フォーラム - neorail.jp R16
発行:2020/10/1
更新:2024/3/31

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【スーパードライ】啓林館「理数探究」(2020年4月)しゃきしゃき【お酒ではありません】


(約27000字)

 「理数探究」です。

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 > > (♪〜)きょうのカラフルは、セルビアから。

 https://youtu.be/iExb_q19ADc




 > …のノリで!

・きょうの理数探究は啓林館から。
 https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/kou/science/kagaku-jissen/202004/

 > 「総合的な探究の時間」における理数探究の展開例
 > 東京都立小松川高等学校

 > (1)探究入門(4,5月)
 > (2)職業探究(6〜9月)
 > (3)理数探究(10〜12月)
 > (4)国際探究(1〜3月)

 > で構成

 もうやだ既存の何かを無理やり「探究」と言い換えたやつ。

 > グラフなどのデータも充実して

 それを「データ」とは言わないぜ、せんせー。

※日常の業務で「データ処理」を指して(端折って)『データ』と言っている説。やーい業務用の言いかたを生徒の前や外向きの場でしてはならぬ。アカデミックでなければならぬ。

 > 常松氏の協力なしにはこの探究学習は成り立たなかった。

 うーん。(全略)高校の教諭だけではだめ、「常松氏」のような本職のひとがいないといけないというのが結論ですね、わかります。しかも、都立なら相手も都立じゃないといけない。えー…(てんてんてん)。

 https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000080524462/

 申し分ない。まことに申し分ない。「常松氏」が1人しかいないのが問題だ。いわば“分身”を何人つくれるかとか、テレビ会議で「6面差し」(同一年度に6校分!)くらいはしなきゃとか、本人なしでも動く教材にできるかというところがね。もうね。(※表現は演出です。)

 https://www.asahi.com/articles/ASL7M4SDWL7MOIPE01J.html
 https://www.asahicom.jp/articles/images/hw414_AS20180806003958_comm.jpg
 https://www.sankei.com/images/news/180516/lif1805160025-p1.jpg

※むやみに多さを誇るのでない&よほど手取り足取りというのでもない、それなりの堅実なところに限って、およそ「6面差し」くらいできるということをプロ棋士がよく示しているので、これにならって「6」という数字を仮に使っておく。

・ARXがとまらない。
 https://arx.neorail.jp/units/#A%E5%88%97%E8%BB%8A%E3%81%A7%E7%90%86%E6%95%B0%E6%8E%A2%E7%A9%B6

 > 大学ではどのように専門分野が分かれていくのかを実感的に知ってもらうという「高大接続」の色が濃い。高校生にとって、これまでの学校での科目とは異なる分かれ方となる、例えば「工学」「心理学」「農学」などの分野を『発見』してもらいたいということでもある。

 「理数探究=イコール=理科でしょ」などと思わせないように配慮を尽くしてほしい。大学の教員の指導(*)を受けられるなら「工学」「心理学」「農学」の題材を扱ってもいいし、そこで班分けして、自主的に選ばせるということと、指導する側も分散させて負担が減って指導そのものは手厚くできるというような一石二鳥を狙ってほしい。なあに大学はたくさんあって教員もたくさんいるのだ。(棒読み)

※▼高校の教諭が、大学の教員の指導のもとで方針や計画を決めることと、▼高校の教諭が必ず同席するかたちで生徒が大学の教員から助言をもらえるようにすること。逆に、▼大学の教員には、高校で授業をする資格はない。なあに授業の開始と終了を高校の教諭が宣言する限りは、その間にどんな授業になってもぜんぶ高校の教諭の責任なのだ。(※白目)

 > 「探究」というからには、じぶんでデータを加工したり整理したりして、じぶんが設定した課題や仮説に応じて、じぶんの責任で複数の私鉄を比較してほしい。

 データがないものは取り上げない。じぶんの意見など必要ない。

 > 「騒音」を太字で示したが、これは日常会話で言うような観念的なことではなく、工学上の厳密な扱いをするということへの注意を促すものである。鉄道にあって「騒音」の発生源はすべて完全に明らかであり、機械工学の集大成たる鉄道車両のどこをどう作動させるとどれだけの音が出て、周囲の構造物の形状がどうなっていると、どこまでどのくらいの騒音が伝わるかということが、すべて計算できるということである。

 > 「テーマ別」の表で示した「テーマ」は細分化を避けているので1つ1つがかなり『広い』と思われるだろうが、具体性を欠いているわけではないし、ほかの「テーマ」との間でよく分離してはいるという(興味の方向性のようなものが割と『直交』している)ことがおわかりいただけるだろう。このようにある程度『広い』テーマのもとで学習者が参集し、その中でさらに分担して(1〜2人で)サブテーマに取り組んでいくという立体的な活動を想定している。すべてのサブテーマで「理数探究らしい」活動すなわち数理的な手法(多変量解析)を使った実験(仮説の検証)ができるとは思えないが、(1人1回)何か1つでも実験ができればよい。(共同でもよい。)

 「知っているようで知らない」「むずかしそうでかんたん」「かんたんそうでむずかしい」をぜんぶ備えたテーマとして「鉄道」は結構いいよ、みたいなノリで恐縮でございます。「鉄道」じゃなくても通用する方法論にしたいんですね。まず「鉄道」という単語を出しただけで笑うのが高校生で、いまどうして笑ったのかな、みたいなことを深く追究していくと、じぶん、何を知らなかったから笑ったのかわかってくる。そこにプロフェッショナルな分野があるんだということを気にしたこともなく言葉からのわずかな連想だけで、六角なんとかみたいな人が呑んでるとか、そういうイメージに短絡してしまう。かなりのところまで国語と社会科なんですね。あなたの中で「鉄道」と「数学」が結びつくまでをサポートしたいのだ。(棒読み)

・ARXオンザライス(違)
 https://arx.neorail.jp/introduction/

 > この内容は理系ですか? 文系ですか?:両方です。法令への深い理解も欠かせませんし、数理的な手法を使いこなす技能も必要です。

 > 『鉄道工学』を学べる学科はどこですか?/『鉄道史』を学べる学科はどこですか?:そんな学科はありません。「鉄道工学」は土木工学科で開講される概論的な科目の1つです。「鉄道史」は博物館学を専攻して学芸員の資格を取得した者が博物館で取り組む仕事です。

 > 都市の景観に関して学べる学部・学科はどこですか?/建物に関しては建築学科、緑化に関しては農学部で学べます。これらの分野を横断して感性評価などに取り組むのは修士課程からです。

 > この内容は鉄道会社の仕事ですか?:いいえ、土木コンサルタント会社の仕事です。あるいは運輸政策研究機構などの研究所の仕事です。

 この題材では、あまり大学というものは出番がない感じですか。鉄道業界とは無縁だけれど、工学部で教えたい内容の題材として「鉄道」がちょうどいいから使うだけ、みたいな感じですか。(棒読み)

 > 一連の学習にどのくらいの期間をかければいいですか?:5月から始めて8月か10月に見学会、翌年1月に発表会(報告会)を催すくらいのスパンではないでしょうか。

 これがね。もうね。見学会を受け入れるスケジュールは(相手の都合で、それは長年のものだから)変わらない。「国際」が2月や3月というのも、相手方はそのへんが年度の中間の休暇だからだ。こちらも9月始まりになったらどうなるかわからない。

 再び啓林館です。

 > 1学年の探究の時間は毎週水曜日の7時間目に設定されており,必要に応じて6,7時間目を2時間続きにして行うこともある。

 4月生まれと3月生まれの差が、まだ大きく残る、高校の1年生である。とてもむずかしい。

 > 職業探究(6〜9月)
 > 興味のある職業ごとにグループを組み,夏季休業中に職業インタビューを行った内容を手書きで壁新聞にまとめて発表

 それを「探究」と呼びますか。呼んじゃいますか。

 > 理数探究(10〜12月)

 週1回の授業を4回、その後の3週間のうちに順番にパソコンを使ってポスターとスライドを仕上げ、発表の準備と練習で授業1回、最後は2コマ続きの時間で発表会をするという3か月。えー…(てんてんてん)。

 > クラス内で座席の近いものが4人ずつ班を組み
 > 積極的な助言指導は行わず生徒の自主性に任せるようにした。
 > また,テーマ決めは探究活動において非常に大切な部分なので,時間内に決定を急がせるようなことはせずに十分話し合って決定させるようにした。

 無茶苦茶である。▼「『一人一研究』に「4人くらいの班」で取り組ませるという矛盾」については[3535]、▼「名状しがたいマインドマップ状態!」については[3100]を参照。研究テーマは指導教員と話し合って決めるもので、学生どうしで話し合うものじゃない。では、それを高校の理科や数学科の教諭が指導できるかというと、…うーん! あなた(せんせい)の卒論のテーマは研究室で順送りみたいなやつ(端的にいえば「与えられたもの」)ですか。それだとどうにもならん。「研究テーマは指導教員と話し合って決める」というのを見たこともないので真似っこすらできぬ。

※啓林館に掲載の実践報告の筆者は「化学」とのこと。

 > クラスごとに

 成績をつけないといけないからクラス単位で閉じないといけない。それが「理数探究」を台無しにする。どうしてクラスをまたがって班を作れないのか。ほかのクラスの発表を聞けないのか。選択科目のクラスと同じ扱いで、テーマ別にクラスを分けるのでもよかろう。成績をつける対象とする発表は授業時間内にそのクラスだけで閉じて行なうけれど、そのまま放課後になだれこんで、ここからは「一般公開」でーす! …みたいな運用にもできよう。

※大型展示会のビジネスデイみたいなノリで! 発表を聴いて回るほうも「聴いた記録をつけるカード」みたいなのでスタンプラリーみたいなノリで! ふつう、そういうのをやりませんか。高校ではやらなくても小学校でね。どうしてそれを高校ではやらないのですか。(※恐縮です。)

※「道徳」とはいわないけれど、「LHRの化けたの!」(※意訳)みたいに、専門も何もなく「担任」が指導しちゃうんですか。それはないよね。うん。

 > 担任は机間巡視を行い,進行具合を見守るのみ

 > 担任は
 > 担任は

 これが無茶苦茶の元凶だ。こんな失礼な授業があるか。ここは怒ってよいところだ。

・河合塾です
 https://www.kawai-juku.ac.jp/highschool/analysis/science-math/

 > 「理数探究」は「理数探究基礎」などで身につけた資質・能力を活用して探究をおこなう中で、課題設定やアイディア創発の際にはさらなる自発性が必要となり、「理数探究基礎」から一段進んだ主体性や挑戦性が求められている。

 > 「理数探究」では、数学や理科などに関する課題を主体的に設定することも想定していること、また課題の解決までではなく、探究の過程を振り返って評価・改善するところまでを目標としていることなどが異なっている。

 > 各科目の「内容」では、「知識及び技能」として、「理数探究」では探究の意義と過程、研究倫理について理解させ、観察、実験、調査等についての技能、事象を分析するための技能、探究の成果などをまとめ、発表するための技能を身に付けさせるとしている。「理数探究基礎」も概ね同様であるが、基本的な技能の習得と「基本的な」が加わり、「理数探究」で求められている探究の「成果」ではなく、探究の「結果」にとどめられている。

 すごく「道徳」である。「態度」である。ちょっと知ってた。(※表現は演出です。)

 > 「理数探究」では、同様の内容に加えて、より高度な統計的手法である推定、仮説検証、単回帰の記載も見られる。

 単回帰おっけー! 単回帰おっけー! 「おっけーがでました!!」みたいな満面の笑顔で!(※真顔)

 > 英語で報告書を作成させることも考えられるとしている。

 それまでに日本語で仕上げた題材(ポスターなど)を英語にする(できればペーパーという体裁にする)という『従』な取り組みであっても、それが大事なんですよ。遡って、初期のサーベイの段階では英語の資料も読むということなんですよ。じぶんはセカイの動向を無視しません(セカイの中で生きています)という宣言なんですよ。

 > 探究の対象としては「理数探究基礎」「理数探究」ともに、自然科学だけではなく、社会科学や人文科学で対象となるもの、芸術やスポーツ、生活に関するものなどあらゆるものが考えられるとされており、必ずしも理数系に限定しなくても良いとされているが、探究の課程の遂行には、主に数学的な手法や科学的な手法を使うことが求められる。

 それを都合よく解釈して「担任」でいいとするのは無茶苦茶だ。

 > 教科書については、現在のところ発行されるかどうか明らかではないが、「理数探究基礎」については、「学習指導要領」および「解説」で示された目標と内容に沿って、体系的に学習が可能な教科書が発行されることを期待したい。「理数探究」の場合、扱う事象に限定がなく多様であることと、生徒の主体性がとりわけ重視される科目の性格上、体系的な学習教材としての教科書の作成は困難と思われるが、数学や理科が有機的に組み合わさった探究例などを紹介する探究活動の事例集があれば、大いに役立つものと思われる。

 「道徳」としかいえない部分は「道徳」くらいにはふつうに「教科書」ができてくるものと期待される。そうじゃないほうは、“つまみ食い”レヴェルの「事例集」というふうでなく、可能な限り体系的に網羅しようと努めた「カタログ」になっているべきだ。そこから選んで取り組むにしてもすごく苦労するのだ。問題ない。あなた(せんせい)の卒論のテーマはどうですか。えー…(てんてんてん)。

※「カタログ」は図書館情報学用語です。通販ではありません。

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 > 生徒としては口を開けて待っていさえすればせんせいが「プリントみたいなの」を持ってきて配ってくれると、「参考文献」は書いてあるけど、それを実際に手に取って読んだりはしないのだと、そういうことで(SSHなのに)いいんですかねぇ。