・自由研究「百景」そして「一計」 ・比べるなら、(できるだけ)ぜんぶ比べる ・工作キットで「研究」する ・「研究」につながるように実験する
(約11000字)
[3051],[3052]に続いて、しかし基本に立ち返って、「研究ホワイトボックス」を試みてみましょう。世は夏休み、いまならたいへん便利でおトクな自由研究ですね、わかります。
「自由研究」というのは、音楽コンクール(なぜかフランス語)でいう「課題曲」に対する「自由曲」のような、たいへん教育現場だけで通じる理屈で呼び方が決まっている(自然に定まった、あるいは誰も疑問に思わない、の意)もので、「自由」とは何か、考えさせられます…いえいえ、あくまで「自由研究」の話です。
ものの名前は短いほどプリミティブ(基本的、原始的、最小単位で原理的な、の意)で、頭にゴテゴテと「盛」れば「盛」るほど「盛りナントカ」([2908])…いえ、何か限定的な、より狭い界隈でのみ通じるものになっていきます。
・「本格研究」
http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-063353-6.html
http://www.jihyo.co.jp/sansouken.html
http://www.ieice.org/~swim/jpn/presentations/swim2011-11.pdf
「本格研究」やら「産業論文」やら、といったものもあるにはありますが、うーん、とうなります。そう呼んで、「自分たちにもできる!」という気になっていただかないと、まったく取り組まれもしないので、あえてそう呼んでいる、という、実に「上から目線」な実情もありましょうが(※)、しかし、「本格中華!」は中華なんでしょうか。「本格イタリヤン!」と称しながら「当店イチオシ!」が「昔ながらのナポリタン!」であったりしては、限りなくイタリアンでないように感じます。(感想は個人です。)ナポリタンの大盛り…いえ、いくら「盛」っても、研究は研究であり、論文は論文であります。
・「本格中華【受注生産】」(2,800円)
http://www.noboriya-kobo.com/shop/shopdetail.html?brandcode=000000020328&search=%CB%DC%B3%CA&sort=
・「本格イタリヤン!」
http://www.noboriya-kobo.com/shop/shopdetail.html?brandcode=000000019361&search=%CB%DC%B3%CA&sort=
・「当店イチオシ!」
http://www.noboriya-kobo.com/shop/shopdetail.html?brandcode=000000019693&search=%A5%A4%A5%C1%A5%AA%A5%B7&sort=
・「ナポリタン【受注生産】」(2,800円)
http://www.noboriya-kobo.com/shopdetail/000000014463/ct1483/page2/order/
※「逆効果」であったり「副作用」が大きいようにも見受けられます。拙くても研究、通らなくても論文、というところからきちんとスタートしないと、ゴールはおろか、走るべきコースすら見えてきません。本当でしょうか。好き勝手なところを(自称)「私、走った! 私、がんばった!」といっても、何の成果(研究成果)にもなりません。それがわかった上で、そんな高いレベルで「成果」(しかも考課に直結する)を求められても応えられないよ、とまでわかった上で、したたかに「上から目線」に従っている(従ってさえいれば、難しすぎる成果までは求められない)というかたも多いのではないでしょうか。(あくまで偏見です。)
※「産業論文」はともかく、「本格研究」はまぎれもなく研究であって、呼び方だけがいまいちです。研究というもの全体のうち一部(のプロセス)にしか取り組まないのが研究者であるとまでいわれる中、きちんと研究全体(のプロセス)を見渡して取り組む、最初から最後まで責任を負うということです。「まるごと研究」などと…呼ぼうとすると「ドラえもん(笑)」みたいだといって「待った」がかかる(予算が通らない)んですね、わかります([2993])。それでも、何でも漢字で書くのがベストとは限りませんし、ナンでもカタカナにスリャアいいってモノでもナイデスヨネ。
とはいえ、自由研究(の指導)を考えますとわかるように(わからなくてもわかった気になっていただいて大丈夫ではないでしょうか:現場でもわかられてはいないような気がしますから=当時。近年の事情はわかりかねます)(※)教員自身が系統だてて研究に取り組んだことがなく、ましてや研究を指導するとなれば博士課程で見習い(アルバイトでRAする)、助教でお手伝い(院生の指導は任されず)、准教授になって初めて、きちんと指導できる(指導することを許可される)という話ですから、いくら「自由研究」と狭めても、やはり指導は難しいといえます。
※初等教育の免許だけを持つ=そこを目指すのは並大抵ではないと感服しますが、代わりに研究という面ではほとんど何も身に着けないまま免許されるわけです。トレードオフですね、わかります。なんでもできるスーパーマンなんて、いませんですとも。
★自由研究「百景」そして「一計」 いま、「自由研究」といって、とりあえず「Google先生にご登場願う」人(保護者や保護者、それにご両親など)が多いのではないかなぁ、と推測します。
※本稿も、そうしたみなさまや、それよりちょっとだけ若いみなさまが読まれることを念頭にまとめてございます。子どもが自分で読むことまでは想定していませんので、大人のかたにお読みいただいて、家庭などでの指導に活かしていただきたく思います。
・ディスカバリーチャンネル、アニマルプラネット「自由研究大賞」
http://japan.discovery.com/summer/
http://japan.discovery.com/summer/pdf/A2_jiyukenkyu2015_fix_low.pdf
> すごい自由研究の作り方(ヒント集)
うーん、これを読んでも、いきなりはわからないですよねぇ。また、誰もが「すごい自由研究」を狙えという、科研費もびっくりな価値観を子ども社会に持ち込むのは気が引けます。何より、そうしたことで競い合うのは、基礎ができてからの話で、端的には「いまのキミ」には早すぎる、ということに尽きるかと思います。(あくまで一般的な話です。)
研究に取り組むために最初にすべきことは、他の人の研究を見ることです。(と、いわれます。)
・ベネッセ「こんなの作ったよ!夏休みの自由研究・工作 発表会 2013年版」
http://benesse.jp/gallery/jiyukenkyu2013/
ほほえましくありますが、ちょっと、あまり参考にはならない感じがします。「八重の桜」をきっかけとした「幕末の会津藩について」(5年生)は力作ですね。理系っぽいものでは、「森のしょくぶつさいしゅう」(2年生)、「セミの抜け殻しらべ」(2年生)、「エジソンの電球を作ってみよう」(3年生)、「化石」(3年生)、「テレビロボット」(5年生)、「ロボット・メデューサ」(5年生)があります。「テレビロボット」はキットではなく、本(ただし、かなり古そう)を頼りに機構を自作したとのことで、スバラシイ! 「メデューサ」は実物を触って知っていますが、これをきちんと組み立てられるというのは、基礎的な技能として十分で、頼もしいですね。
・学研キッズネット「夏休み自由研究プロジェクト2015」
http://kids.gakken.co.jp/jiyuu/index.html
テーマが「科学実験」「観察・環境調査」「工作・フリーアート」「社会科・調べ学習」に分けられていますが、うーん、それって「御社」の商品構成や事業部門の別、そのままではないですかぁ…などといってみたくなります。もっとも、遠くは学習指導要領がそうだから学研の事業もそうなっている、という面もありましょう。商魂たくましくも、これで(子どもが研究者に育つ、研究の素養を身に着けて、研究には限らず高度な職に就く、という意味で)将来がひらけるかというと、難しく感じます。
「科学実験」は、理科のすべての単元に1対1で対応させてあるように見受けられ、さすが学研、とうならされます。しかし、「社会科・調べ学習」は、同社の参考図書(事典や地図、伝記シリーズなど)のラインアップそのままという印象があり、もっと、調べ方のフレームワークを示すだけにして、あらゆるテーマに対応できる基礎的な力を育てるのを助けるようなコンテンツにしていくことが期待されます。「観察・環境調査」は、理科の第2分野といいますか、「科学実験」には入らない理科の単元をぜんぶ並べたという感じがしなくもありません(が、その点では網羅されていて不備はありません)。「工作・フリーアート」がどうしようもなく、しかし、「江戸小紋」や「日本の伝統色」などは、そのまま調べ学習にもできそうで、ニッチには「フィンランドの麦わらモビール ヒンメリ」も、作るのでなく調べると(歴史としても地理としても数学としても)おもしろそうです。
※むしろ、「ヒンメリ」を見て「なにそれ? 聞いたこともない→調べてみよう」というのが正常な好奇心の回路であって、わけもわからぬまま「わーい! ヒンメリ! ヒンメリ!」と、ただ作るだけというのは、子どもとしてはありえない回路だと思います。そこで大人にたずねても、何も言ってもらえないのでは、育つ機会が失われてしまいます。
※なお、学研のサイトにも自由研究のまとめかたのページがありますが、とりあえずは見ないまま本稿を(後編まで)書いた後、あとから照らし合わせて見ることとします。
以下、見ず知らずの方の私的なブログに言及するのも厚かましくはございますが、どうかご容赦のほど。
・個人のブログ(2009年8月12日)
http://yaplog.jp/rittyann1/archive/693
> 例年、児童館やメイクマンなどの工作教室に申込み、半日の工作作りで誤魔化してきた?自由研究ですが、さすがにしょうもない?工作ではカッコがつかないと思ったのか?最近、日本史や世界史にハマっている為なのか?「今年は歴史年表と世界遺産についての自由研究をやる。。。」と自分から言い出した6年生の長男
> 近所の文具店で大きなグラフ用紙を購入。30数年前、自分が作った記憶を頼りに歴史年表作りののっけの部分のみをレクチャー。
> 「社会科資料集」の歴史年表をただ写すだけという簡単な作業
> 歴史年表作りはほぼ終了し、ホッと一安心ですが、問題は「世界遺産」についての自由研究
> イタリアの世界遺産について調べるとか言ってますが、これは週末のお父さんの担当ということで(笑)
> 一方、工作ダイスキな次男。夏休みに入ってすぐ、児童館の陶芸教室で焼物を仕上げて来たのですが、もうひとつ。って言うんで、先日来沖したF崎さんからお土産に頂いた工作キットを使っての作品づくり
> ペットボトルで羽根を作り、風力発電させるっていう工作キットで、モーターや歯車、高輝度L*Dとやらがセットされています・・・。
研究といって、どれだけ多様であるかが垣間見えます。狭くは、理系か文系か、そしてご両親のご専攻がそれぞれどちらであったか、そして子がどちらに似ている(同じ傾向の興味・関心を示す)のか等々、いろいろなものがヒシヒシと伝わってまいります。
★比べるなら、(できるだけ)ぜんぶ比べる
・同(2009年8月26日)
http://yaplog.jp/rittyann1/archive/703
> 普段は子供の宿題をみる時間もない夫。当初は長男の小学校生活最後の自由研究くらいは一緒にやってほしいとお願いしていましたが、週末は早朝からの灼熱の太陽の下、野球のコーチ午前中で終わっても疲れ果てて午後は昼寝どうなる事やら・・・。と静視していた私ですが、夏休みも残り一週間を切り、これはもう待ってはいられない・・・・
> 世界遺産の自由研究と言っても、世界中で878ヶ所もある世界遺産。テーマを絞らなくてはいけません。
> イタリアの世界遺産と言っても十数か所もあります・・。彼が興味を持った「ピサの斜塔」。「フィレンツエのドゥオモ」「ヴェネッイア」。「ローマのコロッセオ」。の4つに絞り、調べさせることに・・・。
> 夏休みに入ってすぐ自宅近くに出来た大型書店で購入した2冊の本を頼りにタイトル。登録年や正式な登録名などのデータ。そして解説の文章をまとめさせるのですが、これが大変・・・・
> あまり手を出しすぎると私の自由研究になってしまうので、そうならないように文章のまとめ方をレクチャーするのですが、これって難しい・・・・
> 計画から解説の文章のまとめ。模造紙への下書きに清書。延べ10時間以上を費やし、頑張った長男。アドバイスこそしましたが、ほぼ自分の力で完成させた自由研究。小学校生活最後の夏休み。大変な思いはいましたが、その分達成感はひとしおに違いありません。
おめでとうございます! スバラシイ!
自由研究で「世界遺産!」というのは、ちょっと大きすぎるので、最初から「だめ!」と言ってしまう(あるいは「実際に見たいので連れて行け」とせがまれるのを恐れる)親もいるかもしれませんが、取り組み方次第できちんと身の丈にあった、そして、なぜ、それに取り組むのかという動機も明らかな研究(このケースでは、両親の旅行先での写真がきっかけ)にすることができるという好例ですね。
「878ヶ所」から「10数ヶ所」(当時)に絞り込み、そして1ヶ所には絞らせず、複数の世界遺産をきちんと比較させようという一連のプロセスが、いま、それなりにエレガントなのではないかなぁ、と思います。10数ヶ所のうち「興味を持った」4ヶ所と、残りのものとの違いは何だったのか、も考察されていれば、完ぺきです!
・日本ユネスコ協会連盟「世界遺産の登録基準」
http://www.unesco.or.jp/isan/decides/
いわゆる「保存」と「活用」を両立させるのが難しいという問題で、とりあえず保存はできたものの活用が進まない云々、あるいは観光客が増えすぎて保存が危うい等々、という問題にも入っていけるかと思います。欲ばりですね。もっと欲をいえば、世界遺産の選定プロセスの妥当性を云々してみたり、同じプロセスを身近なものにスケールダウンした上で「マイ遺産!」を選定したり却下したりしてみる(必ず両方ともやる:そして大まじめに本気でやる)というのもありかと思います。
★工作キットで「研究」する キットを組み立てて完成する工作は、なぜキットという形で、ご親切にも部品をすべて揃えてあり、説明書までついているんでしょうか。それは、キットを組み立てる段階では苦労も試行錯誤もさせず、その後の実験において円滑に取り組めるようにという教育的な配慮であるわけです。(組み立ての工場から見て、納入されてくる)部品の品質が保証され、後は組み立てるだけ、組み立てるのが臨時に雇われた人でも大丈夫、という、工場っぽい発想です。
仮説に基づいて実験をすれば、組み上げただけの工作キットが、晴れて「自由研究」になります。このとき、仮説は借りてきたものでいいんです。「追試」(ただし及第点を取り返すためのソレでない)ですね。教科書に載っている現象が本当にその通りに起きるのかどうか、自分の手でも確かめて見ることが、研究の第一歩です。万一、うまい具合に実験に「失敗」したら、そこには未知の現象がひそんでいるかもしれません。実際にはほとんどは単なる失敗でしょうけれども、それでも…とワクワクするのが、実験というものです。
LEDが光る風車のキットでは、かつての豆電球のように「明るく光る」「暗く光る」の違いがよくわからず、実験には適さないかもしれません。モーターの先に電圧計をば…いえいえ、それは中学校の理科ですね。うーん、「次男」くんの学年(3年生でしょうか=当時)でも、何か実験できないでしょうか。
せめてコンデンサーを追加して(LEDを使っている時点で抵抗か定電流ダイオードをブラックボックスとして使っているでしょ:それならコンデンサーが加わっても大差ないでしょ、の意)、かつ、きわめてLEDが「か細く(そして長く)」光るように、小さな電流の定電流ダイオードを使い、またスイッチを追加して、風車を回してコンデンサーに充電し、スイッチを切り替えると放電する、そして、放電時間の長い短いが、風車の回った回数のみと比例する(強い風を当てようがゆっくり回そうが、それ自体は関係ない)ことを「発見」できれば、いいんではないでしょうか。欲ばりでしょうか。
※いまなら半田付けせずともブレッドボードが…とも思いましたが、部品の細かさ、部品などの先端の鋭さ、安全のための決まりごとの多さからして、12〜13歳以上でないと難しいですね。
・「ものづくり教育のための繊毛振動型ライントレースカーの開発」静岡大学教育学部研究報告(2012年3月)
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/bitstream/10297/6494/1/43-0171.pdf
> 公立中学校の平成20年度予算は理科の設備備品費で生徒1人当たり平均453円、消耗品費で341円である。
> 提案教材の製作に必要な部品は表2に示す通りであり、700円以下の教材費で実現可能である。
「300円」「500円」([3057])の上は「700円!(できれば698円![3081])」ということですね、わかります。…いえいえ、それでもまだ高いです。ブレッドボードと電池が割高で、基板はむしろ(大量生産を前提とすれば、ですが)起こしたほうが安く、電池は輸入品などで、この部分を半額以下にできるんではないでしょうか(安くすることだけを考えれば、の話です)…などと、ついつい考えてしまいます。
それはそれとしまして、「光るペットボトル風車キット」で検索してみます。「サイキット社」の製品だとわかります。
・「「簡易風力発電体験キット」はたのしい!」(2008年4月3日)
http://sky.geocities.jp/noroshigeki3/mokuji1/hatudennkitto.pdf
なんと、どうせ大して「発電」などできんのだからといって、LEDがモーターに直結でした。いつぞやの高橋名人(!)もびっくりの勢いで風車を「大回転!」あるいは「スーパー大回転」させた挙げ句、LEDを焼切る子どもも出そうです。(「超発電」などと…略。)
※LEDだけ壊れちゃった、というときは、部品屋さんに注文して郵送で送ってもらいましょう。LED1個が封筒で届いて、ちょっと感動できます。国内に部品屋さんがない国の大学や高校で「ロボコン」出場を目指すようなケースで、1ヶ月以上かけて(たぶん船便で)納品される部品のありがたみのようなものを、ちょっとだけ「追体験」できましょう。その上で、LED1個のためだけに、東京や大阪、名古屋などの知人に頼んで電気街へ足を運んでもらう必要は、まったくありません。おみやげに工作キットをくださるステキな「F崎さん」のお仕事が増えることはないでしょう(喜んで頼まれてくださるステキな方のようにも思えますが、いえいえ)。
・共立エレショップ「超高輝度LED 5φ 緑 OSG5DA5111A」51円(送料120円)
http://eleshop.jp/shop/g/gB5G123/
※いやいやいや、LEDは日亜化学工業さんじゃないと…とまでいう必要は、(自由研究では)ないですよねぇ。
いまとなっては、電気の単元を学ぶ以前から日常的に「充電」と「放電」(しかもたいへん高価なリチウムイオン電池)のサイクルを知っており、むしろ、使い捨ての乾電池や太陽電池といったもののほうがなじみが薄いかもしれません(乾電池は「リモコン専用」だと思っていて、「光るスマホ」があるので懐中電灯も家になく、乾電池で電球が光ることも習うまで知らないかもしれません)。それならそれで、最初から「充電」を前提とした学習を計画してもいいのではないか、実はそのほうが「目に見えない電気」を、直感的に「見える化」(どれだけの充電で、どれだけ「電気が溜まった」かな? などと「第一種はぐらかし」で電圧の概念を隠蔽=隠蔽するために余計なものを付け加えることもなく)できてよいのかもしれません。教え方にもまた、絶対の正解というものはなく、社会情勢(希少金属の入手性などによって将来的にもまた変わることもあるでしょう)や(民生品の)技術動向にも左右されることがわかります。
そうした面からは、微弱な発電でも長時間かければかなりの発電量になること、またデバイスの省電力化も進んでいるため、微弱でも有用であることなどを文献で調べ、できればDNPや東レといった素材や要素技術のメーカー、それにソニーやアップルといった消費者向け最終製品のメーカーなどの展示施設を見学し、そのレポートを添付すれば完ぺきです!
※いわゆる「ウェアラブル」や「発電床」ですね、わかります。そして、これ、何年生向けの課題なんでしょうか。メーカー云々までいうのは5年生以上ですね、たぶん。
★「研究」につながるように実験する 「LED1個」のついでに…と工作キットや教材も眺めてみますと、うーん、これといったものが見つけられず、難しいです。
・同「夏休み工作&実験キット特集」
http://eleshop.jp/shop/r/r06/
・同「【実用・教材・工作キット】>理科/科学実験セット>科学と学習」
http://eleshop.jp/shop/c/c331312/
センサーは内容が難しく、そしてがんばってもセンサー1個では何も実現できず(要素技術の一つであって)、という面があります。メカトロは…動く機構の部品が(値段相応で)すぐに壊れそう、と感じます。パッケージやキットの見た目やネーミングから受ける印象に反して、小学生では無謀、中学生でも困難で、高校や高専レベルの内容ですね、わかります。「楽しくワイワイ」「隣の人と何かを競う(何かにつけては競う)」などとは無縁の、無言で、しっかり集中して慎重に取り扱うべきものです。
いわゆる「電子工作キット」は、半田付けや部品の取り扱いへの習熟が目的で、回路の内容がまるで教材としては通用せず、一通りの部品を使います&失敗したら(うんともすんとも動かず光らないというカタチで)はっきりわかります(何となく動いちゃったり…は、しません)、という内容で、「自由研究」にはまるで向かないことがわかります。(そもそも用途が異なりますので、それがあたりまえですけれども。)
いわゆる「でんじろうセンセイ」の類は、キットを買わずとも、身の回りの品を活用して行なうことが推奨されます。そうしたことを指南する本を1冊お求め(※)になれば、万事まかなえることでしょう、たぶん。
※初版から概ね5年以内であれば古本でも大丈夫でしょうが、あまりにも古い本では、(いまとなっては)適切でない実験例が載っているかもしれませんので避けられたく思います。市町村の図書館や小学校の図書室には、そういう意味で「古い本」しかないかもしれません。新しく買ったほうが無難です。そして、使い終わったらぜひ、学校の図書室に寄付してください、と望まれます(=誰もが望みます)。
学習や実験の目的は、「でんじろうセンセイ」が繰り広げるアレやソレが、特別なものではなく、ありふれたもの、自分が意識して見たときだけ目の前で起こるのでなく、誰も見ていなくても自然に起こっているのだという「世界観」のようなものを身に着けることにあります。ここで、「特別なものを買ってこないと実験できないんだ」という感触を(子どもに)与えることは、きわめて「逆効果」といえます。(大人にあっては)よくよく配慮されたいですね。
それでも、まあ、何か買ってみて、それをきっかけに深めていくということも(大人としては)よくありましょう。
※それが「本」だと「積ん読」になっていくんですね、わかります。
・同「光通信かんたん実験セット Q750309」
http://eleshop.jp/shop/g/gB8611B/
うーん、といいつつ、きちんと実験できて勉強になり、その後の発展も見込めそうなのはコレかなぁ、などと思ってみます。(あくまで感想は個人で、特定の商品を推奨するものではありません、たぶん。)
理科の教科書にも、太陽電池と懐中電灯、それにマイクとスピーカーをつかって「光通信!」(といって、その実、電気信号に変換した音声を光伝送!)という実験例が出てくるかと思います。しかし、懐中電灯ではどうにもこうにも、搬送波(キャリア)として微妙すぎます。そこをきちんと完成品の送信機と受信機で行なえるというのはよいですが、そこがブラックボックスになってしまってよいのかという懸念もあります。
それでも、通信に関する展示施設や、国際電話事業者(KDDIなど)の展示施設、可能であれば館山などの陸揚局へ見学に行ったり(許可を受けずに周辺をうろついたり写真を撮ったりするのはいけません)、ついでにイルカやシャチなどの動物も見た上で、まるっと…いえいえ、サメやクジラにかじられないように工夫したという最新の海底ケーブルについてのニュースを見たり、などと、いろいろ展開できそうです。本気で「実験」するなら、各社の光ケーブルを取り寄せて、どれだけ曲げても通信できるかを調べ、本当にカタログ通りの「曲げ耐性」を持っているのか確かめる…などと、本当にそういう仕事をしている人もいそうな話を、それらしくなぞってみるというのもよいでしょう。本当でしょうか&何年生でしょうか、コレ。
・まるっと…千葉県内の工場見学「フジクラ佐倉事業所」
http://maruchiba.jp/sys/data/index/page/id/5784
> 光ファイバー及び光ファイバーケーブルの製造工程と製品の展示室を見学することが可能ですが、工場見学は原則として学生の校外研修に限られています。
・日本セラミックス協会「光ファイバ」
http://www.ceramic.or.jp/museum/contents/hikari/fiber.html
> 見学可能な博物館など
> 通信総合博物館ていぱーく(JR 東京駅)
> 現代産業科学館(千葉県市川市)など
子どもが興味を持ってくれた! といってウレシクはあっても、やはり見学や説明は難しいもので、(よほど力を入れて=コストをかけて、専門の部署や施設、人員を配置している、「超一流」を自負される大企業…ではない)一般的な民間の企業では対応しきれないと思われます。やはり、まずは博物館へ、ということのようです。
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