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発行:2017/8/11
更新:2020/2/21

[3525]

【研究ホワイトボックス】

研究ホワイトボックス(21) 自由研究総合(自由形)にクラスター分析を(概説編)


「距離」と「アルゴリズム」の概念を知ろう
「多変量」へのいざない
『人間将棋』『月の満ち欠け』で「多変量(多次元)」の正確なイメージを
データの「分布」をたしかめよう
「正解データ」との「クロス集計表」をつくろう

(約11000字)

 あくまでドラフト(草稿)ですので、あしからず。「導入編」([3524])からの続きです。必ず、「導入編」を先にお読みください。


○「距離」と「アルゴリズム」の概念を知ろう


 クラスタリングでは、データ(点)間の距離の定義によって、結果が大きく変わります。▼「非階層的クラスタリング」では、もっぱら「ユークリッド距離」が使われます。▼量ではない質的(カテゴリカル)なデータを扱うこともある「階層的クラスタリング」では、目的や分野によって、さまざまな距離の定義が使われます。

 複数の変量を軸とする空間をつくっただけでは、点どうしの遠近感がわかりません。空間内での距離を定義することで、初めて、2点間の距離を測ることができるようになるのです。

 距離の近いものを集めて同じクラスター(集合)とし、遠いものを別のクラスターとするよう、クラスターの分けかた(割り当てかた)を変えながら決めていくのが、クラスタリングの「アルゴリズム」です。

 「非階層的クラスタリング」では、最もよく知られるアルゴリズムとして「k平均法(k-means clustering)」があります。▼適当に割り当てたクラスターの重心を求め、▼クラスター間で重心を比べながらクラスターを割り当て直していき、▼最も『よく』分類できるクラスターが得られるまで試行錯誤を繰り返すアルゴリズムです。

 「階層的クラスタリング」は、分類していく流れの向きの違いから▼「分割型クラスタリング」と▼「凝集型クラスタリング」に分かれます。コンピューターを使った分析でよく使われるのは「凝集型クラスタリング」ですが、アルゴリズムはきわめて単純であるためバリエーションはなく、代わりに距離の定義が工夫されてきています。「凝集型クラスタリング」で使われる手法として「ウォード法(Ward's minimum variance method)」がよく知られています。「ウォード法」では「距離の二乗の総和」を使うことでクラスターを『よく』分けることができるとされるほか、計算上の工夫として、行列(ベクトル)を直接の入力とし、再帰的な処理を行なわず一度に計算を終えることができると説明されます。

 クラスタリングの結果の出力形式や、手作業で行なう場合との対比などからは、一見、「階層的クラスタリング」のほうがわかりやすいのではないかと思われそうです。ところが、コンピューターでのクラスタリングで実際によく使われる手法を詳細に見ていくと、「ウォード法」ほど(数学的・計算工学的に)計算の工夫が重ねられた手法では、もはやアルゴリズムがないも同然といえ、かえって計算の意味を理解したり、データに対する挙動を想像したりすることは難しくなってくることがわかります。こうしたことから、自由研究や算数の授業に採り入れるには、アルゴリズムが説明しやすい「非階層的クラスタリング」(特に「k平均法」)が適するのではないかと考えられます。

・YouTube トランプの札(ランダムに20枚)を用いた「k平均法(k-means clustering)」の演示
 https://youtu.be/zHbxbb2ye3E?t=1m22s




・(参考)ウィキペディア「マハラノビス距離」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%8E%E3%83%93%E3%82%B9%E8%B7%9D%E9%9B%A2

・(参考)ウィキペディア「マンハッタン距離」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%B3%E8%B7%9D%E9%9B%A2


○「多変量」へのいざない


 クラスタリングを行なうにあたって、コンピューターが威力を発揮するのは、変量が多い(データの種類が多い)場合です。

 平面(2次元)の散布図の上で、2点間の距離を測ったり、いくつかの点を含む円(や楕円)を描くことは、そのまま、立体(3次元)の空間上でも行えます。3次元の空間では、2次元でいう円に相当するものは球になります。

 さらに、変量の数が4つ、5つと増えていっても、空間の次元を増やしていけば同じように2点間の(その次元の空間上での)距離を測ったり、(その次元の空間上で)いくつかの点を含む円や球を描いたりすることができます。これを一般化して、3次元を超えるn次元の空間における、3次元でいう球に相当するものを「超球」といいます。

・ウィキペディア「超球の体積」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E7%90%83%E3%81%AE%E4%BD%93%E7%A9%8D

・ウィキペディア「球体」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%83%E4%BD%93

 数学の授業やペーパーテストでは、わたしたち自身が手作業で扱える範囲の計算もしくは計算式を用いた議論しかできませんが、コンピューターでは、いかに計算が大量になり複雑になっても、単に処理時間が増えるというだけで、何ら困難さは生じてきません。

※「NP困難」に属する問題を除きます。

 コンピューターの威力の一端を垣間見るには、手作業での計算が非現実的となってくる程度の、じゅうぶんに多変量なデータを例題に用いることが望まれます。

 ここに、6変量、625個のデータを持つデータセットがあるとします。

※データ全体のことを「データセット(data set)」といいます。複数のデータセットを集めたもの(や、集めること)は「コレクション(collection)」「ライブラリ」などとも呼ばれます。言語学的なデータ(文章や会話音声)の場合には「コーパス(corpus)」と呼ばれます。計算方法やプログラムに着目して数学的に呼ぶときには「行列(matrix)」、プログラミング言語や統計処理言語などの処理系におけるデータの格納方法やデータ構造に着目するときは「配列(array)」といいます。

 単純には19.5万対のペア(組合せ)を1つずつ比較していくことになり、手作業での比較はじゅうぶんに非現実的といえる件数でしょう。さらに、変量は6つです。3つまでであれば、ジャングルジムのような立体のマス目を持つ収納家具にものを整理していくようなイメージをともなって考えることも可能で、4つの場合も、▼そのような部屋がもう1つある、▼マス目の中に箱が2つある、▼マス目の中で上から吊るすものと下に置くものとがある、といった、さまざまなイメージに仮託して考えることが可能ではあります。しかし、6つとなると、直感的にはどのようにイメージしてよいのか、見当もつかなくなります。


○『人間将棋』『月の満ち欠け』で「多変量(多次元)」の正確なイメージを


 いわゆる『人間将棋』の要領で、アルゴリズムに従って「データ役」の児童・生徒を行ったり来たりさせるというような授業も考えられるでしょう。例えば25人、5つの変量で、クラスター数をわずか3程度とするクラスタリングであっても、簡単には結果が予想できないことが実感できることでしょう。

・天童市「天童桜まつり人間将棋」のイメージです
 http://www.city.tendo.yamagata.jp/tourism/kanko/tendosakurafestival.html
 http://www.city.tendo.yamagata.jp/tourism/kanko/images/2015-0302-1610_0.jpg

 クラスタリングの目的は、比ゆ的には「色分け」です。序列をつけたり、勝敗を決めたり、多数決をしたりするものではありません。どのクラスターに割り当てられても、喜んだり悲しんだりする必要はないのです。むしろ、そのような見方をしてはいけないということを教える機会としても活用できることでしょう。

 もっとも、児童・生徒の本人の特徴そのものでクラスタリングをしてみせることは倫理的に適切でない場合があります。また、考察する上でもなまじ、対象についてよく知っているがゆえの先入観に支配されてしまいます。

 こうしたことを回避するには、例えば歴史上の人物に関するデータやプロスポーツの選手名鑑のデータなどを使って、あらかじめ5つの変量を書き出した「人物(選手)カード」のようなものを作成しておき、かるたやトランプの要領で「よくきって」ランダムに配布し、カードに書かれた人物(選手)に「なりきって」『人間将棋』を体験させるという配慮が考えられましょう。

※この「カード」には、各変量の実際の値そのままではなく、値を0〜1もしくは-1〜1に正規化した上で、パーセントなどで示しておくと、授業時間を有効に使えるでしょう。さらには、▼低学年では星の数(0〜3=目盛りが1/3単位)、▼中学年では0(割)〜10(割)の整数(精度1桁=目盛りが0.1単位)、▼高学年では0〜100%(精度2桁=目盛りが0.01単位)で示すなどして、各学年に合わせて展開することも可能でしょう。

※「-1〜0〜1」となる、つまり、原点を挟んで2つの異なる性質が対になっているような現象を示唆する変量は、用いないほうがよいかもしれません。このような検討はたいへん手間のかかるものであり、個々の教員に委ねるのではなく教材の開発者があらかじめ綿密に行なっておく必要がありましょう。

※プロスポーツのチーム名や選手名そのものはまったく本質にかかわらないので、授業では伏せるべきでしょう。どうしても知りたいひとは後から選手名鑑を使ってじぶんで調べるようにいえばよいのです。まったく架空の模擬データを使うよりは、強く興味を持つ児童・生徒がちらほらと現れるのではないかと期待したいところではあります。

 『人間将棋』として体験させることには、多変量(数学でいう多次元)というものを正確に理解させる効果が期待されましょう。

 あるデータ(散布図上またはユークリッド空間上の点)の特徴を示す量(「特徴量」)の次元(変量)が増えても、(データ1個の)点そのものが増えたりするのではないのだ、ということを理解させる必要があります。「いまから第1の変量(1つ目の次元)について計算します」〜「いまから第5の変量(5つ目の次元)について計算します」(※)というように、変量(次元)がいくつに増えても何ら特別なことではない、という(数学でいう)「一般化」を自然と理解させる流れにすることが望まれます。

※実際の計算とは異なります。行列(ベクトル)の計算について深入りせず、しかし直感的に理解させる指導が望まれます。

 このような自然な理解に至るためには、安易に(2次元)平面や(3次元)空間の(古典力学の範囲の)物理的なイメージを援用してはならないともいえます。床に線を引いて「○○な人はこっち!」というイメージ(平面を分割するイメージ)は、明らかに「非階層的クラスタリング」の計算途中のイメージに反します。

 しかし、最初からまったく机上(や黒板上)の数学的な操作のみに頼るのでは、直感的・具体的なイメージが持ちにくいのも事実です。あくまで比ゆ的には、理科における「月の満ち欠け」の演示にヒントを得て、複雑な形状の彫刻(塑像)にさまざまな角度から光を当てて周囲に影をつくって見せ「(数学でいう)射影」のイメージを得させるという演示も考えられます。最も『よく』特徴が見えるのは、(塑像の場合)「横顔」の影となる角度だというような説明も可能でしょう。

・伊豆の国市の実践です
 http://ookita-sho.izunokuni.ed.jp/index.php?key=jou6fug3e-63

 これを逆転させ、影絵のようにシルエットだけが見えるスクリーンを隔てて観察し、向こう側では物体をさまざまに回転させ、「これ何でしょう?」という、多変量での分析というものは、そのような▼「もどかしさ」があるのだということを理解させる、ひいては、▼ある角度で見たときにまったくすっかり見間違える、その角度(次元)では見分けがつかない、ということも起きるのだということを説明することができましょう。

・ある角度で見たときに「思いもよらない形をしていることがわかることも」のイメージです(※本文とは無関係です)
 http://ands-dw.com/ands-wp/wp-content/uploads/2017/06/IMG_8933-615x461.jpg
 http://ands-dw.com/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/358

 逆にいえば、そのような「もどかしさ」を乗り越えて分析を実現するためにこそ、多変量を用いる(=じゅうぶんに多くの変量で分析を行なう)のだともいえます。かなりトートロジー的ではありますが、多変量解析とは、そういうものであります。

・各種「選手名鑑」のイメージです
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%B8%E6%89%8B%E5%90%8D%E9%91%91

※テニスや大相撲では序列があるので、サッカーや野球のほうがよさそうです。さらに、サッカーと野球では、サッカーのほうが役割(ポジション)の分担が明確であり、好適であるかもしれません。野球では、「遊撃手」にもスター選手がいるといわれる「大リーグ」のほうがよいかもしれません。

 その上でなお、「大名ごとの石高」「選手の年俸」などを変量の1つとして採用してしまうと、クラスタリングの結果としても、序列を表す結果が出てくることになると予想されましょう。そのような分析をすることが必要な場面も実務上はあるでしょうが、あくまで授業としては、「色分け」をしてみせる例題となるよう、変量がよく吟味される必要があるといえます。

※「石高」や「年俸」という変量は、これを単独で見ても序列が明らかであるので、わざわざクラスタリングにかける意味がないということでもあります。対して、職業や種目が異なる人を混ぜたデータで「所得」を変量に採ることには意味がある場合が出てきます。

・(参考)「NP困難」の用例です
 http://www.msi.co.jp/nuopt/glossary/term_0a027b64f4f576567f9b9d047b9b8eaab194e903.html
 http://www.ntt.co.jp/RD/OFIS/active/2006pdf/general/nw/19.html

・カシオ計算機「高精度計算サイト」より「組合せ」
 http://keisan.casio.jp/exec/system/1161228812


○データの「分布」をたしかめよう


 実際にコンピューターでクラスタリングを実行する前に、クラスタリングにかけようとしているデータがどのようなデータであるのか、詳しく知っておく必要があります。

 データの特徴を表す指標として、小学校の算数では「平均」「ちらばり」「度数分布」を習いますが、これらの上位にある概念は「分布」と呼ばれます。「分布」は、散布図(プロット図)もしくはヒストグラム(度数分布図)を描いたときに表れる、点の集まりの濃い薄い(棒の高い低い)や、(点や棒の頂点が)ある形の線の上に並ぶようすなどを指す言葉です。ここから平均や分散を求めることができるのであり、データとしては、分布こそが先にあるのです。

・「さまざまな確率分布」
 http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/mnaka/ut/statdist.html

 なお、一般の国語辞典や入門的な百科事典で「分布」を引くと「(動植物や方言などの)地理的な分布」が解説されていますが、ここでいう「分布」は数学ならびに統計学でいう分布であります。「地理的」かどうかとはまったく関係がありません。

・「分布」の解説例です
 https://kotobank.jp/word/%E5%88%86%E5%B8%83-128647

 > 大辞林 第三版
 > (3)《数》確率分布のこと。

 大辞泉にはありませんが、大辞林では説明があるようです。

・Wikipedia「散布図(プロット図)」のイメージです
 https://en.wikipedia.org/wiki/Scatter_plot
 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a5/Matriz_de_gr%C3%A1ficos_de_dispers%C3%A3o.svg

・Wikipedia「ヒストグラム」のイメージです
 https://en.wikipedia.org/wiki/Histogram
 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f7/Travel_time_histogram_total_n_Stata.png

 6変量のデータセットからは、変量を2つずつ縦軸と横軸に採った散布図が、あわせて30枚、描けます。このうち半分は、単に縦軸と横軸を入れ替えただけの図になりますが、統計処理言語「R」を使えば一瞬でぜんぶ描いてくれますので、手間はかかりません。仮に、より少ない変量について手作業で散布図を描いてみる場合でも、データセットに対して先入観を持たぬよう、何も考えずに無心で機械的に、すべての図を描くことが望まれましょう。

 なるべく先入観を持たないようにするという意味では、変量の名前(「身長」「国語の成績」など)も伏せた状態で分析していくとよいでしょう。グループ(班)ごとに取り組ませる場合、データの入力や整形(処理に適した形式に整えること)を行なう役割と、散布図を描いたりクラスタリングをしたりして考察する役割を、それぞれ別の人に任せるという方法もあるでしょう。

 なお、データの形(分布)を仮定せず、実際に得られた現実のデータを分析しながらデータの形を探り当てていく分析のしかた(アプローチ)を「探索的な分析(exploratory analysis)」といいます。これは、あらかじめ(しばしば暗黙のうちに)仮定した特定の分布(回帰式)への「あてはまりの検定」を主眼としてきた従来の「説明的な分析(explanatory analysis)」と対置して述べられる考えかたです。

 研究の歴史(科学史)に照らすと、数学の研究だけでなく、さまざまな研究分野の進展によって、さまざまなデータの形(分布)が「発見」されてきたという流れが浮かび上がります。(人間の行動なども含む)現実のデータが実に多様であるということは、実際に大量のデータが蓄積されるようになってから、ようやくわかってきたのです([要出典])。

・(参考)「探索的データ解析(Exploratory data analysis)とは?」
 https://www.msi.co.jp/splus/products/eda.html


○「正解データ」との「クロス集計表」をつくろう


 クラスタリングの結果は、人の目で見て詳しく考察する必要があります。

 この「考察」とは、『よく考える』(※ある国語辞典より)という漠然としたことではなく、通常「予想(仮説)」に対する「(統計学でいう)あてはまり」を確かめる(「検定する」)ということです。

 しかし、これからクラスタリングを実行しようというとき、わたしたちは既に、データセットを手元に持っているわけです。これに対して「予想(仮説)」という用語を使うのは違和感があります。クラスタリングや機械学習では、処理の結果のよしあし(精度)を考察(議論)するために「正解データ」と呼ばれるデータを用意します。

 クラスタリングでは、どのようなクラスターに分かれれば「正解」なのかというデータを「正解データ」として使います。この「正解データ」は、▼データセットとは独立に用意することもあれば、▼データセットから一部の変量を取り出して使うこともあります。

・ウィキペディアのウ「サッカーのポジション」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

 サッカーの選手名鑑から抽出して使うデータセットでいえば、「ポジション」を正解データとみなして、ポジションを示唆しない変量のみを使ってクラスタリングした結果が、どのくらいポジションを言い当てているかを確かめる、という使いかたができるでしょう。もし、「1選手1クラスター」のような結果が出力されたとなれば、詳しく確かめる必要はありますが、その選手は「きわめてユニーク(ほかに類を見ない)」だということなのかもしれません。コンピューターを使ったクラスタリングでは、データがいかに大量・複雑になろうとも、このようなデータ上の特徴を瞬時に見分けることができるのです。

・1例として「プロフェッショナルリーグでプレーする世界最年長のプロサッカー選手」のイメージです
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%B5%A6%E7%9F%A5%E8%89%AF

 『クラスタリングは「色分け」である』ということを適切に印象づけるためには、実際に、「好きな色」を言い当てるというような展開も考えられなくはありません。しかし、ここで「赤」「ピンク」「水色」など、児童・生徒の日常生活上、先に言葉として認識されてから「好きな色は赤」と言葉で述べられる、そのような「好きな色」を使うことには問題があります。聞いたことのない色名は、挙げようがないのです。逆に、聞いたことがあるというだけで、色そのものではなく色名の珍しさや音の響きを気に入って「セルリアンブルー」や「ビリジャン」などの色名を挙げる児童・生徒も出てくるかもしれません。これでは、各人の色の好みについて▼(1)必要な詳しさが得られず、▼(2)不必要な細かさが出て、⇒変量や「正解データ」として使うには向かないものになってしまいます。

 そこで、あらかじめ「すべての色」の中から、所望の分解能で、なるべく等間隔で(=空間や「環」の上で、たがいに最大の距離をとって)色を選択しておき、その中から選ばせるという方策が浮かんできます。ここでは、最低限の分解能として、3つの色を選んでみましょう。

・世界堂さん扱いホルベイン「アクリラガッシュ ローズバイオレット」のイメージです
 http://webshop.sekaido.co.jp/contents/products_images/02080305/1/M/2042319916571.gif

・世界堂さん扱いホルベイン「アクリラガッシュ コバルトブルー」のイメージです
 http://webshop.sekaido.co.jp/contents/products_images/02080304/1/M/2042319916403.gif

・世界堂さん扱いホルベイン「アクリラガッシュ グラスグリーン」のイメージです
 http://webshop.sekaido.co.jp/contents/products_images/02080303/1/M/2042319916328.gif

・Google ストリートビュー 「世界堂」付近の「ふちねこプレゼント」(推定)
 https://goo.gl/maps/7tksDTcXHKs
 http://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1510/06/haru_shano02.jpg
 http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1510/06/news110.html

・ホルベイン「アクリラガッシュ」のカラーチャートはこちら付近
 http://www.holbein-works.co.jp/acrylagouache.html

 各色8ビットのRGB値で「49」「180」「89」を組み合わせて得られる3つの色に近いアクリル絵具を参照したものです。RGB値(0〜255)で見ると明らかなように、これらの色には光の3原色が『だらしなく』(※)混ざっていますので、一概には何色といいがたい色になっています。▼「赤」を選ぶのは躊躇する人でも「ローズバイオレット」なら抵抗なく選べる(かもしれない)、▼「水色」が好きだと豪語する人に対しては、バイオレットに寄った色が好きなのかブルーに寄った色が好きなのかはっきりさせるよう迫ることになる(かもしれない)、▼特に色の好みがなければ、校庭の木々や雑草を眺めながら「グラスグリーン」を選んでもらうことになる(かもしれない)というような色です。

・ウィキペディアのウ「HSB色空間の円錐」のイメージです
 https://ja.wikipedia.org/wiki/HSV%E8%89%B2%E7%A9%BA%E9%96%93
 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f1/HSV_cone.jpg
 https://dot.asahi.com/S2000/upload/2015010900039_1.jpg

※だらしなく:円錐状のラクトアイスの17口目くらい。

 HSB色空間で考える場合、色相だけを問いたいとすれば、残る彩度と明度については、(わたしたちが色相をじゅうぶんに知覚できる範囲で)標準的な値をとればよいといえます。『だらしなく』などと述べましたが、ここではRGB値のスケールにおいて各色の値が最低でも19.1%、最高でも70.3%、HSBのスケールにおいては、彩度(S)が72.8%、明度(B)が70.6%となる色を選択したことになります。

・NTTコミュニケーションズ「「水色」が好きだと豪語する人に対しては、バイオレットに寄った色が好きなのかブルーに寄った色が好きなのかはっきりさせるよう迫ることになる(かもしれない)」のイメージです
 http://ga.050plus.com/sp/skins/img/go-13.jpg

・「豪語する」⇒「背伸びする」
 http://thesaurus.weblio.jp/content/%E8%B1%AA%E8%AA%9E%E3%81%99%E3%82%8B
 http://thesaurus.weblio.jp/content/%E8%83%8C%E4%BC%B8%E3%81%B3%E3%81%99%E3%82%8B

・野村自動車の見解です
 http://www.nomuji.net/DSCF2245.JPG
 http://www.nomuji.net/repair.html

・「つや消しカワサキ」のイメージです
 http://zentosou.sakura.ne.jp/zentosou/wp-content/uploads/2015/04/95.jpg
 http://p-junk.com/tosou-nohanashi/unchiku04/

※PC上で色を選ぶ話については[3480]も参照。


 「処理編」([3526])に続きます。


この記事のURL https://neorail.jp/forum/?3525


この記事を参照している記事


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