フォーラム - neorail.jp R16
発行:2015/7/8
更新:2017/12/7

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【東京圏「あり方」SP(仮)】

「表定速度」を読み解く(前編)


「64.5km/h」
「60.5km/h」
「38.3km/h」
「速度感」のようなもの
表1 東京近郊区間における乗換駅間の表定速度

(約14000字)

 何かに使おうと思いつつ使うに至らないまましまいこんでいたデータやプログラムを、順番に使ってみます。そして、大事なことですが、特別なことは何もしておらず、誰でもできることしかしていません。それでも自分でやってみるというのが「追体験」というものです。そうだと自覚した上で実際にやってみると、これがなんとも楽しいものなのです。

※逆に、たったそれだけのことに過ぎませんので、あしからず。さらに申し訳ないことに、後述の通り、このフォーラムに「表」を載せたい(載せてみたい)一心であります。つまらない(たいへん、「いまさら」な)「表」で、恐縮でございます。

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 > ※http://www.jrtt.go.jp/01Organization/org/pdf/jks19-2-2.pdf
 > スライドの本題としては「Hyperpath導入による急行待ち時間設定の適正化」ですね。とてもおもしろいので、追って詳しくご紹介したく思います。

 とてもおもしろく(≒たいへん難しく)、きちんと理解するには自分でも手を動かしてみる(手元で同じような計算やプログラムを走らせてみる)ことが不可欠と思い知らされました。

 2013年3月の改正ダイヤ(※1)を使って、乗換駅と乗換駅の間の区間(※2)における、最速の普通列車(乗車券のみで乗車できる列車)の所要時間(※3)を、東京近郊区間あまねく(※4)算出いたしました。

 そのココロとしましては、路線の線形、現状の信号設備、車両の性能、乗務員の習熟といった(これらに限らず)「技術層」「実行層」における諸々の制約をいっさい(暗黙に)考慮の上で、さて、ベストを尽くして運行されるとどうなるのか、いわば「理想状態」に対して、現状の運行はどの程度の「充足率」のようなものなのか、といったところに興味があるわけです。

※1 南武線快速のみ、2014年3月のダイヤに基づきます。

※2 このため、例えば中央線を西国分寺で区切り、「新宿−西国分寺間」の「中央線中央特快・快速」とするようなことをせざるをえなくなりました。この場合、新宿−国分寺間の中央特快の所要時間と、国分寺−西国分寺間の快速(といっても隣の駅ですが)の所要時間の足し算で、乗り換え時間と待ち時間はいっさい含みません。そして、国分寺−西国分寺間のように短い区間でも所要時間は「1分単位」で扱いますから、足し算するたびに誤差が拡大していくはずです。

※3 上りと下りで所要時間が異なる区間もありましょうが、今回、着目します「最速」という点からも、(朝夕のラッシュ時や深夜・早朝でなく)日中の所要時間を使うこととしました。このため、日中なら上下で所要時間が大きく異なることはないだろうという期待のもと、とはいえ主に下り列車(優等列車の退避等がないとみられる列車を選びましたが、選び間違えているデータも混じっているかもしれません)での所要時間を、市販の時刻表に記載の「1分単位」の時刻を引き算して得ています。みなさまご承知のように、本来のダイヤや業務用の時刻表では、「秒単位」です。「標準発車時刻表」として、いわば「書き下し」される段階で丸め誤差が生じています。市販の時刻表の上で単に「10時10分」と記載されるとき、実際には「10時9分30秒」から「10時10分29秒」までのような幅(誤差)があるわけです。そして、この誤差は発時刻、着時刻の両方であり、また市販の時刻表で着時刻が記されていない駅については発時刻をもって代わりとしていますので、さらに誤差が積みあがることとなります。

※4 地図の左上から時計回りに、大前、水上、日光、黒磯、烏山、常陸大子、常陸太田、いわき、鹿島神宮、成田空港、銚子、安房鴨川、扇町、大川、海芝浦、久里浜、伊東、韮崎、武蔵五日市、奥多摩、横川より内側の区間をすべて含めました。御殿場線、身延線と、新幹線は含みません。

 混雑率([3053])とも似た話になりますが、事業者としては細かく把握の上、あるいは長年の勘も入れてポイントをおさえて把握の上、ダイヤに反映させているはずです。部外者としては、結果としてのダイヤには、あらゆる前提条件や制約がいっさいまるごと反映されている、その点に限ればダイヤというものを、それこそ光り輝く「金科玉条のごとく」([2938])受け取ってよいといえます。

※運転士の操作を逐一メモして運転曲線を書き起こしたり、車内や沿線で加速度計などを用いて列車の速度を計測したり、臨時の速度制限の一つ一つにやきもきしたり、しなくてよいのです。すべては最終的に、時刻表や「発車時刻変更のお知らせ」といった形でお客さまにきちんと届けられます。それがない限りは、どこかで調整しているということで、表定速度は一定である(一定を保つ)というわけです。

 以下、表1を参照いただきつつ、そして、このフォーラムで「表」を載せるのは、1999年5月25日の開設以来、たぶん初めてでございます。このために今回、このフォーラムで表組みが扱えるように改修いたしました。([3071]とはいいながら、結局、既存のPerlのコードに手を加えているという何とやら。まさにグダグダですね、わかります。)

・スラド「Wikiの文法の標準化案を作成中」(2004年1月11日)
 http://srad.jp/story/04/01