フォーラム - neorail.jp R16
発行:2016/3/11
更新:2018/5/20

[3188]

「3000億円」の耐震補強 その後


(約4000字)

 補足です。

・このサイト「【羽田空港アクセス線】 休止中の貨物線を活用、羽田空港乗り入れを検討」(2014年9月16日)
 http://atos.neorail.jp/atos3/news/news_140820.html

 > 鉄道(JRの在来線、私鉄など)の耐震補強については2017年度までに概ね完了させるという目標年次が明示された。
 > Googleストリートビューで確認したところ、2013年7月現在、休止中の貨物線の高架橋柱の耐震補強は行われていない。並行するJR東海の新幹線回送線(大井回送線)については、耐震補強が完了している。
 > 同社は首都圏の在来線について、2012年7月より5年間で3000億円を投じる規模で耐震補強を進めているが、休止中の貨物線は計画の対象外である。

 その後、Googleストリートビューの最新の画像で、休止中の貨物線についても一部の高架橋柱で鋼板を巻く方式で補強された箇所があることがわかりました。さすが、「2017年度までに概ね完了」というのも、それなりに間に合いそうな気配です。

・Google ストリートビュー 「京浜運河」付近(2016年1月)
 https://goo.gl/maps/Sz7oLTsUXQ12

 この地点では、道路との交差部では補強が行なわれない一方、京浜運河にかかる橋梁(へのアプローチとなる橋げた)を支える(陸上の)ラーメン構造のソレの一部が、とってもピンポイントに補強されているようすが見えます。さすがです。

・Google ストリートビュー 「都道316号線」「高浜架道橋」付近(2014年6月・2014年7月)
 https://goo.gl/maps/FmDbtxMH1kR2
 https://goo.gl/maps/DRKGLqD7DRx

 この地点では、まさに2014年6月から7月の間に、高架橋柱の一部に鋼板を巻く補強工事が行なわれたことがわかります。しかし、隣(画像中の右側)の新幹線回送線の柱は上から下までぐるぐる巻き(俗にいう「カッパ巻き」…いえ、「鉄板巻き」)ですが、休止中の貨物線では、列車が通らないことを反映してか、柱そのものの損壊を食い止めるために最低限の補強をしたようにも見受けられます。現時点では、あくまで構造物が損壊して道路をふさがないようにという補強のみが行なわれた状況といえ、仮に、この線路が再び列車の運行に使われるときには、改めて列車の荷重に相応の補強が追加で行なわれるとみられます。

・Google ストリートビュー 東京都港区(2014年5月・2015年4月)
 https://goo.gl/maps/y3boM99wqGu
 https://goo.gl/maps/5zAmjBG4yy12

 この地点では、コンクリートの表面を塗り直すソレ(劣化を遅らせるソレ?)が施工されているのがわかります。健全性の調査も行なわれたのではないかと推察されます。ぬかりありません(あったら困りますが)。

・Google ストリートビュー「都道480号線」付近(2013年7月・2015年4月・2009年11月)
 https://goo.gl/maps/uTstgTWHEju
 https://goo.gl/maps/YoA5wBpvUw62

 この地点では「鉄板巻き」が完工しています。

 と、ここまで見てきまして、では休止中の貨物線も「3000億円!」での耐震補強の計画に入っていたのかなぁ(図が小さいので見落としたのかなぁ)と心配になって見直してみましたが、やはり休止中の貨物線については図示されておらず、文字での記載も見られません。金額の大きい「ぷろじぇくとっ!」ではなく、通常の土木構造物の保守の範囲内(の金額)で細々と、しかし、どこを優先して補強すべきかについては、上越新幹線のソレより前からたいへん確かな基準をもって取り組まれてきた、その知見が最大限に発揮されているように見受けられ、端的にとっても頼もしく見えてきます。

・JR東日本「大規模地震に対する取り組みについて」(2013年3月5日)
 https://www.jreast.co.jp/press/2012/20130307.pdf

 5ページの図で、鶴見とも何ともつかない場所で高架橋柱と(橋梁の)橋脚の補強をしているとの記載があり、ここかなぁ、といってストリートビューで訪れてみます。

・Google ストリートビュー 「鶴見川」付近(2015年4月)
 https://goo.gl/maps/aErVqfVMcGC2

 橋脚の補強工事をしているかのようなようすが見られます。

 休止中の貨物線に戻りますと、確かに「3000億円!」ではなく、営業線でないということで基準が違うのだろうと確かに推測されそうな箇所がございました。

・Google ストリートビュー 「若潮ガード」(2015年4月)
 https://goo.gl/maps/peJuyGq8LSp

・同「若潮橋旧橋上部撤去工事」(2013年7月)
 https://goo.gl/maps/VWXBac7ndto

・同「若潮橋旧橋撤去工事及び新橋下部工事」(2016年3月)
 https://goo.gl/maps/dEZcSNCH3DE2

・東京都第二建設事務所「道路の整備」
 http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/niken/doro-seibi.html

 > 若潮橋は、品川埠頭(品川区東品川五丁目)と大井埠頭(品川区八潮一丁目)を結ぶ主要物流路線の橋梁として、昭和41年に築造された橋梁です。
 > 現在、臨海部における物流ボトルネックの解消や、橋の老朽化と耐荷力向上を目的に架け替え工事を行ってます。完成する新しい橋は3径間連続鋼箱桁橋となる予定です。

 すぐ脇では道路の橋をかけ替える工事が進む中(※直接の関係はありません)、(旧国鉄としては)一体のガードである「若潮ガード」の、橋げたの落下防止工が、新幹線回送線(画像中の左側)には施工されながら、休止中の貨物線(同、右側)にはありません。この状態で、未施工の橋げたがどのような挙動となるのか、ちょっと想像がつきません。

※ガードとしては4線分が一体で設計されているはずなのに、それを東日本と東海で「はんぶんこっ!」というのは無理があると、土木だけを見れば感じないでしょうか。

・(参考)「橋りょう耐震補強」
 http://www.trust-gr.com/service/construction/bridge/reinforcement/

 > 落橋防止装置は、既設構造物がレベル2地震動(50?p/c※以上規模の地震波)に相当する揺れに対応するよう設置をする、耐震および制震装置を指します。経済性の観点からライフサイクルコストを考慮し、既設橋りょうに特定の装置を設置することで平成8年度版の道路橋示方書に準拠する耐震性能を確保します。平成17年度から同19年度には、緊急輸送路上に位置する橋りょうに順次、落橋防止装置の設置と橋脚補強が施され、その後も、自治体などの管理者によって、各路線上の既設橋りょうへの落橋防止装置の設置が推し進められてきました。当社においても、落橋防止ケーブル(チェーン)などの設置に携わり、橋脚や橋げたにブラケット(支持具)を設置してきました。設置に際しては既設の躯体に、あと施工アンカーを打設することから、事前に配筋状態を確認する鉄筋探査から実施し、ブラケットの定着までをおこなっています。

 「あと施工アンカー」って、ちょっとコワイですよね。鉄筋を切断しちゃいました☆、とはいえません。図面があっても図面をうのみにはできず、結局、その都度、非破壊で探査するんだといって、いえいえいえ、だから図面はどうでもいいんだとはいわれません。難しいですね。


 なお、春休みですので再度のソレをば。

[2913]
 > 休止中の貨物線について、徒歩や自転車で見学しようとなさる方もいらっしゃるかと思いますが、おやめになることをおすすめします。この地区の道路は大型車両の通行が多い一方、通常の街路のように歩行者や自転車が通行することは、ほとんど考慮されていません。
 > Googleストリートビューで、現地を訪れた気分になりましょう。

 お子さまが「かもつせん」を見に行く、と言い出したなら、全力で止めるのがスジだと早合点しておいて間違いはないでしょうと確信されます。これはもう、ウソも方便、「***に***れて***に***れるぞぉ!」などなど、昔ながらの映画やドラマのソレ(コンテナふ頭で繰り広げられる「活劇!」)を持ち出して震え上がらせるのも「1つの手」(あくまでご家庭内におかれまして、の意)ではないでしょうか。空間や状況に対する認識を鋭く持つ、すなわち「近づいてはならない気配」のようなものを自分で感じ取れるように育ってほしいですね、わかります!


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