Googleの「AIによる概要」で誤った内容が表示される事象について
デシベル 探検隊 綱引 騒音対策 松戸市 特急料金 分単位 運賃収受 毎時
1年前のことを、みなさまどのくらい覚えていらっしゃいますでしょうか。2014年1月3日、有楽町駅付近の沿線で火災が発生し、東海道新幹線に大幅な運休が生じました。 ・日経電子版ライフ 東京ふしぎ探検隊「有楽町火災で露呈 新幹線品川折り返し増やせぬ理由」(2014/1/17) http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1503S_W4A110C1000000/ > 火災が発生したのは午前6時30分ごろ。JR東海は午前6時36分ごろから東海道新幹線の運転を見合わせた。正午前に運転を再開したものの、遅れは終日続いた。夜になっても遅れは2時間を超えたという。上下線で91本が運休、15本が区間運休となり、遅れは238本に及んだ。 > JR東海は午前10時過ぎから、品川駅での折り返し運転を始めている。合計で7本の臨時列車を走らせた。ただし1時間に2本のペースにとどまり、1時間に10〜13本というダイヤをこなすには力不足だった。品川での折り返しがもっと多ければ……。そう思った人は多いだろう。 > 品川駅での折り返しについてJR東海に尋ねたところ、「乗客の移動、乗務員の手配、車両の点検や整備などを考えると、30分に1本がやっとでした」との答えが返ってきた。 > JR東海は今回、名古屋駅から新大阪方面への折り返しを実施したものの、わずか1本にとどまった。折り返し能力の低さに加えて、「東京方面に向かう乗客が多いので、新大阪から名古屋まで走ってもあまり意味がない」(同社)側面もあるようだ。 以降ぐじゃぐじゃと説明されていますが的確とはいえません。「鉄道ジャーナリストの梅原淳さん」の解説がありますが、現場の視点のみにとらわれている感があり、考察として十分ではありません。新幹線品川駅の開業の経緯にも触れられていますが、蛇足といえます。「東京ふしぎ探検隊」という低い位置付けの記事だからいいんだ、というのであればとんでもない話で、読者をミスリードすることが許されないのは本紙(日本経済新聞の紙面)と変わりありません。 本当の問題は、新幹線の営業運転が午前6時から午後12時までに限定されているため、早朝から車両を出庫させておくことができない(朝6時以降の「新幹線のラッシュ」の最中に、隙間を縫って出庫させるしかない)ことにあるとみられます。設備上、品川で毎時4〜5本くらいの折り返しはできて当然で、輸送力を確保することを最優先すれば車内清掃は省略しても大丈夫でしょう。なぜできなかったかといえば、折り返ししようにも車両(列車)が本線上になかった(まだ車庫から出ていなかった)ということが最大の原因といえます。 この「午前6時から午後12時まで」という制約について、一般には「法令で定められている」(※)と思われていますが、これはいくつかの意味で正しい理解とはいえません。 まず、この制約は以下のように、騒音対策の観点で明文化されている部分があります。 ・環境基本法(旧公害対策基本法)に基づく環境省の告示で、新幹線の騒音を「75デシベル以下」に収めることとしている ・住宅地(※)にあっては「70デシベル以下」に収めることを目標とし、これを適用するかどうかは沿線自治体が個々に告示する(「環境基本法に基づく騒音に係る基準の類型を当てはめる地域の指定」) ・東海道新幹線の全線で「新幹線鉄道騒音に係る当面の75デシベル対策」(いわゆる「75デシベル対策」)が進められ(〜2010年度)、2011年度の調査で達成が確認された ・新幹線の目標騒音レベルは、「午前6時から午後12時まで」に適用される ※新幹線鉄道周辺区域のうち第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域及び準住居地域並びに都市計画区域内の用途地域の定めのない地域 ・環境省「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」 http://www.env.go.jp/kijun/oto3.html ・環境省「東海道新幹線に係る新幹線鉄道騒音の75デシベル対策達成状況等について(お知らせ)」(2012/5/24) http://www.env.go.jp/press/15256.html 75デシベルという目標値は、在来線相当、もしくは少し(5デシベルほど)足の出るくらい、というものだと思います。この目標値を決める裁量は行政にあり、技術動向や社会情勢を考慮して決定されます(ということのはずです)。鉄道事業者に対しては、いわば「敵」となる役回りを演じるのが環境省で、このような法的根拠のある「綱引き」によって、トレードオフのある問題にその時点その時点で現実的な解が与えられていくという仕組みです。よくできている、といいますか、トレードオフ(利益相反)である以上、こうするしかないですよね。目標値を鉄道事業者が「自己申告」すれば甘くなり、環境省が強すぎれば新幹線の高速化にブレーキ(比ゆ的な意味で)がかかってしまいます。 ※そこでまた区切りが「5デシベル」刻みでいいのか、という話([2988])もありますが、それはともかく。 ・(参考)松戸市「騒音・振動の大きさの例」(2013/11/25) http://www.city.matsudo.chiba.jp/jigyosya/seikatu/souon/ookisa.html 明文化されているのは上記だけで、逆に、以下のことは明文化されていません。 ・目標騒音レベルを「午前6時から午後12時まで」だけに適用する合理的な根拠 ・「午前0時から午前6時まで」における「新幹線」(列車としての)の運行の可否 ・「午前0時から午前6時まで」に「新幹線」(線路としての)に求められる目標騒音レベル ・「午前0時から午前6時まで」に運転される「新幹線」(線路としての新幹線で運転される列車)は「新幹線」(列車として)なのか(新幹線の運賃・特急料金を適用できるか) 法令を定めるのは誰か、と考えれば自明ですが、これは私たち(主権者)が決めたことであります。具体的に、どの法令にどう書かれているかを自分ではいっさい見ないまま、なんとなく「法令で定められている」と理解(誤解)してしまうことは、たいへん危ういことです。私たちが決めたことは、私たちがともに責任を負っているのです。他人事ではありません。 新幹線に関する「午前6時から午後12時まで」という制約は、合理的な根拠があって未来永劫かわらない普遍的なもの、というわけではなく、当座の暫定的な解決策だったといえます。いわば、少し上の世代の人たちが後回しにしてきた、一種の「宿題」なのです。この「宿題」を、いくらなんでもそろそろ、解いていってもよいのではないでしょうか。 とはいえ、このような、明文化されていない「微妙な話」は、当事者としては言及が避けられるというのも、想像に難くないことです。だからといって、取材したり研究したりする側までが、当事者然として「微妙な話」扱いをすることを(当事者から陰に陽に)迫られるというのは、望ましい状態ではありません。だからといって何でも無遠慮に書き連ねればいいのかといえば、当事者間の微妙な関係にさざ波を立てて悪化させかねず、それもまた無責任になりえます。 ・「陰に陽に」 http://www.weblio.jp/content/%E9%99%B0%E3%81%AB%E9%99%BD%E3%81%AB (会社は東日本と東海で違いますが)江東区が聞けば「東京レールセンターがあるので」と答え([2955])、千葉市が聞けば「運賃収受の問題があって」と答える([2963])のと似たようなものです。記者としては、話を聞きに行く前に「微妙な話」の存在に気づかなければなりません。読者としても、いろいろな事情からあえて触れられなかった問題を、ことさらにつつくことまではせずとも(むしろしないでいただきたいですが)それとなく感じ取れるような、幅の広い知識を身に着けておきたいものです。 なお、開業50周年というめでたい話の最中に、盛り下げるような話を書くのも気が引けるくらいには私も新幹線に愛着がございますので、この話をこの時期にひっそりと書くことにしましたことを申し添えます。 ・JR東海「東海道新幹線 開業50周年記念サイト」 http://shinkansen50.jp/ ・同「新幹線のダイヤは分単位ではない?」 http://shinkansen50.jp/trivia/trivia_10.html > 例えば、「こだま」が「のぞみ」の通過待ちでA駅に停車したとします。そして3分15秒停車すれば「のぞみ」が通過し、「こだま」が発車できるとします。そこで15秒単位の運行なら「こだま」は3分15秒停車してすぐ発車できますが、分単位の運行だとA駅に4分間停車しなくてはなりません。つまり45秒、無駄になるのです。たかが45秒ですが、されど45秒。積もり積もれば大きな数字になってきます(この段落に登場する数字はすべて仮のものです)。 じゃあ1秒単位にすればいいじゃない、と、子どもに指摘されてタジタジさせられるんですね、わかります。微分・積分で数学や物理の話ですが、それがわからなくても(子どもでも)鋭く指摘できたりするものです。 ・「タジタジさせる」「たじろがせる」 http://thesaurus.weblio.jp/content/%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B http://thesaurus.weblio.jp/content/%E3%81%9F%E3%81%98%E3%82%8D%E3%81%8C%E3%81%9B%E3%82%8B ※「積もり積もれば」って、「ちりも積もれば」と書いたのを「「お客さま」にとって貴重な「お時間」を「ちり」ヨバワリするとはナニゴトか」といって書き直されたとみるのは、ウガチすぎでしょうか。 ・「うがちすぎ」 http://www.weblio.jp/content/%E3%81%86%E3%81%8C%E3%81%A1%E3%81%99%E3%81%8E ・同「【27】品川駅開業(2003年)」 http://shinkansen50.jp/history/history_27.html > お客様のお使いになる駅が分散し、東京駅の混雑緩和にも繋がっています。 奥ゆかしい([2911])品川新駅ですね。ほんの一文ですが、これこそが品川新駅の最大の効果といえましょう。始発列車がとんと設定されないからといって品川新駅に意味がないだなんて、そんなことはないのです。 ・同「線路保守を行う「双葉鉄道工業」からありがとう!編」 http://shinkansen50.jp/thanks/thanks_02.html > 工事を行うのは深夜帯です。沿線の皆様には多大なご理解とご協力を賜り、誠にありがたく思っております。また普段から沿線のお宅へお伺いし工事について説明させて頂く、広報活動を行っているのですが、その際にねぎらいのお言葉を頂戴することがあり、ありがたく思うと共に励みになっております。 > 沿線にお住まいの方から工事以外でも沿線で何かあった際にご連絡をいただくこともあります。東海道新幹線の安全を守る我々にとって、こうしたご連絡はありがたいの一言です。 見る限り、この特設のサイト上に「75デシベル対策」の項はありません。この対策はあくまで環境省の案件だ、ということなのでしょう。
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