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「情報と鉄道」「ユニバーサルデザインと鉄道」「社会と鉄道」がテーマのフォーラムです。(16歳以上対象) 【このフォーラムについて】



by tht

[3098]

「旅行者よ、大きなカバンを抱け」?

車両 線路 バス キロ 説明会 手数料 バタバタ テストケース 旅行業法 警報音


「修学旅行事務処理の流れ」と「旅行業法」
「憤る」にも権限が要る
40人を超えない「小さな修学旅行」
こんなこともあろうかと「プランB」
団体客らしさ、旅行者らしさの「記号」


 この件、「事件」でも「事故」でもないと思っていましたので、そろそろ冷めてきたころだとみて、いま、取り上げます。そして、鉄道(の事業や事業体、技術など)の話でなく、主に言葉や言葉、それに「記号」の話です。

・千葉日報「乗車途中ドア閉まる JR成田駅員が勘違い 修学旅行出発の中学生ら乗れず」(2015年6月17日)
 http://www.chibanippo.co.jp/news/national/262200

 > JR成田駅で今月、修学旅行で特急成田エクスプレスに乗り込もうとした香取市立栗源中学校(同市岩部、須藤壮輝校長)の3年生や教諭らの一部が、電車のドアが閉まり、ホームに取り残されていたことが16日、学校などへの取材で分かった。信号機トラブルもあって生徒らは東京駅で予定の新幹線に乗れず、訪問先の一つに行けなかった。学校側は「うっかりミスでも影響は大きい」と憤慨。JR千葉支社は「再発防止へ社員の管理と教育を徹底したい」としている。

 > 学校などによると、京都・奈良方面への修学旅行は10日から2泊3日で実施。3年生33人らが10日朝、成田駅で東京駅に向かうため成田エクスプレス(12両編成)に乗り込んでいたところ、途中でドアが閉まり、生徒21人や須藤校長らがホームに取り残された。

 > 取り残された生徒らは後続の成田エクスプレスに乗車。この電車でも定刻通り東京駅に到着すれば、乗車予定だった午前10時23分発の修学旅行生専用の新幹線に間に合うはずだったが、JR戸塚駅での信号機トラブルに巻き込まれ、東京駅に着いたのは午前10時35分。生徒らは別の新幹線で京都に向かったが、到着が遅れたため、コースに入れていた京都府宇治市の平等院鳳凰堂に行けなくなった。

 > 同支社によると、成田駅で乗降を確認する駅員が生徒らの乗車の列が途切れたのをモニター画面で見て、乗車が終わったとの合図を車掌に送ったらしい。生徒らが乗っていたのは先頭の1両目だったうえ、駅がカーブしていることもあり、駅員がいた11両目付近からは目視できないという。

 > 須藤校長は「生徒にとっては一生に一度の修学旅行。うっかりミスかもしれないが、影響は大きい。不安も招いた」と憤る。同支社は「再発防止に向け社員の管理と教育を徹底したい」とコメントした。

 > JR側は修学旅行から戻った12日午後、学校を訪れ経緯を説明。きょう17日には学校で保護者対象の説明会を開くとしている。

・千葉日報「栗源中へJR謝罪 修学旅行トラブルで」(2015年6月18日)
 http://www.chibanippo.co.jp/news/national/262422

 > 修学旅行で特急成田エクスプレスにJR成田駅から乗り込もうとした香取市立栗源中学校(同市岩部、須藤壮輝校長)の3年生や教諭らが乗車中にドアが閉まり、半数以上がホームに取り残されたトラブルで、JR側と旅行会社は17日、同校で保護者説明会を開き、当時の状況などを報告し、謝罪した。

 > 説明会には、20人以上の保護者が参加。冒頭にJR側と旅行会社が謝罪し、学校側が当時の経緯を説明。同校によると、電車は乗車中に15秒ほどで前触れもなく閉まり、このうち一人の生徒がドアに挟まれそうになったという。

 > 一方、JR側は「当時、団体客がいたのは知らなかった。乗降時間は1分間ほどあった」と返答。「駅員が生徒の列が途切れたのをモニター画面で確認し、車掌に合図を送った」との説明を繰り返すにとどまり、「誠意が感じられない」(出席した母親)などと保護者らの不満が相次いだ。

 なお、大人にあってはついつい、「自分の修学旅行」と照らし合わせて「いまは『ぜいたく』だ!」などと断じがちですが、いえいえ、市販の旅行商品(ただし「びゅう旅行商品」を含む)の充実ぶりや、流行の採り入れの早さを見て実感されるように、修学旅行においても「旬」というものはあり、また、それを採り入れられるよう努力されてきています。いろいろなことがどんどん変わっていくことに対しては、とりあえず肯定的にゴキゲン([3093]、後述)…いえ、楽観的に楽しく見ていけばいいんではないでしょうか。

・肯定的にゴキゲンでぐっすり今日も元気だごはんがうまい、の3年間追跡調査(2008年)
 http://joh.sanei.or.jp/pdf/J50/J50_6_01.pdf

※専門でないので妥当性は検証できません。素朴には共感されますが、エビデンスとしてはよくわからず、という状況で、恐縮です。

・関東地区公立中学校修学旅行委員会「平成23年度 修学旅行の実施状況並びに「感性をはぐくむ修学旅行」の取り組みについてのアンケート」
 http://shugakuryoko.com/shui/kan-shui/chosa/kanshui2011-01-kousatsu.pdf

 > ここ何年来、専用列車の広島コースの利用について希望を取ってきた。長年JRとの交渉を重ねてきた結果、専用列車が25年度から実施される運びとなった。

 2013年度から、東京発でJR西日本に直通する(新幹線の)修学旅行列車を運行してもらえることになりました、ということですね。この話で、「交渉」の相手方を単に「JR」と記すのは、たいへん雑すぎるようにも感じ、また文書全体を通して日本語がひどいようにも感じますが、そこは中学校の教員の集まりとして限界があるのかもしれません。(そんな勉強はしてきていませんです=中学校教員を志望する学生が、の意。)


●「修学旅行事務処理の流れ」と「旅行業法」

 「修学旅行」を楽しむ(いえ、学ぶ)当事者の生徒や児童としては(素朴に)「わあい」でいいんですけれども、大人(保護者、それに新聞記事の読者を含む)としては、法的な位置づけをきちんと理解しなければなりません。「修学旅行」という何か特別な制度があるのではなく、学校(教育委員会)が旅行会社に発注した「普通の旅行」です。

・(参考)「修学旅行・卒業アルバム」大分県教育委員会
 http://kyouiku.oita-ed.jp/kikaku/5_syuugakuryokou.pdf

 参照するのはどこの都道府県でも市区町村でもいいんですが(※)、「修学旅行事務処理の流れ」と「流れ図の説明・留意点」にある通り、各学校において校長を筆頭とする「修学旅行検討委員会」(名称は大分県の場合)を設置してから、教育委員会に「修学旅行終了報告書」(同)を提出して受理されるまでが修学旅行です。生徒が帰宅しただけでは終わらないんですね、わかります。「普通の旅行」を「修学旅行」たらしめているのは、教育委員会(と学校)における「事務処理の流れ」だとわかります。

※どこでも公開されているというわけでもないかもしれませんが、公開されていなくても、あたりまえすぎることですから、公開しているのがまずいということでもなければ、公開していないのがいけないということでもありません。

※新聞記者(後述)が次にすべきは、「修学旅行終了報告書」の情報公開請求をすることですね、わかります。生徒に対して取材すべきではありませんし、保護者の言い分も、それはそれです。

※一般に理解が広がっていない点としては、▼役職としての校長(具体的な人でなく規程などの上でのソレ)と、▼人物(その時その時に任じられた者)としての校長、それに▼役職に人物が収まった状態としての校長(権限が発揮される状態としての校長)が、特に区別されずに語られるということが挙げられましょう。用例ベースでいえば「校長を置く(と定める)」「校長を囲む会(給食、PTAの懇親会など)」「急病で校長が不在となる(教頭が代理を務める)」では、すべて「校長」の意味するところやスコープのようなものが異なっているということです。まったく同じことが「駅長」にもいえましょう。身近には「店長」や「班長」でもいいですけれども、この3つ、ちゃんと使い分けできていますか?

 (学校から見て)契約の相手方となる、旅行会社のほうも見てみましょう。

 旅行業は、旅行業法によって(業者に対し)義務が課されるとともに、(旅行者の)保護も図られます。

・観光庁「旅行業法」
 http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/ryokogyoho.html

 > 旅行業務は比較的小さな設備で取り扱うことが出来ますが、その取扱額は必ずしも少なくありません。そこで、旅行業者や旅行業代理業者と旅行業務に関し取引をした旅行者の保護を図るため、法律により旅行者に一定の金額を営業保証金として供託することを義務付けております。

 > 旅行業者等は、営業所ごとに、一人以上の「旅行業務取扱管理者」を選任し、取引の明確性や旅行に関するサービスの提供の確実性、その他取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便の増進を確保するための必要な事項の管理・監督に関する事務を行わせることが義務付けられています。

 旅行が円滑に実施できるかどうかは、すべて旅行会社の責任で、そこを飛び越えて、保護者がJRを呼びつけるというのは、契約の仕組みを理解していないことを示しています。

 学校や教育委員会としては、円滑な実施がおぼつかないような旅行会社、いわゆる「タヌキツーリスト」が入札や見積もりに紛れ込まないように、しかじかの資格要件を定める(資本金、前年中の取扱件数や取扱高、中でも修学旅行に関する実績、県内や市内に支店があること等々、事実上、大手の数社だけに絞るような要件であっても、あくまで要件であって、大手の数社だけを名指ししたということには決してならないのです)ことになりましょう。

 とはいえ、大手とはいっても、旅行業は免許制ではなく届出制ですから、業者の質は一定程度しか保証されません(※)。うっかりすると公正取引委員会な案件にもなり、特に、何か新しいことや大きな変化があった時に、自分たちの「リーガルマインドのようなもの」が試されるというわけです。

※端的には「旅行業務取扱管理者」を置きさえすればよい=だから「タヌキツーリスト」も生き残れてしまう⇔そこをつぶせつぶせとはいえず、つぶしてしまえ、つぶれるべきであるといってはならないわけです。かといって旅行会社の「総合的な能力のようなもの」を認定したり認証したりするのもたいへんなことで、しかるべき規模や実績には相応の管理能力がともなっているはずだ、という前提があるわけですが、それを裏切る会社や粉飾する会社が出ないとも限りません。また、時代や社会が大きく変われば、政府や公社だけが旅行業を営んでよいとか、旅行するには一定以上の所得が必要だとか、あるいは「身分」によっては旅行が許されないといった「前近代」に逆戻り、ということもありえなくはありません。

・かわいいほうのタヌキツーリスト
 http://blog.livedoor.jp/happyfield7/archives/50136647.html

・公正取引委員会「株式会社日本交通公社ほか8名に対する件(平成11年(勧)第14号)」(1999年7月7日)
 http://www.jftc.go.jp/info/nenpou/h11/11kakuron00002-2-2-1.html

 > 関係人9名のうち,株式会社**交通社(以下「**交通社」という。)及び**旅行株式会社(以下「**旅行」という。)を除く7名(以下「7名」という。)は,平成7年4月ころ大阪府教育委員会が府立高等学校の航空機を利用する修学旅行を解禁したことを契機として,向上研究会等と称する7名の公立高校の修学旅行を担当する営業責任者級の者で構成する会合(以下「向上研究会」という。)において,航空機を利用する修学旅行における航空機の座席を確保するため,航空各社との一元的な交渉及び修学旅行に関する情報交換を行ってきた。

 > 8名は,大阪府における府立高等学校並びに大阪市,東大阪市,堺市及び岸和田市の各市における市立高等学校(以下「公立高校」という。)の修学旅行の安値受注を防止し,一定額の収益を確保するために,平成9年1月16日ころ,大阪市中央区久太郎町所在の大阪塗料会館で開催した向上研究会において,公立高校が平成10年度以降に実施する修学旅行の企画及び旅行サービスの手配に関して
 > (大幅に略)
 > 前記(i)から(iv)に違反した場合には,当該修学旅行の受注を辞退すること,向上研究会から除名すること又は過怠金を拠出することを決定した。

 > 排除措置
 > 9名に対し,次の措置を採るよう命じた。
 > (ア) 平成9年1月16日ころ及び平成10年1月13日ころに行った,公立高校が実施する修学旅行についての取扱料金の料率及び旅行費用に係る見積金額の共通の算定方式に関する決定を破棄すること。
 > (イ)  次の事項を公立高校及び一般消費者に周知徹底させること。
 > a 前記(ア)に基づいて採った措置
 > b 今後,共同して,公立高校が実施する修学旅行について,取扱料金の料率及び旅行費用に係る見積金額の共通の算定方式を決定せず,各社がそれぞれ自主的に決める旨
 > (ウ) 今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,公立高校が実施する修学旅行について,取扱料金の料率及び旅行費用に係る見積金額の共通の算定方式を決定しないこと。

※法人(会社)を「関係人」として「1名」「2名」と数えているんですね。担当者が1社1名ずつかどうかには言及されません。(公取委としての)処分の対象が法人であるからです。

 当時、たいへんニュースになったかと思いますが、しかし、「高度な自律」という話にはなかなかならず、修学旅行で飛行機が「ぜいたく」かどうか([2965])、そういう話ばかりに(巷では)なったというのが、いつの時代も似ているなぁ(あまり変わらないなぁ=変わらないものなのかなぁ)、と実感されます。

 「高度な自律」は、何かを遵守していさえすればよいという狭い意味での「コンプライアンス」だけでは達成できないことで、「何も定めがない」ときに、いかにすれば公正取引委員会からおとがめがないようにできるか、しかも、それを公正取引委員会を一種「センセイ(答えを何でも教えてくれる)」とみなして「事前に相談」などということなく、「高度な自律」をもって対処できるか、という、たいへんむずかしい話です。

※いわば「セルフ公取委」(自ら公取委役を演じてみて、自らを検証する)をしてみなはれ、説明しきれないことは最初からしないでおかれたし、ということです。

・日本旅行業協会「修学旅行事情」
 http://www.jata-net.or.jp/travel/info/school-trip/

 業界団体としてはしっかり「高度に自律」しているんだろうと思いますが、会員社が、すべての支店や営業部でぬかりなくきちんとしているかどうかまでは責任を負えない立場でもありましょう。


●「憤る」にも権限が要る

 千葉日報の記事では「学校側」が「憤慨」としていますが、教職員(少なくとも校長や教頭、学校事務職員)がこうした法的な面を理解をしていないことはありえませんので、十中八九、「取材の場に同席した保護者(PTA会長など)」を指して「学校側」と書いているとみられます。おそらくは名刺ももらわず(保護者やPTA会長が、その立場の名刺を持っているとも考えにくいですが)、取材相手の全員が名乗ることもなく(あまりにも最初から憤慨していらっしゃるので名前もうかがえず:おおコワイ)、あるいは、ICレコーダーで音声のみ録音しつつ(※)、メモは不十分で(録音から起こせばいいやと安易に考え:あるいは憤慨なさる取材相手に圧倒され判断力や注意力が鈍り)、いざ記事を書く段階で、どの声が誰なのか、ひいては、どれが誰の発言なのかわからなくなってしまい、そして、そうしたいわば失態を隠す…いえ、「補う」べく「学校側」という表現で済ませたということだろうと思います。

※ビデオカメラを回すと反感を持たれやすいとみられ、しかし、なぜICレコーダーだと了解が得られるんでしょう? 音は目に見えず、当人としては残らないもの、消えていくもののように感じられているのかもしれません。書き言葉より話し言葉といいますか、もっぱら話し言葉をベースとして生活したり仕事をしたり(それで務まる仕事というのも、もはや少ないのではないかとも思われますが)している人にとって、文字や映像(に残る)というのはコワイものだと思われるのかもしれません。しかし、記者の取材を受けるということは、後から文字になるということそのものであるはずですが、しかし、目の前で文字にならない限りは、これ(取材)が文字ベースなプロセスであるということにも、気づかれないのかもしれません。動物写真家の「岩合さん」的には、動物にレンズを向ければ反応してくれるがマイクを向けても反応されない、といったことが実感されているかもしれません。レンズが丸く、大きく、光っているのがコワイんだという、動物的で原始的な何か、なのかもしれません。マイクという機械は(動物に)理解されずとも、レンズは、その見た目だけで「機械の『目』」であることが本能的にわかるということかもしれません。

 そして、こうした判断は記者の独断でなく、単に「学校側」としか書いていなければ「これは何だ? 具体的に誰なんだ?」と突っ返されるところ、しかじかでカクカクでありまして、まことにイカンであります…と一種、小さくなって「説明」し、「やむを得ない(次からは気を付けるように)」としてそのまま掲載、ということになったのではないかなぁ、などと想像されます。(あくまで想像ですが、一般的にはこうだろうということではあります。)

※そして、まあ、6月ですから、そういう「新人」もいるでしょうし、もしかすると初めてか、2回目くらいの取材だったのかもしれません。それはそれでホホエマシク見守ろうではありませんか、みんな最初は新人なんですから。

 と、最後のほうの段落で「校長が」「憤る」と書いてあるではないですか。本当ですかねぇ。「憤る」PTA会長なり保護者なりを鎮めるために、その場で総括的に述べた(保護者などが言ったことを手短に繰り返しつつ、校長として憤ったのでなく、一般的な感想として共感を示した)だけの発言を、記事では「憤る」と書かれてしまったのではないか、と心配されます。大丈夫でしょうか。


●40人を超えない「小さな修学旅行」

 遅れに弱い成田エクスプレス([3003])を利用するかどうかの判断の責任が、誰(学校、教育委員会、旅行会社の3者)にどのくらいあるのかは、たいへん難しい話です。

 基本的なところでは、以下の通達が今も有効のはずです。

・文部省(当時)「小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について」(1968年10月2日)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19681002001/t19681002001.html

 > ゆとりのある計画をたて、児童生徒の疲労の軽減を図る
 > 引率責任者は、計画作成の中心となり、また、その実施にあたつては、的確に状況を判断し、予期しない事情の変化に際しては、日程、経路、目的地を変更する等臨機応変の措置をとること。
 > できるだけ簡素で実質的な計画をたて、実施に必要な経費をなるべく低廉にすること。
 > 関係業者を利用する場合には、業者にまかせきりにすることなく、学校が主体性をもつて計画、実施にあたること。また、関係業者については信用度等をじゆうぶん調査したうえで利用し、また、これと不明朗な関係をもつことのないよう厳に注意すること。
 > 教育委員会は、所管の学校が作成した計画について、その日程、目的地、見学先、経路、交通機関等をじゆうぶん検討し、特に、児童生徒の安全と健康のうえで無理がなく適切なものとなるよう指導すること。
 > 経路、交通機関等について、事前にじゆうぶん調査し、検討しておくこと。特に、新しい経路や交通機関を選ぶ場合には、細心の注意を払い、より入念に検討すること。
 > 気象状況等にじゆうぶん注意し、天候その他の異変の際は、予定を変更するなど、臨機応変の措置をとること。
 > 車船を利用する場合は、安全を旨とし、定員を守り、車船中における秩序の維持に努め、整然と乗下車船させ、その前後における人数の確認を徹底すること。
 > 利用する交通機関の関係責任者と事前に連絡をとり、じゆうぶんな打ち合わせを行ない、特に、安全について確認すること。また、バスの契約にあたつては、運転手の技倆、経験等に注意すること。

 かなり古いので、地域や学校の規模によっては旅行会社を利用しない(できない=採算が合わないとして断られていた?)ケースも念頭に入れた内容になっているようです。いまは、ほとんどもれなく旅行会社との契約になっていましょうが、これはこれでノウハウの蓄積や団体専用列車の乗り合い、保険(の料率)という点から効率的であり、近代的で合理的なことですから歓迎されます。

 バスの運転手の技量など、いまとなっては学校では直接には確かめていないでしょうけれども、かといって、旅行会社の人が「ダイジョーブ、ダイジョーブ」([3021])と言ったからといって、何でもそれを鵜呑みにしてよいとはされていないことがわかります。

・「ダイジョーブ博士」
 http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%96%E5%8D%9A%E5%A3%AB

 学校が旅行会社とともに立てた計画が現に実行されたということは、教育委員会の確認も受けていたということを意味します。恐らくは「1本前の成田エクスプレスに乗る(1本後になっても、まだ新幹線に間に合う)」とすることで、「ゴーサイン」が出たのでしょう。

・毎日新聞「NEX、乗車中にドア閉まる 修学旅行生ら置き去り JR成田駅 /千葉」(2015年6月18日)
 http://mainichi.jp/area/chiba/news/20150618ddlk12040039000c.html

 > 10日午前8時半ごろ、生徒12人と教員、添乗員各1人が先頭車両に乗った直後にドアが閉まった。生徒21人と須藤壮輝校長ら教員4人が乗った後続列車も別のトラブルで遅れたため、39人全員が予定より遅い新幹線に乗り換えた。

 添乗員が1名というのはしかたないとしても、1名しかいないとなれば、真っ先に乗り込んで生徒を座席へ着かせる役目は教員にお願いし、自分(添乗員)は乗り遅れがないことを確かめて校長とともにいちばん最後に乗り込むというのが正解ではないでしょうか。そして「予定より遅い新幹線」が、具体的にどのくらい「遅い」のか気になりますが、そこは報じられてはいないようです。

 旅行会社としては、40人を超えない(バスなら1台で間に合う)人数では「(乗降にてまどる)団体」という認識がなく、鉄道会社側への特段の連絡もしないという判断をしたのかもしれません。また、こうした点から、一種「前座」といいますか、旅行会社としても「新人」を、人数の少ない修学旅行を担当させるところから「デビュー」させるのかもしれません。(あくまで想像です。)

 そして、最近はタテマエよりもコストダウンが優先されるのではないかと思われますから、例えば、いくら学校の修学旅行だからといっても、学割や団体割引より「えきねっとトクだ値」のほうが割安だとなれば、旅行会社の人が会社のPCでポチポチと、コーポレートカード(法人向けクレジットカード)を使って人数分のきっぷ(ただし企画乗車券)を1枚ずつ購入しているケースがあったとしても驚かれません。人数が少なくても安い(学校間で比べて他校より高くない)ことが求められるとあっては、できる工夫をすべて重ねないと、達成できないでしょう。

・UCカード(ユーシーカード)「法人・コーポレートカードのご案内」
 http://www2.uccard.co.jp/corporate/

※なお、6月の成田エクスプレスに「トクだ値」が設定されていたかどうか、確認できません。特急券(特に指定席)については学割も団体割引もないため、そこに割引のある(とみなせる)「トクだ値」は条件によっては修学旅行でも重宝されましょう。そして、マルス端末(設置場所を問わず)の稼働(発券の実績)がどんどん減っていくんですね、わかります。今回の件に該当するかは不明で恐縮ですが、上記は例え話とご理解ください。

 ちょうど、3月のダイヤ改正で成田エクスプレスのチケットが「座席未指定券」になってから初めての修学旅行シーズンであり、ある意味、旅行会社としては実験的に(小規模校をテストケースとして)「使ってみた」という面もあるのかもしれません。(まったく憶測です。)こうした「チャレンジ」はむしろ歓迎されたく、何も考えなければ学校から東京駅日本橋口まで大型バス1台を手配して終わり、というところ、今後のことを考えて、あるいは、万一にも事故が起きたときの深刻さ(高速道路を走るバスのほうが、容易に深刻な事故になりえます)を考えて列車を選んだ、ということかもしれません。

 そして、「座席未指定券」で「座席指定」を受けたか、「指定席特急券」として購入したかは不明ですが、いずれにしても指定席で、さて、乗れなかったときにどうするのか、制度が最近変わったばかりのチケットですから、旅行会社としては混乱があったかもしれません。そうこうしているうちにもあれよあれよと時間が経ち、とはいえ、この状況下で「続行の成田エクスプレスに乗る」という判断は正しいでしょう。続行の成田エクスプレスに乗った時点では、まだ「ダイジョーブ、ダイジョーブ」といって(携帯電話越しに添乗員に言われ、校長らが)落ち着いていたのではないかとみられます。その列車がさらに「42分」もの遅れに巻き込まれたとのことで、これはもう不運でしたね、としかいえません。

 きっぷの制度上は、いくら特急でも29分までは遅れて当然と考えておかれたし的なものがあります。これもコミコミで「ゴーサイン」、すなわち、「続行の成田エクスプレス」が29分遅れるところまでは想定していたとみられますが、いえ、29分遅れたら「午前10時22分」で、新幹線の発車1分前ですので、既にアウトです。ということは、「平均で15分くらい」の遅れしか見込んでいなかったということになります。そこが「甘かった」と断じられるのか、そこまでは問われないのか、決着が気になります。続報が待たれます。

※特急が遅れたときに「ぜんぶ特急のせい」にできたり、みんなが揃って遅れるので事実上、問題ない、というケースでしか、なかなか特急には乗られません、わかりますわかります。(偏見ですが実感です。)


●こんなこともあろうかと「プランB」

 そういう自分はどうなんだ、と、なかば自動的に問い返されるのが近年のソレだと理解しております。

・修学旅行の班行動で、宿から駅までの(朝ラッシュ時の)路線バスが遅れた上、慣れない駅の有人窓口でのきっぷの購入に手間取り、予定していた普通列車に乗り遅れたケース

 このケースでは、(「logsum」のソレ[3003]にあたる、駅までのバスの)遅れと(自分たちの)ミスが重なっており、今回の件と似ているかと思います。公衆電話(当時)で「上」(宿で「現地対策本部のようなもの」を構えて待機している担任の教諭:そして電話は宿のもの=当時)に相談…というよりは一方的に、「こんなこともあろうかと」用意しておいた「プランB(雨天用)」に切り換えることを「通告」の上、(せっかく晴天だったのに)続行の普通列車(ただし「プランB」では定刻の)で近場の見学場所(屋内型の展示施設)へ移動し、影響を最小限にとどめつつ「リカバリー」(BCP的な意味で)したという、当時としてもアレな「14歳」([3096])でありました。「14歳」って、コワイですね、わかります。

・「プランB」
 http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3b

 もちろん、「プランA(晴天用)」と「プランB(雨天用)」の2つを用意すること、その各々の内容については、事前に決裁を受けて(ただし担任教諭の、ではありますが、まあ、「決裁」には変わりなく)いましたが、どちらのプランを選ぶかは、「朝7時のNHKのニュース」…いえ、宿で朝、決めるとしていて、朝は「プランA(晴天用)」で行きますといって宿を早くに出たわけです。「乗り遅れたので「プランB」にします」とは、予想外な何かではありましょうが、その実、そうなってはそうするしかなく、もし「プランB」がなくても、他の班と合流して近場へ行きなさいと指示されたことでしょう。結果は同じでも、生徒としてのマインドのようなものとしては、あくまで自分たちのプランを完遂したのか、もはや「負け戦」とも「消化試合」とも「無観客試合」ともつかない何かの「強いられ感」を持つかどうか、かなり差があります。ちょっとミスやトラブルがあろうとも、それをものともせず楽しんで学び倒してやろうという気概のようなもの、といっては大げさですが、そういうロバストさは持っておきたく思います。(いまも思います。)

※業務にあっても、もちろん資格や権限をふまえてきちんと分掌することは当然ではありますが、現場には何も考えさせない、あるいは何もかも現場任せにするといった「両極端」では、誰のためにもならず(当座もうまくいかず、現場の「対応力」のようなものも育たず、管理する側の「マネージメント力」のようなものも育たず)、ということがありましょう。考えたことがなければ、ぜひ一度(自分は末席であっても、あるいは学生の身分にあっても)考えてみてください。

・(参考)「レジリエンス(1)」
 http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3486_all.html

・(参考)「レジリエンス(2)」
 http://www.pari.go.jp/special/special3/files/items/common/File/130430NtWS-07ono.pdf

※児童や生徒としては、かなり本来的にそうしたロバストさを持っているもので、それを活かして伸ばせるか、横からああだこうだと、児童や生徒自身が思ってもみなかったような不平不満を(予定の列車に乗れなかった、そのことばかりをことさらに大きく)言ってしまうかで、かなり結果が違ってきます。教員としては、「児童生徒の疲労の軽減を図る」(上掲の通達)べく、東京駅で合流したときや新幹線を降りた後などにしっかり「フォロー」(きょうはたいへんだったけど明日から楽しくしようね、などと、「キレイ」といえば「キレイ」ですが、これを言うのは大事な仕事です)したでしょうに、それがすっかり台無しになってしまいます。大人の言動に大きく左右されるのが子どもというものですから、大人ほど、言動には慎重にならなければなりません。「Welcomeの雰囲気でゴキゲン」([3093])も参照。

・「朝7時のNHKのニュース」
 http://www.chiba-c.ed.jp/matsudomabashi-h/hizyou.html

 きっぷについては、目的地を近場へ変更したことで運賃に大きな差額(※)があり、もともと用意していた金額とはいえ、乗らない区間の分まで払うのもおかしく、改札を入ってしまった後でしたが数百円程度の手数料を払ってきっぷを払いもどし(それでもちゃんと、乗らなくなった分のうち結構な分が残金として残りました=これは後からセンセイに返すのです)、所望のきっぷを改めて発券いただきました。(元から小さいですがもっと小さくなってカクカクと…そして「あ゛ー! マニアワナイ!」云々を、ぜんぶ有人改札の前でやっていたということもあって、1歩たりとも列車に立ち入っていないことが明らかで=「使用開始前」とみなして、払いもどしいただけました。)

・JR(各社共通)「きっぷの変更」「きっぷの払いもどし」
 http://www.jreast.co.jp/kippu/21.html
 http://www.jreast.co.jp/kippu/22.html

 それはそれとしまして、いま、旅行会社の「新人」(昔の新人でなく、いまの新人)が、何をどうできるくらい融通が利くのか、ちょっとはかりかねる気がいたします。もっとも、そうしたことはいまどき、どこの会社でも「百も承知」で、会社のマニュアルではそれなりにバックアップがありましょうが、具体的にいかなる「プランB」を(場合によっては非公式に、または暗黙に)考えておくかは、かなり人によりそうです。とっさの場合に、もともと自分で考えていた(細部まで頭に入っている)「プランB」を即座に実行(ただし「上」の許可を得て)するのと、その場で「上」に指示を仰いだ結果、その場で言われたとおりにするというのとでは、質的にかなり差があります。

・実業之日本社「ツアーコンダクター」
 http://www.j-n.co.jp/kyouiku/yume/01_hakken/jobs/tsuakon.html

 > 修学旅行などの添乗員が現在でも不足しています。

・全国旅行業協会(ANTA)「国内旅行業務取扱管理者試験」
 http://www.anta.or.jp/exam/
 http://www.anta.or.jp/exam/shiken/pdf/H26exam_jissijyokyo.pdf

 > 旅行業法の一部改正(平成17年4月1日施行)に伴い、資格名称が国内旅行業務取扱主任者より国内旅行業務取扱管理者に変更されました。

 専門学校や観光系の短大卒で入社後「ツアーコンダクター」(ツアコン)、あるいは大学卒や数年程度の実務経験を前提とした国家試験「旅行業務取扱主任者」(現在は「国内旅行業務取扱管理者」、合格率が全国平均で3割くらいとのこと)、ということで、「国内旅行業務取扱管理者」のほうは、取れたらそれなりの手当てがある(肩書きが増える、お給料が増える、しかし責任も増える)重みのある資格で、修学旅行に駆り出される人としては「ツアーコンダクター」、あるいはもっと何もなしの「研修中」の人すらもいるのではないかと邪推します。(あくまで邪推です。)

 それはそれで、そうやって育つという面もあり、また、それを前提として上位の資格があるということでもあるわけです。これをただちにケシカランといってはなりません。とはいえ、これまで暗黙のうちに、資格試験には合格していなくても何となく持っていた臨機応変さのようなものに「よって立つ」形で旅行業が成り立っていた面があるとしますと、これが世代によっては(≒若い世代では)まったくなく、そしてそのために、(上の世代からすれば)驚くようなところでつまづく、ということがあるかもしれません。広い意味では「10年問題」([3030])の一変種ともいえましょう。

・「よって立つ」
 http://thesaurus.weblio.jp/content/%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%9F%E3%81%A4

※「よって立つ」が、辞書を引かないとわからない言葉だという若い方にも読んでもらえているとウレシイです。そして、「過保護だ」とも言われますが、私としては適宜、辞書へのリンクを添えようと思っています。辞書を引く習慣への入口とされたく思います。そして、たまーに、たまーには、間違って覚えていた言葉を見つけてはヒヤリとしたりもします。いつまでも辞書は手放せないものです。

 端的には、「あ゛ー! マニアワナイ!」をどの段階でわかる…いえ、むしろ「観念」できるか、そして、東京駅に向かう列車内からでも後続の新幹線に乗車できるよう手配し、東京駅に到着後に最短で、ほとんど続行(予定より1〜2本あとくらい)の「のぞみ」で追いかけることができれば、「平等院鳳凰堂」に行けたかもしれません。

 そこが、東京駅に着いて、地下5階から八重洲北口(日本橋口)まで(教員そして生徒たちを)走らないように走らせ(歩くよりはきわめて速く)、そして(自分だけは)走ってから「間に合わなかった」とわかり、そこから指示を仰いでいては、もう、かなり差が付くことが明らかです。そして、しかじかでカクカクでありまして、まことにアレではありますが後続の新幹線に乗せてくださいお願いします、と、一種、小さくなって、というのを、東京駅の(JR東海の)有人窓口で展開されましても、(JR東海としては)(JR東日本の)「遅れ」は関知せず、(JR東海の)駅員にしても「上」に指示を仰がねばならず、そうしたことは「上」同士で、いわば「ホットライン」的な「BtoB」(会社間:旅行会社とJR東海の団体客向けの部門との間で)の「電話」で事前に済ませておかなければなりません。駅の窓口や駅員は、あくまで最終消費者…いえ、「個人のお客さま」のために配置されているのです。ましてや、しかたがないのでコーポレートカードで(旅行会社として「当社の責」だと認めて、の意※)、その場で人数分の自由席特急券と乗車券を購入するとなっては、かなり時間がかかります。これまた、券売機でなく有人のきっぷ売り場にいけば、いきなり大量のきっぷを買おうというのはアヤシイ話で、まずアヤシイ者ではありません、しかじかでカクカク…と、改めて小さくならなければなりません。さらに、そこでコーポレートカードをば、といって、もしかするとやっかいな「電話」(信販会社が旅行会社に「電話」して事情を聴く)があるかもしれません。コーポレートカードを使うときは、常に転売や横領を疑われるのです。輪をかけて時間がかかることが痛感されましょう。(すべて想像ですが、ここではあえてワースト=遅れが最大となりそうなケースについて想像してみました。)

※「こんなこともあろうかと」といって(一般に)持たされているものでもあるので正しい使い方(一般に)ですけれども、時間だけはどんどん過ぎていくのです。

 残念ながら、こうした憶測がそれなりに当たっているのだとしたら、確かに「平等院鳳凰堂」には行けなくなってしまいます。残念でしたね、とナグサメられます。でも、まあ、それ以上に深刻なことでは、ないんではないでしょうか、たぶん。(東京駅で全員が揃うまで待ったとのことですが、新幹線の列車について、乗車時刻も京都への到着時刻も報じられていないのでわかりません。横須賀線・総武快速線の42分の遅れより、東京駅でのモタモタやゴタゴタのほうが大きいのではないかと、ちょっと疑いました…ちょっとだけ。)

※いまさら(いまから)昔の世代のような臨機応変さ(うっかりすると「越権的な何か」や「超法規的措置」のようなものにも手を出しかねない)を獲得していくのは、きわめてむずかしいことだと悲観しております。それはそれでいいんだ(確かにしっかり「コンプライアンス」してはいる)と、そういう意味では楽観もしています。要は、雨が降ろうがヤリが降ろうが駅の中は走ってはいけないんですね、わかります。QoSで遅いほうに合わせるような、それで全体が快適になるなら、『瞬間最大風速』のようなものは得られなくなっても、それでいいではないですか。

※でも、さすがに天井材(仕上げ材)が降ってきそうになったら([3030])、自分の判断で走りたいですよね、という話でもあるかもしれません。結果としては同じでも、周りの人が走り出したので(わけもわからないまま、どちらに向かって走ればいいかもわからないまま)走るのと、落下物など危険を避けるべく安全な方へ向かって走る([2852],[2986],[3032])というのでは、…いえ、結果もかなり変わってきそうでコワイです。

※今回の一件を間近に見た生徒にあっては、ツアコンなる職業への興味が高まった生徒もいるかもしれません。それはそれで教育的な効果の一つでもあるのではないでしょうか。何でもそつなくこなすだけが「お手本」では、ないんです。


●団体客らしさ、旅行者らしさの「記号」

 さて、駅の現場で、一行が修学旅行の団体だと見えたか(見た目でそうだとわかったか)どうかですが、かなり微妙です。

・人数が少ない(33人)
・到着後ただちに訪問先が組まれていることから、大荷物は前日に宅配便(※)で宿に送ったとみられる

※新幹線を降りたところで預け、いかなるソレ(運送業者、あるいは宿、または旅行会社の現地の支店?)かは知らないですがトラックかミニバンで宿まで運ぶというのも、昔はあったかもしれませんが、人数が少ないと、あるいは宿をケチる、荷物の責任が云々、といっていくと、最初から宅配便で送るのがいちばん安くて安心だと結論されそうです。

 よくある日常の「校外学習(ちょっとそこまで)」の集団だと見えた可能性が高いですね、わかります。そして、成田エクスプレスを見送って続行の普通列車などに乗車するため、ホームの端から十分に離れて待っている(成田エクスプレスに乗車するべく「足元の乗車口の表示」に並んで待っている一般客から、少し離れた場所で待っている)、とも見えたのではないかと思われます。

 そして、まあ、いまさら、というくらいいまさらではありますが、以下のような点が「今後の課題」として挙げられましょう。

・1. 列車が遅れているときに停車時分を削る
・2. ドアが閉まった後、発車までの間に、利用客自身が乗務員に「ちょっと待って」と伝える方法が、車内、車外ともにない(いきなり非常用の押しボタンしかない)

 1.については、ある程度はそういうものだという話でしょうが、他の要因と重なると、えらく不親切だと感じられる状況が生まれます。特に「立ち番」のいるホームでは、すなわち連動駅で、進路(ポイント=分岐器)を頻繁に切り替えるような配線や運行形態の駅では、進路が開通する(出発信号機が「青」に変わる:そして「レピーター点灯!」)までは発車できない一方、発車となればきわめてすみやかに出て行ってもらいたい、という背景があります。

・YouTube 成田空港から上り列車(2014年12月24日)
 https://youtu.be/yt3JiTnWZ6c?t=10m55s




 この時、(成田駅で当該時間帯、当該列車について、車掌が操作するのか不明ですが、仮に車掌が操作するとしますと)「発車ベルスイッチ」は「(きわめて)即切り」「一瞬切り」とでもいいましょうか(そのテの方々はそう呼ぶと思いますが)、「OFF」ボタンを押したまま時計をにらみつつ「立ち番」の合図(合図器の点灯)を待ちつつ、「合図(器)キター!」と「ON」ボタンを一瞬だけ押して離す、「OFF」ボタンが押されているので「ON」ボタンはロックされず、スイッチとしてはきわめて短いワンショットの信号を発するわけです。そして、ただちに「○番線/ドアが閉まります/ご注意ください」という自動アナウンスが(発車メロディーが鳴ることなく)流れます。しかし、このタイミングで「立ち番」がマイクで「…ンセン、…ァシ…ァス…」と(sの子音とaの母音しか聞こえない)、不明瞭かつ低い声でアナウンスしたとすると、自動アナウンスはミュートされつつ、マイクの音声もほとんど聞こえないようなものでありつつ、事実上、お客さまには何も聞こえないということになりえます。そして、車掌としては「ホームのことは立ち番に任せた」と(タテマエ上もそういうことになっているんだと思いますが、詳しい規定まではわかりかねます)、ほとんどただちにドアを閉めることでしょう(▼特急列車ではほとんど駆け込み乗車がない? ▼成田駅から上り成田エクスプレスに乗る乗客は限られている:いつも乗る人ばかりで乗る側も慣れている、と思われている?)。こうして「何の前触れもなく目の前でドアが閉まった」ということになるわけですね、わかります。

・沖電気「声の種類と発声のしくみ」
 http://www.oki.com/jp/rd/ss/speech.html

 > 本ページに使用した図(図1.〜図11.)は 伊福部達:「音声タイプライタの設計」CQ出版から引用しました。

 2.については、車外については光るものや目立つものをバタバタ、何もなければ自分の腕を大きくバタバタしながら車両に近づけば(ただし接触してはいけませんし、あくまで黄色い線の内側で)、車掌に異常を知らせる(発車しないでもらう、緊急停止してもらう)ことができますが、車内では何もできません。

・E259系の運転台(趣味誌による取材)
 http://rail.hobidas.com/blog/natori09/sp/archives/2009/05/259_1.html

・個人のブログ
 http://train-garakuta.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-af09.html

 成田エクスプレスに投入されているE259系車両では、運転台がきわめて高く(前面の貫通路より上にあり)、運転士がホーム上のようすをきちんと見るには、大きく身を乗り出して側面の窓から首を出さなければいけないとみられます。ましてや、高い位置にあり、窓の気密性も通勤電車よりは高いと見られますから、窓の外で大声で呼びかけても気づいてはもらえないでしょう。列車より前に出て(もちろんホーム上で)大きな身振りをするくらいしか方法がありませんが、停車位置がホームの先端であれば、それもできません。なお、方法に窮したといっても、車体をたたいてはいけません。また、身に危険がない限りは非常ボタンも押してはいけません。

・JR東日本 水戸支社「「ドア挟まり防止キャンペーン」の実施について」(2015年4月10日)
 http://www.jrmito.com/press/150410/press_04.pdf

 > 駅コンコースで、「列車非常停止警報装置」(非常停止ボタン)の使用方法を理解していただくため、非常停止ボタン体験模擬装置を使用した体験会(実際にお客さまに押していただく)の開催

・朝日新聞 茨城版「水戸駅ホーム、事故ゼロへ非常停止ボタン模擬体験」(2014年12月11日)
 http://www.asahi.com/articles/ASGD84VPTGD8UJHB00K.html

 > 1時間ほど声をかけ次々と試してもらったが、「思ったよりも強く押さないと(警報音が)鳴らない」などと話す利用者もいた。

 > 水戸支社管内で非常停止ボタンが設置されているのは水戸駅や土浦駅など10駅。ボタンが押されると、警報音と同時に、駅のホームにある停止信号が点滅、運転士に危険を知らせる仕組みとなっている。

 > 駅のホームでの転落や列車との接触など、列車の運行に影響のあったケースは、支社管内で2008年4月から今年9月まで234件起きているという。水戸支社安全企画室の木村勝房・副課長は「危険だと感じたときには、すぐにボタンを押していただきたい」と話していた。

・常陽新聞「ドア挟まり、迷わず非常ボタンを 佐貫駅で模擬体験」(2015年4月22日)
 http://joyonews.jp/smart/?p=3580

 > 同支社の担当者は「非常停止ボタンを押す機会はあまり無いが、危ないと思ったら迷わずに押していただきたい」と活用を呼び掛けた。
 > 同支社によると、管内で同停止ボタンを設置している県南地域の駅は神立駅から藤代駅までの7駅。
 > 常磐線の普通列車の速度は最高130キロ。危険を察知しブレーキを作動させてから停止するまでに列車は約400〜500メートル進む。同社では「電車は急に止まれないので、ボタンを押した後でも決して線路に降りないで」と注意を促している。

※さすが地元としては、切迫感のある記事になっていますね。

・運輸安全委員会(JTSB)「旅客がホームから転落し、列車とホームの間に挟まれた」(2012年6月15日)
 http://www.mlit.go.jp/jtsb/bunseki-kankoubutu/jtsbdigests/jtsbdigests_No2/No2_pdf/jtsbdi-02_1114.pdf

 各社での「模擬ボタン体験」を含むキャンペーンの実施は、これを受けたものであるようです。

・JR西日本「山陽新幹線 「非常停止ボタン告知キャンペーン」を実施します!!
今年も山陽新幹線公式キャラクター「カンセンジャー」も参加します」(2015年7月28日)
 http://www.westjr.co.jp/press/article/2015/07/page_7425.html

 > ※注釈 非常停止ボタンとは
 > お客様が誤ってホームから転落された場合や、お荷物が線路内に落下し列車の運転を支障するような状況になった場合に、ホーム上に設置されたボタンを駅社員や周囲のお客様が扱うことによって列車を停止させるための設備。 

 非常ボタンは押さず(正確には「お客さま」でも「扱う」と表現されるんですね)、身振りだけで「乗りたいのにドアが閉まっちゃったんですけどぉ」を伝えるのは、かなりたいへんです。せめて、大きな旅行カバンがあれば、ITVのカメラや車掌に向かって掲げて見せながら大きく腕を振れば、あるいは列車のドアを指さしながら大きな口を開けていれば(声は大きくなくていいんです:もともと聞こえませんですから)、気がついてもらえるかもしれません。こうした一種の「ボディー・ランゲージ」としては、手荷物の数や大きさもまた、言葉に代わる「記号」の一つとして、大きな働きをしうることがわかります。

 団体客は団体客らしく大勢でかたまっている、旅行者は大きなカバンを持っている−そうした『記号』なしでは、周りからはそうだとは認知されないということでもあるわけです。人数が少ないのはどうしようもないとしても、荷物を先に宅配便で送ってしまってはいけないのかも、しれませんね。


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