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・リング型ネットワーク ・単線区間での「デッドロック」の防止
(約6000字)
横須賀線の大船−久里浜間では、どのようにATOSが導入されたのでしょうか。
・このサイト「横須賀線」(2014年9月16日)
http://atos.neorail.jp/atos2/state/yokosuka.html
逗子のCTCセンターをまるごと、1つの駅とするような扱いでATOSのネットワークに加えたとすると、逗子駅の駅装置以下の構成がレガシーなまま、つまり、横須賀や久里浜で連動装置を改修するような工事をするにも逗子駅の駅装置の改修まで必要になるような、あるいは、逗子駅の駅装置が故障すると横須賀や久里浜の進路制御までできなくなってしまうような脆弱性があることになってしまいます。
そんなことはあるはずがない(するはずがない)という観点から、以下の資料を、改めてきちんと読んでみます。(このサイトでの横須賀線に関する記述において参考文献に挙げていますが、このフォーラムでは、まだご紹介していませんでした。)
・日立評論「東京圏輸送管理システムの横須賀線延伸に伴うATOS機能拡張」(2010年2月)
http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/2010/02/2010_02_06.pdf
> 追加する5駅専用のネットワークを,すでにATOSとして運用開始済みの既設ネットワークとは物理的に分けて構築することとした。
> 今回の延伸区間駅(連動駅5駅)を使用開始するまでの段階的構築手順は以下のとおりである(図5参照)。
> (1)5駅を一つずつ駅単独で稼動させる。
> (2)追加する5駅をネットワークで接続する。
> (3)既設線区中央システムおよび中央システムの各装置を延伸対応版に改修し,延伸5駅との通信が可能な状態にする。
> (4)延伸5駅を既設ネットワークに接続する。
> (5)CTC装置を撤去し,ATOSとして使用を開始する。
手順の全体としては、絶妙に、CTCの物理レイヤー(設置スペースなり管路≒いわゆる「ダークファイバー」なり電源なり避雷設備なりといった)を活かして、既設の脇に新設しつつ、建屋内でも器具箱の中でもすべからく「仮設BOX」的なアプローチで進めていった、というように見受けられます。ただ、ネットワークの構成については、いままでにない対応をした(やむなく迫られた?)ようにも見受けられます。
> 二つ目の課題については,ATOSの既稼動中装置に対してソフトスイッチを組み込み,延伸区間の情報で誤判断の元となりうる情報(実績ダイヤなど)は一時的に読み捨てるなど,既設区間と延伸区間を分離する機能を開発することで,指令員の誤判断を招きうる情報を取り込まないこととした。
(主観的な表現で恐縮ですが)残念とは申しませんが、かなりドロナワな何か(ATS-Pのままホームドア[3011]も参照)を感じます。
いま、(従来の)「自律分散システム」ではなく、普通のC/Sシステム(クライアント・サーバー・システム)なモデルが雑然と混ざり込んでいるような印象がございます。潜在的には「ソフトスイッチ」のバグや誤設定によって、重大な「取りこぼし」が起きかねません。
※そこを(メーカー側の、開発や切り換えの担当者という)人間の注意力に頼るとは、たいへん危なっかしく感じます。大丈夫なんでしょうか…と心配しつつも、いえいえ、そのために入念なテスト工程を設けて(その費用を申し受けて)仕事が成り立っているんですね、たぶん。
・「申し受ける」
http://www.weblio.jp/content/%E7%94%B3%E3%81%97%E5%8F%97%E3%81%91%E3%82%8B
※もっとも、現にきちんと動いている(運休するようなトラブルは起きていない)のですから、利用者としては何も文句はありません。
・最近の「ダークファイバー」
https://www.marubeni-access.com/ja/service/network/darkfiber.html
> 自社で敷設した安全性の高い(略)光ファイバを、芯線のままダークファイバとして提供するサービスです。
…!? いつのまにか「ダークファイバー」の定義(ニュアンス)が変わっていたようです。その昔、国鉄やJRが線路沿いに「これからは光通信の時代が来る(いつかきっと使う)」といって大量に敷設しながら、日本テレコムの営業力がアレだとかなんとか(NTTのほうが強かったとかなんとか)で、活用に至らなかった「未使用の」光ファイバーを指して「ダークファイバー」と呼んでいたはずです。
・もともとの「ダークファイバー」
http://it-words.jp/w/E38380E383BCE382AFE38395E382A1E382A4E38390E383BC.html
> ダークファイバとは、電気通信事業者および鉄道事業者が所有している光ファイバー回線のうちの未使用で空いている線のことで、未使用なので暗くなっていると言う発想からダークの言葉が使われる。
> 因みに、日本でのダークファイバ利用の発想は、全国の駅との通信にかつての国鉄が敷設していた鉄道電話網を利用して市外通話に参入する事を目的とした日本テレコム(現在のソフトバンクテレコム)が最初である。
※…ですよねぇ。光っているべき(使われるべき)ものが光っていない(使われていない)のでモッタイナイ、ひいては(ムダなことをした国鉄は、あるいは「公平な競争」の土台が整わないまま通信自由化をしかけた郵政省は)ケシカラン、という非難のニュアンスが込められていました。いまでいう「新品未使用!」「未開封品!」といった、いい意味では、なかったのです。
●リング型ネットワーク おさらいですが、リング型(ループ型)ネットワークです。なお、これはトポロジー(形、位相)の話ですから、光ファイバーに限らず、電線(メタル回線ぷらす)であっても同じです。
・ウィキペディア「ネットワーク・トポロジー」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%9D%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC
・日本電線「ループ型」
http://www.nihondensen.co.jp/?p=402
> ループ型の場合は、信号は1方向にのみに流れ、各ノードは信号を受信すると、必要な処理をして、信号を次のノードに送り出す。そのため、どのノードも公平にネットワークを利用する機会が与えられるが、1つのノードが故障するとネットワーク全体が停止する。
> 従来、これらの機器間は、ON/OFFや接点信号、アナログ信号が主体の配線でしたが、通信のデジタル化により時分割・多重化、マルチドロップ化が可能となり、高性能化、高信頼化、保守容易化、省配線(配線の共通化)を実現するものです。
リレーが「デジタル化」される([2977])背景に、こうした制御用回線のデジタル化があったんですね、わかります。
IP網しか知らない世代といいますか、職種、業界のようなものからしますと、工場や鉄道などのネットワーク(伝送システム)には「ウロコ」な点がたくさんあります。1箇所がダウンすると全体がダウンするなんてとんでもない、と考えるか、いやいや確実に障害検知ができてフェールセーフなんだと考えるか、かなり方向性が違います。
「自律分散システム」としては、ループの上を「データフィールド」と呼ばれる「パケットのようなもの」が(中身があってもなくても)隙間なく走り続け(ループの上を循環し続け)ることによって、ノード間でのデータの同期がはかられる(というより、明示的に「同期」しなくても、ネットワークに手を延ばせば、そこに常に最新のデータがある)というのが、膨大なリアルタイムデータを現実的にさばくために当時、不可欠であった特徴だと理解しています。
・[2283] おりはら さん
> 第二期(6号線区=常磐線)以降もFDDIを使用しているか、というところが気になるところです。
> Ethernetが現在のネットワークの主流である以上、Ethernetの方がネットワーク設計コストも安価、更なる高速化への対応も安易、となっておりますのでギガ対応のネットワーク対応を考えているのならFDDIからEthernetへの変更されているかもしれません。
・[2284]
> いきなりトークンだのFDDIだの何のこっちゃ、という方はこちらをどうぞ。
技報では概念的な図しか公開されませんので詳細は不明ですが、その限りにおいては最近でもリング型のネットワークであることになっており、あくまで扱い者からみると従来通りのFDDIであるかのように見えるようなネットワーク(その実、普通のIP網で、普通にCiscoな「ルーター」があるのかも)が構築されているということなのかなぁ、とも思います。
※古いシステムしか知らない「上のほう」に納得してもらうためのレガシーな図、ということなのかも…いえいえ、レガシーだなんて、メッソウもございません。
・東芝レビュー「情報通信時代の列車輸送管理システム」(2000年)
http://www.toshiba.co.jp/tech/review/2000/09/a05.pdf
> 伝送システム
> Gigabit Ether
> FDDI
> SDH
・日経BP「光伝送の標準 SDH/SONETとは?」(2008年4月10日)
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20070803/279110/?rt=nocnt
意外と何でもOKという、軽快なフットワーク(足回り=回線の選択の自由度)があるのかもしれません。特に、「中小私鉄のお客さま」にも納めるメーカーとしては、(お客さまの)自営回線だけでなく通信会社の回線を使ったりということもあるでしょう。JRのシステム(を手がけるメーカー)や、特にATOSだけを見ていては、何が標準的なのか、よくわかりません。
・昌新「産業用コンピュータ 関連商品」
http://www.shoshin.co.jp/r/ccii/index.html
●単線区間での「デッドロック」の防止 横須賀線の横須賀−久里浜間は単線区間で、その中間に衣笠駅があり、多くの列車が衣笠で行き違うダイヤが組まれています。また、横須賀では久里浜方面とつながる線路が1本しかない(横須賀駅の構内では上下線の列車の行き違いは行なえない)、横須賀や久里浜に留置線があるものの、留置線に列車を出し入れ(入れ換え)するためには、当該の駅で客扱いできない、久里浜では交通量の多い踏切を長く遮断する必要があるなど、さまざまな点で「原始時代」ともいえる状況にございます。
・個人のページ(2013年4月27日)
http://www.tokihiro.net/2013/20130427-yokosuka09-01.html
・YouTube 久里浜→大船(2013年9月)
https://www.youtube.com/watch?v=E84kgUlBtRo
複線化用地が概ね確保され、架線柱(電化柱)も複線の幅の門型でありつつ、雑草が茂り、犬小屋のようなものまで置かれ、という状況です。
本来なら、まず設備や運用を近代化してからCTCやPRCというシステム化へ進むことがスジ(望まれること)ではありますが、逆に、早期にCTCが導入されて「合理化」([2856])された線区の一つでもあります。そして、CTCが導入されていたことによって、かえって線路や信号などの設備をその後、小幅に(段階的に)改修することが難しくなってもいたとみられます。
この状況は、ATOSを導入する(延伸する)段階(その最中)にあっても同様で、できるなら「普通の線区」にしてから「普通のATOS」を導入できればよいところ、そうすることができず、やむをえず「この区間だけで必要となる特別な機能を盛り込んだ、特別なATOS」が開発されることが必要になったわけです。
・(再掲)日立評論「東京圏輸送管理システムの横須賀線延伸に伴うATOS機能拡張」(2010年2月)
http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/2010/02/2010_02_06.pdf
> 埼京線単線制御方式では到着時刻順から番線使用順序を決定する方式
> 横須賀線の単線制御方式では,単線複線共用番線における出発時刻,および横須賀駅〜衣笠駅間の単線区間通過順序から番線使用順序を決定する新型番線使用順序を開発した(図4参照)。
デッドロックを防ぐ機能は線区別中央装置(線区ホスト)のレベルで実装されており、各駅の在線の情報は使わずに、進路制御のプログラム(ポイントの切り替え順序を指定するリスト形式のデータのようなもの)の上でのみ(データベースでいう制約※としてのみ)、実装されている?(各連動駅の駅装置は、デッドロックが起きるか起きないか考えもせず、線区ホストの言うとおり愚直に進路制御する?) と読めました。
これが本当であれば、いかにもPRCという、そのものな発想での実装なのでしょうが、CTCセンターのPRCであれば指令員が在線のモニターや「窓の外」を見ながら「よし、確かに発車した」「確かに入線した」と確認できていた部分が、プログラムには反映できていないのではないか、と、一瞬、心配になりますが、いえいえ、技報には書いていないだけできちんと対応できているはずだと信じます。
・データベースの(≒SQLの)一貫性制約
http://kaiunix.cs.shinshu-u.ac.jp/Lesson/DataBase/2011/c_04-03.html
※…うーん、もはや「データフィールド」は単なる通信であって、その実、「普通のデータベースサーバー」がゴリゴリいっているのかも、と想像されてしまいます。
※これまた、現にきちんと動いている(運休するようなトラブルは起きていない)のですから、利用者としては何も文句はありません。
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