フォーラム - neorail.jp R16

Googleの「AIによる概要」で誤った内容が表示される事象について


発行:2015/12/8
更新:2017/8/19

[3139]

「いつも異なる需要に最適化して電車を運行できるよう、ダイヤをリアルタイム生成するような時代」を読み解く(自)

追加料金 車間距離 計画手法 短編成 短編成化 一方通行化 移動閉 AGT リフト


「最適化」→「適応的」
「いつも異なる需要」そして「渡し舟」
今すぐ読める参考文献

(約8000字)

 たいへん恐縮です。

・Yahoo! 知恵袋「鉄道に詳しい方教えて下さい。」(2015年12月8日)
 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11153396136

 > 「いつも異なる需要に最適化して電車を運行できるよう、ダイヤをリアルタイム生成するような時代」
 > ここがよくわかりません。
 > 異なる需要に最適化されて時刻表が組まれていると思うのですが、
 > ダイヤをリアルタイム生成のメリットとはどこにあるのでしょうか?
 > 閲覧数:29 回答数:0

・このサイト「ATOSとは → 旅客案内と運行管理」(2005年7月15日)
 http://atos.neorail.jp/atos1/system/system_2.html

 このページの記述ですね。恥ずかしながら、さすがに10年経ちますと、自分で自分に「朱っ☆」([3041]ほか)したくなります。(まことに恐縮です。)

 直接には、近年、「電気鉄道に詳しい」の『称号』を引き継がれたやのように見受けられます高木センセイ([3105])のご研究(に関するWebページ:1999年)を念頭に、しかし、実地に展開されているATOS(※)と最先端の研究とでは、かなり「落差」のようなものがあるなぁ、ということで、2005年にページを記述した時点では高木センセイを参考文献に挙げていませんでした。

※便宜的にATOSといっていいくるめますが、その実、この話の大部分はIROSでしょ、とも指摘されましょう。…いえいえ、両方ともあってのソレだということでありながら、システム上も組織上も厳然と分かれているんだ、というむずかしさがあるのではないでしょうか。

・(再掲)個人のページ※(1999年9月13日)
 http://www.takagi-ryo.ac/railways/commentary/atos.shtml

・同「快適です」(2005年1月2日)
 http://www.takagi-ryo.ac/thispage/authoring.shtml

※現在「高木センセイ」とはいえ(当時)個人として述べられた内容です、の意。いまから当時の「空気」を知るのはむずかしくもありますが、できれば「快適です」のココロも察してみたいですね、わかります! そして「Bonus」というよりは「Extra」なんではないかといって軽く6時間くらい…略。9ページ目からは「追加料金」がかかるんですっ!!

・JR East Technical Review「輸送システムの現状と研究開発」(2003年)
 http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_5/21-26.pdf

・同「輸送管理システムの開発概要」(2009年)
 http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_28/Tech-28-13-18.pdf

・同「輸送業務支援システムの開発概要」(2011年)
 http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_36/Tech-36-11-14.pdf

 「いつも異なる需要」と「最適化」について、それぞれ補足いたします。なお、「時刻表」と「ダイヤ」については厳密に区別してください([2511])。上掲の2005年の記述では、「ダイヤをリアルタイムに生成」→「(あらかじめ印刷され配られる)時刻表が要らない(ダイヤを常にころころ変えるので「時刻表」としては用意できない)」ということをいっています。


●「最適化」→「適応的」


 2005年の時点では「最適化」という言葉しか思いつかなかったのですが、いまなら「適応的」とか「動的」とか、そういう言葉のほうが言い得ているかなぁ、と思えてきます。

 ▼単純な「需要追随」の行き着く先は「廃線」だろう(減便すればするほど「赤字」が拡大する?[2988],[3005])という話と、そうはいっても現に、▼ダイヤはたいへんよくできている([3051],[3076])という話の両方があります。

[2988]
 > 発注する側が国鉄以来の硬直的なポリシーのまま、「需要が少なければ短編成化(1両や2両に)する」としていては、車両メーカーが用意する3〜12両の範囲で編成長によらず単価が一定(短編成でも割高にはならない、とみられます)というメリットを享受できず、赤字がさらに赤字を呼ぶ(短編成化するために車両が割高になる)、まさに国鉄な状態に陥ってしまいます。挙句の果てに、JRバス(!)が高速バスを「大増発!」して、末端の線区の特急列車や普通列車を大幅に「見直し」(減便や廃止)するという、鉄道が持つ設備上のメリット(BRTや高速道路に対する優位性)を自ら台無しにするということにもつながっています。

[3005]
 > 環境の変化に対応でき、自らも環境に影響するのだという自覚のもとにサービスを計画していく、いわば新しい計画手法に基づく施策

 > いわゆる「利用意向」については十分な調査が行なわれず、また本質的にも信頼性を出しにくい調査項目である(聞き方や聞く相手によって変動が大きい)ことから、新しい列車やダイヤを開発していく方向の施策は打ち出しにくいのでしょう。

 > あらゆる計画手法の開発が国鉄末期で途絶えているのだとしたら、毎時2本への減便というのは、やがて路線の廃止を目指さずとも促していく(廃止になってもしかたがない、という雰囲気づくりとなる)、「赤字ローカル線」を「フェードアウト」させるための手法そのものといえます。川越線を廃止したいのでしょうか。いえ、そんなこと(減便すればするほど利用客が減っていき、最終的には廃止につながる)は一切、考えもせずに、ただひたすら機械的にそろばんを弾いただけなのでしょう。

[3051]
 > (現に実施された)ダイヤは「流動特性と密接に関係」していて、路線全体もしくは最混雑区間については、事業者や国などが調査の上、事業者の計画部門が(勘ではなく、いわば「データドリブン」で)ダイヤグラムを決定しているわけです。逆に言えば、大まかな混雑状況については、現地を見たことがなくてもダイヤを見ればわかるといえます。

[3076]
 > 「カンピューター」

 現状では、▼ある年次においてパーソントリップ調査や貨物流動調査を実施、→▼その後の需要の変動を、毎年実施の別の統計や、追加の調査などにより推計、→▼需要に基いたダイヤが作成される、という流れのようですから(すべて実施者が異なりますから、このプロセスの全体に責任を持つような人はどこにもいないはずです)、必然的に、需要を調べた時点と、現にダイヤを実施する時点では、かなりタイムラグが出ます。このタイムラグを最小にしたいですよね、という話がありましょう。

 どこまで小さくできるかといえば、「究極のデマンド型交通」の発想では「ほぼゼロ」だということです。需要に対して、ダイヤ(輸送サービス)が「リアルタイムに生成される」とは、逆に言えば、需要がない限りいっさい運行せず、需要がありさえすれば必ず運行するという、しかし、それを「公共交通機関」とは呼ばないでしょうというギモンを抱くに十分な、つまり、運行のコストすらも「ほぼゼロ」でなければ成り立たない話ではないかと、素朴にはギモンされましょう。

 ボタンを押せばエレベーターのカゴがやってくる、待たされるとしても、あと何秒でやってくるのか、かなり正確に予想できる(いえ、「予想」でなく「計画」ですね)、というのが、エレベーターであれば現にできていますが、本当に(現在の)鉄道のような高速・大量輸送の交通に対して適用できるのか、ちょっとわかりかねます。そこへ至るための現実的で地道な研究開発のパス(道)としては、無人運転のAGT(新交通システム)で120km/hだ([3003])といったあたりから開けていくんではないかと、仮に想像しておくことにいたしましょう。

 他方で、「電車が走っているなら乗ってみたい」とか「魅力的な列車があるなら、乗るためだけに遠出したい」といった、▼公共交通のダイヤが需要を誘発する面や、▼利用者の感性的な面の定量的な評価などが、これまでほとんど検討されてきていないのではないでしょうか。利用者にとって、利用のつど、予約や申込みを迫られるというのは、たいへん負荷の高い話です。駅に行きさえすれば、やがて電車がやってくるので乗ればよい、というのは、実はたいへん「人にやさしい」(心理的な負担をかけない)こと…なのかもしれません。歴史的にも、こうした部分に応えるために「公共交通機関」(古くは乗合馬車!)が発達してきたんだとも読み解かれましょう。

・ウィキペディア「乗合馬車」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%97%E5%90%88%E9%A6%AC%E8%BB%8A

 > 世界初の乗合馬車は1662年にブレーズ・パスカルによってフランスのパリで導入された5ソルの馬車である。これは定員8人の馬車を使い、一定の路線をあらかじめ定められた時刻表にしたがって運行された。しかし1677年には辻馬車との競合や経営難により廃止された。
 > 乗合馬車が最盛期を迎えたのは19世紀であり、1820年代に再発明された。その背景には人口の増加や産業の発展に伴う都市の拡大、道路の改良、運賃を支払うことのできる中産階級(プチ・ブルジョワ)層の出現などがある。

※翻って、運賃を支払うことができない人が多数派になるような時代を、これから迎えたくはありません。

 需要が絶対的に減っていく社会環境の下では、(従来の発想では)短編成化や減便により、輸送力を減らす(過剰にならないようにして運行コストを抑える)ことが必須になりますが、しかし、だからといって「2時間に1本なので、時刻表をよく見て、発車時刻にあわせて駅へ来てください」というのでは、「人にやさしい」とは到底いえません。「交通が不便だから外出しない」ともなりかねません。

 減便してもなお、ある特定の区間や列車において乗客がゼロだということが連日、起きるのであれば、しかし、それでも「ご利用がないようなので今日は運休します」ということは許されていません(「間引き運行」の禁止)。実は、このことこそが、「赤字路線」の「赤字」に拍車をかける主因なのではないかとすら疑われます。「利用があるときだけ運行する」ことを許せば、大幅にコストを減らせるのではないでしょうか。あるいは、軌道の整備などのほうがコストが大きいのであれば、一種「ミニマム・アクセス」の保証として、利用があろうとなかろうと一定の時隔(毎時2本くらい)で運行することを義務付けたとしても、かえって利用が誘発されて、少なくとも元の状況より収支が悪化することはないのではないかと、富山港のほうなど遠目に眺めながら、ちょっと夢見てみます。(あくまで夢です。)

 こうした部分では、線路とも専用道ともつかない軌道を、定員がきわめて少ない車両で、無人運転で、しかし従来の鉄道と同等以上の「表定速度」が達成されるような方向での技術や制度の確立が急がれましょう。あるいは、人が住んでいる限り貨物の往来はあるわけですから、貨物と旅客が再び混結となっていくような、コンビニの納品車や郵便局のドライバー(運転手)の運転でお客さん(旅客)も運んでしまおうというようなアプローチもあるかもしれません。

※地下鉄で宅配便を運ぶほうは、既に試行されていましたね。その逆です。しかし、貨物(ただし軽い)がドローンでポイッと運ばれてしまうと、旅客と相乗りという策は取れなくなってしまいます。実に一長一短だと感じられます。

 ダイヤ…とはいいがたいですが、タクシーの配車計画システムや、運送会社のソレ(トラックだけでなく、人力で運ぶソレも含む)なども参考になりそうです。

・パシフィックテクノス「計画配車と動態配車」
 http://www.pacific-technos.co.jp/technology/gps_2.html

 > 多くのシステムにおいて「メリットの最大化」と「コストの最小化」が目的になり得ますが、システム導入の背景にある事情によってどちらに重点を置くか、微妙に異なってきます。
 > 例えばタクシーはお客を増やすことによる売上増加で効果を上げようとしますし、生コン輸送は予め指定された納入を出来るだけ少ない費用で行うことを目的としています。

 > 表1 システム設計ポイントの比較例(タクシーと生コン輸送の場合)

 おおー、そこでタクシーと生コン車(ミキサー車)を並べて比較しますかっ!! といってヒザが打たれます。(感想は個人です。)もっとも、公共交通機関のソレは、こうした(本当に数理的な意味での)「最適化」とはちょっと違ったところ(一例としては上述の感性的な面:ただしこれに限らず)に、お客さまの要求(潜在的なものも含みます)があると感じられます。「電車が不便ならタクシーを呼べばいいじゃない!」といって、その次には「タクシー代が高いならタクシー券を配ればいいじゃない!」などと…際限なく泥沼にはまっていくような気がするのは私だけではないでしょう、たぶん。元来、「公共交通機関」というのは無謀な「夢」なのかもしれませんが、それでも「公共交通機関」という「夢」を捨ててしまっては、はたしてどんな社会になるのでしょうか。現代に生きる者として、中世に逆戻りすることはゼッタイに避けたいと、少なくとも私は思います。

[3104]
 > 「15両」は限りなく薄く「フェードアウト」

[3105]
 > 10両編成×毎時6本(10分間隔)から8両編成×毎時7.5本(8分間隔)へ、というように、輸送力を変えない場合、フリークエンシーの向上が図られます。これによる待ち時間短縮ともあいまって、旅行時間の全体が平均的には短縮されます。もう、10両編成なんて来なくて、いいじゃないですか、と思わせられます。同じことは「15両」にもいえる、というのが上述の「フェードアウト」云々の真意であります。

 待ち時間を最小化するには短編成化して頻発(輸送量は変えず運転本数を増やす)すればいい、という「机上の計算」であります。(あくまで机上です。)ドライバーレス運転が実現しない限り、実現されないでしょう。究極的にはベルトコンベア(動く歩道やスキー場のリフト)の待ち時間はゼロ、その次には、BRTの専用道にマイカーを受け入れるという本末転倒なソレ…といいますか、ITSで自動隊列運転という方向で待ち時間を少なく高速輸送とも両立をば、という方向性がありましょう。「一方通行化」([3026])の活用や、車間距離を保つ衝突防止装置の応用で「(自動車でも)移動閉そく!」などと(そして、それをもって鉄道の軌道への自動車の乗り入れも認めるようなことに)なっていくのかもしれません。


●「いつも異なる需要」そして「渡し舟」


 (教科書的な意味で)「需要と供給」といってカキーンと、いえ、平面上の2本の曲線で考えていますと、需要といっても、その実、いろいろな側面があるということを忘れ、単に輸送量とコストの兼ね合いしか考えない、ということに陥るかと思います。(あくまで偏見です。)

 有料の着席型列車のカキーン、いえ、課金(損益シミュレーション)についての研究([3053])も興味深いところですが、「座りたい」「早く着きたい」「乗り換えたくない」といった要求は、それぞれ、かなり異質の需要です。

 さらには、同じ人がいつも同じ要求を持つとも限らず、どのような状況下で、どの側面が優先されたり、どの側面が満たされない時に不満がより高まるのかなど、まるっと解明されるのが理想ですが、まだまだそこまでは至らないと思われます。

 そうした中、「速達性」と「定時性」については、検討される動きがございます(「Hyperpath導入による急行待ち時間設定の適正化」[3003],[3075])。いま、(東京圏では)まずは目先の大量輸送をこなすという部分にまだまだ力点があって、細かな要求にていねいに応えるという部分は、これからの話でありましょう。

 これまた「ご利用がないようなので通過します」といって、走行中の各駅停車の電車が、走りながら快速に切り替わる(その結果、ダイヤより早着する)ようなことは、まだ実現できていないわけです。各駅停車と快速の割合は、事前に決められますが、その割合が、実は平日と土休日という大ざっぱな区分だけでなく、もっと曜日ごと、あるいは時間帯ごとに、実はかなり複雑な要求があるのではないか(※)、仮に、どの乗客がどこからどこまで乗ろうとしているのか等、正確なデータさえあれば、そして、運行や案内が自動で完遂される高度に無人化されたシステムがあれば、ベラボウに複雑な運行もできるのではないか、ということです。こうしたことを、しかし「渡し舟」などと文系なソレで述べても、だめですよねぇ、やっぱり。

※根岸線内にも快速がほしい([3105])とか、南武線の快速が早朝や深夜にもほしい(「朝一番」の羽田空港や新幹線に間にあう!)とか、そういったことです。種別をあらかじめ定めず、「ご利用がないようなので通過します」といって、利用のある駅まで早着し、前につかえない限りは発車時刻より前でも発車し、どこかで適当に採時し直すといったようなことは、しかし、現在はできません(「見切り発車」の禁止)。


●今すぐ読める参考文献


 さて、高木センセイをきちんと読みなおそうと思って、え゛ー、いまさら「鉄道ピクトリアル」のバックナンバーをあされといわれましても困ります。

・高木亮「英国における交通事情 ロンドンの都市交通を中心に」(2003年9月)
 http://trec.itej.or.jp/data/200309.html

 本来、きちんと取り寄せて読むべきではありますが、オンラインでいますぐ誰でも参照できる資料を探します([2975])。

・山崎治「英国の交通政策− 「持続可能な交通」を目指して−」(2005年5月)
 http://ndl.go.jp/jp/diet/publication/refer/200505_652/065204.pdf

・板谷和也「英仏の都市公共交通政策に関する比較研究序論 −首都と地方都市の関係を中心に−」(2013年7月)
 http://www.itej.or.jp/assets/seika/jijyou/201307_00.pdf

※「原田は(略)データを用いて明らかにしている」ことを動機としながら、なぜ、図表が1枚たりとも出てこないのでしょうか、私には理解がおよびません。

・仮屋崎圭司「都市鉄道の列車遅延の拡大メカニズムに関する研究」
 http://www.jterc.or.jp/kenkyusyo/subject/theme/kariyazaki.html

・「高頻度運行される列車の遅延シミュレーションシステムの開発 −東急田園都市線を対象に−」(2010年)
 http://www.db.shibaura-it.ac.jp/~iwakura/ronbun/gakkai/201011_keikakugaku_takahashi.pdf

 > 本研究において,データを提供してくださった東京急行電鉄株式会社の方々に心より感謝申し上げます.また,ご多忙の中指導してくださった政策研究院大学院大学森地茂教授・日比野直彦准教授・運輸政策研究所仮屋崎圭司研究員には心より感謝申し上げます.

 とのことで、(広い意味では)同じ人たちの研究ですね。あわせて読みたくあります。

※きわめて不十分な補足ですが、取り急ぎまとめました。追って、追加の補足ができればと思います。さらには、フォーラムの内容をまとめて、最終的にはサイトの記述をアップデートできれば、とも思いますが、現時点で具体的な予定はありません。


この記事のURL https://neorail.jp/forum/3139/


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