・「食品群」(1980年度)を見てから「食生活指針」(2016年6月)を見る ・AHPならびにDEAを遠目に眺める ・「さまざまな平均」:国連開発計画(UNDP)「HDI」「IHDI」を見る
(約15000字)
この一連の記事では、徳間書店「ゲーム通信簿」の『歴代最高点』である「4.84」という値を(あの手この手で)実感的に読み解きながら、「カスタマーレビュー」を数量的に扱うことのむずかしさを追体験していきます。
前編([3401])では、まず、なぜ「ゲーム通信簿」は6項目なのか、ほぼ同時代といえる「6つの基礎食品」(1981年)を振り返りながら探ります。次に、もっとエレガントな方法はなかったのか、1990年代にOR(オペレーションズ・リサーチ)の分野で知られていた、複数の評価値を総合する方法について参照します。あわせて、数学的に平易な方法であっても、現実の社会で実際に重要な指標の算出に使われていることを実感するため、国連開発計画(UNGP)が算出している指標「HDI」「IHDI」について参照します。
中編([3400])では、読者に5段階で評価させていた「ゲーム通信簿」の「平均」について、整数の組合せの問題と読み替え、結果として「平均」が「4.84」になる評点の組合せを実際に探します。評価者の数を1から500までと仮定したとき、整数の評点の組合せがそれぞれ何通りになるのかについて、コンピューターで約4時間20分かけて調べます。
後編([3399])では、評価者の数を500と仮定し、正規分布、t分布、それにコーシー分布として知られる分布などを念頭に、5段階評価の評点の平均が「4.84」になる分布は不自然ではないのかを検討してみます。あわせて、現に「4.84」という平均になったとき、その重みはどのくらいであるのかを考えるため、架空の操作として、評点のスケールの拡張を試します。最後に、日常にひそむ数学と、研究・開発との接点として、「組合せ計画法」「整数論」を遠目に眺めます。
補遺編([3398])では、現在「レーダーチャート」と呼ばれて知られているデータをプロットする方法について英語版のWikipediaを参照しながら探ります。また、4軸以上のレーダーチャートにおいて、プロットされた面積をうのみにできないことを確かめます。算数・数学の教科書を出版する各社のページを参照するとともに、小学校からのプログラミング教育それに統計教育に関する最新の議論につなげます。
また、各記事では、統計や数学に関する書籍を、新旧それに硬軟とりまぜて紹介します。
これに先立ち、導入編([3402])では、徳間書店「ファミリーコンピュータMagazine」がどのような雑誌であったのか、「元・2代目編集長が今だから明かす」との触れ込み(※)で2011年に出版された本などを参照しながら、振り返っています。
☆「食品群」(1980年度)を見てから「食生活指針」(2016年6月)を見る
さて……、あらかじめのけぞっておきましょうか。はいドーン。
・「数学チュートリアル やさしく語る 確率統計」
http://shop.ohmsha.co.jp/shopdetail/000000000462/
> 単位を取れる確率アップ! まずはこの1冊をやっ統計!
> 実際の講義を聴いているような語りかけ口調
いやー、(ひとのことはいえないですが)こんな調子でいいんですかねぇ。…メッソウです!
・導入編([3402])
> 評価の観点が、なぜ6つなのかといって、「6角形のレーダーチャート!(≒写植の都合上!!)」といった紙面製作上のソレを想像したのですが、(かなーり昔にはそうであったかもですが、徳間書店さんが『本件雑誌!』を出すころには)もはや「考えもせず6つ!」「表形式で詰め込んで(雑誌の)お買い得感を演出だッ!」的なものを感じられそうです。
仮には、そのような想像のほうなどしてみたのですが…本当でしょうか。まず、時代の前後関係に食い違いがないかという外形的なところを確かめてみます。
・ウィキペディア「レーダーチャート」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88
> それぞれの軸に独立性があるか、何をどういう作為できめたかの説明がないと判断を誤る可能性がある。
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