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・PMSM採用で削減の電力、故障時の力行に活用か ・進む技術開発の共通化、将来は非電化ローカル線にも?
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東京メトロ銀座線と丸ノ内線で、電車を動かす電気の電圧が750Vに引き上げられる計画があることが、同社の事業計画で明らかになりました。東京メトロが3月28日に公表しました。
・東京メトロ「平成28年度(第13期)事業計画」(2016年3月28日)
http://www.tokyometro.jp/corporate/profile/scheme/pdf/plan_h28_1.pdf
これまでの電圧は直流600Vでしたが、国際的な鉄道車両メーカーの標準的な仕様では、車両が対応する電圧は、交流25kV、直流650〜750Vに絞られるようになってきています。
東京メトロでは、丸ノ内線でCBTCを採用する計画も公表されており、システムや電気の仕様を国際標準に近づけ、国際的な調達をしやすくする狙いもあるものとみられます。
・(参考)日立製作所、日立レールヨーロッパ社「英国市場向けに開発したセミ・オーダーメイドタイプの標準型近郊車両「AT-200」を公開」(2014年7月22日)
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2014/07/0722.html
・(既報)「【JR東日本】 常磐線(各駅停車)へのCBTC導入を検討、2020年ごろめど」(2014年9月16日)
http://atos.neorail.jp/atos3/news/news_140522.html
●PMSM採用で削減の電力、故障時の力行に活用か
銀座線それに丸ノ内線では、PMSM(永久磁石同期電動機)と呼ばれる最新型のモーターが使われています。PMSMを開発した東芝が公開している資料によりますと、これまで一般的だったIM(誘導電動機)に比べ、電車が加速するときに必要な電力量(力行電力量)が約13%削減されているということです。
・東芝「永久磁石同期電動機(PMSM)システム」
https://www.toshiba.co.jp/sis/railwaysystem/jp/solution/eco/pmsm.htm
・(参考)日本電産「DCモータの回転速度と逆起電力」
http://www.nidec.com/ja-JP/technology/motor/basic/00013/
電車に電気を供給する設備(電車線路設備=一般には架線、銀座線と丸ノ内線では「第三軌条」と呼ばれるレール)は、使われる電圧と、同時に運転される列車の本数や運転の速度(加速時の消費電力)などにあわせて設計されています。国内では、近鉄けいはんな線が同じ方式で、750V、最高速度95km/hでの運転を行なっています。
・(参考)電気技術開発「電車線路設備」
http://www.jec-info.co.jp/business/railway/post_17.html
・近畿日本鉄道(近鉄)「けいはんな線」
http://www.kintetsu.jp/kouhou/Rireki/A40020.html
600Vから750Vへの昇圧では、電圧が1.25倍となりますが、モーターに流れる電流が約0.87倍になっているため、「600VでIM」の場合と比べ、「750VでPMSM」の場合、電流の増加は1.09倍で済むと概算できます。
同じ仕様のモーターでは、電圧を引き上げて電流を多くすれば、より高い回転数やトルク(電車が前に進む力、上り坂を登る力)が得られることになります。このような余力があれば、万一、編成中の一部のモーターが故障しても、残りのモーターだけで安全に最寄りの駅まで走行することなどが可能になるとみられます。東京メトロの事業計画で、昇圧の目的について「列車の走行安全性を高める」と書かれているのは、このことを指していると考えてよいでしょう。
銀座線では、600Vと750Vに対応したインバーター装置(※)を搭載した車両での走行実験が2012年2月に行われており、その後に新製された車両(銀座線)や改造された車両(丸ノ内線)でも、同じ仕様のインバーター装置が搭載されているとみられます。
※インバーター装置:直流の電流を、モーターの駆動に適した波形の電流に変換する装置。
・日経BP「SiCが地下鉄に載る、三菱電機がインバータで採用」(2011年11月14日)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/SCR/20130625/289767/
・三菱電機「「SiC適用鉄道車両用主回路システム」搭載車両での実証結果」
http://www.mitsubishielectric.co.jp/me/eco_changes/lp/02/
・「新橋駅「幻のホーム」公開! ひんやりとした空気に戦前の匂いを感じた!」(2007年12月2日)
http://ascii.jp/elem/000/000/089/89409/
銀座線では、夜間に車両を留置している「旧新橋駅ホーム」への線路が急こう配になっているということです。
・Google ストリートビュー 後楽園−茗荷谷間
https://goo.gl/maps/Q9VLGrvyhzq
丸ノ内線では、後楽園駅から茗荷谷駅にかけてのこう配が知られています。この区間は明かり区間(トンネルではなく地表を走る区間)で、電車の走行性能が天候にも影響されます。
●進む技術開発の共通化、将来は非電化ローカル線にも?
なお、電気自動車やハイブリッド自動車でも、技術開発の進展にともなって電圧が高められてきており、モーターを650Vで駆動する車種もあるということです。バッテリーを製造しているGSユアサのプレスリリースによりますと、JR烏山線に投入された蓄電池駆動電車「EV-E301系(愛称:ACCUM)」では、バッテリーの電圧が公称で633.6Vだということです。バッテリーやモーターの開発は、いまや都市鉄道(通勤電車や地下鉄、路面電車など)の車両と自動車で、多くの部分が共通の仕様や設計になりつつあるといえそうです。
・(参考)「TOYOTAプリウス30型の駆動用電池」
http://www.autobacs-hamasen.jp/hybrid.html
・GSユアサ「産業用リチウムイオン電池モジュール「LIM30H-8A」を活用したシステム〜東日本旅客鉄道株式会社殿開発の新型車両「EV-E301系」に搭載〜」(2014年5月12日)
http://www.gs-yuasa.com/jp/nr_pdf/20140512.pdf
・(既報)「ぶりっとちゃん」(2013年8月19日)
http://atos.neorail.jp/atos3/news/news_130819.html
・(参考)「交流電化区間に対応した蓄電池電車主回路の開発と走行試験による蓄電池性能評価」鉄道総研報告(2014年7月)
http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0001/2014/0001003830.pdf
・(参考)電気通信大学「第97回研究開発セミナー【10月27日開催】」(2014年10月3日)
http://www.uec.ac.jp/news/event/2014/20141002-4.html
これまでにも、銀座線や丸ノ内線の車両は、一定期間の使用を終えたあと、地方の私鉄に譲渡されてきた経緯があり、将来的には、非電化のローカル線を元メトロの電車がバッテリーで走行する光景が見られるようになるかもしれませんね。
・Google ストリートビュー 「学研奈良登美ヶ丘駅」付近
https://goo.gl/maps/yxpjbqtq4yz
▲(近鉄けいはんな線)架線がなくすっきりした沿線風景。
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