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[2924]に関連して、横浜線の電車の根岸線への直通に関する補足です。
・[150]
> そういえば京浜東北・根岸線がATOSで
> 根岸線に直通する横浜線はPRCですよね。
> ダイヤが乱れた時どうやりすごしているのでしょうか。
・[152]
> ダイヤが乱れたときは横浜線の根岸線直通運転は無くなります。みんな東神奈川折り返しです。
> そうすれば、問題はクリアされるのですが、根岸線利用者としては本数が減るので困ります。
・[205]
> もう1つ気になるのは東神奈川で、あそこのポイントは、ATOSとPRC/CTCの両者が関わっているのでしょうか。
> 東神奈川は全てのホームに発車時機表示機がありますが、横浜線ホームでATOSで運転整理してCTC/PRCでもそれに連動してうまく制御しているのでしょうか。
> また京浜東北線で一部2番線の始発がありますが(例えば平日17:54発南浦和行)、あれは一度PRC/CTC制御を受けているということでしょうか。
・[206]
> 東神奈川駅の指令は全てATOSです。
> でも2・3番線の電光掲示板はATOSのものではないんですよねぇ〜。
・[214]
> 私も気になるのですが、詳細がいまのところよくわかりません。曖昧な回答になってしまいまして申し訳ありません。
なお、ここに挙げました一連のご発言は1999年、京浜東北線でのATOSの導入から1年前後の時期のものです。その後、状況は変化していると思われますので、注意してお読みください。以下のページを訪れて、1998年の空気を味わってください。
・個人のページ「ATOS」(1998)
http://homepage3.nifty.com/iwasaki/atos/atos.html
※1998年といえば、デジタルカメラが普及していませんでした。いくら昨日のようとはいえ、まったく大昔でないと言い切るのは困難です。
・鎌倉駅コンコース・改札口(1997/5 撮影)
http://atos.neorail.jp/photos/photos_led.cgi?mode=detail&id=231
東神奈川の進路制御、旅客案内、および指令の境界について、いまわかる範囲でまとめておきます。
東神奈川の駅構内の進路制御(駅ホームに直結する線路のポイント、場内信号機、出発信号機)は、京浜東北線のATOS導入に際して東神奈川に設置された駅装置で管理されているとみられます。また、駅の北側にある留置線と、留置線と京浜東北線の本線線路に関わる信号およびポイントも、同駅の扱い所で操作しているはず(※)で、このため同駅の装置(ATOS)で管理されているとみるのが自然です。したがって、横浜線のCTCとしては、東神奈川の最初の場内信号機の手前まで(場内信号機を含まない)が管理の範囲(列車の在線を直接、検知している範囲)であると推測できます。
※山手線・京浜東北線へのATOS導入の時点で、対象外だった横浜線の電車の入れ換えも担当していたこと、また、ATOSの線区別ホスト(線区中央装置)やネットワークがダウンしても(実際、したわけですが)、ローカル(現地)で入れ換えが行なえる必要があるため、東神奈川では装置がATOSになっても、扱い所の業務はほとんどそのまま変わらなかったのではないかと思います。今回、横浜線との一体的な管理に移行することになれば、東神奈川での入れ換えや信号扱いがどのように変わるのか、注目されます。
※なお、このサイトでは、横浜線にはCTCのみが導入され、PRCは導入されていない、と説明していますが、これには補足が必要です。ここでいうPRCとは、かなり限定的な部類のもの、埼京線や武蔵野線のように、線区全体で(非連動駅を含めて)システム化をはかったもの、を指しています。一方、拝島、木更津、仙台などのように、ある一つの駅だけで、電子連動装置に「PRC機能」を付加する場合があります。拝島のように当該の駅が線区全体を管理しているのであれば、すなわち線区全体にPRCが導入されたともいえますが、その辺りの区別や呼び方は、便宜上のものに過ぎません。上掲しました過去のご発言で「PRC」とありますのも、埼京線や武蔵野線とはニュアンスが異なるかと思います。
線区と線区の境界には、いろいろな側面があります。指令の境界、システム上の境界、資産管理上の支社間や他社との境界など、それぞれが必ずしも一致するものではありません。
いま、まさに東神奈川の3番線から大口方面へ発車しようとする「横浜線の電車」があったとします。ホーム端に「無線切替」の標識がある通り、乗務員が無線切替を行なった時点で、指令の上では「横浜線の電車」になっています。しかし、進路制御のシステム上はあくまで、この時点ではまだ、この電車は「京浜東北線の8両編成の電車」ということになるかと思います。
※指令を「名(名目上の)」、進路制御を「実(実際の)」とすれば、この時点では「名ばかり横浜線(の電車)」といえます。
というのは、システム(東神奈川の進路制御を担う、東神奈川のATOS)としては「橋本」や「八王子」がどこにあるかも、その着時刻も知らない、それでも、この「電車」の行先は「橋本」や「八王子」で、東神奈川の発時刻までは知っている、という状態のはずだからです。
この状態で、「京浜東北線の電車」として、東神奈川のATOSによって送り出されたのち、横浜線の最初の閉そくに進入し、橋本のCTCにポッと現れた時点で、名実ともに「横浜線の電車」になる(管轄が完全に移る)のだろうと思われます。同時に、ATOSとしては、送り出した後のことは一切、知らない、ということになるはずです。
さすがに、万事この調子では困るでしょうから、東神奈川の進路制御はATOSであるものの、何らかの冗長的な設備(※)によって、指令の置かれている橋本でも在線が見えるようにしてあるのだろうと思います。
※幕張や千葉([2053]、特に[2350]に詳しい)とも似ています。
※「冗長的」とは、(橋本から見て)直接、検知するわけでなく、別の装置(東神奈川のATOS)が検知した在線情報を(橋本からも)参照だけできるようにする、という意味です。コンピューターのファイルの読み書きで言えば「読み取り専用(Read Only)」に相当します。書き込みの権限(=信号やポイントの制御)は東神奈川の駅だけが持つ、ということですね。
なお、「逆もしかり」かどうかは、わかりかねます。わからないので概念的な話になりますが、いくら東神奈川が特殊とはいえ、自動化を志向しているATOSですから、「自システムでは管理を行なわないが、参考のために、橋本のCTCが検知した在線情報も参照する」という人間的なことをする必要があるかといえば、必要ないでしょう。それでもしているとなれば、それは自動化できているといえるのかどうか、という話になってくるのではないかと思います。
りんかい線では「JR大崎接近列番」(※)という、どちらからどちらへの情報なのか曖昧な、よくわからない情報を、りんかい線のPTCとJR側とで送受信(向きは不明)している、とあります(京三製作所の資料によります)。
※ひどい名前です。これでわかるというのも、わかるからいいんだというのも、おかしな話です。わかっているのは、いま担当している人だけで、人が代わるたびに「これ、何?」と、戸惑うわけです。最初から、誰でも間違いなく理解できる名前をつけておくのが(本来は)鉄則だと思います。
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