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「羽田空港アクセス線」構想につられる形で、メディア各社とも中途半端な記事が「量産」されているように感じるきょうこのごろでございます。
※…といいながら、私もちょっとつられてみようかと思います。
・日経BP「旅客化か廃止か、東京の貨物線はどうなる」(2014/10/8)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/news/20141008/679369/?ST=print
貨物線だからといって十把ひとからげに「旅客化」を云々するのは賛同しかねます。「羽田空港アクセス線」構想は、貨物線の「休止中の区間」を活用(して、耐震補強の費用をペイ)しようという施策であることに注意が必要です。
これに対し、現役の貨物線は、貨物線として重要な役割を担っているのです。いくら貨物列車の本数が少なくても、例えば、越中島支線を廃止したり、LRTに転換するためには、ロングレールの溶接を行なっている工場(東京レールセンター)を、どこか別の場所に移転しなくてはなりません。ロングレールのもととなるレールの搬入に便利で、製作したロングレールを各線区に向けて送り出すのに不都合もない場所というのは、そうそうあるものでもありません。
> この路線をDE10形ディーゼル機関車が引く貨物列車が1日数往復走っている。越中島貨物駅構内にあるJR東日本の東京レールセンターから各地へとロングレールを輸送する。
ダイヤ上、「1日数往復」が設定されていても、実際に「毎日運転」されるかどうかは別の話です。そんなに多くは走っていないはずです。だからといって、この線路がムダであるということには直結しないのです(前述)。
> 江東区は05年のLRT基本構想策定調査報告書で長期的な構想として位置付けた。検討区間は亀戸駅から新木場駅までの約6km。LRTと貨物線で路線の共用することに加え、安全性の確保、貨物線の運行を維持しながらの工事といった課題を挙げ、運行管理や構造・工法面の検討が必要との見解を示した。
自治体としては、例えばJR側から「東京レールセンターがあるので困難である」と回答されたとすると、それを鵜呑みにしてしまい、「LRTと貨物線で線路の共用」といった非現実的な検討課題をつくりあげてしまうのです。東京レールセンターが現在地に立地することの要件は何か、要件を満たさなくなったり、よりよい立地が見つかって東京レールセンターが移転することはないのか、といったことを、根掘り葉掘り聞きに行くようでなければなりません。
・全溶
http://aw-zenyo.co.jp/
・新日鉄住金「世界最長となる鉄道用 150mレールの製造・出荷体制を整備」(2014/4/16)
http://www.nssmc.com/news/20140416_100.html
> 鉄道用レールは、圧延後レール長25mを標準として最長50mに切断して出荷しています。
> 鉄道事業各社は、レール継目を溶接してロングレール化するなどの改善を各社ごとに行っています。
> 今般、八幡製鐵所において150mレールの取扱いを可能とする、精整ヤード、クレーンなどの設備対策を実施し世界最長となる鉄道用150mレールの製造・出荷体制を確立しました。これによって、鉄道事業各社におけるレール溶接数削減等による線路保守作業の軽減に加え、より一層の軌道安定化に貢献するものと考えております。
・産経デジタル「150m鉄道レール切断不要 新日鉄住金、5月下旬に初の運搬試験」(2014/5/6)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140506/bsc1405060500003-n1.htm
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140506/bsc1405060500003-n2.htm
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140506/bsc1405060500003-n3.htm
> 世界的にみても、製造・出荷されるレールの長さとして150メートルは最長だ。
> 同社は、海外でレール・車輪ともに10%のシェアを持つが、もともと旧新日鉄がレール、旧住友金属が車輪で国内で高いシェアを持っていた。
> レールは8割が海外に輸出され、北米や豪州、ロシアなどの長距離・高荷重の路線に使われている。
・YouTube 八幡駅およびスペースワールド駅で撮影された、150mレール専用貨車の性能試験のようす(2014/5/20)
http://www.youtube.com/watch?v=yos1cJireOs
この専用貨車で運べない場所へは、専用のレール輸送船によって運ばれるとのことです。
・住友商事「長尺(150メートル)レール輸送船の新造整備について」(2014/4/23)
http://www.sumitomocorp.co.jp/news/detail/id=27837
> 従来は輸送に使用する船舶の構造的な制約から、長尺レールを6分割して輸出せざるをえませんでした。
> 本船は、全長が約190メートル、積載重量が23,000トンです。155メートルのホールド※注1)および3基のクレーンを装備する世界初の船であり、多種多様な船型に強みを持つ株式会社新来島どっくにて建造され、2014年8月に竣工する予定です。
・新来島どっく「2014年8月に竣工しました。」(2014/8/29)
http://119.245.213.168/news/archives/2014/08/post_224.html
> 2014年8月竣工船
> 船名:PACIFIC SPIKE
> 船種:レール運搬船
> D/W:23,000t
> 建造工場:大西工場
とのことで、無事に進水し、名前がついたようです。おめでとうございます。
海運業界には詳しくないので恐縮ですが、鉄道でいうところの試運転や習熟運転に相当する訓練などにある程度、期間が必要だろうと思います。(また、それを見込んで竣工時期も決められているのだろうと思います。)2015年4月といったキリのよい時期からの実運用となるのかどうか、よくわかりませんが、そういったタイミングで、こんどは「国内初、世界最長となる150mレールを海上輸送」(※)というニュースがリリースされてくることでしょう。どこの国や鉄道会社が第1号のお客さまになるのでしょうか、楽しみですね。
※あくまで「世界最長」(トップに並んだ)ということで、「世界初」ということではないんですね。
東日本でも、専用貨車での搬入となれば、もはや越中島貨物駅の出番はなく、横浜羽沢(※)なり越谷なりといった既存の大きな貨物ターミナルに併設させる形でレールセンターを設けることになろうかと思われます。あるいは、国内であっても大型船に対応した貨物港を使っての搬入となれば、鹿島なり日立なりといった立地のほうが望まれてくるのではないかとみられます。
・茨城県「いばらきのみなと」
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/doboku/kowan/sitetop1/port-ks.htm
※まさか、とは思いますが、この関連で相鉄・JR直通線の工事が遅れた、ということがあったりするのでしょうか。あれだけ大幅に工期が延びるには、あくまで想像ですが、例えば、連動装置の設計がやり直しになったとか、最悪、メーカーで製作に入った後で配線変更の要求が出てきて御破算になったというくらいのことがあってもおかしくないと思います。
まさに、鍛冶屋がふいごを吹けば(設備を一新させれば)貨物線がもうかる(旅客化できるかもしれない)という、バタフライな話といえます。
・バタフライな話
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E5%8A%B9%E6%9E%9C
江東区の構想も、初期値(検討の前提となる条件の捉え方)がちょっとおかしかったことで、最終的にたいへんおかしな解(見解)を出してしまっているという意味では、バタフライな話といえます。
・新日鉄住金「東田たたらプロジェクト」
http://www.nssmc.com/works/yawata/csr/tatara/index.html
> たたらとは砂鉄から鉄精錬する炉、またはそのうちの、足を踏んで空気を送るふいごの部分のことを指します。
ところで、冒頭に挙げた記事の最後の図が興味深いです。
> 北王子線(東北線支線)の位置と周辺の貨物列車が走るルート(赤線)。青の点線は旅客列車のみが走るルート。□はコンテナ取扱駅、△は信号場・操車場、●は車扱取扱駅(資料:JR貨物)
JR貨物としての路線図ですね。その観点では「青の点線」は、JR貨物が免許を持たないので、JR貨物としての貨物列車の設定はない(「貨物時刻表」にない)が、JR東日本によって臨時の貨物列車を運行することも可能である(要相談)、という線区だろうと思います。ロングレールや新車の輸送などが該当するはずです。
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