フォーラム - neorail.jp R16

Googleの「AIによる概要」で誤った内容が表示される事象について


発行:2015/1/20
更新:2016/7/17

[3005]

【新しい広域流動】

新しい広域流動(2) 八高線・川越線

計画手法 広域流動 パターンダイヤ 分単位 混雑率 房総ローカル 千葉日報 乗降人員 特別快速


(約4000字)

 [3003],[3004]の続きであるとともに、[2982]への補足です。そして表題は八高線・川越線ですが、まずは内房線・京葉線の話です。

[2982]
 > 事実上、内房線の特急列車の減便(現行の東京7:30発「さざなみ1号」の廃止)とセットになった施策とみられ、「特別快速」1往復のほかにも特急から快速への振り替えが行なわれます。

 > このあたりについても、今回は房総ローカルの快速への振り替えを超える施策は出てきませんでした。答え合わせができるのは、もう少し先になりそうですね。

 もちろん、従来通りの計画手法に基づいた施策、いわば機械的に「はじき出す」(昔ながらの「そろばん」的なものとして)ことができる施策は、しっかりと講じられています。しかし、[2982]で述べたかったのはそういうことではありません。環境の変化に対応でき、自らも環境に影響するのだという自覚のもとにサービスを計画していく、いわば新しい計画手法に基づく施策、あるいは、そうした計画手法を適切なタイミングで開発していける能力(※)というものが、きちんと出てくるのかどうかを見極めたい(=いわゆる「答え合わせ」)と思っています。

※これを研究開発力と呼ぶか、潜在的競争力と呼ぶかは、会社や組織によるでしょう。

※もっとも、これを全国の大小さまざまな鉄道事業者のすべてにおいて、各社が開発していくというのも無理のある話で、しかるべき専門家がしかるべき研究会や審議会で議論して一定の結論を出し、それが上から降ってくるのを待つというスタンスに傾くのは理解できなくはありません。しかし、外部の専門家が鉄道事業者の実情を完全に把握できるわけでもないでしょう。結局は、事業者が自ら専門家になっていく、あるいは専門性を持つ人材を獲得していくほうが早いのではないかとも思えます。

・千葉日報「京葉・武蔵野線を増発 通勤時、混雑緩和へ 利用減の特急、廃止も JR、来春ダイヤ改正」(2014/12/20)(再掲)
 http://www.chibanippo.co.jp/news/economics/231208

 > 沿線の人口減や高速バス路線の増加を受け、利用者が減少した特急電車は廃止したり、本数を減らして大幅に運行体系を見直す。

 > 東京都心と県内各地を結ぶ特急電車のうち、2007年と比べ利用者が4割にまで落ち込んでいた「あやめ」(東京−佐原駅間)は廃止。「さざなみ」は上下4本を減らし、東京−館山駅間から君津駅までに縮小する。「しおさい」は上下3本を減便、すべて東京−銚子駅間とする。

 > 京葉線は平日午前10時〜午後3時台に、東京−蘇我駅間の快速電車を毎時1往復増発。幕張メッセのイベントなどで利用が増えている平日昼間の輸送を改善させる。

 このあたりは、パーソントリップ調査([2939])できっちりとデータが取れているから施策にも反映できるのだということですね。逆に、いわゆる「利用意向」については十分な調査が行なわれず、また本質的にも信頼性を出しにくい調査項目である(聞き方や聞く相手によって変動が大きい)ことから、新しい列車やダイヤを開発していく方向の施策は打ち出しにくいのでしょう。

 もっとひどいことになってしまう(=機械的に「ひどい施策」がはじき出されてしまう)のは川越線です。

・JR東日本 八王子支社「2015年3月ダイヤ改正について」(2014/12/19)
 http://www.jreast.co.jp/hachioji/info/20141219/20141219_info01a.pdf

 > (2)川越線の輸送体系を見直します
 > 八高線から直通している川越線において、お客さまのご利用状況に合わせ、データイムを中心に、運転本数の見直しを行います。

 高麗川−川越間で現行、毎時3本のところ、毎時2本に減便されます。時隔でいえば、平均20分間隔だったのが平均30分間隔に延びるということです。どうしてこうなるのかといえば、以下のような事情があるからとみられます。

・(1)当該区間の駅の乗降人員に基づいて輸送力(編成両数×運行本数)が決定される
・(2)編成両数を変えない限り、輸送力を減らすには、列車を1本減らすしかない

 (1)については、当該区間の外側から外側へ乗り通す客が多くても、当該区間の駅の乗降人員が減れば、輸送力を減らすことになるわけです。もちろん、区間の外側をまったく考慮していないということはないでしょうけれども、評価式における重みが小さすぎるのではないかということです。

 (2)については、パターンダイヤがいいんだ、あるいは単線なのでダイヤ設定上の制約が大きいとなれば、2時間に1本(毎時0.5本)を減らすことは難しく、毎時1本をガバッと減らすしかないということです。時隔でいえば、平均20分間隔を平均22分間隔(毎時2.7本)にするような「微調整」(※)が効かない、ともいえます。

※「じゃあ1分単位にすればいいじゃない」と、子どものように([2997])言ってみたくなります。そういう子どもがいたとして、毎時3本から毎時2本への減便を、どう説明すれば納得してもらえるのでしょうか。

 さらに、八高線は、電化されている区間(八王子−高麗川間)も含めて全線で「地方交通線」の運賃が適用され、要は運賃が割高です。Suicaで乗れるから(東京近郊区間だから)といってホイホイ乗っていては、気が付くとえらく残高が減っているということにもなります。

・Wikipedia「電車特定区間」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E8%BB%8A%E7%89%B9%E5%AE%9A%E5%8C%BA%E9%96%93

 > 旧国鉄が1984年4月の営業規則改訂時に設定し、国鉄分割民営化以降はJR東日本・JR西日本が設定範囲を決定しているが、新路線(東北本線・京葉線の一部区間、JR東西線・おおさか東線)開業に伴う指定追加以外は基本的には変更がない。

 東日本では、対東京輸送における割引(利用客が多く混雑率が高いことへのお詫び的な、および競合する私鉄と運賃水準を揃え利用客が自然に分散するようにという誘導)という側面があり、道路でいえば「小田原厚木道路」([2583])にあたるような周縁的な線区(八高線、川越線、相模線、成田線など)は、電車特定区間に含まれていません。これは、1984年においては妥当な判断ですが、30年経ったいま、果たして妥当であり続けるでしょうか(※)。

 しかし、電車特定区間を改訂するために何を検討すればよいのか、どういう統計に基づいて判断すればいいのかという知見は、いまのJRにはないとみられます。どこかで悠悠自適なさっている方を見つけ出してきて、あの時(1984年)はどうでしたかと、ゆゆとして質問に行かなければなりません。

・「悠々自適」
 http://www.fleapedia.com/%E4%BA%94%E5%8D%81%E9%9F%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/%E3%82%86/%E6%82%A0%E3%80%85%E8%87%AA%E9%81%A9%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B/

※青梅線および五日市線の全線が電車特定区間に含まれる一方、上述の線区は含まれず、この地域で移動するとえらく高くつくと感じられます。あるいは、千葉−成田空港間も運賃が高く、津田沼まで遠回りや逆戻りすることになっても京成線で移動する人が多くなるということにもつながっています。

 あらゆる計画手法の開発が国鉄末期で途絶えているのだとしたら、毎時2本への減便というのは、やがて路線の廃止を目指さずとも促していく(廃止になってもしかたがない、という雰囲気づくりとなる)、「赤字ローカル線」を「フェードアウト」させるための手法そのものといえます。川越線を廃止したいのでしょうか。いえ、そんなこと(減便すればするほど利用客が減っていき、最終的には廃止につながる)は一切、考えもせずに、ただひたすら機械的にそろばんを弾いただけなのでしょう。

・「フェードアウト」
 http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D5%A5%A7%A1%BC%A5%C9%A5%A2%A5%A6%A5%C8

 当該区間の外側から外側へ乗り通す客の流れを考えるということは、ネットワークの設計に近い発想になってきます。路線網が持つネットワーク構造や構造上の重みをほとんど考慮に入れていないために、こういうこと(需要を喚起するような施策の立案ができない)が起きるといえます。

 川越から八王子まで、自社線で直通できるのに、その途中の列車本数が非常に少ないとなれば、利用客としては(あるいはナビタイムのアルゴリズムとしては)私鉄と武蔵野線を乗り継ぐほうを選ばざるを得ません。かくして武蔵野線が、本来さばくべきニーズ以上に混雑するということになってきます。武蔵野線への過剰な投資を抑制しつつ、その混雑を緩和したければ、武蔵野線より外側の路線(路線網)の利便性を高めて、そちらにも乗客が流れるようにしていくことが求められてきます。


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