|
(約2000字)
7日、国土交通省で行なわれた交通政策審議会「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」で、いわゆる「次期答申」の案がまとめられ、公表されました。答申案は、全文が国土交通省のホームページで閲覧できます。
・東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(案)」(2016年4月7日)
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/tetsudo01_sg_000253.html
http://www.mlit.go.jp/common/001126948.pdf
この新しい答申は、2030年度までの15年間における東京圏での鉄道整備について、一定の方針を示すものです。これまで、答申に盛り込まれても実現していない路線もあり、また、答申の案では、ほとんどの路線について、事業の採算性を厳しく精査するよう求めています。
▼東京都中央区、江東区などが要望していた臨海部の新線と、つくばエクスプレス(TX)の延伸線の一体的な整備を検討するよう求めています。
▼成田空港駅と空港第2ビル駅について、「二重改札の解消」に向けての取り組みを求めています。その一方、成田空港高速鉄道や成田高速鉄道アクセスの線路について、複線化や複々線化を盛り込んでいないことから、土屋経由のJR成田空港線、それに完成から50年を迎える東成田線の2020年以降の動向が引き続き注目されます([3183])。また、成田市では「土屋新駅」の早期の完成を要望しているということです。
▼羽田空港アクセスについて、休止中のJRの貨物線とりんかい線(東京臨海高速鉄道)、それに新設するトンネルからなる路線が、ストックの有効活用になるとしています。この計画では、緊急輸送道路と交差するJR線の構造物の耐震補強が急がれていましたが([2913])、営業線としての整備を前提とした補強は行なわれていないとみられています([3188])。答申の案では、久喜駅でJR線と東武伊勢崎線の間に連絡線を整備することを検討するよう求めていて、東京圏の鉄道整備に関する答申で北関東について直接、述べられるのは、初めてとみられます。これに先立ち、貨物の流動調査では北関東が含められるようになっています。旅客については昨年秋、群馬県と栃木県の一部の自治体で「パーソントリップ調査」([3130])が行われており、これとあわせ北関東の鉄道の利便性を確保する取り組みにつながることが期待されます。なお、JR線と東武日光線の間では、栗橋駅の連絡線によるJR新宿−東武日光・鬼怒川温泉間の特急が運行されています。
また、▼東急多摩川線とJRの蒲田駅、京急蒲田駅と京急空港線の大鳥居駅の間を結ぶ、通称「蒲蒲線」について、「軌間の異なる路線間の接続方法」の検討を期待するとしながら、東急多摩川線から羽田空港までの相互直通運転を求めていることが注目されます。
▼大宮駅では、東武大宮駅の移設を行なうとしています。昨年度、2015年度に「大宮駅配線改良計画」に関する計画業務が発注されていたことから、動向が注目されていました([3156])。
▼都営大江戸線(光が丘−東所沢間)、それに多摩都市モノレール(上北台−箱根ケ崎間)について、延伸線の建設の前提となる道路の整備が進んだことを受けて、延伸線の検討を具体化するよう求めています。
採算性を問いながらも新線や延伸線の整備が盛り込まれる背景には、都心部での混雑緩和が進まない現状があります。答申案では、2030年の人口動態(夜間人口と従業人口)の想定から、現状の鉄道網による現在と同じ輸送力では、▼ピーク時の混雑率を150%以下にすることが難しく、▼大手町、豊洲、東京、渋谷、新横浜などの駅で利用者が大幅に増加すると推計しています。そして、▼オフピーク通勤の推進なども求めながら、都心部ではなお、新線の建設を検討すべきであると結論づけています。
|