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[3025]の「一方通行化」について補足です。
・「3.交通規制・交通運用」兵庫県立大学 環境人間学部 環境都市デザイン研究室
http://www.shse.u-hyogo.ac.jp/inoue/Download/ToshikannkyouH23/3koutsuukiseiunnyouH23.pdf
> 街路の一方通行化は、二方向道路に比較して30〜50%の交通処理能力の増加をもたらし、安全性の面での利点も多いため、我が国では1950年代の半ばから一方通行規制が導入されるようになった。
一方通行化のメリットは、(道路交通の専門家としては)いまさら問題にするまでもないほど明らかだという印象を上記からは受けます。しかし、2003年、一方通行化(道路の一方通行規制)に関してきちんとモデル化してシミュレーションを行なった上、現実の道路での規制状況と比較するという、たいへん意欲的な研究がされています。
・日本都市計画学会「移動効率および通過量に着目した一方通行規制の評価」都市計画論文集 No.38-3(2003年10月)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/cpij1/38/0/38_0_25/_pdf
> 本研究は一方通行路導入の影響を定量的に測るために一方通行路を含むネットワークにおける道路分析方法を示した.そして,格子状道路網における分析では移動距離からみて一方通行規制というのは非効率となることを数量的に明らかにした.さらに,強い仮定のもとではあるが,新宿一丁目道路網の分析では移動の効率性と通過量負担の平等性のいずれの指標から見ても現状よりも良い一方通行規制が存在することを明らかにした.
(ご面倒でも)リンク先のPDFで著者の所属を見て、ちょっとびっくりしてみてください。
単線の貨物線(「おおさか東線」着工前における大阪の城東貨物線、東京では新金線・越中島支線など)を使って、あるいは複々線区間の3線を使って一方通行的に列車を運行したり、上下線のうち片側のみ運休とする場合に運行を継続するなど、いろいろな応用が考えられます(≒考えられるからこそ取り組んだのでしょう)。特に、ATACSもしくはCBTCの導入によって「逆線運転」が容易になれば、一気に現実的な話になります。
道路についても、一方通行規制を新たに導入しようという社会実験がありました。
・都市再生本部「秦野市「みち・まち」明るい顔づくり調査」(2005年4月)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/toshisaisei/05suisin/kantoh/04suisin/h16/38.html
> 駅前を流れる水無川両岸道路を一方通行化し交通の流れを整えることによって慢性的な交通渋滞の緩和を図るとともに、荷さばき停車帯の設置や緑化空間等のまちづくりに寄与する空間を創出し、もって地域分断の解消と活性化を図ることが構想されてきた。
> 市の事業として平日4日間の社会実験を実施した。この結果、所要時間短縮やバスの定時性向上といった交通円滑化効果と合わせ、まちづくりに寄与する余裕空間の創出可能性が検証された。
> 実施に当たっては沿線の商業者、住民、交通事業者、道路管理者、交通管理者等から成る調査検討委員会を組織し、学識経験者の助言を得つつ、取り組みの方向性を検討した。
> 走行速度の向上を受けた歩行者の安全確保の必要性、沿道商店アクセスや荷さばきのための停車帯の必要性等、魅力的なまちづくりに必要な道路空間の整備・使い方に関する課題が明らかとなった。
川の両岸にそれぞれ道路があるという区間は、全国各地に無数にあると思われます。とても応用の広そうな話ですね。とはいえ、「まちづくり」と一体となった検討であるので、逆に、一方通行という施策そのものが何をどのくらいよくしたのか、効果が測りきれないという面もあるように感じます。沿道の店や個人宅から見れば、いままで好きな方向へ自由に移動できていたのが一方向に制約され、目的地によっては「回り道」を強いられるという「副作用」もあります。
※同じような問題は「自転車専用通行帯(自転車レーン)」についても起きています。
所要時間短縮は、(このケースで可能かどうかは別として)横断歩道や交差点をなくすこと(究極的には、いわゆる高規格化)によっても図ることができますし、バスの定時性向上についても、(実際に実施したら本末転倒ではありますが)バス停を減らしたり、わざと表定速度を下げる(道路が混んでいる状態で「定時」運行となるようにダイヤを組んでおく)ことによっても達成可能と思われます。
もちろん、実際の施策としてはありえない条件ではありますが、ありえないものであっても、それと比較することによって、現に講じた施策がいかほどのもの(効果)であったのかを数字で示す(定量的に示す)ことができるのです。
前述の研究は、現実の道路での一方通行規制に対して、理想的な条件で一方通行規制をすれば効率が改善するとしていますが、これは逆に、現状での一方通行規制が必ずしも理想的でないということを浮き彫りにしています。
「1950年代の半ば」には、まったく新しい施策であったので綿密に計画されていたものの、(道路の付け替えなどで)周囲の道路での規制を変更しても、それ以前の規制を簡単には見直せないといったこともあって、年を経るごとに効率が下がっていったのではないでしょうか。
仮に、そうした一種の「しがらみ」がまったくない「真っ白」な状態で新たに一方通行規制を計画するとしても、いろいろな要因で効率は下がってしまうものです。例えば、沿道の店や個人が規制に反対したとすると、それがたった1軒であっても、ネットワークの性質上、全体の効率に影響してしまいますし、(いくら理論上、効率が高くても)あまりに複雑な規制となっては、ドライバー(運転者)が戸惑ってしまい(それによって移動速度が下がり、そして効率も下がり)ます。
・Googleマップ「東京都新宿区新宿1丁目」
https://goo.gl/maps/xXKgf
道路でも自動運転があたりまえになれば、どんなに複雑な一方通行規制でも完全に順守させる(機械にさせる)ことが可能となり、理想的な状況に近づいていくのかもしれません。
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