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・東京メトロ東西線の混雑緩和へ:朝のラッシュ時に増発4本、2020年度 ・JR飯田橋駅:「江戸城外堀跡」慎重に調査、工事に遅れも ・利用者の『渋滞』を防げ ・3つの区にまたがる「飯田橋駅」 ・公式発表 ・参考
(約6000字)
JR、東京メトロ、それに都営地下鉄のあわせて5つの路線が乗り入れる「飯田橋駅」(東京・千代田区など)で、利用者の安全性を高めたり、輸送力を増やすための工事が進められます。
▼JR飯田橋駅では、急なカーブにあるホームを、いまの場所より西側へ移し、ホームと電車との隙間や段差を小さくする工事、▼東京メトロでは、朝のラッシュ時に東西線の電車を増発するため、線路やトンネルを改良する工事が予定されています。
JR飯田橋駅の工事について、JR東日本が2014年7月2日に発表していますが、工事の具体的なスケジュールは明らかにされていませんでした。
東京メトロでの工事については、同社が2014年9月30日に発表していました。2015年3月27日に公表された2015年度の事業計画では、詳細な図が示され、5年後の2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据えて、4年後の2019年度までに工事を終えるとしていましたが、東西線の電車を増発する時期や、増発する電車の本数は明らかにされていませんでした。
2つの会社がそれぞれ進める工事の具体的なスケジュールが、「飯田橋駅」の地元、東京・千代田区の区議会で2015年3月2日に行なわれた「駅及び駅周辺環境整備特別委員会」で明らかになりました。議事録によりますと、▼東西線の九段下−飯田橋間に「折返し線」を整備する工事は、2015年度内に着工し、2019年度までにトンネルや線路の工事を終えて供用を開始し、▼その後も2020年度末までの間に関連する工事を続ける予定とされています。
●東京メトロ東西線の混雑緩和へ:朝のラッシュ時に増発4本、2020年度 東京メトロ東西線の朝のラッシュ時の混雑率は、2000年8月に国の運輸政策審議会がまとめた答申(「19号答申」)で、2015年度までに180%以下にする目標が打ち出されていましたが、期限内に達成することが難しい状況になっています。議事録では、東西線での「折返し線」の整備によって、▼新しく西船橋方面から飯田橋駅で折り返す東西線の電車を朝のラッシュ時に3本、増発できるとしているほか、▼これまで西船橋方面から九段下駅で折り返していた東西線の電車1本(東葉勝田台発九段下行き「B755S」)も飯田橋駅での折り返しに変えるとしていて、飯田橋駅では、朝のラッシュ時に東西線の電車があわせて4本、増発される予定であることがわかりました。
東西線では、ほかにも、▼茅場町駅、▼木場駅、それに▼南砂町駅で、電車の増発に対応するためのホームや線路の工事が進められています。一連の工事は2020年度に完成する予定で、▼九段下−飯田橋間の「折返し線」の工事も、これにあわせて完成するとみられます。このことから、2019年度末の時点では、これまで九段下駅で折り返していた電車1本が飯田橋駅まで延長され、2020年度、一連の工事がすべて完成してから、電車3本の増発が行なわれるとみられます。
●JR飯田橋駅:「江戸城外堀跡」慎重に調査、工事に遅れも JR飯田橋駅での工事について、議事録では、▼2014年6月末に「牛込見附」(※)の石垣を補修する工事が終わり、▼この工事で、工事用の車両や資材を置く「作業ヤード」として使われていた空き地が、2014年12月から、JR飯田橋駅の新しいホームの予定地で遺跡の調査をする際にも使われ、さらに▼JR飯田橋駅の仮駅舎を作る工事にも使われるとしています。
飯田橋駅の周辺は、国の史跡に指定されている「江戸城外堀跡」の石垣などが数多く残っている場所で、JR飯田橋駅の新しいホームの建設予定地でも江戸時代の石垣の一部が埋まっているとみられるということです。また、仮駅舎の建設予定地の公園(千代田区の児童遊園)も同じ史跡の範囲内にあり、調査や工事には文化庁の許可が必要です。駅舎の設計や工事を計画する段階から、史跡を管理する千代田区だけでなく、文化庁とJR東日本の間でも調整が続けられているということで、状況によっては、仮駅舎の着工が遅れることもあるとみられます。
※この「牛込見附」は、NHKの番組「ブラタモリ」(2011年12月22日ほか放送)でも紹介されています。
●利用者の『渋滞』を防げ 地下鉄の電車の増発と、地上を走るJRの駅の工事。2つの取り組みが同じ時期に進められるのには、大きな理由があります。
駅のホームでは、電車を降りてホームを歩く利用者が、線路に転落したり、発車した電車や後続の電車と接触したりすることを防ぐため、ホーム上が過度に混雑しないようにすることが求められています。駅舎やホームを設計する段階で、電車を降りた利用者が階段やエスカレーターを使ってスムーズに改札へと移動することができるよう配慮されているほか、ダイヤ改正の際にも、電車が発着する間隔を調整するなどして、混雑(滞留)を防いでいます。
地下鉄の改札を出て、JRの改札へ向かう利用者の流れを見てみましょう。
このとき、JRの改札が狭かったり、JRの駅構内が混雑していると、改札と改札の間の通路や階段など(乗換経路)が混雑します。人が歩く速さは、周りが混雑すると遅くなることが知られています。逆に、歩く速さが遅くなるだけでも後ろがつかえ、混雑が大きくなっていく可能性があるということが、最近の研究でわかってきています。高速道路の上り坂で渋滞が起きやすいとされるのと同じ仕組みです(※)。
地下鉄の電車を降りてJRの改札に向かう利用者が増えると、そのままではJRの改札が「ボトルネック」となってしまい、最終的に地下鉄のホーム上が過度に混雑してしまうおそれが出てきます。このため、地下鉄とJR、その両方で工事が進められる必要があるのです。
2005年8月に開業した「つくばエクスプレス」でも、都心側のターミナル(終点)となった「秋葉原駅」、JR常磐線や東武伊勢崎線などとの乗換駅となった「北千住駅」で、JRなどの駅舎が大きく改築され、広い改札口や通路が確保されています。今後は、JR中央線と東京メトロ丸ノ内線が乗り入れる「荻窪駅」などでも、同様の取り組みが進んでいくのではないかとみられます。
※「渋滞」については、NHKの番組「探検バクモン」(2015年4月29日放送)などで、東京大学・先端科学技術研究センターの西成活裕教授がわかりやすく解説しています。
●3つの区にまたがる「飯田橋駅」 みなさん、「飯田橋駅」がどこにあるのかご存じでしょうか。JR飯田橋駅と東西線の飯田橋駅は東京・千代田区、有楽町線と南北線の飯田橋駅は新宿区、都営大江戸線の飯田橋駅は新宿区と文京区にまたがっています。
駅前には、▼東西に延びる「外堀通り」、▼南北に延びる「目白通り」、それに▼西に向かって延びる「大久保通り」の3つの道路が交差する「五差路」があることでも知られています。さらに、高架の「首都高速5号池袋線」も通っているほか、駅ビルの一部は外堀の上に建てられているなど、入り組んだ光景が広がっています。
今回はJR飯田橋駅と東西線の取り組みだけに注目しましたが、こうした「飯田橋駅」全体で利用者の利便性や安全性を確保し、快適でわかりやすく、利用者が「安心」や「愛着」を感じられる場所にするには、JR東日本と東京メトロ、それに千代田区だけでなく、都営大江戸線の駅を管理する東京都交通局、新宿区、文京区を加えた6者が、密接に連携していくことが期待されます。
1980年に工事が始まり1986年3月に完成した再開発事業では、新宿区と千代田区が連携し、JRと地下鉄の駅の乗り換えを便利にするまちづくりが進められました。しかし、駅周辺での▼放置自転車の対策や、▼歩行者が安全に通ることのできる経路の整備、それに▼首都直下地震や南海トラフ巨大地震、富士山の噴火などの大規模災害時に「帰宅困難者」を一時的に受け入れる施設の確保などでは、それぞれの区では取り組みが進められているものの、3つの区の連携は必ずしも十分とは言えない状況にあります。
千代田区議会の委員会の議事録には、JR飯田橋駅の改札口の周辺で清掃が行き届いていないことを指摘する委員の声があります。これまで、駅の周辺には住宅や大きな商業施設などが少なく、駅の利用者には、乗り換えるだけの人や、駅周辺のオフィスなどへ向かう人が大半だったことも、利用者が駅に愛着を感じにくい原因だったのかもしれません。同じ議事録に、飯田橋駅の周辺で超高層マンションの建設が相次いでおり、利用者がさらに増えることを指摘する声もあります。これまで少なかった「住民」が「飯田橋駅」を利用するようになることで、「飯田橋駅」がつなぐ「飯田橋の街」の印象が大きく変わっていく可能性があります。
●公式発表
・東京メトロ「平成27年度事業計画」(2015年3月27日)
http://www.tokyometro.jp/corporate/profile/scheme/pdf/plan_h27_2.pdf
・東京メトロ「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、「東京メトロ“魅力発信”プロジェクト」を策定 〜地下鉄を使ってもっと楽しく、東京をもっと魅力的に〜(PDF:1.8MB)」(2014年9月30日)
http://www.tokyometro.jp/news/2014/pdf/metroNews20140930_01.pdf
・JR東日本「JR中央線飯田橋駅ホームにおける抜本的な安全対策の着手について」(2014/7/2)
http://www.jreast.co.jp/press/2014/20140702.pdf
・千代田区議会「平成27年3月2日 駅及び駅周辺環境整備特別委員会(未定稿)」(2015年3月2日)
http://kugikai.city.chiyoda.tokyo.jp/about/nittei/kiroku/eki/270302ekikiroku.pdf
・千代田区議会「平成26年12月2日 駅及び駅周辺環境整備特別委員会(未定稿)」(2014年12月2日)
http://kugikai.city.chiyoda.tokyo.jp/about/nittei/kiroku/eki/261202ekikiroku.pdf
●参考
・運輸政策研究機構「都市鉄道整備の政策評価」(2003年)
http://www.jterc.or.jp/topics/josei_shinpo3.14/1_seisaku_hyoka.pdf
・千代田区、港区、新宿区「史跡 江戸城外堀跡 保存管理計画書(概要)」(2008年3月)
http://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000059832.pdf
・中村石材工業「実績一覧」
http://www.nakaseki.com/zissekiichiran.htm
・個人のブログ「江戸城外堀を歩く(前篇:牛込見附〜牛込堀〜新見附掘〜市ヶ谷)」(2012年1月28日)
http://ciao66.exblog.jp/17125259
・市ケ谷経済新聞(みんなの経済新聞)「「ブラタモリ」で「江戸城外堀 超拡大版」−四ツ谷〜飯田橋周辺を街歩き」(2011年12月19日)
http://ichigaya.keizai.biz/headline/1268/
・千代田区「飯田橋児童遊園」(2013年3月1日)
http://www.city.chiyoda.lg.jp/shisetsu/koen/035.html
・Googleストリートビュー「飯田橋児童遊園」付近(2014年4月、2009年11月)
https://goo.gl/maps/kKT2pB2mEc52
https://goo.gl/maps/9FjJ1CGHaGH2
・NHK「くらし☆解説「アジアとヨーロッパをつなぐ海底トンネル」」(2013年10月25日)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/171140.html
・NHK「探検バクモン」(2015年4月29日)
http://www.nhk.or.jp/bakumon/prevtime/20150429.html
・三井ダイレクト損保「MUJICOLOGY!研究所:人のココロとクルマ社会の渋滞を解消する! 渋滞学」
http://www.mujicology.jp/juutaigaku/
・NHK放送文化研究所「ソーシャル機能による番組との出会いの創出〜番組レビューSNSサイト“teleda”の実証実験から〜」放送研究と調査(2012年9月)
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/domestic/149.html
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2012_09/20120901.pdf
・NHK「巨大災害への備え 広がる自治体の連携」(2012年8月28日)
http://www.nhk.or.jp/shutoken/net/report/20120828.html
・新宿区「飯田橋地区第一種市街地再開発事業」
http://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/file13_05_00007.html
・千代田区「飯田橋・富士見地域のまちづくり」(2014年3月31日)
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/machizukuri/toshi/kekaku/idabashi.html
・ラムラ(飯田橋駅前の商業施設)
http://www.ramla.gr.jp/
・住友不動産販売「憧れのブランドエリア 飯田橋」(2013年7月)
http://www.stepon.co.jp/premier/iidabashi/
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