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発行:2017/1/10
更新:2018/2/2

[3398]

【実例に見る総合評価】

実例に見る総合評価(補遺編) ふれねるレーダーチャートの怪<かい>


3角形、5角形、6角形、8角形それに12角形
「radii」とも呼ばれる「star plot」を読み解く
「Lotus 1-2-3 R2J」(1986年)から「QuarkXPress」まで
Wikipedia「RADAR」を読み解く
いつ「レーダーチャート」を習うのか
OECD「Country Note」から「次期学習指導要領」まで

(約23000字)

 この一連の記事では、徳間書店「ゲーム通信簿」の『歴代最高点』である「4.84」という値を(あの手この手で)実感的に読み解きながら、「カスタマーレビュー」を数量的に扱うことのむずかしさを追体験していきます。

 前編([3401])では、まず、なぜ「ゲーム通信簿」は6項目なのか、ほぼ同時代といえる「6つの基礎食品」(1981年)を振り返りながら探ります。次に、もっとエレガントな方法はなかったのか、1990年代にOR(オペレーションズ・リサーチ)の分野で知られていた、複数の評価値を総合する方法について参照します。あわせて、数学的に平易な方法であっても、現実の社会で実際に重要な指標の算出に使われていることを実感するため、国連開発計画(UNGP)が算出している指標「HDI」「IHDI」について参照します。

 中編([3400])では、読者に5段階で評価させていた「ゲーム通信簿」の「平均」について、整数の組合せの問題と読み替え、結果として「平均」が「4.84」になる評点の組合せを実際に探します。評価者の数を1から500までと仮定したとき、整数の評点の組合せがそれぞれ何通りになるのかについて、コンピューターで約4時間20分かけて調べます。

 後編([3399])では、評価者の数を500と仮定し、正規分布、t分布、それにコーシー分布として知られる分布などを念頭に、5段階評価の評点の平均が「4.84」になる分布は不自然ではないのかを検討してみます。あわせて、現に「4.84」という平均になったとき、その重みはどのくらいであるのかを考えるため、架空の操作として、評点のスケールの拡張を試します。最後に、日常にひそむ数学と、研究・開発との接点として、「組合せ計画法」「整数論」を遠目に眺めます。

 補遺編([3398])では、現在「レーダーチャート」と呼ばれて知られているデータをプロットする方法について英語版のWikipediaを参照しながら探ります。また、4軸以上のレーダーチャートにおいて、プロットされた面積をうのみにできないことを確かめます。算数・数学の教科書を出版する各社のページを参照するとともに、小学校からのプログラミング教育それに統計教育に関する最新の議論につなげます。

 また、各記事では、統計や数学に関する書籍を、新旧それに硬軟とりまぜて紹介します。

 これに先立ち、導入編([3402])では、徳間書店「ファミリーコンピュータMagazine」がどのような雑誌であったのか、「元・2代目編集長が今だから明かす」との触れ込み(※)で2011年に出版された本などを参照しながら、振り返っています。


☆3角形、5角形、6角形、8角形それに12角形


 レーダーチャートについて深めます。

・前編([3401]
 > もう1つ、6角形のレーダーチャートを使いさえすれば「○○さんかっけー」などと(さらに略)…いえ、略さずに説明しようではありませんか。

・時間の関係で大日本図書「算数 : 授業に役立つダウンロード資料」より「掲示用「グラフ博士になろう」」をご覧いただきます(※廊下に貼っておきます、の意)
 https://www.dainippon-tosho.co.jp/j_school/sansu/archive/download.html
 https://www.dainippon-tosho.co.jp/j_school/sansu/archive/pdf/download/Dr.graph.pdf

 > 授業でならう棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフから授業では出てこない蜘蛛の巣グラフまでをわかりやすく紹介。

 > 全部クリアしたら、グラフ博士だ!

 わあぃ全クリと略される全部クリアっ。グラフ博士への道は険しいのう。そして、いまはコンプというのではないかのう。

 > こんなグラフもあるよ『クモの巣グラフ』
 > サッカーチーム戦力
 > このグラフを見ると,チームの特ちょうがよくわかりますね。

 軸の配置次第で面積はごっそり変わるのですから、何の前提もなく「よくわかりますね」などと博士のような顔で(しかも算数なのに白衣で!)いわないでくれますぅ?

 > 決定力があって守備力が弱いチーム
 > 守備力があって決定力が弱いチーム

 わあぃタテとホコっ。さあさあさいきょーのさいきょーによるさいきょーをきめるたいけつのほうなどはじまるようですよ。…なんだかなぁ。そして、このレーダーチャートの中に「チームバランス」が入っているなんて、**なんて…。(※素朴な感想です。)(※「レーダーチャート」とは書かれず「クモの巣グラフ」と書かれています。)

 「レーダーチャート」について詳しく見る前に、まず、わたしたちどれだけ「邪ねんと呼ばれる先入観!」に支配されているのか再認識してみようではありませんか。なんと、多角形を見ただけで、いらぬイメージまでついてきてしまうんです。

・3角形:「あんたがたむずかしいことはわからんじゃろ」からの「きょうは3つだけ覚えて帰ってください」キターっ
・5角形:占いとか占いとか占いとか
・6角形:「かてるサッカー11」とか「でっかい戦略」とか
・8角形:わあぃ炒飯。炊飯じゃないよ炒飯だよ
・12角形:星座とか方角とか干支とか時計とか

 そして、まあ、(じぶんに都合の)いいことが描いてあればありがたがり、(じぶんに都合の)よくないことが描いてあれば見なかったことにするというわけです。えー、なになに? 「ラッキーアイテムはセロハンテープ」([3213])ですと? …なんだかなぁ。

・ウィキペディア「5角形」のイメージです(※あくまでウィキペディアです)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E8%A1%8C%E6%80%9D%E6%83%B3

・ニッスイ「8角形」のイメージです
 http://www.nissui.co.jp/recipe/images/13/00381.jpg

・NTTレゾナント「12角形」のイメージです(※あくまでNTTレゾナントです)
 http://ukweb.telsys.jp/common/seiten/images/common/explain_01.jpg
 http://fortune.goo.ne.jp/seiten/servlet/UkwIndex?item=seiten&ctrl=comment&exp=1

 3角形については省きますが、こう、ナイーブには3つ(しかも独立でない)の軸しか思いつかないようすがうかがえて、それはそれでちょっとおもしろいかもですよ…ゲフンゲフン。

 レーダーチャートをパッと見て(大日本図書「グラフ博士」いわく)「よくわかりますね。」といって、その実、わたしたちプロットされた面積を見ていることがわかります。軸の配置次第で面積なんて変わるんだと、そんなもの(※)…ただし、3軸のレーダーチャートでは、軸の配置がどう変わっても面積は変わらないことがわかります。

※どの軸も値は0でないとします。

 レーダーチャートで4軸にするというのはめったに見ないような気がしますが、4軸で軸の配置を変えながら、値の並びで見て「1,1,5,5」と「1,5,1,5」になる例を見比べれば、ぬおー。安易に「よくわかりますね。」などといってしまったことを恥じたくなってきそうですぞ。

 かえって、3軸なら確かに面積をうのみにできる安心さがあるともわかります。よく考えて選ばれた3軸であれば、本当に「よくわかりますね。」というプロットもできるわけです。とはいいましても、簡単そうに見えて、実は軸の選びかたがむずかしいわけです。形だけまねて、仮には「ポジ」「ネガ」「わからない・無回答」の3軸でプロットする例など…ゲフンゲフン。それは円グラフにしましょうよぉ。

・なるほど統計学園「レーダーチャート」
 http://www.stat.go.jp/naruhodo/c1graph.htm#section06

 > Bさんは逆に理科系が強い

 えーっ。数学が得意でなさそうなのに理科と社会の得点が高いというのは、あなた、暗記に頼ってますね! …などとですね(略)。

 > やってみよう
 > 総務省統計局では、都道府県別や市町村別のデータをまとめてデータベースにしています。これを使って、皆さんの住んでいる都道府県・市町村の指標をレーダーチャートに描き、全国平均と比べてどうか、見てみましょう。

 うーん。多くの指標を3つに分類して、分類ごとに平均して、3つの平均をプロットして眺めるなら、それなりに「よくわかりますね。」できるかもですが、あまりにも『生の指標!』を、よくわからない配置で並べても、よくわからないと思いまーす。(メッソウです。)

・だれがいったか…じゃなくて、いつのまにか知ってる「レーダーチャート」のイメージです
 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13166630793

 > 今、授業でvbaのプログラムを

 わあぃ今ッ!! …ゲフンゲフン。

 > 選手名43件で、選手一人一人の能力、
 > パス、シュート、ドリブル、スピード、フィジカル、ディフェンス、総合の能力を表示させたいです。
 > そして一人一人の能力をレーダーチャートにして、表示させたいです。

 わあぃ…やっぱり6項目のレーダーチャートですねぇ。「総合」でランク付け(順位付け=詳細には構わず容赦なく順位付けする、の意)しつつも、詳細は「6角形の形を見よ」ということです。監督の「采はい!」と呼ばれる恣意的な介入が…ゲフンゲフン。「総合」での順位が低くても重用される選手、いそうだよね。(※あくまで一般的なイメージです!)