(約6000字)
[3016]の続きです。
ケンプラッツの記事には「査読制」の「読者コメント欄」があり、今回の記事では文末にこんなお知らせがありました。
・日経BP ケンプラッツ「中央線にグリーン車、見て歩いた工事・運用の難所」(2015/2/12)(再掲)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/news/20150208/691329/?P=3
> 【編集部から】
> 読者のみなさまのなかには、編集部の者より鉄道に詳しい方がたくさんいらっしゃいます。この記事をお読みになって、関連する補足情報や追加情報があればぜひ、以下の読者コメント欄にお寄せください。
…うーん。「編集部の者より鉄道に詳しい方」のコメントが掲載に値するかどうか、編集部では判断できないということになります。かくして、よくわからないコメントの応酬となっているようですね。
三鷹−立川間の線増が「遠のく」との声もありますが、そもそも「遠い」([3011]で詳述)という実情があります。むしろ、線増に合わせて行なうはずだった合理化(東京発着の各駅停車や、緩行線車両の立川乗り入れなどの廃止、特快の停車駅見直し、東京メトロ東西線の乗り入れ区間の延長など)を前倒しで行なうとすれば、その点では「名」(めい=線増)より「実」(じつ)の先取りをしたともいえる状況になってくるでしょう。
この観点では、三鷹、豊田など現に特急列車の車両の整備を行っている区所のみを快速線の車両の整備に使い(対応する留置番線を増やす以外には特別な対応=まったく新規での設備や人員の配置は不要とみられます)、武蔵小金井はそのまま緩行線の車両の留置に使うという転換があってもおかしくありません。これに合わせ、東京(または総武線方面)−三鷹間での快速の運転(三鷹で整備)や、東京メトロ東西線の武蔵小金井までの延長(武蔵小金井で留置)も考えられなくもなく、相互乗り入れの社局間での配置車両数も見直し(例えば東京メトロ側で配置増)となれば、緩行線の車両を削減(もしくは運転区間の延長、例えば千葉−誉田間など※)することも可能となってきます。
※電車特定区間([3005])としては、千葉を境に西ではE電(「電車」)、東ではM電(「列車」)となるのかもしれませんが、そんなことを「お客さま」に意識させるようでは、どこが「お客さま目線」なのかということになります。土気や誉田から乗り換えなしで西千葉や幕張に行きたいですし、総武快速との乗り換えも乗り場が固定となる稲毛でできれば十分(むしろよい)ですよね。電車特定区間の末端でガラガラの各駅停車を走らせながら、電車特定区間から外れたところでは急に本数が少なく(長編成であるため輸送力は足りているという計算)、境界となる駅が乗り換えで大混雑するという構造は、大宮や千葉で共通しています。
・Wikipedia「武蔵小金井駅」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E8%94%B5%E5%B0%8F%E9%87%91%E4%BA%95%E9%A7%85#cite_note-3
※JRのプレスリリースを挙げながら「車両基地となっている豊田車両センター武蔵小金井派出は(略)留置線の12両編成に対応する工事などが実施される」と決めつけるのは、勇み足すぎないでしょうか、と心配してみたりみなかったり。豊田、三鷹、青梅は確実ですが、武蔵小金井については不透明です。連続立体交差化に際して廃止されるといわれていたものが廃止されず残されたのも、線増の着工時期が見通しにくい中で、より幅広い選択ができるように、と検討された結果だったのではないでしょうか。
さらには、線路としては快速線とも緩行線ともつかないような運行も不可能ではありません。
・中野−三鷹間で緩行線の線路を使用し、一部時間帯には武蔵小金井発着となる東西線直通の快速(中央線内でも通過駅を設定)
例えば、現状で速達型列車へのアクセスがなく各駅停車(「各駅に停車し各駅停車より遅いこともある快速」を含む)で三鷹か中野へ「出る」ことを強いられている区間(高円寺−吉祥寺間)に対して、緩行線の線路を使用して、例えば中野、荻窪、吉祥寺と停車する「東西線快速」を設定した場合、中野での乗り換え解消ともあわせ、たいへん大きな便益が出てきます。これがそのまま、快速線の列車の合間に武蔵小金井まで乗り入れれば(毎時3本もあれば十分で、日中にはそのくらいの「合間」は取れるでしょう)、一例として、西武多摩川線の沿線から東西線の沿線への所要時間が大幅に短縮できます。快速線の列車が特快を主体としたものになるとすれば、三鷹を挟んでの移動が不便になるということへの手当てにもなります。
※一方で、ホームドア(可動式ホーム柵)の整備は「遠のく」ことになりかねません。武蔵小金井までの区間すべてで東京メトロの車両に対応した「大開口」のホームドアを設置するというのもなんだかなぁという印象を受けます。東京メトロの車両が標準的な開口幅の車両に揃えば、普通のホームドアで済む話です。
・快速や特快の停車駅見直し(神田※1、御茶ノ水※2、中野※3、三鷹※4、国分寺※5などを通過する一方、吉祥寺、武蔵小金井に停車し、下位の列車と接続する)で、新宿での乗り換え客を含む四ツ谷−荻窪間での流動を緩行線でまかなう
※1 山手線ホームの拡幅用地がほしくないですか? ほしいですよね。ホームを拡幅しないままホームドア(可動式ホーム柵)を設置するにはホーム先端が細く、無理があるように見えます。
※2 対面乗り換えさえあきらめれば、施設に余裕のある四ツ谷での乗り換えとできます。
※3 中野をあえて通過することで、中野で乗降(改札を出入り)する客の流動を緩行線に移すとともに、新宿駅での乗り換え流動の一部を代々木に移すことが可能となります。中野−三鷹間で、特に深く考えることなく「なんとなく速そうな」快速に乗り、新宿で山手線に乗り換えている客は少なくないとみられます。新宿駅で乗り換える客を減らすという意味では、最短で100mしか離れていない新大久保と大久保の乗換円滑化や単一の駅への統合、駐輪場と乗換経路を一体化した地下通路を自治体とともに整備するといったことも考えられます。
※4 三鷹を通過しなければ、特快の吉祥寺停車が実現できません。現状でも、下り特快が先行列車につかえて、吉祥寺付近で減速を余儀なくされています。ならば、特快が吉祥寺に停車し、三鷹では停車せず追い越しとすれば、待ち時間や所要時間を減らせるでしょう。
※5 国分寺ではホームが狭く、むしろ折り返し列車(=増発分)との接続を兼ねて武蔵小金井で緩急接続を行なうほうが合理的です。国分寺では、東小金井や国立と同様の2面3線化(上りのみ2線でラッシュ時に交互発着)をしながらホームを拡幅するという方策も考えられます。そうなると、国分寺との駅間が非常に短い西国分寺についても上りのみ2線化、あるいはこの区間だけ地上で3線化(上り2線化)されたくなってきます。いずれにしても、将来の線増では西国分寺も含め全線が地下線(=シールドトンネル:シールドマシンを国分寺や国立で転回するとは思えません)で建設されるとみられ、地上に用意された複々線化用地は前倒しで使ってしまえる状態なのではないかとみられます。
東京メトロ丸ノ内線と競合する区間ですが、これを「競合」とみなす見方(「特定割引運賃」は設定されていませんので、していないということになるのかもしれませんが)をいつまで続けるのでしょうか。現状では丸ノ内線の「新宿止まり」が不便で、荻窪には行かない「中野富士見町行き」があり、荻窪に視点を置いた時に、丸ノ内線での移動では待ち時間が長いという印象があります。仮に、中野坂上の配線を利用した快速運転を導入しつつ増発、などとなると、こんどは荻窪の乗り換え通路やJR側の施設容量の少なさが問題となってきます。
※最大限にうがった見方をすれば、中央線から丸ノ内線(≒東京メトロの1日乗車券のエントリーポイントとなる)への「逸走」をさせまいとして意図的にJR側の駅施設を小さいままにしておけば、いみじくも奥ゆかしく丸ノ内線の増発を阻止することができてしまいます。本当でしょうか&そんなことでいいんでしょうか。
・「いみじくも」
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/15015/m0u/
・青梅線からの短い編成による武蔵小金井までの乗り入れ
青梅線と中央線の直通電車は、立川駅での乗り換え客の流動を施設容量の範囲内に収めるため、維持される必要(※)があります。
※してほしい、というレベルでなく、しないと成り立たない、というレベルであることを「必要」と表現します。
これまで通りの考え方をすれば、直通するからには直通先に合わせた編成でなければならない、となります。青梅線内で12両編成がたくさん走るとなると、輸送力が過剰となる部分(時間帯や区間)も出てくるでしょう。とはいえ、特快が通過する駅(国立など)の利用客を特快停車駅(仮に武蔵小金井)や東西線直通電車の始発駅(三鷹、仮に武蔵小金井)まで運べれば十分だ、とすれば、青梅線から中央線への直通電車の全便が東京行きである必要はなく、青梅線内でフリークエンシーを損ねないことを重視すれば、短い編成でもよいと判断することができます。
このことと関係があるかは不明ですが、武蔵小金井の2番線に、立川方面からの折り返し6両の停止位置目標および、立川方面への発車における6両編成の車掌用ではないかとみることもできる出発時機表示器が、いつのまにか新設されています。また、立川ではITVが増設(? 見た目がキレイです)されていますが、5番線で、新宿方面からの6両の停止位置目標があり(もともとあったと思いますが=新宿方の引き上げ線に入った6両の普通列車が「当駅始発」として再び入ってくるときに使用)、同じ箇所に、折り返し新宿方面への発車における6両編成の車掌用とみられるITVおよびレピーター(出発反応標識)が新設(? 見た目がキレイです)されているとともに、どう見ても出発時機表示器を設置したそうな配管(中から短く細い配線が出ているものがラックからぶら下がっている※)があります。…うーん。どうなるんでしょう&いつから使うものなんでしょう?
※まさにこれ。
http://atos.neorail.jp/photos/images/atos0041.jpg
![http://atos.neorail.jp/photos/images/atos0041.jpg]()
※現状では普通列車も6両、青梅線も一部6両、南武線も6両で、かつ各種の臨時列車や団体列車も6両です。仮に立川で立ち番を廃止したいとすれば、立川で降車確認をする必要のある列車をなくすことが必要とみられ、青梅線や中央本線の普通列車(車両としては211系)の立川折り返しを武蔵小金井まで持っていくということも考えられないでもありません。そして、日中などに多数の6両編成の「電車」(=現行のシステム運用では出発時機表示器の対象となるとみられる)が運転されるとなれば、異常時に立川の5番線で上り方向に折り返すことも可能としておく必要が出てきます。
※立川に乗り入れる211系は現状、降車確認後、引き上げ線に入るものと、即座に折り返して豊田へ入庫(?)するものとがあるようですが、あまり詳しくは見ていません。詳しい方、いらっしゃいますでしょうか。それよりも、方向幕が「有明」だの「穂高」だのと回っていくほうに気を取られます。
さらに、どういう関係があるかは不明ですが、立川の6番線の電光掲示板(LED発車標)が、緑の鮮やかな世代の3行タイプに置き換えられています。
※ケンプラッツの記事にも写真があります。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/news/20150208/691329/?SS=imgview&FD=-646912374
ホーム上に3行タイプを設置するという基準がパース(リバースエンジニアリング的な意味で)できていないのですが、特急が停車することだけなら2行タイプで済むはずです。6番線から中央線方面、青梅線方面、特急と数えて3種類あるから3行必要だという話なのでしょうか。しかし、一方で左右の5番線用、6番線用とは別にもう1台、青梅線専用の発車標(乗り場も案内するもの)も5・6番線ホームの中央にあり、狭いホームの中では、全体としてかなり情報量が多いように感じます。
※「立川ぁ」とまでは申しませんが、「八王子ぃ」([2950])とともに、どういう考えで講じられた施策なのかよくわからないところがあります。
・立川−八王子間の速達化(特快の途中駅通過)
中央線側でも、仮に西豊田新駅が実現したとして、全便を西豊田に停車とすることは考えにくく、西豊田を通過するのであれば日野も通過して当然で、それなら豊田で追い抜きもすればよい(八王子や立川では速やかに発車しないといけないとして)、といったことになってきます。豊田で緩急接続するほうがいいのかしないほうがいいのかについては、どのようなことを検討すればよいのか、ちょっとわかりかねます。特快の大月までの区間全体での速達性を優先すれば、豊田は通過となる公算が高いのではないでしょうか。
・八王子−大月間での普通列車(特快を含む)の速達化(途中駅通過など)
距離と時間、地元の意向や宅地開発の状況などからして、八王子、高尾、相模湖、四方津、大月に停車する一方、途中の駅は通過としないと「特快」とは呼び難いでしょう。藤野や猿橋にグリーン車付きの12両編成がどかどかと停車するとなれば、その代わりに本数を大幅に減らさざるを得なくなり、この区間での特快の本数自体、多くは設定できないという矛盾が生じます。事実上、特急「かいじ」の減便を必要とする施策といえます。また、どのような車両および運行となるかは別として、短い編成での普通列車の運行は残ることになるとみられます。
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