色い線、すなわち点字ブロックはホーム端や柵、壁などから一定の距離をとるべしというルール上、トンネルの入口ギリギリの位置には敷設できないということでしょう。ホームだけを考えれば、点字ブロックの敷設エリアがホーム全面には及んでいなくてもよいのではないか(エレベーターなどの付近だけでもいいのではないか)、とも思えますが、列車から降りるほうを考えると、降りた位置が点字ブロックのエリア外だったとなることは絶対にあってはいけませんので、点字ブロックはホームの端まできっちり敷設する必要があるとわかります。
・ウィキペディア「田浦駅」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E6%B5%A6%E9%A7%85
※ウィキペディアによれば「10両以下の編成」ではすべてのドアを開けると読み取れるのですが、本当でしょうか。乗務員から直接見えるところであれば、ギリギリの位置でもドアを開けられる、ということかな、と思いますが、間違っていたら申し訳ありません。(そもそも、田浦駅で4ドア10両編成が停車してドア扱いを行なった実績というのはあるのでしょうか?)
これを廃止するため、基本編成10両・付属編成5両への組み換えが検討されているのではないかと推測できます。車両そのものとしては、東海道線に転用するため、実際に10両・5両に組み替えられた編成が存在します。車両側では、技術的に何の問題もないということですね。
※東海道新幹線をみてもわかるように、車両の編成(両数やグリーン車の位置など)が揃っていることは、異常時に車両による制約を受けることなく柔軟にダイヤを変更できることを意味しています。
※電車区での留置の都合、分割・併合の都合、という話は、どうにかすれば解決できる種類の話ですので、ここでは省略します。鹿島線への付属編成での直通と横須賀−久里浜間での付属編成の運用はセットで考える話で、現実的にはどちらかだけが廃止されることはないのかな、とも思います。基本編成が10両になって久里浜への直通が増えても、付属編成が5両になっても、いずれにしても横須賀−久里浜間のサービスは直接には低下しないと思われます。
※E217系にはドアボタン(いわゆる「半自動ドア」機能)がついていないじゃないか、と思われるでしょうが、総武線−成田線に運用を閉じる(後述)のであれば、東京駅も成田空港駅も空調完備の地下ホームですので、ドアボタンは不要です。また、ドアボタンが必要となるような途中駅での長時間停車は、それ自体なくしてしまえばいいのです(≒なくしてほしいです)。入出区のある津田沼では、快速ホームが2面3線であることもあって、折り返しでも短時間の停車となっていますから、あまり問題にならないと思います。千葉や佐倉などでの折り返しがラッシュ時や異常時のみとなれば、これもドアボタンは不要でしょう。もっとも、後継の車両ではあたりまえのように、ドアボタンつきになるのでしょうが、E217系にいまさらドアボタンを設置することは、いろいろと割に合わないのではないかと思います。制御装置の更新時にドアボタンが設置されなかったのも、そういう背景があってのことかな、と、いまになってみれば思います。
しかし、これは、横須賀線・総武線(快速)で、日中(データイム)などに11両編成で運転されてきた列車が、そのままでは10両に減ってしまうことを意味します。ここを補うには、付属編成を連結して15両とするか、列車を増発するかという2択になります。
※きわめて消極的には、就業人口の自然減を待つ、すなわち、利用客が減るのを待って、10両でも間に合うようになってから10両に減らす、ということも可能ではあります。
前者では運用(=必要な乗務員や車両編成の数)が変わらない代わり、付属編成の走行キロ数が増えて検査のスケジュールが変わってくるとか、15両にまでしてしまうと需要に対して過剰かもしれない、という懸念が出てくるとみられます。後者では、利用客にとってはフリークェンシー(運行頻度)が増えますので利便性が向上しますが、運用(=必要な乗務員や車両編成の数)が増えますので、簡単には増やせません。また、単純に毎時1本増発すると多すぎるということになりますので、1日のダイヤ全体を見渡しての間隔の調整が必要となり、つまり「白紙改正」に近いダイヤ改正が必要になってくるとみられます。
・総武線(快速)と成田線の全面的な直通化?
[2910],[2939]などで触れていますように、成田線・総武本線・鹿島線のダイヤの近代化、東京に直通する列車を主体とした運行への転換という、いわゆる「東西軸」の検討において、車両の運用をどうするかというのが、なかなか難しい(意外とどうにでもできる分、「決め手」に欠ける)状況にあるとみられます。
以下の2通りが考えられます。
・A. 常磐線と成田線(我孫子−成田間)の直通と同様に、総武快速線でグリーン車なしの列車が運転される場合
・B. 総武快速線を成田空港まで延伸するようなイメージで、全列車にグリーン車が連結となる15両編成など(=前述)の列車が運転される場合
前者は、成田線の普通列車(現在は209系車両で運転)を10両化し、総武快速線に直通させるというイメージですが、この209系はいわゆる「幅広車両」ではないため、仮に14両なり15両なり連結したとしても、ラッシュ時に直通するのは厳しいでしょう。直通を日中のみに限定するとなれば、209系でも十分でしょうが、その場合、後述のようにE217系をやりくりしたほうがシンプルです。
※千葉での運用は短い期間で終わってしまいましたが、211系であれば、東京へ乗り入れてもおかしくなかったといえます。事実上、211系を209系に置き換えた時点で、この方法(房総ローカルの東京乗り入れ)自体を断念したのではないかとみられます。
※山手線へのE235系の投入によって山手線のE231系が総武線に転属の上、総武線の209系(「幅広車両」!)を成田線(千葉−成田空港間)に転用することによって、「幅広車両」でのグリーン車なし普通列車を東京に乗り入れ、という可能性も、なくはありません。車両の形式としては209系ですし、ある意味ではE217系そのものでもありますから、保守の態勢はそのままで転用できるのではないでしょうか。総武線各駅停車としては、まずはE231系に揃いさえすれば十分ですし、E235系が全車出揃うのを待たずに、一定の効果が目に見えて出てくる(「成田線千葉口普通列車に幅広車両を導入!」といえる)という利点もあります。10両編成のまま、付随車を含めて有効に活用できることも大きく、巷でウワサされる武蔵野線への転用よりは、はるかに現実的です。とはいえ、上述のように、一度は断念したとみられる普通列車としての乗り入れを、改めて実施するというのも微妙な話であり、いくら現実的とはいえ、こんなことはまず行なわれないだろうという気がします。(あくまで気がするだけです。)
※成田線では、1992年9月14日に起きた踏切事故を契機に、快速として運用される113系の前面が強化(いわゆる「鉄仮面」)されたという経緯があります。E217系では運転台が高くなり、その後の車両でもクラッシャブル(衝撃吸収構造)になるなど、安全上の大きな転換点になっています。E231系、E233系でも、高速で運転を行なう路線向けの車両では運転台が高くなっています。ところが、成田線の普通列車に充当される209系は、運転台が低いままで、このことから、車両の加減速性能上はE217系と同等の運転曲線が引けるとしても、普通列車を高速化できない、という残念な状況になっているとみられます。ここも、E217系への統一によって、成田線の列車が種別によらずきちんと高速に運転できるようになれば、サービス上、大きなインパクトが生まれます。この点からも、総武線の209系(=「幅広車両」ではあるが運転台が高くない)が成田線に転用されることは好ましくない(運転上の制約が解消されない)といえます。
後者は、横須賀線の列車を今までより多く「湘南新宿ライン」や「上野新宿ライン」などの列車に振り替えることでE217系車両を余らせて、成田線の普通列車の振り替え(=総武快速の列車として運転する)に充当するという意味で、特に「上野東京ライン」の直通運転が本格化すると見られる開業2年目以降(最初の年は、さほどではないんだろうと思います)に、可能となってくるとみられる施策です。E217系を増備することなく(そもそも、いまさら無理でしょうけれども)、異なる形式の車両を混在させることもなく(むしろ、現に混在しているのを解消しながら)実現できる話で、十分に現実的といえるかと思います。
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