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(約2000字)
[2933],[2934]の続きです。以下は再び、三菱の2012年のプレスリリースからです。
> 鉄道技術は、各種の要素技術や製品を担当する数多くの企業の技術力を結集した総合力がカギとなり、日本企業全体の底上げが競争力の源泉となるため、この検証施設は当社のみならず広く利用可能とする方針。そのため、公平性、機密性、公共性の観点から関連団体や企業などによる委員会で評価や運営方法などを検討する。すでに複数の関係機関が協力を表明しており、これにより、日本連合一体となった競争力強化をはかっていく。
唐突に体言止め(※)の一文が出てきて戸惑います。特に、「すでに〜しており」のくだりから、そういう役職の方にありがちな、「ほら、大丈夫だよ、もう話はだいたいついてるし、うん。いけるね、オールジャパンだ」的な話しぶりをリアルに想起させられ、他人事ながらヒヤヒヤします。一般に、広報部や広報室がかなり手を加えないと、まともなプレスリリースにはなりません。
※http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E4%BA%95%E6%88%B8%E7%AB%AF/subj/%E6%96%87%E6%9C%AB%E3%81%8C%E4%BD%93%E8%A8%80%E6%AD%A2%E3%82%81%E5%84%AA%E5%85%88%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%AF%E4%BD%95%E6%95%85
それはともかく、施設の建設と保有はメーカー、運営は、例えば鉄道総合技術研究所(RTRI、JR総研)といった、研究開発版の「上下分離方式」となるなら、興味深い動向ですね。「競争力」云々はともかく、地に足をつけて現実の課題を一つずつ、みずから解決していくという地道な研究開発こそが未来につながります。[2934]冒頭の「あんなもの」になぞらえるならば、「競争力」なんて、そんなの勝手についてくるものだと、そんなもの、と、すがすがしく言いきってみたいものです。
そして、2014年のプレスリリースを読みますと、印象が一変します。
・三菱重工業「日本初の総合交通システム検証施設「MIHARA試験センター(MTC)」が完成 鉄道輸出戦略担い利用門戸を社外にも開放」(2014/10/2)
http://www.mhi.co.jp/news/story/1410025579.html
> 世界の鉄道システム市場は活況を呈している半面、新興国の台頭などにより競争が激化しています。加えて、最近では高機能な信号・運行管理や都市部の複雑な路線配置などへの対応が求められ、それらのニーズを満たす高いインテグレーション能力が受注のカギを握る傾向にあります。MTCはこうした市場動向を踏まえて建設した施設です。日本のインフラ輸出戦略の柱の一つである鉄道システムの競争力向上に向け、国際規格への対応や製品開発の支援ツールとして活用するとともに、“日本モデル”として評価の高い保守・運用を含めたソフト面の一層の充実にも役立てます。
> 当社は、開かれたMTCの運営を通じて、交通システムのインテグレーターたる当社のグローバル競争力向上をはかるとともに、今後もこの分野のリーディング・カンパニーとしての役割を担い、日本の優れた鉄道システムの国際市場浸透に力を注いでいきます。
2012年のプレスリリースは「ドラフト(下書き)」が誤ってそのまま掲載されたのではないかと疑いたくなるほどのひどい文面でしたが、これならとりあえず及第点がとれますね。1年半の間に、何か大きな変化でもあったのでしょうか。
とはいえ、「他の企業や官民団体にも広く利用の門戸を開き」「開かれたMTC」という表現に、少し違和感が残ります。実験施設の運営主体が、2012年の内容とは違って、結局「当社」(三菱)になったのか、あるいは今後、さらに検討や協議が続けられるのか、よくわかりません。運営を公的な第三者に委ね、「当社」は裏方に徹するというのであれば「開かれたMTC」という表現がしっくり来ますが、「当社」が運営し、他社にも「使わせてやる」のであれば、「開かれたMTC」という客観的な表現は「見あわない」といえます。
※特許の都合がありますから、細部で折り合いがつかず、すんなりとは共同利用できないのでしょう。実験を見ればアイデアがわかってしまいます。だからこその「上下分離方式」でしょうに、この施設の運営を担えるほど中立な研究機関が日本にはないということだとすると、なんとも「おしい」話です。
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