・東京テレポートセンター「パンフレット」を読み解く ・「バックアップ体制」を『超訳!』して「総点検」と解く ・『地下神殿』のトポロジー
(約9000字)
有明といえば東京テレポートですね、といって、駅の話題ではありません。[3132],[3152]に続いて英語の話題です。
※「東京テレポート、東京テレポート、フジテレビ前、終点です」などと…いつの話でしょうか、といって、その実、そんなに大昔でもないんですよ、といってみます。そして、「東京テレポート、東京テレポート、フジテレビ前、終点です」の時点で、かなり「お声」に加齢の影響がうかがわれていました(▼上野駅や▼埼京線、それに▼京葉線ほどではなかったですけれども)。「ドアが閉まりますから」「お疲れさまでした」などといって、遠い熱海駅のほうなど眺めてみます…。
・(参考)「臨海副都心線」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E8%87%A8%E6%B5%B7%E9%AB%98%E9%80%9F%E9%89%84%E9%81%93%E3%82%8A%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%84%E7%B7%9A#.E7.99.BA.E8.BB.8A.E3.83.A1.E3.83.AD.E3.83.87.E3.82.A3.E3.83.BB.E8.87.AA.E5.8B.95.E6.94.BE.E9.80.81
※その後の駅アナウンスの音声からは、うーん、「JRな色」といいますか「公団な色」が薄れて、「東京都交通局な色」の強い発注がなされたのかなぁ、などと邪推されそうです。本当でしょうか。JRからみて「りんかい線」は地下鉄(扱い)なのか、「みなし京葉線」(3セクの在来線)なのか…いつかわかるときがくるといいですね、と期待されます。(本当にわかりません、の意。)
・[3159]
> ・千葉県企業庁「幕張ベイタウン」
> > 各街区に設置された専用の廃棄物投入口へ捨てられたごみは、共同溝の中の廃棄物空気輸送管を通り、幕張クリーンセンターまで空気の流れに乗って輸送。
> > Any waste that is deposited into one of the dedicated waste receptacles set up in each block is automatically carried by air pressure, through underground ducts, to the Makuhari Clean Center.
> ※うーん、ひどい体言止めですね、といって「時代」がしのばれます。そして、翻訳者がインターネットで学習して「研さん」できるようになる前の時代の翻訳とみられます([3132])。確かに、たどたどしいような、よくわからないような…という気がしてきそうです。構文は複雑すぎ、何よりリズム感がなく感じられます。(印象は個人です。)
幕張ベイタウンのパンフレット(の英文)は古いのでしかたないか、といってあきらめがつきそうに思えますが、『基本構造!』そのままで更新され続けている(と見受けられる)「東京テレポート」(テレコムセンター)のパンフレットを参照して、一種「唖ぜん」としてみましょう。
・東京テレポートセンター「臨海地区の紹介」
http://www.tokyo-teleport.co.jp/about/index.html
共同溝および建物を保有して管理し、貸し出している会社ですね。
> 臨海副都心は大規模な延焼火災のおそれがなく、広域的な非難を要しない地区です。
> 道路、公園等の地下空間には、関東大震災級の地震にも耐えることができる共同溝を整備しています。上下水道・電気・ガス・情報通信などのライフラインを収容する共同溝では、地盤改良や地中壁による液状化対策を行っています。
※「非難」は原文ママですが「避難」ですね、といって非難…いえいえ、そんなことは申しません。
傍題ですが、不必要に頑丈なソレで「ムダづかい!」だなんて、とんでもない! そもそも「埋立地」であって、ナニによって埋め立てたか思い出せば、あー、そもそもここに高さのある建物を建てること自体が割高なことで、この地でフツーの基準を満たすだけでもたいへん頑丈なソレにしないといけないんだ、と気づかされます、たぶん。
●東京テレポートセンター「パンフレット」を読み解く
そして、本題のパンフレットはこちら。
・同「パンフレット」
http://www.tokyo-teleport.co.jp/b/tel/pdf/pamphlet.pdf
> 先般の東日本大震災においても臨海副都心の建物や施設に大きな損傷をもたらす液状化被害はなく、これまでの防災対策効果が実証されました。
> In the recent Great East Japan Earthquake, there was no major damage to the buildings in the waterfront city center, and there were no liquefaction problems. These results are proof of the effectiveness of our earthquake-resistant construction measures.
> 埋土層
> 有楽町層
> 東京層
> 東京礫層
> 液状化の可能性のある有楽町層より下部の層まで達する山留壁により、過剰な間隙水の侵入を防ぎます。
※ぬおー! 「有楽町層」キター…などと(略)。有楽町から「遠浅」だったところを埋め立てたんですから当然ですね。どうにもこうにも深くしなければ建物自体が成り立たないんですから、それなら建物の重さを増やす意味でも「地下8階!」などと…いうわけにはいかないんでしょうか。詳しいかたにフォローいただきたくお願い申し上げます。
・個人のブログ「地下8階!」(2006年2月5日)
http://tht.sblo.jp/article/317762.html
※浸水対策や換気の(性能の)面で割に合わないか、そもそも許されないか、などと素朴には想像されました。
同パンフレットに戻ります。
・(再掲)
> In the recent Great East Japan Earthquake, there was no major damage to the buildings in the waterfront city center, and there were no liquefaction problems. These results are proof of the effectiveness of our earthquake-resistant construction measures.
え゛ー、東日本大震災は一生に1回きりであってほしいなぁ、と期待してはいけないんでしょうか。「no major damage」というよりは「特筆すべき損傷はなかった」といって「強弁!」([3093],[3130])してみせるとか、そういう「豊かなニュアンス!」([3132])がほしく…ないですか? そうですか。「results are proof」というつながりはめったに見ないような気がします。(あくまで私の見る範囲=ごく狭い範囲ですが、の意。)
※ちょっと長いですが「○○ results are proof that 〜」構文(のようなもの)は、十中八九、文系(経済や政治など)の用例しか見当たらず、工業的なソレでいう「実証(実物大・実機・実物での実験で確認されました、の意)」に対応するものではない、と理解しました。
・In the Great East Japan Earthquake on 11 March 2011, there was no remarkable damage to all our buildings in Ariake district, and liquefaction of the ground caused no problem. It is confirmed that our earthquake-resistant constructions are quite effective even to such a great earthquake.
日本語では慣用的に「液状化」だけで「地盤の液状化」だけを指すという暗黙の了解がありますが、英訳するにあたってはきちんと「liquefaction of the ground」と記さなくては通じないだろうと思われました。(あくまで思いは個人です。)翻って、「子供の科学」の「液状化」([3129]リンク先、連載漫画の「立ち読み」前編を参照)が、きわめてグローバルな見地からの用字用語になっていることがうかがわれます。(ごま塩の「造粒」を含め、さすがです!)
なお、東日本大震災では(以下、ストレスを受けるかたは思い出すのを中断してください)、有明地区で火災が発生し、くだんのフジテレビが延々と黒煙の映像を流していたかと思い出されますが、これは当時、建設中だった海上保安庁の新庁舎で出火したということです。臨海副都心では(都市計画でいう)延焼の危険がまったくないので、いくら隣の区画で黒煙がモウモウと立ち上っていようとも避難せずカメラを向けていればいい!(あくまで曲解です!) …とのことですから、東京テレポートセンターとしては「なかった!(キリッ」としていていいんだと思われます。
同パンフレットに戻ります。
> 2つの送水系統によるバックアップ手段を図る。
> Two independent water supply systems for back-up measures.
・We take back-up measures by two independent water supply systems.:2つの独立水がバックアップ体制のためのシステムを供給する。
??? やだなぁ、日本語も英文も意味不明じゃあございませんかぁ、と「素」で問い返してみたくなりました。…なりませんこと? あらあら、まあまあ([3136])。
・送水系統を二重化しています。:Two independent water supply systems are available.
・予備の送水系統を備えています。:In our water supplying, an independent standby system is available.
こう書けば「わあぃ独立のコールドスタンバイな予備系! ***独立のコールドスタンバイな予備系****き!」とヨロコバレること請け合いです。…「バックアップ」と書いてあるのでそういうこと(片方はコールドスタンバイ)だと読まれました。本当でしょうか。
●「バックアップ体制」を『超訳!』して「総点検」と解く
同じ調子で、電話、電気、都市ガス、下水道…いえ、横書きなので電気、下水道、電話、都市ガスの順でしょうか(最初の3つは同社が管理、後の2つは管路だけ貸して、外部の事業者が管理という理屈?)、とにかく順に記載されていますが、英文も日本語も、同じ調子で続きます。(ナニはアレでも、とりあえず一貫性があるのはいいことです…たぶん。)
> 光ケーブルをループ化し、一部が遮断されてもバックアップが可能。
> With looped Optical fiber, even if one portion is cut off or isolated, back-up measures can be implemented.
この「バックアップ体制」といいさえすればぎゃふん的な1988年っぽいソレがクセモノだと感じます。英語で「backup measures」と書いてしっくりくる用例を探してみますと、だいぶクリアーになってきそうです。
・「ぎゃふん」
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AE%A5%E3%A5%D5%A5%F3
http://www.fleapedia.com/%E4%BA%94%E5%8D%81%E9%9F%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9/%E3%81%8D/%E3%81%8E%E3%82%83%E3%81%B5%E3%82%93%E3%81%A8%E3%81%AF-%E6%84%8F%E5%91%B3/
http://kotobakai.seesaa.net/article/8173584.html
> 内田魯庵 犬物語「先生頗るギャフンと参ったネ」
※(たぶん若い人が)センセイを言い負かしたさまを(一種『武勇伝』的に、同年代の友人に自慢しながら)「あのセンセイ、かなーり『きてた』ね」と(現代的にはいろいろ補いつつ読む、の意:ここでいう『きてた』=こてんぱんにとっちめられ反論する気力を失う、の意)読めます。前後の文を読みたいですね、わかります! 単に言い負かせば「ぎゃふん」ではなく、座布団…いえ、勝ち目のなさそうな者が勝ったという「大金星☆っ!!」(の「相手方」)をさして「ぎゃふん」と形容するわけです。(『小役人』が)「バックアップ体制」といいさえすれば(『大役人』としての大臣が)「ぎゃふん」などと…いえいえ、メッソウもございません。いためし、いためし([3162])。あざっす。
・Several large *(our)* customers have already taken backup measures:わたくしどもの大口お客さま先におかれましては既にバックアップ体制がとられております(ので問題ないものと考えております)
・Review and assess backup measures in place for critical facilities:「指定公共機関のサイトにおけるバックアップ体制の総点検につきまして」(に関する議題に移らさせていただきたく思います)
※日本語の『超訳!』を付して示しました。(あくまで『超訳!』です。)
・In this tech guide, we will define the two backup measures, how they can be applied in a real-world context and how solution providers can use them as differentiators in their managed services practices.
いくら「measures」とはいっても、「ひとぉーつ!(ドーン)」「ふたぁーつ!(ドーン)」…などと、紅組と白組に分かれて高らかに歌いあげ…いえ、数えあげるようなソレのようには、数えられないものだと思います。
しっくりくる用例の前者ふたぁーつ(ドーン)は、そもそも数えておらず、かなり「抽象的なレヴェル」で言及しているものです。後者のひとぉーつ(ドーン)は、「ふたつのhow」を数えているという、なんとも抽象的なソレです。具体的な配管の系統をふたつ数えて「measures」などとはいえないのではないかと疑わなかったのでしょうか、といって疑ってみます。(恐縮です。)
・「assess」
http://medieigo.com/articles/-/1045.html
> assessと同様,「評価する」と訳せる単語にevaluateがありますが,こちらの方は総体的な評価や多くの因子を評価する場合によく用いられる単語です。名詞形のassessmentとevaluationを使った以下の例文から,そういった両者の違いを見てみましょう。ここではassessmentは検査と訳した方が分かりやすいですね。
※いわゆる「チェックリスト」をなぞるソレ、と曲解して「総点検」と『超訳!』しました。「総点検」については、古くは[277](1999年8月)、新しくは[3030](2015年4月)も参照。このフォーラムで「○○を総点検すべし!(しないのはケシカラン! 出直してまいれ!)」などといわないのは、「総点検」には限界があることが自明であるからです。(しなくていいとも申しません。)しかし傍題でした。
●『地下神殿』のトポロジー
同パンフレットに戻ります。
・(再掲)
> 光ケーブルをループ化し、一部が遮断されてもバックアップが可能。
> With looped Optical fiber, even if one portion is cut off or isolated, back-up measures can be implemented.
「ループ化」といいつつ、狭義の「ループ型」というわけではないということ…なんでしょうか。一部が遮断されただけで全体が止まる、きわめて「フェールセーフ」なソレ([3064])も参照。「一部が遮断されてもバックアップが可能」とはいったいどういうことか、といいますと、▼遮断されても残った部分だけで通信を継続できる「トカゲ型!」、▼ループが二重化されているので、遮断されたら予備系に切り替えることが可能という「バックアップ!」、そのふたつが考えられます。文章だけからはどちらだとも決まらないところがあいまいで、よからぬことだというわけです。大いにソシろうではありませんか。
「バックアップが可能」という表現からは、「残った部分で継続」というニュアンスは否定され、「予備系への切り替えは手動ですっ!」というソレが浮かびます。とはいえ、両方のニュアンスで書きなおしを試みてみます。
・地区内の光ファイバーをループ状に配置することで、1か所の遮断では通信が途絶しないようにしています。(…配置することにより、…途絶を防止します。):We keep the communication in Ariake district with looped optical fibers; the network would not have isolated by a cut off.
・光ファイバーのループを多重化してあり、障害発生時には予備系に切り替えて通信を継続することが可能です。:With the redundant looped optical fiber networks in Ariake district, we can keep all communication services for our buildings.
※この、そう! Yes! We can!! …むやみに自信満々な感じですね、わかります! 厳密には、「ちゃんと『ただし有明地区に限る』っていったもん! ウソじゃないもん!」といえることがわかります。
というわけで、文章はともかく、水道、下水道も二重化され、電話、電気、ガスの管路がいずれも「ループ化」されているという、とっても未来っぽい共同溝なんだと、共同溝の土木でなく、管路のトポロジーを見て一種「感たん」してみましょう。(そういう視点で書かれた記事って、一般にはあまり見ないですよねぇ、の意。)
※共同溝を見学してワー! とっても大きな「『地下神殿』!」ですね…などと、の意。
もっとも、管路のトポロジーがどうたらといって、英語だろうと日本語だろうとあまり関係なくなってくるわけですが、さらっと書いてある文章を翻訳しようとすると(向きは問わず)、それなりに正確な理解が(技術に関しても)必要で、これ、技術の基礎はあまねく知っておきたいなどという一種「わがままな」素人(=たぶん私のことです)にとっても役に立つ「ものの見かた」かなぁ、と思えてくる気がします。
曖昧性がやさしく内包される日本語だけ、あるいは一種「上がってきた」英語をなんとなく読んでハンコを押すだけの『簡単なお仕事』…いえいえ、メッソウもございませんが、きちんと自力で読んで書く、書いた上で(ネイティブ話者の)チェックを受けるという「高度な運用」へ到達できないと、たいへんミットモナイものを全世界にお見せすることになってしまいます。個人はどうでもいいんですが(私もどうでもいいです、の意)、法人が、とりわけ『世界的なスポーツイヴェント(笑)』をホストしようなどという大それた自治体の足元…いえ、一種「お・ひ・ざ・も・と」(O-hi-za-mo-to)にあってミットモナイのは避けたいことです。(身の丈にあわない一種『背伸び』をすれば転びます、の意。)ショウジンしたいですね。
※ボランティアの英会話力についてはさほど心配いらないのではないかと思われる一方、こういう厳密な記述が要求される部分で、都道府県以下の自治体、3セクとも、たいへん厳しいのではないかとうかがわれる、という話題でございました。恐縮です。(翻訳できて議論もできるレヴェルの人は国連機関などを目指してしまうので国内では奪い合いなのではないでしょうか。)
・ウィキペディア「位相幾何学」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8D%E7%9B%B8%E5%B9%BE%E4%BD%95%E5%AD%A6
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