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いま問う「座れてうれしい!」のココロ

車両 ゲーム アフォーダンス 最適化 前頭葉 降車 心理学 ポスター 言語


 「あー、わかる、わかるのに何という言葉で表現すればいいのかわからない」ということはよくあります。

・「入れ替え」
 http://ejje.weblio.jp/content/%E5%85%A5%E3%82%8C%E6%9B%BF%E3%81%88

 > 当館は入れ替え制です. 【掲示】 〈映画館の〉 Ticket valid for one program only.
 > 入れ替えなし. 【掲示】〈映画館の〉 Ticket valid throughout day of issue.

 映画館の「入れ替え制」(※)「入れ替えなし」という表現が、英語では一言では表現できないようです。だからといって、日本語でいうところの「(映画館における)入れ替え」の概念がないわけではなく、あくまで概念に名前がついていないというだけなのです。同様のことは、あらゆる言語の間で無数にあるでしょう。

※上映が終わるたびに観客全員を退出させる方式。

 武蔵野線では、南流山、南越谷、武蔵浦和、北朝霞といった乗り換え駅で、多くの乗客が降車し、多くの乗客が新たに乗車します。映画館と同じように、車両から見れば「(乗客の)入れ替え」という表現がしっくりきますが、これを乗客の視点で表現すればどうなるでしょう。「椅子取りゲーム」(※)、いえ、「着席機会」が「再配分」される、あくまで自分本位で表現するならば、いま「座れるかもしれない」「座れそう」「座りたい」「座れるに違いない」「座れてうれしい!」([2969])というキモチの変遷でありましょう。

http://ameblo.jp/hagure-metal55/entry-11434608800.html

 「あー、わかる、わかるのに何という言葉で表現すればいいのかわからない」ということは、「それ」(it)について考えること自体を難しくします。上述のような「乗り換え駅で、多くの乗客が降車し、多くの乗客が新たに乗車し…いま「座れてうれしい!」」という「それ」について考えるなら、考えようとするたびに「乗り換え駅で、多くの乗客が降車し、多くの乗客が新たに乗車し…いま「座れてうれしい!」」という一連の流れを時間を追って想起しなければなりません。なんと時間のかかることでしょう。頭が疲れます。多くの人は、「乗り換え駅で、多くの乗客が降車し、多くの乗客が新たに乗車し…いま「座れてうれしい!」」という一連の流れについて深く考えることはせず、自分が「座れてうれしい!」または「座れなかった」と一喜一憂するだけで済ませてしまうことでしょう。そのほうが頭が楽だからです。本当でしょうか。

・東京大学 進化認知科学研究センター
 http://ecs.c.u-tokyo.ac.jp/activity/activity2013.html

 本当かどうか確かめるには脳を直接、調べてみないといけません。脳までは調べられない立場や分野としても、極力、脳による情報処理の下位から上位まで、すなわち単純な知覚から複雑な認知までを俯瞰していくことが求められています(が、なかなかできていません=後述)。

・黒田航、井佐原均「意味役割名と意味型名の区別による新しい概念分類の可能性 意味役割の一般理論はシソーラスを救う?」IPSJ SIG Technical Reports 2005-NL-168(2005)
 http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/~kkuroda/papers.html
 http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/~kkuroda/papers/roles-save-thesauri-rev3.pdf

 > 13) これは,認知言語学の代表的枠組みの一つである認知意味論の基本的な主張に一致する.

 > 14) これらはあたり前のことだと思う人もいるかも知れない.だが,その「あたり前のこと」がしっかり書かれていないことがシソーラス類の有用性が限定されている理由一つである.

※「理由一つ」は原文ママ。このPDFはWeb限定の「増補版」とのことで、何ともココロあふれる、あるいはタマシイからホトバシルもの的な何か(議論の余韻も冷めやらぬ勢いのようなもの)を感じます。こういうフォローができるのはWebのよいところですね。

 > 17) 多くの生態心理学者はアフォーダンスを知覚のみに結びつけ,認識には結びつけないという用語法に固執するが,私たちはそれには従わない.

・中本敬子、黒田航「「逃れる」の階層的意味フレーム分析とその意義: 「言語学・心理学からの理論的,実証的裏づけ」のある言語資源開発の可能性」言語処理学会12回大会、ポスター(2006)
 http://clsl.hi.h.kyoto-u.ac.jp/~kkuroda/papers/nakamoto-kuroda-nlp12-poster-a4.pdf

 言語情報処理(狭義の言語処理でなく)という文脈では、フツーの人があたりまえのように使いこなしている言語的な感覚を極力、忠実に扱える枠組みを実現させていきたいところです。辞書(書店で平積みされる分厚い本のソレでなく、特定の情報処理のために特化して用意される特定のデータベース)の都合でソレはできない、というのはザラにある話ではありますが、それでいいんだ(しかたないんだ、あるいは自分の仕事ではない)と開き直っていては「素直」でも「正直」でもないように思えます。

※言語情報処理と交通計画、分野はまったく違いますが、再び家田教授の表現を借りますと「実際的センス」[2938]に欠けるということ、そのものです。そして、このようなこと(「学問的エレガンス」や「実際的センス」)が問題になるということ自体は分野によらずある(どの分野でも同じように重要である)ということがおわかりいただけると思います。「専門分野に依存しない部分」([3003])とは、こういうことを指します。

※とはいえ、現実には「学問的エレガンス」と「実際的センス」の間にもトレードオフがあり、どうバランスをとるかが腕の見せどころになってきます。多くの人はあきらめてどちらか一方にカリカリチューン(もはや死語ですが)していくこととなります。さらに現実には(「超快速」なる種別が登場したいま、「超現実には」とでもいいましょうか)、「学問的エレガンス」にカリカリチューン(最適化)する人と「実際的センス」にカリカリチューンする人の「綱引き」([2997]、研究者間や研究コミュニティ間でのトレードオフもしくは住み分け)によって、全体としてはオボロゲながらバランスがとれている(かもしれない)という状況になっているともいえ、それをもってバランスが取れているのだと(巨視的には)みなされるというのが現状だと思います。本当でしょうか。

・「ざら(2)」
 http://kotobank.jp/word/%E3%81%96%E3%82%89-512210

・「カリカリチューン」(2006年6月9日)
 http://d.hatena.ne.jp/negen/20060609/1149825284

 それはともかく、「座れてうれしい!」の話に戻りませコンニチワ。

・個人のサイト「【いらっしゃいませ、コンニチワ】が正しい挨拶として定着したようです。」(2007年2月)
 http://koizou.com/fude/kikoubun_136_2007_02.html

 あくまで自分本位に「座れてうれしい!」または「座れなかった」と一喜一憂する限りにおいては、「座る」という動作の成功と失敗およびその結果生じるバイナリのキモチ(「うれしい!」の有無※)だけが意識され、「座れるかもしれない」という予測や、その原因となる「多くの乗客が降車」することや、それが起きる「乗り換え駅」という場所については、特段には意識されないはずです。

 「座れそう」と予測したのに、別の人がすばやく座ってしまったので「座れなかった」となれば、「うれしい!」というキモチがない(というニュートラルなキモチ)だけでなく、「がっかり」というキモチが生じてきます。もし、予測することができない状況(前頭葉の活動が低下している、酒に酔っているなど)にあれば、何の行動も起こせず、何のキモチも生じないこととなるでしょう。

 中には、あえて「座りたい」とは思わないようにすることで(ただし、ただちに「座りたくない」とまで思うかどうかは別として)、「座れなかった」+「がっかり」を避けようとする人もいるかもしれません。

 また、「座れてあたりまえ」となれば、「座れた」からといって「うれしい!」とはならないでしょう。「うれしい!」というキモチは、「座れそう」という予測や「座りたい」という願望があって初めて生じるキモチといえ、「座る」という動作の成功と失敗そのものとは独立しているといえます。

※この話を図解してください、などといえば、いまどきの入試問題か採用試験([2958])のようですね。いえ、そのうち自分で図解もしてみようと思います。


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