・「ボトルネック」と「バタフライ」を知る ・東京都「都市計画情報等インターネット提供サービス」で読み解く(仮) ・空から昔の緑川を見てみよう(1979年・1944年・1947年) ・中央線の地下線増に支障(?)の暗きょ、切廻しか ・貨物線の「オール交流電化」はどのくらい現実的か ・【立川市】都の概略設計に遅れ、駅広計画の予算計上できず
(約26000字)
[3151]の補足です。
[3151]では話の流れを単純化するため、調べたことのほとんどを記事には含めず、後回しにして、…そのまま忘れていました。たいへんメッソウでした。
★「ボトルネック」と「バタフライ」を知る
鉄道と道路の関係について、改めてまとめます。
・一般化「バタフライ」のイメージです
http://www.net.c.dendai.ac.jp/~murakami/thesis.html
http://www.net.c.dendai.ac.jp/~murakami/thesis/butterfly.png
> このような図は図形の形からバタフライと呼ばれている。
あるステップで、ほかの流れ(別の自治体とか、別の官庁とか、別のプロジェクトとか)の結果が出るのを待たないと、こちらとしても先のステップに進めないという「ボトルネック」を表しています。鉄道と道路、また、具体的なA路線とB路線、低コスト化などに資する新しい施工技術の開発(の遅れ)、さらには法令の改正の動向(国際規格など含む)など、あらゆるものが「バタフライ」に、互いに互いの「ボトルネック」になっていくようすを、無理に図式化すれば、このような図になるだろうと想像できましょう。こういうことを指して、このフォーラムでは「バタフライ」と呼んできていることが知られ…いえ、いま初めて知りましたよ。(恐縮であります。)
なお、「ボトルネック」といって、一面的に「わるもの!」と決めつけるのはよくないと思いまーす。
・「ボトルネック(わるもの)」のイメージです
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20091008/338576/endAgenda.jpg
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20091008/338576/
・日本ガラスびん協会「ガラスびんの歴史」
http://www.glassbottle.org/what/
ボトルと呼ばれる前の「(焼き物の)つぼ!」の時代から、細口にする工夫があったとわかります。うっかり倒したからといって、ただちに中身がぜんぶざざーっと流れてしまわない、一種『安全弁!』(※)でもあるのです。つぼやボトルを倒した途端に大きな水たまりができるマンガは、あくまでマンガですぞ★。実際には詰まり詰まり、コポコポコポ…とですね(略)。
※本来の「安全弁」は破裂を防ぐために圧力を逃がすものですが、「うっかり」による「深刻で取り返しのつかないソレ」を防ぐという機能面に着目して、比ゆ的に「安全弁」といってみます、の意。
[3151]では、▼中央線の複々線化(地下線)、▼南武線の立体化、▼青梅線の立体化が絡み合って「バタフライ」であるとみられることを紹介しました。このうち、まずは南武線(の踏切)に絞って見てみます。
・東京都 都市整備局「踏切対策基本方針」(2004年6月)
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/seisaku/fumikiri/taisaku_honbun.pdf
> 図表3-1:「踏切対策基本方針」策定の流れ
まさにバタフライですね。
> 15ページ
> 「重点踏切」2025年度までに重点的に対策を実施・検討すべき踏切
> 「重点交差予定箇所」今後新設予定の道路のうち、優先的に整備すべき都市計画道路と鉄道との交差予定箇所
> ●「重点踏切」抽出の指標
> ●「鉄道立体化の検討対象区間」抽出の指標
> 67ページ
> 連続立体交差事業は、工事着手から鉄道線路の切り替えが完了するまで踏切が除却できないため、事業の最終段階にならないと事業効果のひとつである交通渋滞の解消が図れない。したがって、下記の視点にたって事業計画の策定を行っていく必要がある。
> 各路線内における集中投資を図るとともに、鉄道事業者の投資余力も踏まえ、1路線において同時に事業化するのは1箇所を原則とする。
> 現在、連続立体交差事業の事業主体は都道府県・政令市に限定されているため、都が事業主体となる場合、一定のペースでしか進み得ない。したがって、区市町等が事業主体となり、早期に事業実施が可能となるような制度の創設を国に求めていく。
※「投資余力」というあたり、「ボトルネックがあってよかった!」的なソレとも思えるかもしれません。投資が一時期に集中してしまうのはたいへんなことですぞ★(=後述の立川市を念頭にしています)。
合理的な基準、すなわち2種類の指標を使って、優先順位をつけつつ、いかなる事業とするのか(連続立体交差事業にするのか、道路単独で対策するのか)を分けていこうという流れです。指標は、ご覧の通り、たいへん生活者の実感(実際の不便や危険)を広範にくみ取ったものとなっており、安心されましょう。
※このような指標が実際に採り入れられるようになるまでのクロウはしのびつつ、他方、いまや指標に言及せず観念的に主観を述べることは許されなくなりつつあるといえましょう。(指標のエレガントさを前にして無意味である、の意。全然まったくすっかり事実です。)
> 前項で示した指標により「重点踏切」を394箇所抽出した。
> 図表4-9:重点踏切の抽出結果
この段階では、踏切と踏切の間に順位は付けず、等しい扱いで列挙した、ということです。(これ、たいへん大事です。「この踏切はゼッタイになくさないといけない(と思うのでテゴコロを加える)」といったことがあってはいけないのです。「学問的エレガンス」[2938]も参照。)
※あなたが素朴に感じる重要度や優先順位(「よそより早く、うちの前のアレを何とかしてよ」)が、客観的にもそのような重要度や優先順位になるものであれば、それは指標だけで説明できるはずなんです。
南武線については、以下の7つの「重点踏切」が抽出されています。言い換えれば「394分の7」です。
※この「394分の7」は、あくまで分子も分母も整数の分数であって、連続量を示しているわけではありません。ですから、小数やパーセントで表示してはいけないとわかります。「充足率:ン%」ですって? とんでもない! それは「予算額」という尺度の上での話です。踏切の数を数えただけのときにパーセントにしてはいけないんですよ。
・小学校前踏切(府中本町−分倍河原間)
・本宿原踏切(分倍河原−谷保間)
・天神前踏切(谷保駅構内)
・矢川踏切(矢川駅構内)
・中学校前踏切(矢川−西国立間)
・向郷踏切(西国立駅構内)
・羽衣踏切(西国立駅構内)
> *優先的に整備すべき都市計画道路
> 「区部における都市計画道路の整備方針」(平成16年3月)中の「第三次事業化計画 優先整備路線」及び「多摩地域における都市計画道路の第二次事業化計画」(平成8年3月)中の「前期事業化予定路線」とする。
> 注)既に道路と鉄道が立体交差化されている箇所は「重点交差予定箇所」として抽出していない。
> 前項により「重点交差予定箇所」を19箇所抽出した。
南武線については、以下の3つの「重点交差予定箇所」が抽出されています。19分の3といいますと、おおー、と驚くことができそうです。
※「394分の7」と「19分の3」を比べたいですって? そういうときは「およそ56人に1人の割合」「6人に1人」という表現にならって…いいんでしょうか。わかりかねました。あくまで「394分の7」は「394分の7」なんです。たぶん。
・府中3・4・3(南多摩−府中本町間)
・国立3・3・15(矢川−西国立間)
・国立3・4・5(矢川−西国立間)
> 前項で示した指標により「鉄道立体化の検討対象区間」を20区間抽出した。
> 図表5-3:鉄道立体化の検討対象区間の抽出結果
> JR南武線 矢川〜立川駅付近
> JR青梅線 立川〜東中神駅付近
> JR埼京線 十条駅付近
ここでは、まだ「抽出」ですから、優先順位は付けられていません。私鉄も見ますと、西武新宿線が5区間(7自治体)で最も多く、西武池袋線の3区間(4自治体)もあわせますと、西武鉄道において最も鉄道立体化が検討されるべきである(≒急がれたい)といっていることになります。
> (3)「鉄道立体化の検討対象区間」毎の現況と各区間固有の主な課題
> 各区間毎の現況と主な課題について整理する。なお、各区間の記載順は、鉄道事業者順に従っている。
> JR南武線 矢川〜立川駅付近
> 都市計画道路と4箇所で交差しており、このうち国立3・3・15号線、国立3・4・5号線は優先的に整備すべき路線である。
> 国立3・3・15号線、国立3・4・5号線の整備計画及び事業実施時期との整合を図る必要がある。
とのことで、別の道路の進捗を待っていることがわかります。まさに「バタフライ」ですね。
★東京都「都市計画情報等インターネット提供サービス」で読み解く(仮)
実際に個々の路線がどのような状況にあるのかは、都市計画図などの図面を参照しながら、面的に把握する必要がございます。さらに、実際の工法など想像してみるには、現地の状況や地形なども含め、立体的に把握する必要がありましょう。
そして、▼どこかの誰かが「都市計画図にかいてありました!」と述べてくれるのを口を開けて待っている、というのは、いまやアレですぞ。知りたいことがあれば、じぶんで調べればいいんです。ご自宅や職場の近くの気になる道路などありましたら、みなさま、▼市役所のホームページで「都市計画図」を探して、面倒な「同意する」ボタンをマウスでポイントしてからクリックして、やっと念願の「都市計画図」をありがたく(手間も費用もかけずに)参照できる時代ですぞ。
・東京都 都市整備局「都市計画情報等インターネット提供サービス」
http://www2.wagamachi-guide.com/tokyo_tokeizu/index.asp?btnagree=%E5%90%8C%E6%84%8F%E3%81%99%E3%82%8B&dtp=2
南武線と交差する主な道路について、以下にまとめます。
・西府橋(完成):道路が線路の上を通る陸橋になっています
・東八道路と新府中街道の西原町一丁目交差点から甲州街道と日野バイパスの国立インター入口交差点までを結ぶ都市計画道路(未着手):線路が周囲の土地より少し低くなっている区間で、道路が線路の上を通る陸橋になるとみられます
・谷保駅:駅北側の都道146号線(国立停車場谷保線)の拡幅が予定されているようですが、この道路は駅北側の駅前ロータリーを終点とするもので、線路の南側につながる新たな(大きな)道路の計画はありません
※西府方の線路の低さから、さらに線路を下げ、谷保駅を地下化することができそうですね。逆に、谷保駅を高架化すると、西府橋から谷保駅までの曲線区間で急こう配となり貨物列車に厳しい線形になってしまいます。ということから、「谷保駅はきっと地下化される!」などと『画期的な新説!』を掲げてみようかと思いましたが無理ですやめておきます! 谷保駅では橋上駅舎のバリアフリー化として2015年3月にエレベーターが設置されています。
・谷保駅〜国立市役所付近:歩行者と自転車のみ通れる小さな踏切が、要所要所に設けられています。市役所の前にもあります。市役所西側の道路を拡幅、線路南側まで整備する計画があるようですが、道路側にこう配を付けることが難しいとみられ、線路の側を上げるか下げるかとなり、では、ここで線路が高架にできるかといえば、線路が急こう配となり、景観としても「大きな声」で反対されるはずです。谷保駅から連続して地下化、というのが最も有力だとみられます。
くどいですが、▼どこかの誰かが「Googleのストリートビューにうつってました!」と述べてくれるのを口を開けて待っている、というのは、いまやアレですぞ。知りたいことがあれば、じぶんで調べればいいんです。ご自宅や職場の近くの気になる道路などありましたら、みなさま、▼Googleのトップページから「地図」で地名や建物名を検索して、面倒な「Pegman」アイコンをマウスでドラッグしてから所望の道路上にドロップして…おっと、違う場所に落としてしまったよ。もっかい! …そして
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