・古いけど新しい、最初から新しかった「小湊鉄道」 ・鉄道部門の事業計画、ホームページでの公表なく ・【総合的な交通体系】市原市、小湊鉄道線に高い期待 ・「チバニアン」対応であらわになる地元関係者の『成熟度』
(約14000字)
15日、千葉テレビ、千葉日報が報じました。
・千葉テレビ「小湊鉄道 旅行業務停止処分」(2017年6月15日)
http://www.chiba-tv.com/info/detail/12403
> 旅行業を営むのに必要な管理者を置かずにバスツアーを販売したとして、県は15日、小湊鉄道に対し旅行業務停止の行政処分を行いました。
> 県によりますと、小湊鉄道は旅行業を営む上で必要な国家資格を持つ旅行業務取扱管理者を長南営業所に配置せずに、2012年8月からことし4月までに計577件のバスツアーを販売していました。また、おととし3月には、既に退職し別の旅行会社で働く元従業員の男性を管理者として記載し、旅行業の更新登録を受けていたということです。
> 行政処分について小湊鉄道は、「法令順守の意識が低かった。大変申し訳ない」と話しています。なお、県が旅行業者の行政処分を行うのは初めてだということです。
・千葉日報「小湊鉄道、旅行業で虚偽申請 千葉県初の一時停止処分 資格者欠きツアー販売」(2017年6月15日)
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/416112
> 旅行業法で営業所ごとに配置が必要。ツアーの募集や販売を認める必須条件となっている。
> しかし、長南営業所では同管理者の社員が2012年7月で退職したのに、後任を置かないまま今年4月まで577件の旅行業務を契約。さらに同社は15年3月、県に旅行業の更新登録を申請した際、同退職社員の名義を勝手に使って「同営業所で管理者を継続中」との虚偽書類を提出した。
> 今年2〜3月に県が行った点検で、県内の別の旅行業者に同じ氏名と資格番号の管理者が勤務していることが判明。退職社員の再就職先だった。これを機に小湊鉄道の行為が発覚した。
千葉テレビの見出しや本文では深刻さが伝わりませんが、千葉日報が報じた通り、きわめて重大な違反(※)です。小湊鉄道は、バスと鉄道が分社化されていないため、鉄道も含めて会社の管理体制が厳しく問われることになります。
・千葉県「旅行業者に対する行政処分について」(2017年6月16日)
https://www.pref.chiba.lg.jp/kankou/press/2017/201706_syobun.html
> 旅行業法第11条の2第1項及び第2項違反
> 旅行業法第6条の3第1項違反
※管理者の退職の前後で変わらず業務を続けていたことからは、退職前から既に管理者が社内で形骸化していたのではないかと疑われることになります。
・(参考)毎日新聞「旅行業法 違反知らずに“健康ツアー”20年実施 坂出市」(2017年5月31日)
https://mainichi.jp/articles/20170531/k00/00e/040/222000c
> 香川県坂出市教委が市民を対象に企画した旅行ツアーが、旅行業法に違反する疑いがあるとして中止していたことが30日、分かった。同法は主催者が報酬(金銭)を得て旅行者の運送や宿泊をする場合、国や都道府県への事前登録を義務付けているが、市教委は事前登録をしていなかった。ツアーは約20年前から続いていた。
・(参考)毎日新聞「旅行業法違反 市教委主催ツアーNG 埼玉・白岡」(2016年12月22日)
https://mainichi.jp/articles/20161222/k00/00e/040/250000c
> 埼玉県観光課は取材に「市教委が参加費を受け取れば違反になる」と指摘。
・小湊鉄道のお詫び(2017年6月16日)
http://www.kominato-bus.com/news/290616info_1.pdf
> 弊社は平成29年4月14日に、千葉県より旅行業法違反の事項について指摘を受け、6月2日の聴聞会を経たのち6月29日よりバス部貸切課本社営業所、バス部貸切課長南営業所の2ヶ所に於いて旅行業の営業停止処分を受けることとなりました。
> 本社および各営業所内に取扱管理者(資格者)の配置状況について壁面掲示を行い、資格者の配置の可視化を実行いたします。
具体的な再発防止策を挙げておられながら、このお詫びの掲載が16日であったため、再発防止策が報じられる機会を逸したと見受けます。資格者や責任者は、いさえすればよいのではなく、氏名が掲示されることが重要です。これは防火などについても同様です。
・読売新聞「高層マンションの8割、消防法違反…東京消防庁」(2017年6月17日)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170617-OYT1T50054.html
> 昨年1年間に東京消防庁の立ち入り検査を受けた東京都内の高層マンション576棟のうち約8割(463棟)が、消防法違反を指摘されていたことが同庁への取材でわかった。
> 違反の大半は避難訓練を取り仕切る防火管理者の不在と消防設備の未点検だった。
防炎でないカーテンの使用などは検査すらされていないことが知られています。
・東京消防庁の見解です
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/office_adv/bouen/p06.html
> 高層マンションは、避難に時間を要すること、火災拡大時の人命危険が大きいことから、消防法により、居住している階に関係なく、使用するカーテンやじゅうたん等を、防炎物品にしなければいけません。
●古いけど新しい、最初から新しかった「小湊鉄道」
小湊鉄道は社名の通り、小湊鉄道線を建設・保有し、運行を続けている鉄道事業者です。大正時代に地元、市原市で出資を募ったのが始まりで、明治期に有力者の個人事業として始められた鉄道とは違い、最初から近代的な会社組織として成立していることでも知られます([3266],[3480])。2016年11月には、小湊鉄道の土木構造物や駅舎など22施設が国の有形文化財に登録されることが決まり([3393])、先月2日、正式に登録されました。登録の実現には、施工者側で詳細な記録が保管されてきたことも大きく貢献しているとみられます。
・(再掲)鹿島「幻の小湊鉄道小湊駅」
http://www.kajima.co.jp/gallery/kiseki/kiseki37/index-j.html
古さが強調されることの多い小湊鉄道線ですが、わたしたちが素朴に思い浮かべるより新しい状態になっていることを確かめておきましょう。
小湊鉄道線では1973年12月、「単線自動閉そく装置」が五井−上総牛久間で導入され、その後、1976年12月に光風台駅が新設され、現在に至っています。(なお、ATSの設置は1995年、列車無線の導入は2013年6月に行われているということです。)
・「単線自動閉そく装置」ほか
http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2007/20000407100108.pdf
「単線自動閉そく装置」は、単線区間で用いられている閉そく装置の中では最も新しい発想の装置であることがうかがえます。
・(一社)日本鉄道電気技術協会「改正鉄道技術基準等(H17/1/12) 」より「鉄道の技術上の基準に関する省令」
http://www.rail-e.or.jp/modules/library/index.php?content_id=13
・小湊鉄道「社史」
http://www.kominato.co.jp/company/gaiyou.html
・ウィキペディア「光風台駅」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E9%A2%A8%E5%8F%B0%E9%A7%85_(%E5%8D%83%E8%91%89%E7%9C%8C)
> 小湊鉄道線内で唯一、接近放送が流れる駅である。
> ホームの幅は広く、駅名標は屋根から吊るされている。
・YouTube 光風台駅
https://youtu.be/hSflySE5rf0?t=7s
・(参考)永楽電気
http://www.eiraku.com/products-cat/jyoho_3.html
・(参考)東洋電機
http://www.toyo-elec.co.jp/products-item/%E5%88%97%E8%BB%8A%E6%8E%A5%E8%BF%91%E6%94%BE%E9%80%81%E8%A3%85%E7%BD%AE/
・(参考)三愛電子工業
http://www.san-ai.co.jp/business_avsystem.html
・朝日新聞デジタル「光風台駅 桜の名所を夢見て」(2014年12月17日)
http://www.asahi.com/articles/ASGD866BZGD8UDCB015.html
●鉄道部門の事業計画、ホームページでの公表なく
一方、2005年度に国土交通省が同社に対して行なった業務監査で、事業計画などをホームページで公表するよう指摘されていますが、現時点までに同社のホームページで事業計画が公表されたことはありません。また、小湊鉄道線でワンマン運転を実施する計画があるとされていますが、その後も詳細な発表はありません([3266])。
※自動改札やICカードの導入がないままワンマン運転が実施されると、乗務員による運賃収受に時間がかかり、各駅での停車時間を長くする必要が出てくるとみられます。
現在の車両「キハ200形」(14両、うち1両は休車中)は、1961年から1977年にかけて製造されており、最も車齢の若い車両でも今年で40年になります。特に、ATSも設置済みでありながら最高速度が65km/hに留まっているのは、現行車両の加速や減速の応答性の低さに起因しているとみられます。
全国の単線のCTC線区では85km/h、貨物列車が通る線区で95km/h、新線や複線化された線区では110km/hの最高速度が事実上の標準となっており、小湊鉄道線でも、車両の更新などによって最高速度がじゅうぶんに引き上げられることが待たれます。
※一例として、関東鉄道常総線の最高速度は2005年8月、90km/hに引き上げられています。
・(参考)朝日新聞「特急「ひだ」「南紀」にハイブリッド車投入へ JR東海」(2017年6月7日)
http://www.asahi.com/articles/ASK675TWJK67OIPE01B.html
> 蓄電池とディーゼルエンジンで動くハイブリッド車両を同社として初めて投入
> 2019年末に試験走行車(1編成4両)を造り、22年度までの置き換えを目指す。
※小湊鉄道線の「キハ200形」では、360〜390リットルのタンクで五井−上総中野間を「約9往復」できるということです。
・日本経済新聞「小湊鉄道、安全対策に12億円、高速バスに自動ブレーキ」(2016年12月21日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB20H54_Q6A221C1L71000/
> 乗務員の負担軽減に向けて16年度中に20人の運転手を新規採用して350人体制に拡大するほか、契約社員の正社員化を進める。
> 安全対策を強化するのはバス事業が拡大しているためだ。同社は千葉県内の路線バスや高速バス事業を展開し、65億円の売上高(15年度)の約6割をバス事業で稼いでいる。特に木更津市と東京・神奈川を結ぶ路線はアクアラインの通行料値下げの影響により、14年の運行本数は23万本(他社との共同運行含む)とこの6年間で2割増えた。
・千葉日報「保線作業車が“房総横断” 小湊鉄道に譲渡 いすみ鉄道」(2011年5月20日)
http://www.chibanippo.co.jp/news/local/43368
> 地震後のレール点検、線路沿いを除草する薬剤散布にも使われる。老朽化したため、いすみ側は今年、別の中古車両を導入。これまで保線作業を軌道自転車などで対応しトンネルでの作業などが難しかったという小湊側が「有効活用したい」(****常務)と引き取った。
・(個人のブログ)高解像度「里見駅」のイメージです
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/87/4e271bdad6129b488ea575642544f193.jpg
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8C%E8%A6%8B%E9%A7%85
> 1998年(平成10年)9月16日 - 島式ホーム使用停止。
> 2002年(平成14年)3月24日 - 無人駅となる。
> 2013年(平成25年)3月16日 - ダイヤ改正より島式ホームの使用を再開。それに伴い駅係員の配置を再開する。
> 市原市と小湊鉄道、国は総額8,000万円を負担して再整備
現在、遠隔制御のできる装置や通信回線は特別なものではなく(⇒東武電設工業[3270])、割高であるということもないとみられますが、新たに遠隔操作を導入する場合、当該駅での設備だけでなく、「指令所の新設」(⇒相鉄の場合[3258])、ひいては会社の規程(規則やマニュアル)や職制(給与体系)の改正が迫られるとみられます。
・このサイト
http://atos.neorail.jp/atos3/news/news_130423.html
> 相鉄線内では、運行管理システムの導入と指令所(相鉄では「司令所」と表記)の新設、誘導無線に代わる空間波デジタル列車無線の導入、車両限界および建築限界の拡大、JRと共通設計の新型車両への更新が進められるとともに、従来の相鉄型ATSをJR線と共通のATS-Pに変更する工事が2008年度から順次進められた。
山間部等での空間波デジタル列車無線の導入には、地上アナログ放送の終了も追い風になっているとみられます。
・Google ストリートビュー 「里見駅」付近
https://goo.gl/maps/aXWjqsp8wBy
https://goo.gl/maps/53DrTy1j9T82
●【総合的な交通体系】市原市、小湊鉄道線に高い期待
市原市は、小湊鉄道線を中心にしたまちづくりを進めるため、都市計画上、同線の駅勢圏を「700m」から「1km」へ拡大することを「市原市交通マスタープラン」(2014年1月)で決めています([3265])。この計画では、▼2015年度に新駅設置と列車交換設備の増設、▼2019年度にかけ、「車両や駅施設の環境整備」を実施するとしていました。なお、2019年には、京成電鉄が旧千葉急行電鉄から引き継いだ京成千原線の延伸線(ちはら台−海士有木間)の免許の当面の期限を迎えます([3256])。小湊鉄道線がJR線や京成線と同等の位置づけに引き上げられると、一般道を走る路線バスやマイカーより「表定速度」が高いことが求められるようになるとみられ、具体的にどのような段階を経て小湊鉄道線の運行の刷新が図られていくのか注目されます。
・Google ストリートビュー 五井駅付近
https://goo.gl/maps/NX6S5jCgUrw
小湊鉄道線は、過去には内房線と線路がつながっていましたが、現在は分断されています。内房線では、木更津駅にPRCが導入されていますが、五井駅を含む蘇我−君津間の運行管理の状況は不明です([3383])。JRグループは2018年以降、2036年にかけ、保安装置(ATS・ATC)の全国的な更新に取り組むとみられていて([3444],[3450],[3378])、内房線と小湊鉄道線の線路を再びつなぎ乗り入れを再開することも、およそ30年ぶりに現実味を帯びてくるとみられます([3254])。
小湊鉄道バスの多くの便がJR千葉駅に直接、乗り入れている現状は、小湊鉄道線(列車)の利用客増加につながらないばかりでなく、同じ地域内でのJR内房線や京成千原線の運行との整合性も欠いた状態です。同社のバスが従来の運行体系を維持していることは、▼JR内房線の増発や、▼京成千原線の複線化を遅らせることにもつながっているとみられます。
とはいえ、鉄道網の計画が決まらないうちはバス路線の再編もかなわないのです。高速で大容量な運行が鉄道の持ち味です。この地域の鉄道網について、例えば小湊鉄道線の列車が内房線・京葉線の各駅停車として寒川新駅や千葉みなと駅などに乗り入れることや、八幡宿−五井間への新駅設置、千葉−五井間での快速運転の復活、それに京葉臨海鉄道([3275],[3365],[3407])での旅客列車の運行など、あらゆる選択肢が具体的に検討されていくことが期待されます。
外房線の踏切除却([3284])や千葉都市モノレールも含め、千葉市やJRの先行きに不透明感がある中で、市原市が小湊鉄道線の駅勢圏を「再定義」する段階に進んだことは、たいへん注目されます。
・Google ストリートビュー 内房線「7K505M(八幡宿から1.8キロ)」付近
https://goo.gl/maps/zThYh1Zs7fH2
・Google ストリートビュー 養老川付近の内房線(2015年4月)
https://goo.gl/maps/5cfQxyB69yN2
https://goo.gl/maps/86i21AHbgLn
・Google ストリートビュー 千葉急行線「辰巳台」「弥生が丘」「国分寺台」付近の小湊鉄道バス
https://goo.gl/maps/BHxn2pRyfKM2
https://goo.gl/maps/wZtbsBNkNgN2
https://goo.gl/maps/sPPU9cNupjy
・Google ストリートビュー 京葉線「寒川新駅」「問屋町南」「千葉みなと」「新港」付近(推定)
https://goo.gl/maps/ya3uPHJRNvM2
https://goo.gl/maps/w5BPFADBYMq
https://goo.gl/maps/h3QnS9LAxz52
https://goo.gl/maps/jgDFPJssxG52
・Google ストリートビュー 「小湊鉄道タクシー」(千葉市美浜区新港)付近(※本件とは無関係です)
https://goo.gl/maps/hh1pBH411ez
・「総合交通体系」
https://kotobank.jp/word/%E7%B7%8F%E5%90%88%E4%BA%A4%E9%80%9A%E4%BD%93%E7%B3%BB-1556278
・「総合的な交通体系」より「総合交通分析システム(NITAS)」
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/soukou/sogoseisaku_soukou_fr_000021.html
・Google ストリートビュー 既に売却されたとみられる複々線化用地(千葉市)付近
https://goo.gl/maps/Xqi28ScFW5G2
https://goo.gl/maps/pLbePK3aBTN2
https://goo.gl/maps/UfBdSztivL12
京葉線の線路に近接したこの土地をこのように使うことは、京葉線の増発や速度引き上げを妨げると考えられます。複々線化には使われないことが確定的になったとしてもなお、この土地は緩衝帯として使われることが望まれます。
・(参考)山梨日日新聞「緩衝帯、側道に活用へ 富士川町」(2017年3月1日)
http://www.sannichi.co.jp/article/2017/03/01/00179921
雑草の生えた緩衝帯([3158])を無駄な空間とみなすのは、判断が一面的すぎるといえましょう。
・(参考)千葉県「地域公共交通確保維持事業により運行を確保・維持する運行系統の概要及び運行予定者」(2016年5月24日)
https://www.pref.chiba.lg.jp/koukei/shingikai/bus/documents/h29keikaku-hyou1.pdf
・(参考)「「都市における公共交通のあり方」に関する調査研究報告書」全国市議会議長会(2016年2月)
http://www.si-gichokai.jp/comsetup/cmst_kyg/cmst_kyf/toshikenhoukokusyo201602.pdf#page=89
> 千葉市 都市活性化対策調査特別委員会 平成19年5月15日〜平成23年
> 市原市 交通問題に関する調査特別委員会 平成19年7月13日〜平成23年6月15日
平成19年は2007年、平成23年は2011年です。同じ時期にそれぞれ検討されていることがわかります。
●「チバニアン」対応であらわになる地元関係者の『成熟度』
小湊鉄道線の沿線には、国際的に注目される「地球の磁場が逆転した時期を詳しく特定できた、およそ77万年前の地層」([3393])があります。ところが、同社ではこれを「パワースポット」と称してホームページで紹介しています。国からの免許を受け公共交通を担う鉄道事業者は、安全で無理のない運行計画の策定から車両や施設の工事や検査、人材の育成、技術開発まで、会社の規模にもよりますがバス会社とは比べものにならない重い責任を負っています。こうした鉄道事業者に対して一般に期待される合理的な態度が、同社ではこれまで、じゅうぶんには培われてきていないのではないかという懸念が払しょくできません。
・小湊鉄道「市原のパワースポット(地球磁場逆転地層)のご案内」(※公式です)
http://www.kominato.co.jp/news/powerspot/powerspot.html
> 当社沿線の月崎駅より近くの市原市田淵に学術的に世界に3箇所しかないうちの1箇所といわれるパワースポット(地球磁場逆転地層)の存在が明らかになりました。
> 弊社では上記の内容と場所のご案内程度しかできません。
> 学術的な事は分かり兼ねますのでご了承下さい。
▼地質学や惑星科学におけるインパクトの正確な理解を促すじゅうぶんな事前学習の機会やそのための教材の開発、それに▼見学中のケガや標本(地層)の損壊などに備えた保険への加入など、見学者を受け入れる態勢が整っていないにもかかわらず、長靴を持参するよう呼びかけるなど、旅行業における基本的な検討を自社で行なうことができていないことがうかがえます。
※なお、沿線の観光資源などを紹介しながら自社線の利用を呼びかけることがただちに旅行業法に抵触するかは不明です。
・「成熟度」
https://kotobank.jp/word/%E6%88%90%E7%86%9F%E5%BA%A6-778501
会社が新たな施策を自律的に検討していける能力や、必要な研究開発や調査を(研究機関や行政との連携や、専門の会社への外注を含めて)行なっていける態勢は、一朝一夕にして獲得できるものではありません。本来、1976年から1985年ごろにかけて獲得されるべきだった「21世紀型」とも呼ばれる経営が当時、実現されなかった影響は大きく、40年遅れとなったいまからでも、このような能力が地道に獲得されていかなければならないといえます。
・(参考)大阪エンジニアリング
http://www.o-e.co.jp/company/21century.html
・(参考)富士通マーケティング
http://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/mikata/special/forum2016/tanaka/report001.html
・(参考)東京大学「地球惑星科学専攻」より「地磁気コアの表面電流の不規則な分布」のイメージです
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/attraction/02.html
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/attraction/images/02/07.jpg
> 「方位磁針のN極が北極の方向を向く」というのは常識であると考えられているが,数十万年の時間スケールでみるとこれは実は「常識」ではない。地質学的証拠から,地磁気は過去何十億年にもわたって比較的安定に存在していたことがわかっている。しかし詳しく見るとさまざまな時間スケールで変動しているのである。
> 桜庭らは,世界最高速クラスのスーパーコンピュータ,地球シミュレータを用い,液体金属の対流運動と,それによって生じる磁場増幅作用(ダイナモ作用)の大規模数値シミュレーションを行い,この現象の解明に挑んでいる。その結果をコア表面の電流の3次元分布(図7)として表すと,電流は南北方向に伸びたパッチ状の構造をしていることがわかった。このパッチ状構造は絶えず変動しているのであるけれども,長い目で平均すると定常的にふるまい,それが地球双極子磁場構造を決めている。ところがときどき,何かのきっかけで大きく変動して地球双極子磁場そのものの逆転につながると考えられている。
社内や取引先、個人的な知人などに詳しい者がいない限りわからないとする態度は合理的ではありません(⇒「エンタープライズ検索」の限界[3477])。県立図書館のレファレンスサービスを活用して自ら調べることが期待されています。また、教材の開発や見学コースの整備は、大学の研究者や博物館の学芸員が持つ専門性なしには取り組めないということを知っておかなければなりません(⇒「ドミナント・ネガティブ効果」[3242])。
・千葉県立図書館「レファレンスサービス」
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/reference/
> レファレンスサービスは、知りたい資料や情報を、図書・雑誌・新聞・電子情報などから探すためのご案内をして、資料提供や情報提示により調べもののお手伝いをするサービスです。 千葉県立図書館では、県内の中核的な調査研究図書館として、来館・電話・メールレファレンス・文書により様々なご質問を受け付けています。
> ビギナーのための地域行政資料入門
> 調べ方案内(パスファインダー) あるテーマや話題について資料や情報を探したいときの参考に、手始めとなる基本資料の一部や、調べ方を紹介しています。
・朝日新聞「「チバニアン」商標登録されていた」(2017年6月5日)
http://www.asahi.com/articles/ASK614JMMK61UDCB00L.html
> 商品区分はキーホルダーや印刷物、おもちゃなどとなっている。
> 「チバニあん」も商標出願され、商品区分は菓子やパンなど。昨年4月には、市原市内の土産物店から「千葉時代」の文言を含む商標も出願され、審査中となっている。
> 研究チームの関係者は「申請に影響はないが、出版物を出す際などに問題になる可能性がある」と懸念を示す。
・Google ストリートビュー 小湊鉄道線「光風台駅」前
https://goo.gl/maps/3S4keJybwEt
https://goo.gl/maps/GAHRVwBEmQm
https://goo.gl/maps/xQvZj16vVRz
駅とともにできたとみられる店舗が定期借家の契約満了後に退去し、白塗りにされた看板なども撤去されないまま、何に使われているのかわからない状態で使われているようすが見えます。また、小湊鉄道線がありながら、姉ケ崎駅発着のバスも通っていることがわかります。小湊鉄道線のルートと沿線住民の生活上のニーズが必ずしも一致していないことがうかがえます。
・しげのや(千葉県市原市光風台)
http://www.e-shigenoya.jp/company/index.html
> 昭和10年 創業(市原にて鮮魚店を開業)
> 昭和25年 製氷・氷菓の製造、販売に着手
> 昭和45年 スーパーしげのや牛久店オープン
> 昭和54年 有限会社しげのや設立(資本金600万円)
> 平成元年4月 スーパーしげのや光風台店開店(450平方メートル)
> 平成元年9月 しげのや牛久店、類焼により閉鎖
> 平成23年7月 星久喜店 開店
昭和45年は1970年、昭和54年は1979年、平成元年は1989年、平成23年は2011年です。鮮魚店としての歴史と意地があるので店が焼け出されたくらいではのれんを下ろさない強さがあるのだと理解します。光風台駅の駅前の店舗(建物)に最初から(テナントとして)しげのやさんが入ることは、できなかったのでしょうか。
・Google ストリートビュー 小湊鉄道線「上総牛久駅」付近のナマルクドド(※本件とは無関係です)
https://goo.gl/maps/1GovfVTUWa42
JR九州が直営するミスタードーナツについては[3458]を参照。
・Google ストリートビュー 「こみなと稲毛ビル」(千葉市稲毛区)付近(※本件と直接の関係はありません)
https://goo.gl/maps/rfRhLfNhUDp
・小湊鉄道「こみなと稲毛ギャラリー」
http://www.kominato.co.jp/inagegallery/about.html
稲毛駅の駅前では駅ビルとは思われないでしょうけれども、このビルそのものは、きわめて教科書的な駅ビルであると見受けます。そのような意味で、小湊鉄道線の沿線での将来の駅ビル事業に資するモデルケースにも見えますが、単に何らかの経緯で保有しておられる不動産を使って漫然と賃貸ビルを経営しているのであれば、小湊鉄道線の沿線に対して申し訳の立たない、きわめてもったいないことをしていることになるのかもしれません。
・国土地理院「CKT7413-C20A-5(新港付近)」「CKT7413-C19-8(稲毛駅付近)」(1975年1月13日)
http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1001539
http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=996968
※1975年までに、埋立地(美浜区新港)に小湊鉄道タクシーが拠点を構えたことで遊休化した用地ではないかと想像してみます。なお、ファーストキッチンが入る建物は別の建物で、この建物は1983〜1986年の間にできていることがわかります。「こみなと稲毛ビル」は、これより新しい建物で、従前は駐車場と低層の建物だったようすが見えます。稲毛駅西口の千葉銀行が入る建物と駅前広場それに高架下店舗の関係については[3458]で先述しています。
※「約6割」がバス事業で、残りは不動産事業と鉄道事業だとみられるのですが、「会社概要」では不動産事業について書かれていません。「こみなと稲毛ビル」は小湊鉄道の不動産事業ではないのでしょうか。(ゴルフ場を除く)不動産はすべて九十九里鉄道なのでしょうか。
・Google ストリートビュー 「守谷駅」「五井駅」付近のイメージです
https://goo.gl/maps/D9dFvJzkxFx
https://goo.gl/maps/1Zb6xEB85262
・朝日新聞「緑あふれる駅前広場に 小湊鉄道がユニークな「逆開発」」(2017年1月28日)
http://www.asahi.com/articles/ASK1W33W7K1WUDCB00B.html
> 養老渓谷駅(同市朝生原)の駅前広場に木を植えるなどして自然に戻す事業に乗り出す。緑あふれる駅に変えて観光客らを出迎えるもので、市が地方創生として支援する。
五井駅や光風台駅をまっとうに開発することも同時に期待されます。
・(参考)経済産業省 中小企業庁「平成15年度 中心市街地活性化におけるテナントミックスの手法に関する調査研究事業」(2003年11月)
http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/koudou_manual/pdf/koudou4.pdf
> 自らの力で組織づくりと運営を行うことで、ノウハウを取得し後継者の育成を行う
> 上の図を参考に、自らの体制づくりを進めましょう。
> 短期(半年〜2年)、中期(3〜5年)、長期(10年以上)と、期間を区切って見通しをたて、それに沿って計画の見直しや運営業務を行います。
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