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よく「諸外国と比較して『わが国』は○○年遅れ」といった表現がされますが、私的(わたしてき)には「何をおっしゃいますか」と常々、感じています。というのも、「諸外国」などというものはどこにもなく、具体的にイギリスがあったりドイツがあったりするだけなのですから、各々の成り立ちをきちんと理解しなければいけないと思うのです。そして、なぜ、いま、そうなっているのか、を理解して、そこにかつてあった原因や課題が「わが国」でも同じであるので同じ解決策を導入しようとするのであれば合理的ですが、見よう見まねで、形だけを「諸外国」に合わせようとする、そして「追い付いた」などと思っているようではいけないと思うのです。
原因に対して合理的な解決策を求めていけば、国や時代によらず、解決策は似たものになってくるはずです。また、前例がなくても解決策を作れるようになっていくことが重要([2938])で、どこかの誰か(≒「諸外国」)が解決策(問題の解き方)を作ってくれるまで自らは何もしない(≒不作為)というのでは、いつまでも何か先進的なものについていくだけのフォロワー(従属者)の立場に留まるということを意味します。それでいいんでしょうか。
それを踏まえまして、とはいえわかりやすく、「諸外国」との対比によって現在および将来の日本国内における鉄道の環境というものをちょっと考えてみましょう。
・[2967]
> ・京急2100形
> 何らかの方法で座席のグレードを下げて一般車(特急券不要)の特別快速として運用する(そのまま、ラッシュ時はライナーとして、これまでのように整理券方式とする:京急の2100形に近いですね)
> 185系でいまさら「特急」とはいえませんし、特別快速ともライナーともつかない上述のような列車が、まずは185系でスタートし、後からE257系になっていく(そして「大増発!」という)のかな、と
車両メーカーとしては既に豊富なノウハウを蓄積しており、日立のグローバル市場向け(というより、サービスが「成熟」した地域向け、といいましょうか:新興国向けとは、ちょっと方向が異なるかと思います)標準車両を見ても、この手のハイブリッドなインテリアはあたりまえのように用意されています。とはいえ、日本国内では発注されない限りは提案もしにくいだろうと思われ、発注する側が「通勤型は新津で造る」「特急型だけ他社に造らせる」という硬直的な体制となっている限りは、上述のような施策は夢のまた夢といわざるをえません。
・日立「英国市場向けに開発したセミ・オーダーメイドタイプの標準型近郊車両「AT-200」を公開」(2014/7/22)
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2014/07/0722.html
> 今回公開したAT-200は、近郊車両であり、営業速度は時速約200km/hまで対応できます。車内には、クロスシート、荷物置場、テーブルなどを設置し、また、出入り口は片側2箇所としており、通勤ラッシュのピーク時における主要駅での停車時間を60秒から90秒の範囲に収めることができます。さらにAT-200は、走行する路線に応じて、1編成あたり3〜12両とすることが可能です。
成田エクスプレスがどうのこうの、エアポート成田がどうのこうの、といっている状況([2967]など)からすると、何といいましょうか、くらくらと、めまいがするほど合理的で柔軟(フレキシブル)です。
> 加速度 1m/s/s
> 車両長 23m
> 電源方式 AC25kV、DC 650 - 750V
> 運転台 非貫通型
※1m/s/s=3.6km/h/s。東京メトロに乗り入れる車両の加速度3.3km/h/sを上回ります。
割高な貫通型の先頭車両で分割・併合だなんて非合理的な、そんなもの(※)、ということですね。分割・併合のうち併合のほうは、需要が多い区間で乗務員を節約しようという策にほかなりません。併合などせず、列車本数を増やせばいいのです。あるいはATOで自動運転すればいいのです。また、最低3両からとしていることには、▼割高な両運転台車両を造らない、▼(今後も増加すると見込まれる?)各種の車載機器の搭載スペースを確保するために必ず中間車1両を必要とする、▼編成としての走行安定性(脱線時の挙動など)を考慮している?、などの合理的な理由(いわば「学問的エレガンス」[2938]にのっとった※)があるとみられます。
※いいかえれば、「まあまあ、そこまでしなくても」「それはまたこんど」「このくらいでいいんじゃないの?」といった鉛筆的なもの(「上のほう」が経験的に決める)を極力、排除しようということです。
それなのに、発注する側が国鉄以来の硬直的なポリシーのまま、「需要が少なければ短編成化(1両や2両に)する」としていては、車両メーカーが用意する3〜12両の範囲で編成長によらず単価が一定(短編成でも割高にはならない、とみられます)というメリットを享受できず、赤字がさらに赤字を呼ぶ(短編成化するために車両が割高になる)、まさに国鉄な状態に陥ってしまいます。挙句の果てに、JRバス(!)が高速バスを「大増発!」して、末端の線区の特急列車や普通列車を大幅に「見直し」(減便や廃止)するという、鉄道が持つ設備上のメリット(BRTや高速道路に対する優位性)を自ら台無しにするということにもつながっています。
日立のAT-200が対応する電源方式が、交流については25kVの単電圧対応、直流については、日本でいえば路面電車なみの650〜750Vへの対応に限定されているのも、狭い意味では欧州の現状に合わせたものといえますが、広い意味では、やがて日本も含め、成熟市場ではこれらの電圧に一本化されていく(重電メーカーとしては「していく」)ことを既に想定しているのだろうと思います。時間としては、20〜50年くらいのスパンの話になるでしょうか。
日本に視点を戻しますと、日本でも在来線の高速化(時速160〜200キロの範囲:あくまで「新幹線未満」、[2980]も参照)がもっと進められないと、20年後や30年後、「諸外国」の在来線(ともミニ新幹線ともつかない、ハイブリッドで高速な都市鉄道)と比べて大きく見劣りのする状態になってしまいかねません。いわゆる「電車」だけが走る線区では架線レス化(バッテリー化)が進むとみられます(社長が意欲を示すほどですから)が、貨物列車(=機関車)を運行する線区では架線が必須で、むしろ交流化や大容量化によって、機関車の増強(貨物列車の長編成化あるいは電動貨車化)と旅客列車の高速運転(出力増強による時速160〜200キロでの運転)をともに実現しながら、変電所のコストを削減するというアプローチが、都市近郊にまで入ってくる(いわゆる「地方の幹線は交流電化」という図式が、都市部の貨物線や複々線区間の快速線にまで及んでくる)可能性もあります。
あるいは、リニア中央新幹線の開業後、「在来の新幹線」(と呼べばいいのでしょうか)にも徹底したコストダウンが求められるほどの厳しい環境(人口減少や発送電コストの増大などによる)となってくると、むしろ在来線の設備を極力、新幹線に合わせてしまって(交流25kVにするなど:建築限界もきちんと広げ、いわゆる「新在直通」で、フル規格の車両に揃える=速度は遅くても車両が共通化できる、電圧が1本化でき車両側が簡素になる)、トータルでコストダウンしようという発想にもなってくる、かもしれません。
日立がAT-200において、3〜12両の対応(車両長23mですので、JRの在来線でいえば3.45〜13.8両に相当します)としているからには、相当のエビデンス(根拠:将来の人口動態やライフスタイル、交通量の変化、技術開発の見通しなど)があるとみられ、国際的にも、将来的にも、最長12両で十分だ、ということなのでしょう。東海道線や総武線(快速)でも、ATACSなどの導入によって閉そく長の問題を解消した上で、自動運転化によって乗務員の技量維持の問題をなくすことができれば、編成両数を柔軟に設定できるようになるでしょう。そもそも、分割・併合をなくす方向である(とみられる)ことからも、「付属編成」という概念([2966])は早々に過去のものとなる、のかもしれません。
車両長23mというのも、ええぃ、20mか25mかはっきりせぇ(=中途半端な長さで気持ちわるい)、という感覚が日本国内ではありましょうが、あえて一本化するなら23mだろう、ということなのでしょう。23mは、約75フィート(100フィートの3/4)で、人が隙間なく縦列で75人ほど並んだ長さとなり、フィートな文化圏では割と直感的な(=中途半端ではなく、気持ちのいい)長さなのだろうと思います。
・Wikipedia「フィート」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%88
・日産自動車「なるほど!縦列駐車のコツ」
http://www.nissan.co.jp/MAGAZINE/N_CARLIFE/USEFUL/050719/index.html
似たようなことは、強風時の運転規制が風速の5m刻みで定められている([2552])ところにもいえ、実は対数スケールの事象なのだから等間隔でなく対数的な境界値をとったほうがいいでしょうに、という話もあるでしょう。風速15mと20mの間の5mと、20mから25mの間の5mとでは、後者のほうが差が大きい(車体が受ける力において)ということです。「早め規制」などというよくわからない鉛筆的なもの(「このくらいしておけば大丈夫だろう、たぶん」)を導入することも、それがまたなぜか5m刻みであることも、決して合理的とはいえません。
・Wikipedia「デシベル」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AB
・鉄道総合技術研究所(RTRI) 第24回鉄道総研講演会「強風から列車を守る」(2011年)
http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0009/2011/0009000175.pdf
もちろん、5m刻みであることがただちに安全上、何か問題があるわけではなく、必ずしも風や車体強度の専門家でない現場の指令員において、間違いなく運転規制ができるようにするため、(十分なマージンを確保した上で)わかりやすくしてあるのだ、ということでしょう。とはいえ、もっと合理的に風速に応じた運転規制を行なうとすれば、音圧における「等ラウドネス曲線」のような考え方で、車両の形状や重量、線路に対する風の吹込み角度などのもろもろをいっさい勘案した「等転覆限界曲線」のようなものを作っておき、列車ごとに異なる運転規制をするということにしていくことが望まれます。
・Wikipedia「等ラウドネス曲線」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%89%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A
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