フォーラム - neorail.jp R16
発行:2015/6/5
更新:2017/12/7

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【EQF特集】

「TOEIC」を「CEFR」で読み解く


テストのつくりかた
TOEICにまつわる「幻想」を斬ってみる
「書く」にも「聞く」が必要?
「読む」「書く」と「話す」の関係

(約11000字)

 英語の話ですが、テストの設計の話です。

 「夏休みの計画」を立てる人が出始めるのが6月で、それにともなって英語の学習を「再開」される方が多い…らしいです(TOEICのメールマガジンによります)。本当でしょうか。このように、英語と交通機関には密接な関係が…もっと本当でしょうか。

・NHK「中学生に英語力を測る全国テスト実施へ」(2015年6月5日)
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150605/k10010103981000.html

 > 文部科学省は、平成29年度までに中学校卒業時点で英検3級程度以上の力を身につけた生徒の割合を50%にすることを目標にしていますが、ここ数年、30%台と横ばいの状態となっています。

 > テストは民間の試験団体の協力を得ながら実施する予定で、今年度は試験的に6万人を抽出してテストを行うということです。

 > ただ、100万人以上いる中学3年生全員の「話す」力をどのようにして測るのかなど課題もあり、

 「英検3級以上」の目標が「50%」なら、全体的には以下のような「期待」をするということですね。

・上位20%に「英検準2級」以上の合格を期待(受検させるからには合格率をほぼ100%とするよう手厚く指導する)
・平均的な60%のうち上位半分(全体の30%)に「英検3級」合格を期待(同)
・下位20%には、より基礎的な何かを期待(期待しないということではない)

 これに対して「30%」とされる現状は、以下のような、たいへん「悩ましい」状況になっているということでしょう。

・上位20%が「英検3級」以上を受検し、概ね4人に3人(全体の15%)が合格(4人に1人は、受検する級が実力を明らかに超えている=「チャレンジ」させられる)
・平均的な60%のうち上位半分(全体の30%)が「英検3級」以下を受検し、概ね2人に1人(全体の15%)が「英検3級」に合格
・下位20%には、英検なんてどこの雲の上の坂だよ的な何かがあると懸念(生徒本人でなく、現行のカリキュラムを間接的にせよ信認している、すべての大人の責任です)

※上記の推定は、仮想的な「平均的レベルの学校や地域」を想定したものです。東京の都心でも、田舎でもないどこか(千葉か埼玉なんでしょうか)に住むとされる「有業者の夫と専業主婦の妻、子ども2人」という「標準世帯」と同じですね、わかります。このあたりは、今年実施の国勢調査で最新の状況が明らかになります。コワイですね。

※また、学力(平準化を目指した学習指導の結果、得られる学力=実績ダイヤ的な意味で)についても正規分布(ピークが中央に1つ)を想定していますが、現状は上と下に山が2つといわれます。ただ、このことは別の問題であると認識します。

・総務省統計局「家計調査 用語説明」(2004年)<