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[3110]

「『軌道回路のない区間』の列車接近警報装置」を読み解くために「TID装置」を読み解く(仮)

列車 車両 発想 研究 国鉄 実装 GPS 将棋 マルス 構内入換


「TID装置」を読み解く(仮)
「線路閉鎖手続き支援システム」とTID装置
通信の「足回り」で読み解く北海道のCTC・PRC・TID
「線路閉鎖手続き」に残る? 「人間××」
『軌道回路のない区間』の列車接近警報装置
表1 北海道におけるCTC導入時期(ウィキペディアほかより抜粋)


 …いま、話が複雑すぎて、コンパクトにまとめるのにクロウしております。どうにも分けきれず、しかしモンモンと、もはや10月も半分ですから、これより遅くならないうちに一度、一種「時間切れ」として「セルフ〆切」にヒメイをあげてみます。

・(参考ともいえないですが参考)「セルフ〆切」でライフハック!
 http://www.lifehacker.jp/2015/02/150203_deadline.html
 http://d.hatena.ne.jp/satomilogy/20090221/1235175831

 > 「夏休みの宿題は始業式の朝に終わる」「というか終わらない」を地で行きながら今まで生きてきたような人間ですと、セルフ〆切を設定してもそれさえ守れないことが多々あります。ほとんど成功しません。
 > 結局のところ、他人の力を借ります
 > 「わたしこの日程をセルフ〆切にします!この日程までに、メーリングリストにこれをまとめたものを放流します!」ということを色んな人の前で公言するんですね。

※カナシイかな、まさにその通りであります!([3092],[3106]) といってうなだれます。たぶん本当です。


●「TID装置」を読み解く(仮)


 これまで何度か話題に挙がりながら(いえ、挙げたのは私だったかもしれませんが)理解が不十分なまま忘れていたものはいろいろありますが、なかでもたいへん「見落としていた感」が高いのが、「TID装置」だと思い当りました。

※このように、この話、発端は「『軌道回路のない区間』の列車接近警報装置」(後述)ではなく、「TID装置」のほうから興味を持ったわけですが、話の流れがグチャグチャです。ご容赦ください。

[2973](2014年11月13日)
 > 2017年度の移転では総武快速線TIDも取り換え

[2888](2009年11月10日)
 > TID端末(CTC在線表示モニタ装置)は表示されておらず

[2479](2005年11月8日)
 > TIDをその駅の近隣部分だけ切り出してきたものと言えばわかりやすいでしょうか。

[2478](2005年11月8日)
 > ※…と思ったら、[2086]でもTIDに触れていました。すっかり忘れていました。

[2053](2004年11月5日)
 > 「既設のシステムとの連携をはかった 総武快速TID装置(SN95)」

※いえ、みなさんが詳しいのに私が追いつけていないことが明白です。恐縮です。恐らくは、私が[2053]のような資料を挙げたことで、この資料の内容がすべてわかっているという前提で返信いただけたのかと思われますが、メッソウもございません。

・北海道ジェイ・アール・サイバネット(1998年7月1日)
 http://www.jrcybernet.co.jp/product/productmain.html

 > CTC化線区で使われている運転状況表示装置(TID)の信号をサーバー(以下略)

 とのことで、CTCの中央装置で集約された「運転状況」(列車の在線位置および進路開通状況の両方を含み、列車番号など詳細な「データ」は含まない?)の情報(ただし「データ」にあらず)を、CTCセンターでは表示盤を見ればよいところ、CTCセンターの外では何らかの情報配信の仕組みがなければ、いっさい見ることができません。

 これに「応える」べく、CTC(「カチカチ」[2477])と同時か、ちょっと後、かつ、PRC(「ピコピコ」[2856])より前の時期に開発され普及したとみられるのが「(古い意味での)TID装置」(※)とみられます。とはいえ、なぜ、CTC化(駅扱い所を無人化)しておきながら、そんなこと(駅で在線を見たい)に「応える」必要があったのでしょうか。

※これに対し、新しい意味での「TID」は、ウィキペディアで2006年だの云々と説明されている通りで、この先に「JR東日本アプリ」や、千葉支社のアプリなどがあるわけです。あまりにも現在進行形ですので、ここでは割愛します。

 …と思ったら(同)、というわけで過去の内容を再掲します。

[2350] げんぞ〜さん
 > 10年ほど前までにCTC・PRCが導入された線区では、CTCセンターの人員配置やPRC装置の処理能力などの関係で、ある程度以上の規模の大駅や構内入換の作業量が多い駅などではCTCやPRCの制御下に入らずに駅での進路制御を残す「駅扱い」とするのが一般的(CTCセンターの在線表示板(TID)には当該駅構内の列車の位置も表示されるがテコ扱いは当該駅に指示しておこなう)でしたから、1970年代に導入された初代の北総地区のCTCなら当然千葉駅の進路制御はCTCの制御下に入らない「駅扱い」ということになります。

 このため、CTCセンター(窓がない[2983])でなく、駅の信号扱い所(窓がある[3064]:扱い者が列車を目視でき、場合によっては車両側の列番表示も見える、あるいはメガホンやワイヤレスマイクで叫ぶことができる)で「駅扱い」すべく、仮に「千葉支社ビル」と「千葉駅の信号扱い所」くらいしか距離が離れていなかったとしても、なんらかの伝送手段(ただしデジタルともネットワークとも限らない=当時)を用いて、CTCセンター(中央装置)の表示盤と同等の表示(ただしブラウン管とは限らず?)を駅の扱い所でも実現することが必要だったというわけでした。だいぶわかってきました。

・(かなり古い)信号扱い所の例
 http://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/198047-cef8.html

・(それなりに新しい)信号扱い所の例
 http://livedoor.blogimg.jp/koukendaisuki/imgs/2/b/2bb35a28.jpg
 http://blog.livedoor.jp/koukendaisuki/archives/52081383.html

※信号扱い所については別途まとめます。武蔵中原駅([3035])も参照。


●「線路閉鎖手続き支援システム」とTID装置


 「『軌道回路のない区間』の列車接近警報装置」(後述)に関する技報が出たのも既に昨年ですが、10年以上前に、こんな技報が出ていました。

※2004年11月の発言([2086])でもリンクだけはしていますが、特に詳しく言及はしていませんでした。今回、初めてしっかり読みます。恐縮です。

・(再掲)JR East Technical Review「線路閉鎖手続き支援システムの開発」(2003年)
 http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_3/67-72.pdf

 > 輸送総合システム及び運転状況表示装置(TID)等の既存のシステムを活用し、モバイル端末や無線パケット通信等のITを活用するとともに、コストの低減を図るため可能な限り汎用機器を用い

 > TID情報の在線・遅延情報を取得

 > システムは、図1に示すように保守作業計画ダイヤサーバ、ダイヤ表示装置、保守区端末、TIDサーバ及びモバイル端末から構成され、各装置はLAN及び64kbpsISDN回線によりネットワーク接続されている。

 > TIDサーバ
 > TID中央装置から列車運行状況データを受信し、携帯電話回線を介してモバイル端末からの要求に応じた運行状況を提供する。また、モバイル端末からの線路閉鎖工事の着手申込み及び終了報告時にダイヤ表示装置への情報伝送を中継する。

 > ダイヤ表示装置
 > 指令室に設置し、保守作業の実施状態を表示する。

 「TID中央装置から列車運行状況データを受信」とのことで、2003年ごろに現に供用されていたTID装置(CTCセンターにあって、CTC中央装置につなげて置かれるTID中央装置と、駅などのTID端末? 駅側の呼びかたは不明です)では、通信の「足回り」として、少なくとも『同軸ケーブル』(後述)やFDDIのような、汎用的な通信回線が使われていたと想像されます([3064]=現物を見たこともなく、技報でも詳細は省かれてありつつもなお、時代と技術、コストなどの背景を考えれば誰でも自然と想像できる、の意)。そして、このあたりの「足回り」は、「CTC/TID」とまで一体的に記されることからも、同じ回線を使って実現されていたはずだ、と決めつけることができましょう(同)。


●通信の「足回り」で読み解く北海道のCTC・PRC・TID


 しかし、1998年の北海道では「運転状況表示装置(TID)の信号」と記されています。CTC装置自体が古い=早期にCTC化された線区では、CTCの通信回線がいかなる回線であったのか定かでなく(※)、また、そうした線区では「駅扱い」を残さず、もれなくCTCセンターに移管したはずですから、当初は「TID装置」の需要がなかったとみられます。

※1961年にあって初めて完成した鉄道電話の全国即時通話網(マイクロ波による基幹回線網+ダイヤル回線網+自動交換機)で、「200ボー」との記述がございます(後述)。

・ウィキペディア「列車集中制御装置」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%97%E8%BB%8A%E9%9B%86%E4%B8%AD%E5%88%B6%E5%BE%A1%E8%A3%85%E7%BD%AE#cite_note-1

 > 駅装置と中央制御所のCTC中央装置との間を1対又は2対の通信ケーブルで結んで情報の送受信
 > 情報伝達の方法には、連動駅ごとに周波数を定めて、それに制御や表示項目の符号を与えて変調して送受信を行うチャンネル分割方式と一定数の制御と表示の項目数の情報を1つの群に纏め、各連動駅に必要な群と群数を割り当てて順番に送受信を行う時分割方式がある。

 今となっては涙ぐましいソレですが、通信に使える帯域やタイムラグなどで非常に制約の大きい宇宙探査機などではいまでも、こうした発想が使われているかもしれません。単に「古いから役立たず!(現在は出番がない、将来も「再登板」はゼッタイありえない)」というものでもないことに注意して読み解きたいですね。

 > 1954年に京浜急行電鉄の久里浜線・名古屋鉄道の小牧線に日本国内で最初に導入
 > 1958年に伊東線に初めて導入
 > 1962年には横浜線(当時は全線単線)に導入
 > 1964年には東海道新幹線に開業時から導入され(東京駅16-19番線のホーム北側に設置。開業当初はホーム長が12両対応で短かった。)、これを日本初の本格的かつ大規模なCTCシステムと見なす場合が多い。

 1954年のCTCにあっては、限りなくRC(リモートコントロール)の延長線上の発想の装置であったはずですから、「1対又は2対の通信ケーブル」という記述をうのみにしてよいと感じます。

 しかし、1964年にあっては、鉄道電話を用いたマルス101でさえ「200ボー」で通信する「情報通信(データ通信)の時代」に一種「突入」していたわけです(鉄道電話については別途まとめます)。

 そのちょっと手前にあたる1962年や1958年にあって、いかなる「足回り」が使われたのかは興味深くあります。総延長が長いといっても限度が知れている私鉄と、全国あまねくの国鉄とでは状況が異なり、国鉄では最低でも「時分割」、できれば鉄道電話網との二重投資は避けたいといった判断もしなければならなかった、そのため私鉄や新幹線よりだいぶ遅くなった、ということになったのかもしれない、などと、一種「連続的」に読み解くことができそうです。本当でしょうか。

 > 併設されている車両基地へ車両を出入庫させるための信号操作を頻繁にしているなど特別な理由のある駅では、信号の操作をCTCによる制御から切り離して駅での取扱いを行っている(表示駅という)。これらの駅は、CTCセンターは在線位置の把握のみを行う。

 この点からも、当初のCTC線区(単線区間を中心とした「閑散線区」)においてTID装置は必要とはされなかった、いえ、TID装置など作りようがなかったので、このような対応とした(それによってシステムの複雑化を避けた)とも読み解かれます。

 すると、1980年代以降、コンピューターがあたりまえのように「買ってくるだけで使える」状況になってから(「ピコピコ」)、PRC(最初からPRCとともにCTC化される線区の登場)とともに、あるいはPRCから派生する形でTID装置がつくられるようになり、その後、従来のCTC線区や、CTCでない線区にも、TID装置が単独で(あるいは簡易なPRCとセットで)波及したという構図であったのではないかと想像されます。(あくまで想像です。)

[2928]
 > 非連動駅で電光掲示板を設置するための簡易な方法(と、仮に呼びます)が、早ければ東神奈川の電子連動化の時点(1985年3月)、遅くとも京浜東北線へのATOS導入(1998年7月)までに、実現していたものと考えられます。

[2952]
 > いろいろな要件を満たしていたり、いなかったりといったことがあって、これは「PRC」とは呼ばれないのかな、と想像してみたり、みなかったり

※「簡易な方法(仮)」がTID装置でした、ともわからないのですが、▼CTC駅装置ほど大がかりではない装置で実現されてありつつ(非連動駅にも割高とならず置ける)、▼八王子みなみ野だけのために特別な対応をしたということはないとみられ、▼2008年の展示物での紹介で橋本CTCセンターの写真に、何となくPRCっぽいモニタも並んでいる=その装置をCTCよりも相当、後から一種「後付け」で導入したとみられることなどから、▼2003年ごろ以降に横浜線の非連動駅で順次、電光掲示板が整備されたときにも、同じ方法(通信方法や装置)を使ったはずだ、と決めつけられます。本当でしょうか。

■表1 北海道におけるCTC導入時期(ウィキペディアほかより抜粋)

線区CTC導入年
(PRCほか導入年)
函館本線1969年
(1998年にPRC導入)
室蘭本線・千歳線1981年
(1992年、1998年にPRC導入)
石北本線1983年
根室本線1983年
釧網本線1986年?
宗谷本線1986年
江差線(津軽海峡線)1987年
(1999年から2003年まで
「COMBAT」閉そく装置の試験、
2016年に北海道新幹線)


・(参考)Google インドアビュー 「新千歳空港駅」付近
 https://goo.gl/maps/rXWnoCLvx6T2
 https://goo.gl/maps/4nEaifgkvbF2

 北海道にみられる、概ね1985年より前(埼京線や北九州モノレール[3019]より前)にCTC化された線区で「TID装置」が一種「後付けで付加」されたときには、しかるべきI/Fを介して一種「読み替え」…いえ、もっと低レベルに、CTCの表示盤の配線(ただしランプを点灯させる電気配線のソレ)を一種「横取り」して、それこそFC-98の「Cバス(拡張スロット)」にしかるべき汎用のI/F(多数の接点の「信号」を、しかるべく「データ化」して扱えるソレ)を挿してゴニョゴニョするといった、マコトにイカンな何か的なものであったとしても驚かれません。

※その時点において「最大ケチる」とすればそうなりますよねぇ、という話でございます。あしからず。

※民営化直前の北海道にあって、いくら「駆け込み」とはいえ、埼京線と同等のCTC(ほとんどPRCともいえるような、の意)が導入されたのか、それ以前の一種「在庫品」…とまでは申しませんが、目新しくない(特別な態勢で「検証」などしなくても、淡々と導入できる、の意)CTCが導入されたのか、…などと考えますと、「北海道で1986年に導入されたCTC」というのは読み解くのが難しそうです。

・「しかるべき汎用のI/F」の例
 http://www.interface.co.jp/classic/lineup_all.asp?keyword_type=azi


●「線路閉鎖手続き」に残る? 「人間××」


 うーん、いま神妙に(いまとなっては)、指令員が自分の注意力に依存して確認すべきモニタ(画面)が増えすぎて(異なるシステム間でシステム上の連携はとられておらず:例えば、保守作業が終わらないうちはCTC装置でのテコ扱いを抑止するようなロジックはどこにもなく=あえていえば指令員が「人間ロジック」※)、かえってミスを誘発しませんか? と心配されます。とはいえ、一朝一夕にCTC装置の側をさわれない環境にあっては、ベストかどうかはともかく、標準的な方法で取り組まれたといえます。

※保守作業が終わっていないのに指令員が「線路閉鎖テコ」を復帰してしまう=線路閉鎖を解除してしまうというミスは、この「線路閉鎖手続き支援システム」によっては防がれません、の意。もっとも、別の方法で一種「バックアップ」があるので、このシステムではこれでいいんだ、ということでもあるのでしょう。

 > 保守係員自らが保守用車の進路構成を行うことが可能なシステムの開発
 > 保守係員がモバイル端末により要求した保守用車用の進路情報は、保守用制御サーバーからCTC装置を経由して駅の連動装置に伝えられ、進路が構成される。

 PRCに割り込んで…いえ、CTCを指令員が扱うのと同じことが、保守作業を開始した区間に限って、保守係員が直接、扱えるようにするということですね。考えてみると、なかなかコワイかもしれませんが、一種「入れ子構造」とでもいいましょうか、仮想マシンの上で安全に、OSやデバイスドライバといった低レベルのプログラムを検証するような、とでもいいましょうか、CTCの手のひらの上で、ちびっこいCTCが歌って踊っているかのような、そんな印象があります。(あくまで主観です。)

・「手のひらの上で歌って踊る!」(2012年12月4日)
 http://octoba.net/archives/20121204-android-app-satch-viewer-175541.html

・手乗りジュウシマツ
 http://ww5.tiki.ne.jp/~awachan/tenori.htm

※いえ、本当に「手のひらの上で歌って踊る!」…いえ、マトリョーシカ人形のメタファーでユーザーインターフェースを実装することも可能です。仮には「操作のためのテンキーやトラックボール」が「マトリョーシカ人形」のように「2重」や「3重」になっているとして、外側を「開けて」いる間は、内側での操作しかできない、内側の操作を終えて「閉める」までは、外側の操作ができない、などと、たいへん直感的です。(「ピタネット」とテーブルトップ端末[2949]も参照。)

※モニタ切換で2台のデスクトップPCを交互に使用しているときに、キーボードやマウスを取り違えないよう、キーボードの上にキーボードを置くような、といえば実感的でしょうか。

・「『人間タブレット』」(2013年4月12日)
 http://akj-fpgw.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-c4f5.html

 > 「非電化区間(電線のない路線)」で停電で、列車(ディーゼルカー)が止まり、原因は、信号系の電気系統にトラブルがあって信号が停電しているとのことでした。しかも「単線区間」ですので、動かすことができません。
 > そこで対応していたのは、まず信号所(列車の行き違いができる施設)にまで列車を走らせ、信号所で待機し、人間タブレットが「添乗」して列車を動かすというものでした。
 > (中略)ものすごい「緊迫」していました。運転士と車掌、そして人間タブレットと、列車を直接指示する「指令」とのやり取りは、一歩間違えれば、正面衝突になりかねないことの表れですので、乗客も大変ですが、この大変さを肌身に感じることで、交通機関のありがたみを感じつつ、利用できています。

 言葉としては似たような印象のある「人間タブレット」と「人間ロジック」ですが、信頼性としては雲泥の差があります。「人間タブレット」は「タブレット(閉そく)」と同等の信頼性があり、端的に問題がないといえます(走行中の列車からいなくなるとか、タブレット役がいないのに発車するといったことは除きます)。そこに確かにある「モノ」を動かす、モノが急に分裂したり消滅したり、何もないところから湧き出したりしないので、確実であるわけです。

・イタリア政府観光局「人間チェス」(2014年)
 http://visitaly.jp/scacchiviventi2014.html

 他方で「人間ロジック」というものは、思い違いや見落とし、思い込みなど、「モノ」でいえば、急に分裂したり消滅したり、何もないところから湧き出したり、そういうことが起きてしまうものです。いかに信頼性が低いか、想像されましょう。

 だからこそ、指令室に詰めている指令員にあっても「マグネット」(ピタネット[2949])といった「モノ」を併用して、ミスを防いできたんだなぁ、と感慨されます。チェスや将棋の駒を動かし、あるいは「15パズル」を動かすかのように、盤の上を一種「補助記憶装置」として使いながら「論理演算」している、ともいえます。

・「15パズル」(2014年9月16日)
 http://atos.neorail.jp/atos2/state/yokosuka.html

 > 単線区間では、列車が詰まって動けなくなる「デッドロック」(deadlock)(※1)を防ぐため、行き違い設備を持つ複数の駅にまたがった複雑な運行管理が必要となる。
 > ※1 「15パズル」に16個目のピースを入れてしまった状態を想像すればよい。


●『軌道回路のない区間』の列車接近警報装置

 ようやく本題です。

・JR East Technical Review「軌道回路のない区間の列車接近警報装置の開発」(2014年)
 http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_49/tech-49-53-56.pdf

 > TC型列警は、軌道回路のない区間には、導入ができなかった。

 > 車載装置からの列車位置とCTC/TID※1情報を、携帯電話回線を通じて作業員用装置(親機)へ送信する。
 > CTC(Centralized Traffic Control)列車運行を集中管理、制御するシステム、TID(Traffic Information Display)列車在線情報等を提供する装置

 説明が省かれていますが「TC:track circuit(軌道回路)」で、うーん、いえ、命名法にケチをつけるのはどうでもよいことです。ただ、「軌道回路のない区間」という表現には戸惑います。「複数の閉そくを設けず単一の軌道回路となっている長大な単線区間」などと書けばよいのではないでしょうか、と(部外者の目で見れば)「朱っ☆」([3041])されるのではないでしょうか。本当でしょうか。

・「閑散線区向けの閉そく装置」(2007年)
 http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2007/20000407100108.pdf

 > 表1 閉そく方式の概要

 …本当ではありませんでした。いま、単線区間での列車防護について理解が浅かったことを恥じます。

 ▼「雲泥の差」があるのは、「タブレット閉そく」(曲がりなりにも「閉そく装置」)と通票(「票券閉そく」:紙切れ1枚)の間であること、それに▼「人間タブレット」という俗称はきわめて不正確で、厳密には「人間通票」と呼ぶべきであることがわかります。

※逆にいえば、安全性において「雲泥の差」があることが明らかであるので、現場が「ものすごく「緊迫」」するわけです。

 また、▼表1でいう(1)と(3)を除くすべて(2と4,5,6,7)が、技報でいう「軌道回路のない区間」に該当することがわかります。「複数の閉そくを設けず単一の軌道回路となっている長大な単線区間」などと書き換えてはどうか、などとしていた私は「(2)特殊自動閉そく」だけを考えていたことがわかりました。たいへん失礼しました。

 「朱っ☆」といえば、技報の内容の新規性も気になるところです。

 (研究でいえば)先行研究ともいえそうな、北海道ジェイ・アール・サイバネットさん(1998年)と見比べるとしますと、その違いは、「CTC/TID情報」だけでなく、列車側の車載装置からの情報も送信するということです。

 これは、ATCやATACSの車上装置に似た発想で、車両が自ら、車輪の回転数などから移動距離を推定し、正確な在線位置を把握し続けよう(誤差が出たら地上子を通過したときに修正しよう)というものです(ミリ波測距装置[3076]も参照)。しかし、そこで(「閑散線区」では当面)ATCやATACSではないので車輪の回転数を云々とはせず、いきなり「まるっと」全球…いえ、GPSに頼りましょう、ということですね、わかります。

・(参考)まるっと全球測位
 http://www8.cao.go.jp/space/comittee/dai4/siryou3-5.pdf

 > ガリレオ(EU)
 > 基本的に民生利用を意識。誰でも利用可能なサービス(Open Service)のほか、運輸事業用の信頼性を増強した信号や商用目的の高精度な測位信号を有料で提供するサービスも予定。

※まるっと、すなわち、日本独自にグローバルな測位を、などというのは、たいへん無謀なことです。このフォーラムでは簡易に「GPS」と記しはしますが、その実、本当に「GPS1本」でダイジョーブ、ダイジョーブ、などと言っていてはいけないことはみなさん既にご承知のことと思います。

 すると、これはもう事実上「閑散線区向けの廉価版ATACSのようなもの」の、原形のようなものなのではないか、と読み解くことができてきそうに思えます。

※傍題ですが、「TC型列警」が導入できないということは、駅での「接近放送(列車の入線や通過を知らせる自動アナウンス)」も導入できないということです([2505],[2945]など)。「GPS列警」を応用すれば、こうした線区の駅での旅客案内の向上にも資するものになりうることがわかります。

 ATACSとしても、「首都圏全域展開」([3103],[3104],[3105])から飛び出す部分(閑散線区やJR貨物)では、車両への複雑な改造なしに対応できることが求められるはずです。

 GPS(や加速度計)であれば、車両に取り付ける装置が単体で完結していて、電源くらいしか配線が要らないこととでき、気動車でも蒸気機関車でも、自転車でもトロッコでも、あるいはJR貨物の機関車や保守用車であっても、もれなくATACS(ただし運行管理のレイヤーを含む:CBTCの規格に準じるような、の意)の手のひらの上で踊っていただく(歌うかどうかは別として)ことが容易に可能になるとみられます。

・JR東日本「地方交通線を主な対象とした列車接近警報装置の開発導入について」(2015年9月2日)
 http://www.jreast.co.jp/press/2015/20150902.pdf

 > 運行管理装置の列車情報と照合することにより、GPS測位異常時に作業員用端末に異常を知らせる仕組みを実現し、システムの信頼性を高めました。

 > 導入25線区

 とのことで、東京圏では、▼八高線(高麗川以北の非電化区間)、▼烏山線、▼成田線(香取−松岸間)、▼東金線、それに▼水郡線が挙げられています。そして、川越線(川越−高麗川間)と久留里線は、黒色の破線で示されていますが、凡例にはその説明がなく意図はわかりかねます。

 プレスリリースのタイトルにも「を主な対象とした」と、一種「濁されて」いる感があり、単に導入時期の多少の前後(古くはCTC化、もっと古くは開業や電化といった、過去の設備投資の時期の前後に由来するタイムラグ)によって「TC型列警」と「GPS列警」という一種「色分け」がなされたかのように見えてもしまうわけですが、しかし、それは早合点だろうと思いたくあります(「やーい、おばけやーしーきー!」の「田舎」[3103]も参照)。

※そして、うーん、やはり命名法は気になります! 最も詳しくは「軌道回路検知型列車接近警報装置」と「衛星測位型列車接近警報装置」でありつつ、さらに後者は列車側に対しても線路内の状況を警報できるとすれば「衛星測位型列車防護補助装置」であり、それはもう、その、それ! CBTCですよねぇ、と早合点されるわけです。もっとも、これを「補助装置」としか呼べないとすれば、「列車防護とは:かくあるべし」という一種「定義」が『アップデート』されないということでもありつつ≒「CBTCはまかりならん」ということでもありつつ、かといって大昔の大センパイ方に対しては「ろくな列車防護もないままよく運転していたものだ」と一種「過去を否定」するわけでもあります。難しいですね。翻って、いま単に「TC型列警」「GPS列警」とのみ呼ぶことは、これはこれで責任感のある呼び方だなぁ、とも受け止められます。


この記事のURL https://neorail.jp/forum/?3110


(約12000字)

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