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[2949]に続いて、運行管理の現場で使われるユーザーインターフェースについて考えてみようと思います。
ATOS導入前、正確には「システム化」される前(※)の運行の現場の一端が垣間見える報告書がありました。
※正確には、線区全体の在線を1箇所でモニタできず、各連動駅の信号扱い所に係員がいて(普段はそれなりに自動制御でも、何かあればすぐ手動となり)、連絡手段としては指令と駅の間は電話、指令と列車の間は無線(音声のみ)に限られていた状況を指します。
重大インシデントの経緯はそれとしまして、ここでは信号扱い所におけるユーザーインターフェースに着目します。
・国土交通省「鉄道重大インシデント調査報告書」(2002年6月6日)
http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-inci/2002-1-1.pdf
> 運転士の口述によれば
> 本件列車は、定刻(18時58分)に川崎駅を出発したが、向河原駅に到着後、輸送指令(田端に設けられた東京総合指令室)より列車無線を通じて、「武蔵中原駅で信号故障が発生したため運転を抑止せよ」との指示があり、所定の停止位置で停車して次の指示を待っていた。
> 列車無線を通じて輸送指令より呼び出しがあったため、列車が完全に停止した後、これに応答したところ、本件列車の行き先の変更等の通告があったので、必要事項を手帳に書き留めた。
> 武蔵中原駅の当務駅長を務めた助役(以下「当務駅長」という。)の口述によれば
> 落雷の影響により武蔵中原駅の電子連動装置が故障し、場内信号機及び出発信号機が使用できない状態となった。
> 輸送指令と打ち合わせの上、代用手信号により列車の運行を行うこととした。このための手配として、関係する信号機及び転てつ器に係員を配置し、自分は、手信号の現示指示者として信号扱所から構内電話で各係員に指示を行うこととした。この際、自分は、上下線の両方について、一人で手信号の現示指示者を務めることとした。また、配置できる係員が増員されるまでの間、下り第2場内信号機の手信号現示者も兼ねることとした。
> 本件列車を進入させることとし、下り第1場内信号機の手信号現示者に対し進行信号を現示するよう指示を行ったが、その際にも、自分の記憶としては、先に述べた確認方法により先行列車の出発を確認した上で指示を行ったとの認識であった。
> 代用手信号の現示指示者を務めた当務駅長(武蔵中原駅助役男性 55歳)は、昭和60年4月より駅助役の職に就いており、武蔵中原駅には平成10年4月に着任した。
> 当務駅長によれば、今回のような連動装置の故障による異常時対応は、今回が初めての経験であったとのことである。
> 当務駅長が参加した教育訓練に関する同社の過去1年間の記録によれば、ほぼ毎月、本社等主催教育訓練又は駅計画訓練が実施されており、このうち、駅計画訓練については、当務駅長が多くの機会において講師を務めていた。
> 当務駅長は、すでに先行列車は出発したものと思い込み、防護区域に列車がないことの確認を確実に行わなかった可能性が考えられる。
> 当務駅長は上下線の手信号現示指示者と下り第2場内信号機の手信号現示者を兼務していたことから、手早く列車の運行をさばかなければならないとの思いが生じ、このことが防護区域に列車がないことの確認を確実に行わなかったことに関与した可能性が考えられる。
> 写真1 信号扱所の状況
> 写真2 開通表示灯
信号扱い所の写真では、NECのFC-9801シリーズまたはFC-9821シリーズとみられるコンピューターが2台、置かれている様子が見えます。1台(写真1の右)には通常のキーボード、もう1台(写真1の左)には特注と見られる専用のキーボードが接続されています。モニタはFA用でなく一般の製品を使用していたようです(※1)。なお、マウスはありません(※2)。
※1 「FA用」という製品の内実は、防塵設計(密閉またはフィルター付き)であることで、それ以外の部分で一般向け製品と大きく異なるわけでもないようです。(CRTの)モニタは一般の製品でも十分に高信頼ですから、妥当な判断ですね。信号扱い所は粉じんが舞うわけではなく、空調も効いてそこそこ快適な空間だということでしょう。
※2 念のため、マウスはありません、と繰り返してみます。特注キーボードの右脇に何か置いてあるのは時計でしょう、たぶん。
・NEC「FC-9801B」(1998年8月販売終了)
http://jpn.nec.com/fc/fcpro_series/end/9801b.html
・同 カタログ(1995年9月)
http://jpn.nec.com/fc/pdf/catalog/end/fc9801b.pdf
・NEC「FC-9821X」(2000年6月販売終了)
http://jpn.nec.com/fc/fcpro_series/end/9821x.html
・同 カタログ(1995年9月)
http://jpn.nec.com/fc/pdf/catalog/end/fc9821x.pdf
「特注と見られる専用のキーボード」についても、それらしいメーカーのサイトを参照してみましょう。
・キーテック
http://www.kt-kb.com/products.html
http://www.kt-kb.com/products/pro09_01.html
http://www.kt-kb.com/com_message.html
> 少量多品種の業務用キーボードの専業メーカーとして
> 業務用キーボードは十年を越すような製品寿命、または故障したとしても速やかな復帰が求められ、再生産の保証を受注時に求められることがあります。そのために現在でも一部のスイッチを除き製品全般を国内で生産しております。
> 弊社の製品は小はテンキーから大はプラントなどの大型操作卓までその応用範囲は広く、製造業を始め流通、医療、外食、金融、放送、通信、官公庁などの諸分野、また先端科学分野で活躍中の方のためのおそらく世界で唯一と思われる特殊なキーボードまで、日本のキー入力の現場、世界のキー操作の現場を常に支え続けて参りました。
業務に特化して専用のキーボードを特注することが多いことの背景については[2949]も参照ください。操作の速度と正確性を高め、逆に言えば、操作に不要なキーを省いたともいえる操作感(いわばテンキーでExcelする爽快感のようなもの)が生まれます。
※時代が変われば、趣味でも特注キーボードを起こそうという個人客も出てくるのかもしれません。
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