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・[2947]
> 工学部で学ぶということは、そういうことです。
いま、実際にどんな方がこのサイトやフォーラムをご覧になっているのか、つかみきれていないのですが、これまで通り(※)であれば、大多数の方は大学生で、主に工学(engineering)や情報科学(computer science)を専攻されている方が多いと認識しております。それを踏まえて、以下は補足です。
※このサイトの「個人情報保護方針」に反しない範囲で言及するとしますと、これまでは、しかるべきドメインから、すなわち、大学の共用PCなどからのアクセスとみられるアクセスが多かったため、こういうことがわかっていたのですが、いまや、個人のスマートフォンからのアクセスが全体の半数を超えており、ドメインからは閲覧者の属性が見えてきません。基本的にはよい変化でありつつ、ウェブマスターとして(「管理者」というより、コンテンツのディレクションを担う者として)はちょっと困ることでもありつつ、という感じです。
いま、たくさんの検索結果が出てくることを期待しながらGoogleに「"工学部で学ぶということ" site:.ac.jp」という、ドメインを限定してのフレーズ検索をかけたとしますと、果たして、4つの大学しか出てきません。なんということでしょう。多くの大学では、「工学部で学ぶということ」が自明のものであるととらえられているのでしょうか。
・北海道大学「北海道大学工学部はこんなところ!」(2006/6)
http://www.eng.hokudai.ac.jp/commonfile/pdf/kuon/k001.pdf
> 北大といえば
> ジンパ!
> 緑の茂る学内のあちらこちらでは、「ジンパ」を開く様子が見受けられます。「ジンパ」は「ジンギスカンパーティー」の略。研究室のメンバーでジンギスカン鍋を囲み、和気藹々と北海道名物に舌鼓を打つ姿は、北海道大学・夏の風物詩です!
> 百聞は一見にしかず!
…見てわかることなんて、そんなの常にほんの一部なんだと、そんなもの([2935])、と、一面(※当社比)のじゃがいも畑の中心(※暫定値)で、いっぺん叫んでみましょうか(※再現性)。このサイトの「readme.html」にも書いてある通りです。
・http://atos.neorail.jp/readme.html
※当社比:見渡す限りの一面なんて、案外狭いものです。電波塔や携帯電話の基地局を設計する人が、そういう計算をします。
※暫定値:どこが中心かなんて、きちんと測定するのはたいへんなことです。溶岩の流出が続く西之島新島のように、中心が常に変動しているケースもあります。
※再現性:いっぺん○○してみた(仮)では不十分で、誰もが同じ手順で、同じ結果を得られなくてはいけません。
> 本誌は、高校生の皆さんに少しでも北大工学部を知っていただけるよう、現役の北大生の学生編集委員が中心となって取材・執筆をしています。
…とのことで、なかなか難しいことでしょう。いろいろわかるには時間がかかります。時間をかけてもなお、自分がわかったのかどうかすら、はっきりとはわかりません。教授が書いている部分を読みましょう。
> 工学部で基礎科目と基礎的な専門科目を学び卒業した後、80%を越える人が大学院工学研究科と大学院情報科学研究科に進学し、高度な専門科目を学んでいます。
> この両研究科では、双峰型教育というユニークな教育を行っています。これは、大学院学生が所属する専攻の授業科目を「主専攻」として学び、研究するとともに、もうひとつ他専攻の授業科目を「副専攻」として選んで講義を受けるものです。このような教育・研究を通して、多角的に物事を見て、考えることができる人物を養成しています。
> こうして21世紀に活躍する自律した技術者を世に送り出すとともに、本学部と両研究科で学ぶ人々が「工学」を「好学」として楽しめるように努めています。
さすがジンギスカン、いえ、北海道大学というだけのことはあります。楽しめてこそ本物で、工学部としても、大学としても、理想的といえます。
・「東京大学工学部で学ぶということ」
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/epage/public/engpower/features/dean/
> 皆さんはまず各専門分野の基礎をしっかりと修め、課題に真摯に取り組み、自らの専門性を深めて下さい。しかし一方で、現代社会が抱えている課題は、エネルギーや環境の課題に見られるように複数の専門領域の課題が複雑に絡み合っていることも多く、それを正しく理解するためには、一つの専門領域で得た知識の活用だけではなく、複数の専門領域にまたがって物事を見極める必要があります。課題の本質を正しく捉え、いかに対処できるかが今後のイノベーションの鍵を握るのです。
この点は、大学によらず「工学部」であれば共通のミッションであるといえます。(これに続くグローバル云々という部分が、「『東京大学の』工学部」で上乗せ的に必要となることといえます。)
もっとも、多くの大学では「教育目標」という「上から目線」な表現で、同様の趣旨について記述されています。
・芝浦工業大学「教育目標」
http://www.shibaura-it.ac.jp/education/education_of_shibaura-it/purpuse.html
> 1. 世界と社会の多様性を認識し、問題解決に適用できる。
> 2. 問題を特定し、問題解決に必要な知識・スキルを認識し、不足分を自己学修し、社会・経済的制約条件を踏まえ、基礎科学と専門知識を運用し、問題を解決できる。
> 3. 関係する人々とのコミュニケーションを図り、チームで仕事ができる。
「3.」がとってつけたような感じ(いわゆる「(時の)社会的要請」にくみした感じ)はありますが、概ね「工学部で学ぶということ」として、同じようなことを言っていることがわかります。
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