フォーラム - neorail.jp R16
発行:2015/7/11
更新:2017/12/7

[3076]

【東京圏「あり方」SP(仮)】

「表定速度」を読み解く(中編)


「表定速度」とは
「速度」とは
速度と数値の「精度」(誤差)
表定速度を「使う」

(約11000字)

 [3075]の続きです。続きではありますが[3075]とは一転、具体的な線区や列車にはいっさい言及しません。


●「表定速度」とは

 そもそも「表定速度」とは、いかなる位置づけにあるのでしょうか。

・日本民営鉄道協会「表定速度」
 http://www.mintetsu.or.jp/knowledge/term/128.html

 > 表定速度=運転区間の距離÷運転時間(走行時間+停車時分)
 > 列車の速さを比べるときには表定速度を用いるのが一般的です。

・ウィキペディア「表定速度」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A8%E5%AE%9A%E9%80%9F%E5%BA%A6

 > 主に鉄道において用いられ、運行計画を立案する際の基礎データとなる。
 > 多くの高速鉄道では表定速度を高めるため、

 日本民営鉄道協会のスキのない記述は、さすがです。何が「一般的」か、というのは解説において大事で、多くの「一般的な読者」は、「一般的なこと」が知りたくて事典にアクセスするのですから、これに応えられなければ事典としての役割を果たせません。

 ウィキペディアの記述では、記述の起点とする時代背景も視点も定まらず(筆者間で共通の認識がつくられず)、ものごとの順序(何が先に決定され、何が従属的に決まっていくのか等)についても、あまりよく考えられていないように見受けられる記述になっています。

 そして、上掲の2ページを総合すれば、(誰が書いても)まあ、こうなりますよねぇ。

・修士論文「移動が限られた都市における沿道土地利用を考慮した渋滞解消の一提案」(2014年)
 http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/9840/1/%E5%B0%8F%E5%86%85%E3%80%80%E9%81%BC.pdf

 > 23ページ
 > 表定速度とは,正式には運転時刻表制定制度といい,時刻表の出発時間と到着時間から区間の所要時間を求め(略)運航計画を立てる際などに使われている.
 > 停車時間を除いた時間は平均速度といい(略)

※「運転時刻表制定制度」は原文ママですが「運転時刻表制定速度」の誤記でしょう。

 これ以降の説明は具体的で、この研究(修士論文)の位置づけがよくわかります。このときに、「一般には<A>するが、私(我々)は<B>の目的のため、<A>を<A'>に変えて用いる」と説明できるためには、一般的な<A>がわかっていないといけません。(加えて、<B>のため<A'>に、いわば「改変」することについても合理的に説明が尽くされなければならないのは当然のことです。)そして、<A>の定義は「金科玉条」([2938])ではなく、目的に応じて適切に<A'>へと変えなければ、研究は達成されません。<A>のままでは、いくらあれこれしても、どこにも新規性も独創性もないからです。本当でしょうか。

※とはいえ、日本語が不十分です。英語で(も)書いたかな、とも思われ、そして、それを日本語に一語ずつ逐次対訳したかのような、妙に「(日本語では)言い尽くせていない感」がそこかしこに、真っ先には論文のタイトルにも見られます。「一提案」=「a study」(≒「学生としての『お勉強』」)であるので細かいことは大目に見てね☆、ということなのでしょうが、…うーん。

 余談ですが、ここで「我々(私)は究極の目的<Z>のため<Z>するのである(一般には<A>されるが、これはマチガッテル)」などとすると、いわゆる「トンデモ論文」が一丁上がりと相成ります。学生にあっては、ナイーブ(naive)にトンデしまう人が少なからずいます。既に確立されて一般に通用している<A>には相当の合理性があり、あくまで<A>を基盤としつつ、<A>自体の補遺や改良をも目指して<A'>を提案していくというのが、工学系での基本的なスタンスとされます。

・「naive」
 http://ejje.weblio.jp/content/naive

・「マチガッテル系の人々」(2008年10月29日)
 http://taurus.ics.nara-wu.ac.jp/machigatteru/

 > この用語は、以前にfjで公表したものですが

・「fj」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/Fj_%28%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%29

 > 技術用語を正確に用いることを尊ぶfjの文化においては記事に対するフォローやリプライをパソコン通信(及び現在のWeb-BBS一般)での流儀で「レス」と呼ぶ参加者は反発を招き、しばしば従来からのfj.*利用者が「レスって何ですか?」と返答することがみかけられた。
 > 「イソターネット」「マノレチメディア」などという用語が現れたのもこの頃である。

※何が「一般的」かを、どうやって決めればよいのか、ということの難しさ、ひいては、それでも何かを「一般的」と決めないことには、「一般的な参加者」が参加できる「一般的なもの(フォーラムやニュースグループ)」にはなりえない、つまりは一般化できず「特殊な何か」のまま終わってしまう(現に終わっている)ことを体現しているやのように感じられます。(あくまで感想は個人です。)

・個人のブログ「研究と「研究ごっこ」の境」(2005年12月3日)
 http://puzhai.cocolog-nifty.com/zazhi/2005/12/post_b1ef.html

 > 肩書きを見ると「○○女子大学専任講師」とあって、立派なプロである。本当にそんな人がトンデモなことをやるのだろうか……と、半信半疑でこの論文を読んでみた(略)しかし確実に言えるのは、これは「研究ごっこ」ではなく、まっとうな研究だということである。(略)この論文は結論の当否はともかく、「これまでの研究を踏まえた上で、根拠を挙げて論証する」「根拠から確実に言えることだけを慎重に言う」という学問のルールにきっちりのっとっているのであり、「研究ごっこ」とは一線を画する至極まっとうな研究なのである。

 > 一方でこれと対照的な「研究」が(略)著者のT氏は○大法学部出身で、専門の研究者ではなく、日本史や中国史を専門的に学んだ経験はないようで、アマチュアの考古学研究会に入って趣味で日本古代史を研究しているらしい。(略)しかしこの論文を一読すれば、T氏は(略)全くの半可通であることがすぐにわかる。(略)T氏は○大を出て会社の取締役になるくらいだから、決して無能な人ではあるまい。簡単な割り算ができないわけはなかろうし、「○○○○歴代○○之図」が探し出せて○○図が探し出せないはずもなかろう。にもかかわらずどうしてこんな杜撰極まる「研究ごっこ」をやらかしてしまうのだろうか。
 > その原因として挙げられるのは、「思い込み」に対する免疫が十分についていないことである。人は「強烈な第一印象」に非常に弱い。(略)ここでまっとうな学者なら、それに対して都合の悪いことがないかを慎重に考える。(略)しかしこうした訓練のできていない人は、「強烈な第一印象」で一度こうだと思い込んだら、そのままどんどん突っ走ってしまう。都合のよい根拠だけを探し、都合の悪い事例は「見れども見えず」になってしまう。こうして自称「研究家」はスキだらけの詰めが甘い「研究ごっこ」を「画期的な新説」と称して発表するのである。

※言いたいこと、ぜんぶ言われてます。分野によらず同じことが言えます。他の人の論文や、あるいは専門でない分野の論文を読まねばならなくなった時など、ココロしてかかりましょう。そして、専門でないのに論文を書いたり賞を決めたりしなければならなくなった([3050],[3066]など)、というのがいかに悲劇的なことか、わかります。

※「画期的な新説」に関しては、地名の由来について[2467],[3019],[3044]も参照。

 本題としては、やはり「運行計画の立案」に「使われる」らしいということが、かろうじてわかります。また、列車の速さを比べるためにも使われるということです。…とはいえ、速度なんですから、速さしか比べられませんよねぇ。

※いえいえ、日本民営鉄道協会の説明にあるように、列車の速さを比べるときに「最高速度」ではなく「表定速度」を使って比べる、ということです。もちろん。


●「速度」とは

 表定速度が云々、といいながら、実は速度とはどういうものか、わからないまま、数字の操作だけをしていた…(例えば、ウィキペディアに表定速度が云々と書き込んでいるのが、微分も積分も、分散や有効数字も習っていない小中学生だった、など)、という笑うに笑えない話も、世の中にはあるかもしれません。それではコワイので、速度についても一度、まとめておきましょう。

 先日の「うるう秒」のような話題でもないと意識されませんが、地球の自転の速度から、(重力その他の力や場などが一定である限り)一定とされる光の伝搬や電子などの移動の速度、懐かしくは「はじき」(はやさ=きょり/じかん)と(ひらがなで)教えられるソレまで、速度というものは一貫して速度というものであり、値の大小によらず同じものです(※)。

※…という一種、一般化された視座を、高校の物理にまで至らないと得られないというのはもどかしいところです。いまや「物理は履修しませんでした」ということもあるかもしれず、単に「速度」といったとき、「はじき」と地球の自転(回転の速度≒移動しているかどうかよくわからなくても速度である)とが同一の物差しであると理解していない人もいるのではないかと心配されます。本当でしょうか。

 かといって、トルク(そのものは目に見えない)や加速度(時間経過を伴う)を直接(計算方法の説明でなく、トルクというもの自体、加速度というもの自体を)直感的に図解することはできず、それだけの事実をもって初等教育の範囲外とされることは、それはそれで合理的です。

・住友重機械工業「駆動系の計算式」(2014年)
 http://cyclo.shi.co.jp/product/gmoter/prest_neo/prest029.html

・個人のページ「ハジキ方式はやめよう」(2002年4月7日)
 http://www.cts-net.ne.jp/~shimom/jukuz.html

 > どうしても理解できない子には,ハジキ方式で覚えさせるよりも,下のような面積図で覚えさせたほうが,まだ速さがイメージできるのではないかと思いますし,高校で学習する「物理」や「数学の微積」にも通じている分,ハジキ方式よりも優れていると思うのですが。

 それなりに同感ではありますが、かといって「はじき」を棄却するほどではないと感じます。実務上、滞りなく計算ができることも重要で、原理がわかるというのがあくまで「オプション」的なものと位置づけられる仕事のほうが、世の中には多いとみられますから、ある程度は、そこに合わせて教えることが求められましょう。そして、原理が気になって夜も眠れないとなれば、自力でどんどん勉強していけばいい、それだけのことではないでしょうか。

※両方やればいいんですね、わかります。

 「はじき」も、直接には図解できない「はやさ」を、「きょり/じかん」という目に見えるものを使って表現することで、初めて定量的に把握することができるという(=実はたいへん難しい)ことを、(それなりに)わかりやすく示しているともいえます。「臓器」と呼ばずに「からだの中をみてみよう!」とする([3061])のと同じことで、(エネルギーなどという何かモヤモヤしたカタマリを)積分すれば移動量(変位)が、微分すれば瞬間の速度が求まります(※)、と明示的には説明せずとも、それなりにそういう感覚をもっていけるような教え方ができるのであれば、それがベストだと思いますが、難しそうです。

※「きょり」「じかん」も、それなりに難しいもの(「見渡す限りの一面」[2948]も参照)ではありますが、物の長さや時計という(「はやさ」よりは)直感的な物差しによって理解することができます。

※エネルギーというモヤモヤが先にあって、その結果(時間経過の結果)として変位や瞬間の速度が導出される、というモデルでございます。

・「物理における微分・積分」島根大学(2006年4月11日)
 http://www.phys.shimane-u.ac.jp/mochizuki_lab/PM6.pdf

・ウィキペディア「コワレフスカヤのコマ」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AF%E3%83%AC%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%A4%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%9E

・「戸田格子」(2008年3月)
 http://gandalf.math.kyushu-u.ac.jp/~kaji/ohp/toda.pdf

 > 戸田格子それ自身や広田の方法,離散化・超離散化の発見は,既知の深い理論を駆使したというよりは,むしろ数理的・物理的現象に重きをおいた「遊び」や「試行錯誤」の末になされたものである.発見には深く広い数理的知識の上に培われた強い個性と一種の嗅覚とも言うべき研ぎ澄まされた物理的・工学的直感が本質的な役割を果たしている.
 > 全く驚くべきことだが,戸田格子が発見後40年経っても研究され続けていることは一目瞭然である.さまざまな新しいアイデアが戸田格子を元に,また戸田格子を触媒として生み出され,戸田格子でテストされ,拡張されてきた.戸田格子はいわば新しい研究を育てるゆりかごとも言うべき役割を果たしているのである.

・自動車の速度計について
 http://www.navi.go.jp/images/info/pdf/jimukitei/10_Shinsajimukitei_04_05_091.pdf

・小野測器「小型高感度GPS速度計 LC-8300」
 http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/vehicle/lc8300.htm

 > GPS/GLONASS の衛星信号を利用して自動車、自動二輪車、建設機器などの車両計測における速度、距離などのデータを、高機能・高精度に計測
 > 速度精度:±0.2 km/h、距離精度:±0.2 % と高精度です。

※市販のスマホなどを「GPS速度計のようなもの」とみなして、独自に速度計の校正をしようとする人もいるかもしれませんが、無謀だと思います。

・小野測器「受注生産 リニアモーションスピードメータ ST-1210」
 http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/tach/st1210.html

 > 射出シリンダのプランジャ速度、車体開閉部(ドア等)の通過速度、車両の通過速度などを高精度に測定可能
 > 価格 ¥230,000(税込¥241,500)

※「用途例」の図を見ての通り、この測定器さえあれば(買えば)測り放題! などということは決してなく、速度を高精度に測ろうというのは限りなく高コストなことといえます。設置した機材がずれ動かないよう、「見張り員」のようなもの(者)もつけなければなりません。

・「列車制御のための車上での高精度な位置検知手法の開発」鉄道総研報告 Vol.7 No.9(2013年)
 http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0001/2013/0001003728.pdf

 > 走行する車両から軌道に向けてミリ波を送信して反射させ,ドップラー効果による周波数遷移(ドップラー周波数)を利用して,速度と走行方向を検知することができる(図9)
 > 停止を検出することは困難であるが(略)1km/h以下でも計測可能
 > ミリ波測距装置
 > 光速Cは既知であり
 > GPSの測位点の間は速度発電機の出力で補完
 > 速度発電機の苦手とする領域(空転・滑走や低速域)をミリ波速度計が補うことが可能

 速度計の精度を確保するのが難しいという事情は鉄道にもありますが、鉄道には自動車とは異なる点が多数あり、安易に同じとみなすことはできません。

 速度検知と位置検知はともに同じ装置(の開発)によって取り組む課題で、速度計の精度も位置の検出の精度も同時に高めることができるという、まさに「はじき」を絵に描いたような、と感じます。(感想は個人です。)


●速度と数値の「精度」(誤差)

 速度を測るのは難しい、という話に続いて、誤差の話です。

・個人のブログ「実は裏付けの無い最高速度」(2005年5月11日)
 http://tanaka.sakura.ad.jp/2005/05/post-281.html

 > 在来線の制限速度は、ダイヤ作成者のカンに頼るところが多く、シミュレーションしたものでも、実地試験をしたわけでもありません。すなわち、今まで大丈夫だったからという、悪い方でのカンが生きています。

 この話をもう少し一般化すれば、速度制限を「5km/h刻み」で設定することの根拠を問うこととなり、さらに一般化すると(風速の)「5m刻み」([2988])、(ダイヤ=運転時刻表の)「15秒単位」([2997])の話となります。人にとっての扱いやすさ、認識しやすさ、心地よさなどを加味する話としては、混雑率の「目安」に採択された数字の飛び具合([3052])、車両の長さを「23m」にする話([2988])もあります。

※速度計がきわめて高精度になれば、それに合わせて運用も法令も変わっていくことでしょう、と楽観しておきます。

 「頭痛が痛い」…いえ、「刻みの単位」を「決めかねる」といってさじを投げることも、場合によっては適切なことで、そうなれば「『最小単位』でがんばるぞい」([3052])ということになる(≒するしかない⇔作為的な目盛りを持ち込まない分、マシである)わけです。計算上は、分数を分数のまま(あるいは浮動小数点で)扱って最終の出力において初めて丸めた小数を出すか、いきなり少ない桁数の小数なり、あるいは整数にしてしまうか、といった違いで、その影響がいかに大きいか実感されます。

・弘前学院聖愛中学高等学校「情報B解説」
 http://www.seiai.ed.jp/sys/text/cs/chp03/c03a040.html

 > IEEE754の単精度(4バイト=32bit)、倍精度(8バイト=64bit)で表現できる数値の精度は次の通りです。

 > 科学技術の計算ではより精度の高い計算が必要な時は使用するビットを増やして計算をします。(略)循環小数でも桁数が多ければより正確になるという考え方です。科学技術の分野ではこれで問題ありません。コンピュータの得意な2進法の中で計算しますから高速に計算できます。

 > 四捨五入をしたはずなのに結果が異なるということもあります。お金の計算で小数が入ってくる利息の計算などではこれではまずいので対策が必要です。

 いまどきの「情報B」では「IEEE754」を教えるんですね。そして、簡潔にしてツボをおさえた説明、さすがです。なぜ金融系では独特なプログラミング言語が使われるのか(一般的なプログラミング言語ではだめなのか)、実感的に理解できそうです。


●表定速度を「使う」

 表定速度を「使う」という表現がしっくりこない気もしますが、かといってどういえばよいかも定かでなく、仮に「使う」とします。

 瞬間の速度を正確に測定することが難しい一方、「はじき」における距離と時間は、速度に比べればはるかに高い精度で測定できますが、代わりに、サンプリングのウィンドウを大きくとる、すなわち、ある程度、長い距離や時間がかかった移動の結果を見ることが(十分な精度を得るには)必要になります。

 かといって、ウィンドウが大きすぎれば、途中の細かな変化(波形でいえば起伏)は鈍る(なまる=見えにくくなるか、まったく見えなくなる)こととなり、ウィンドウのサイズをいかにして決定すればいいか、そのこと自体が難問になりえます。そのため、ある程度は勘で(※)、「最適っぽいサイズ」を決めていくことになってきます。

※ここで「カンピューター」などというと、古き良き時代の人に…(略)。

・「カンピューター」
 http://ansaikuropedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC

 > ウィキペディアの専門家気取りたちも「カンピューター」については執筆を躊躇しています。そのような快挙を手際よくやりおおせたことは、我らの誇りです。

※スバラシイ! …とはいえ、今日(こんにち)の新聞にいきなり「ON」と書いてあっても、すぐにはわかりませんですとも。いくら過去に「国民的○○」と呼ばれようとも、ことば、中でも略語には賞味期限(ほかの略語や新しい略語との整合性や多義性が常に問われます)というものがありましょう。

・読売新聞「ドジャース・オマリー氏叙勲伝達式にONが祝辞」(2015年7月9日)
 http://www.yomiuri.co.jp/sports/mlb/20150709-OYT1T50091.html

 ウィンドウとは、分野によって呼び方や扱い方はかなり異なりますが、根底にある考え方は<それなりに>(※)似ています。

※いやいやいや、全然ちっとも似てなんかないやい、とお思いの方は、間違いなく、その道のプロですね、わかります。

・音響特機「データ窓のミステリー」(2006年5月1日)
 http://www.otk.co.jp/save/user_uploaded/smaarttech3.pdf

 表定速度でいうところのウィンドウサイズとは、表定速度を求める区間をいかにして決める(選ぶ)か、ということです。

 趣味を楽しむ多くの人は、列車や路線(ダイヤ上、一続きの列車が多数、運転される一連の線区、と定義できましょうか)を単位、すなわちウィンドウとして、表定速度を求めては、(誤差を気にすることもなく=誤差を考慮すれば順位が逆転したり、有意差はないと結論付けられたりするようなわずかな差でも)A線が勝ったの、B特急のほうが速いだのといってヨロコブわけです。どことなく「視聴率」のソレ([3046])とも似ています。(感想は個人ですが、事実です。そして、あくまで趣味であれば、イケナイことだとは思いません。)

 列車や路線をウィンドウとして表定速度を求め、それ以外についてはいっさい見もしないというのは、トンデモとまではいえませんが、かなりそれに近い、たいへんナイーブ(naive)な状況といえます。いくら(鉄道の)専門家でないとしても、こんなことをしていては、自分の専門(らしきもの)についても危ういのではないかと、他人からは見える恐れがなくはありません。趣味だから、専門外だからといって適当なことをしていては、(よくない意味で)自分に返ってきてしまいます。

 わからないことはわからないとする、そして、わからないから調べてみるんだ、というとき、「(自分では|事前には)決めかねる」といってさじを投げる、このことはウィンドウサイズの決定においても可能なことで、恣意的に決めることを避けるには、ありったけ試してみる、気象予報でいうアンサンブル予報のようなアプローチに進んでいくことが可能です。

・気象庁「アンサンブル予報」(2014年3月7日)
 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-3-8.html

※シミュレーションといって、投げるのはサイコロでなく、さじでもいいんですね、わかります。そして、サイコロの場合は8000回ちょうどくらい投げると許してもらえる(サイコロを投げるだけの簡単なお仕事から解放してもらえる)ところ、さじを投げる場合は投げ方を変えながら256通りくらい投げれば、それなりに許されるんではないでしょうか。「1サイコロ=32ミリさじ」というレートですね、わかります。本当でしょうか。

 前編([3075])の「表1」では、「乗換駅と乗換駅の間」というウィンドウを用いて、東京圏の全域について(※1)表定速度を求めました。すると、いくつかの「標準的なレンジのようなもの」が浮かび上がってきたのです(※2)。

※1 これまた、自分が興味を持った特定の会社や線区だけを求めるのでは、それ以外は見ませんと言い放つに等しいことです。他方、会社が違えばいろいろ違いそうだという先入観のもと、ここではJRだけにしました。(このスタンスは、このサイトの全体についても同じです。まずはJRだけを見る=JRについてはぜんぶ見る、その上で適宜、他社と比較して「差分のようなもの」を見出せばいいのです。)

※2 あぶり出し(かんきつ類の汁で書いたソレを可視化するアレ)にも近く、しかし、意図的に見えないように書いてあるというわけでもなく。誰に聞かずとも、資料がなくても、データだけから出してくることができる一例です。自然科学にあって、答え合わせをしてくれるセンセイはどこにもいません。答えが定まらないからといって「民意を問う」こともできません。鉄道は必ずしもすべてが自然科学でできているというわけではありませんが、自然科学の考え方が応用できる部分はたくさんありましょう。


この記事のURL https://neorail.jp/forum/?3076


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