フォーラム - neorail.jp R16
発行:2015/5/25
更新:2018/3/16

[3050]

【新しい広域流動】

新しい広域流動(3) 水郡線・鹿島線


(約10000字)

 [3004],[3005]に続き、都市圏の周縁部における鉄道の利便性や速達性などに関する考えかたを考えて(※)みましょう。

※重ね重ねになりますが、ただちに○○線を○○すべきだ、しないのはケシカラン、よって○○(鉄道事業者や自治体など)はケシカラン…などといっているのではないことを十分に理解の上、お読みください。

[3005]
 > 当該区間の外側から外側へ乗り通す客の流れを考えるということは、ネットワークの設計に近い発想になってきます。路線網が持つネットワーク構造や構造上の重みをほとんど考慮に入れていないために、こういうこと(需要を喚起するような施策の立案ができない)が起きるといえます。

 実務者が、しかるべき確立された手法に基づいて実務として輸送計画を立てていく部分については、部外者が口をはさむ余地はないと思いますが、そうではない部分では、特に研究者がよりよく研究していけるようにするためには、大いに口をはさむことが(研究者の側からも)望まれているように思います。本当でしょうか。

 その答えは、みなさま、お近くの研究者(もっとも身近には大学のセンセイ)に直接おたずねいただくとしまして、必ずしも鉄道が専門でない研究者が鉄道を対象として研究しようとしたときに行きあたる難しさのようなものが実感できそうな資料がございました。

・片岡正昭「地方中心都市における鉄道輸送の変貌−水郡線を例として その2−」交通運輸情報プロジェクトレビュー11(のドラフト?)(慶応義塾大学)(2003年)
 http://jre.sfc.keio.ac.jp/review11/mokuji.htm
 http://jre.sfc.keio.ac.jp/review11/02docs/022kataoka.pdf

※…うーん、目次になく、しかしディレクトリ内にあるPDFというのは、何なのでしょう。掲載には至らなかったドラフト(草稿)なのでしょうか。わかりかねますが、Googleにインデクシングされていますので、公表されたものとみなして、以下ご紹介します。

 著者の片岡氏(現在は教授)は政治学で(※)学位を取られており、専門は地方自治(条例の制定プロセスを中心に)とのこともあり、この論文(という位置付けだとは、執筆時点で著者は考えていないかもしれませんが、外形的には論文とみなされますので論文に準じて話を進めます)の体裁も、いま明確に「文系」のものと見えます。

※「で」と表現すること自体が、ご本人の感覚とは相いれない(政治学をココロザシて、政治学「の」学位を取った)だろうと思いますが、あえて「で」と表現いたしたく思います。

 4ページで5章構成でありますから、と、油断して5章(結論)を先に読んだところ、具体的な成果(本稿での分析結果や考察の要点)がほとんど書かれておらず、ああ、「文系」だったんだと、いま、冒頭からリニアに読む(それ以外の読み方は許されない=しても読み解けない)ことを促された次第であります。

 改めて冒頭から読み直しますと、水郡線と越後線の比較です。とはいえ、(本稿では)水郡線だけ(※)にフォーカスし、そして沿線の人口などが近いというだけで越後線と比較しようという姿勢には、冒頭からいきなり置いてけぼりにされるような、戸惑いのようなものを覚えます。

※なお、後述のように、本稿より前の稿までで、ほかの線区についても検討されたとのこと。

 なぜ、水郡線と同じく水戸(※)に乗り入れる大洗鹿島線(鹿島臨海鉄道)〜JR鹿島線(貨物輸送を主眼とし一体的に建設さ