フォーラム - neorail.jp R16
発行:2017/4/30
更新:2017/12/8

[3463]

【鉄道と情報】

【LED発車標】ひとくちに 「旧型」とはいうけれど(歴)


東京圏で見る「旧型」発車標
「旧型」で「24ドット」を読み解く(再)
【電気・電子】「新陽社」を読み解く(※メッソウではございます)

(約12000字)

 LED発車標(電光掲示板)の話題です。


【おことわり】本稿は2016年3月から6月ごろに起稿したまま忘れていたもので、これまでに掲載済みの記事と重複もしくは矛盾がある可能性がありますが、特に修正せず掲載するものです。ご了承ください。なお、掲載にあたり一部、加筆しています。


 いま、「旧型」(「新システム」と「旧システム」の呼びかたの話[2954])といって一括りにされるソレを、しかし、高い分解能で設置の順序を推定してみます。(あくまで推定です。)

 ここでは、国鉄・JRの「発車標」、というあたりに視点を置いて、反転式とLED式、それに、新幹線と在来線という区別は、建設の時期や装置の置き換えの時期などの事情によって、結果的に生じたものだと仮定して見ておくことにいたします。

 JRといっても広いんですが、そのうち、なるべく国鉄(新線にあっては公団)の流儀(電気的な仕様や発注のしかたなど)をそのまま受け継いでいそうな、四国、それに北海道も視野に入れると、よく見えてきそうだと思います。

 他方、ここで、近年、それぞれ独自の様式の発車標に置き換えが進んでいる東海や西日本の例を見てしまうと、かえって、よくわからなくなってしまうのではないか(各社で色とりどり、そちらのほうがおもしろくなって「かたろぐすぺっくっ!」の『型これ!』、ひいては「LEDの点灯パターンを蒐集!」といって「アンチエイリアスの多階調表示まで解析するんかい(できるんかい)」)と心配します。


★東京圏で見る「旧型」発車標


・大船駅
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・東戸塚駅
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 新陽社さんの記述から、この型(桁数、行数、行間の空き、装飾、時計との一体化)が最初の機種だと断じます。以後、▼部品の技術革新(低消費電力化による低発熱化)や、▼新陽社さんにおける設計の高度化、▼鉄道事業者からの注文の複雑化など、順番に起きていくと仮定します。また、ある程度の時期までは、発車標がきわめて高コストであり、8桁1行などという大井町駅のような発車標は割に合わなかったはずだ、とも仮定します。

※大きなもの(小さくは作れないもの)からスタートして、設計上の余力が出たので小さくすることができた、コストが下がったので小さいものも実現できた、という見かたです。(あくまで一般的な見かたです。)

・与野本町駅
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・津田沼駅
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 そして、大船駅(1984年)のLED式発車標より後の1985年に、埼京線の連動駅では反転式発車標が新設されています。(もはやすっかり忘れていますが)津田沼駅でも、ATOS導入までは反転式発車標が使われていたのでした。

 反転式発車標の新旧にも着目しますと、当然ながら津田沼駅のものは埼京線より古く、「こんどは」「つぎは」が白地に黒字で書かれ、上部の「← 3番線の」の部分と、白地の部分が一続きになっています。こうしてみると、埼京線の反転式発車標はだいぶ新しく見えてきます。

 埼京線の開業は1985年9月30日ですが、津田沼駅の複々線化完成は1972年7月15日で、この日から「総武快速線」の「東京行き」、また、房総地区で初となる「電車特急」(183系9両編成が一挙に11本も新製投入!)が走り始めたのでした。「3番線」と書かれている反転式発車標も、この時に、3番線だけにうやうやしく設置されたのではないかと思われます。(発車標が「上下線とも設置」というのは後年のことではないかと仮定します。)当時、ピカピカの反転式発車標が、「総武快速線」の開業をさらに強く印象付けたのではないか(平たくは「津田沼が都会の仲間入りをした感!」)と想像されます。

 LED式に戻りましょう。

・上野駅
 http://atos.neorail.jp/atos2/state/images/led_ueno8_2l.jpg

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 そういえば、LED式発車標といって、上野駅のコレがあったではないですか。いかにも、1985年の埼京線の反転式発車標と同じ筐体や支持構造で、中身だけLEDに取り替えました、という外観であります。なるほど、上掲の大船駅のLED式発車標は、既に「2代目」であったのかもしれないと思われてきます。

・(個人のブログ)池袋駅(2015年5月29日)
 http://www.railnote.com/2015/05/SaikyoSen-Ikebukuro-150529.html
 http://1.bp.blogspot.com/-m6o816hLYf8/VWhS1mBC5HI/AAAAAAAACU0/UNtKRoVEJAo/s1600/DSC09519-%25EF%25BC%25A7.JPG

 池袋駅の中電の発車標も、上野駅と似た、筐体の縁が額縁っぽくボッテリ(※)しているソレで、未だに使われ続けているという状況も含めて上野駅と同じであるので、これ、新幹線の上野開業(1985年3月)の際に、埼京線(1985年9月)、東北本線・高崎線の池袋乗り入れ(1988年3月)まで一体的に、あるいは、同じ部署の管轄で設置されたものなのかなぁ、と推測できそうです。(あくまで外形的な推測です。直接、確かめることのできる資料が望まれます。)

※製造上のソレなど想像しますと、この「がくぶちっ!」部分、ぜつみょーな角度で角を落としたべろんべろんを90度に曲げて、さらに30度くらい(?)曲げて、つきあわせて美しい「角っこ」を…つくるのはたいへんそうですねぇ、といって、いまのところ、「額縁っぽい」のは上野駅と池袋駅の例しか見つけられませんでしたと***は***は報告してみます。内側から溶接したり防水したり…わあぃトンテンカンっ。(恐縮です。)

・ムサビでしょ!「金工専攻」のイメージです
 http://koude.musabi.ac.jp/craft/metal/
 http://koude.musabi.ac.jp/wp-content/themes/MAU_ID/assets/img/_header/bg/metal.jpg

・グリーンディスプレイ「変なホテル 舞浜 東京ベイの実施」のイメージです(2017年日本)
 http://www.green-display.co.jp/info/news/post_19/

 …ムサビ的な何か、さくれつですっ!(恐縮です。)

・「ダケジャナイ! …ムサビ。」付近(2016年6月3日)
 http://tsuchitaha.blogspot.jp/2016/06/blog-post_75.html
 https://1.bp.blogspot.com/-uBOJ9Zp1WgY/V1GKIL8Mb6I/AAAAAAAAAOY/XgB-8885OlI2NiU6OoOHvYDi6mni4oLRQCLcB/s1600/%25E3%2583%25AC%25E3%2582%25A4%25E3%2583%25A4%25E3%2583%25BC%2B3.png
 http://www.kimio-tsuchiya.com/review/vol-12.html

 > 大阪府和泉市依頼されたモニュメント
 > 東京都横綱公園

※「大阪府和泉市依頼されたモニュメント」「東京都横綱公園」は原文ママ。

 校正が甘いっ、甘すぎるっ。(※見解です。)

・ウィキペディア「池袋駅」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E8%A2%8B%E9%A7%85

 > 1983年(昭和58年)10月2日 ホームを1面増設。同時にこれまで現在の8番線から発着していた赤羽線列車を増設されたホームから発着させるとともに10両編成化した。旧4番線を一旦廃止。
 > 1985年(昭和60年)9月30日 埼京線運転開始。
 > 1988年(昭和63年)3月13日 東北本線・高崎線列車の一部の当駅への乗り入れ開始に伴いホームを1面増設。
 > 1990年(平成2年) 旧4番線を8番線として使用再開。
 > 1991年(平成3年)3月19日 特急「成田エクスプレス」運転開始。

・ウィキペディア「上野駅」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E9%A7%85

 > 1985年(昭和60年)3月14日 東北新幹線の駅が開業。

 新線としての埼京線(赤羽−大宮間、ただし赤羽駅を含まず)としては、PRC連動の反転式発車標が採用されたわけですが、池袋駅はあくまで池袋駅であるので、別口で発車標が整備されたか、今後、ホームの使いかたが複雑になることが明らかであったので、「埼京線」に特化した反転式発車標(埼京線の案内にしか使えない)など設置できるはずがないといって、LED式をいち早く採用した(上野駅とともに?=1985年に?)という流れが浮かんできます。

 しかし、よく見ると、上野駅より池袋駅では、▼筐体の厚みが削減され、▼下部の通風孔が小さくなり、▼額縁っぽいところさえスッキリさせれば、東京駅などで見慣れたソレとほとんど同じだなぁ、といって、おお、上野駅は1984年度、池袋駅は1985年度または1987年度、東京駅などは1987年度以降(1987年4月の民営化以降?)に製造されたのではないかといって時系列に並べると、たいへんすとーんとすとすとまいるな気がしてまいります! …あくまで気分です。

・新潟駅(1982年11月)
 http://www.jreast-shinkansen.com/200kei/detail/118.html

 反転式発車標が設置されているようすが見えます。

・上野駅(1985年3月14日)
 http://jigyourin.web.fc2.com/z85-3-14img079hjmini.jpg

 おお、上野駅では新幹線の延伸時に、在来線を含め駅全体で、この型、しかも、新幹線も含めて、すべて16ドットで整備されたとわかります。

・新宿駅(1991年3月19日)
 http://jigyourin.web.fc2.com/shukugaressha-sikitenn3-2.html
 http://jigyourin.web.fc2.com/z91-3-19img105hjmini.jpg

 この時点では、「アールなカバー!」のついていない発車標がついているように見えます。

・光波「沿革」
 http://www.koha.co.jp/company/history.html

 > 1996年3月 平成08年 JR(大船駅)向けの“発車標”を開発、設置。

 ??? いつの、どれのことだか、見当がつきません。

・東芝レビュー「ハイビジョンLED表示システム」(2003年)
 https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2003/09/58_09pdf/a13.pdf

 > 東芝は,鉄道会社及び空港会社に対し数多くのシステムを納入してきた。更にフルカラーLED表示装置もビルボードやスタジアム,展示会やコンサート向けに供給している。

 とってもわかりやすく「LEDテレビ」だと見受けられます。筐体内に漢字ROMを持っていて、テキストをデータで受けとって(あるいは固定のデータを記憶していて、表示装置単体で)表示する「LEDメッセージボード!」みたいなのだけがLED(発車標や表示システム)だと思ってはいけないんですよぉ。なるほどなるほど、それで?(もしゃもしゃ)…あざっす。

 > 図1.旅客案内表示装置の外観−駅のホームに設置されている旅客案内表示装置。行き先案内表示,時刻表示などを行う。

 「15番線」「16番線」「TOKYO」「12両」「NASUNO」との表示が見られ、東北新幹線で15番線のある駅といって、というより「NASUNO」が停車する駅で、といって、大宮駅でしょうか。おお、最新のフルカラーLEDに置き換えられる直前の型とみられ、これって東芝だったんですねぇ、といって初めて知りました。

 1982年11月の「暫定開業」から短くても15年は使われたとみられる反転式発車標に代わって、東芝のLED表示装置(名称は不明です)が設置され(1997年ごろ?=それより5年早く、山形新幹線にあわせて1992年7月1日?)、さらに15年ほど経て、いま、最新のフルカラーLED(2006年2月=1992年からは14年ほどですが)になっていると読み解かれました。

・グッドデザイン賞「JR東日本 東京駅 新幹線 発車案内サイン [LF-HP623BW LF-KP425BST]」
 https://www.g-mark.org/award/describe/32709

 > 視認性・可読性に優れたフルカラーLED専用フォントの改良と最適な文字情報の配列

 > 従来の点滅回数50回/秒から240回/秒に増加させることにより、LEDの経年劣化を遅くしています。

 ぬおー! 従来って、そんなにふりっかぁふりっかぁしていましたっけ。いえ、どことなく「商用電源の周波数」そのままっぽい感じもしてきます。

・(再掲)「X1のデジタルRGBをFRAMEMEISTERにつないでみる」
 http://www.retropc.net/mm/x1/rgb21/index.html

 > 水平同期信号周波数 15kHz(NTSC/PAL相当)
 > 垂直同期信号周波数 60Hz/50Hz

 NECのモニタでも50〜160Hz(カタログでは「リフレッシュレート」とも表記されるソレです)で、おお、どことなく、どことな〜く、FCな98やPC-9800そのものっぽい映像信号が伝送されて「LEDテレビ」されていそうな気配([3070])が、やっぱり拭えません。

・ルネサスエレクトロニクス「FAQ No. 1008915 (EEPROMとFlashメモリ(Difference between EEPROM and Flash memory))」
 http://japan.renesas.com/support/faqs/faq_results/Q1000000-Q9999999/design/tech/tech_064j.jsp


・新橋駅
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・東京駅
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 ここまで大きさ、形状が同じだと見受けられます。

・東京駅
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・(個人のページ)東京駅
 http://www9.atpages.jp/~midorimelon/tabipage/board/shutoken/tokaido.html
 http://www9.atpages.jp/~midorimelon/tabipage/board/shutoken/tokaido/tokyo_8c.jpg

・新宿駅
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 ここで、本体の脇にラウンドのついた装飾的なパーツが付加されていることがわかります。東京駅のコンコースや改札口で、4行や6行の大型の発車標が設置されるにあたって、威圧感を減らそうとしたのかなぁ、と想像されます。

 そして、見落としていたのですが、東京駅のコンコース(東海道線ホームへの階段の脇)に「1行」のものがあったのですね。…見落としていました。

・新宿駅
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 同じ新宿駅で、ラウンドな装飾が付加されつつ、なんと、表示の桁数を大幅に短くした、小型の発車標が登場しています。(なお、実際の設置時期の前後は不明です。)

・千葉駅
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・錦糸町駅
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・大井町
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 千葉駅(総武緩行線)、錦糸町駅(下り特急)でも、やや桁数が減らされた型が設置されています。もっとも、千葉駅については、大船駅とほぼ同様の凡例つきとなっており、大船駅からさほど時間を置かずに、駅全体で整備されたのかなぁ、とも思われますが、具体的な時期は不明です。(地元なのにわからず、マコトに恐縮です。気がついたら既にあった、くらいにしか意識されません。総武快速への4扉車、そして総武緩行線への6扉車の導入で表示が変わったのを見て、おお、装置はそのままで柔軟に変更できるんだなぁ、と感心したものです=[1688]。)

 そして、大井町駅では8桁・1行という「ミニマム」な発車標が登場しています。

 また、順序は不明ですが、意味的には「大井町ミニマム(仮)」の次に出てくるかなぁ、と思われるのが、行間の空きをなくして、ドットマトリクスを縦方向にも敷き詰めた型です。

・東京駅
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 これが実現できるためには、放熱や配線の処理がうまくなされないといけないだろうと、素朴には想像されます。逆に言えば、行間の空きは、▼見やすさのためでもあったかもしれませんが、同時に、▼電気的な都合で避けられなかった(縦方向にも敷き詰めることは、当初はできなかった※)のではないか、とも想像されます。

※「できなかった」というより、「考えられなかった」といったほうが正確なのかなぁ、とも邪推される気がします。幕式や反転式の発車標以来の『頭』で設計すれば、可変表示の機構や素子をうやうやしく取り付け、見やすく行間を空け、というのが『(問われもしない)常識』であって、ぎつぎつに敷き詰めるという発想自体がなかった、のかも知れません。本当でしょうか。


★「旧型」で「24ドット」を読み解く(再)


 筐体の外観としては「旧型」と呼ばれそうでありつつ、▼24ドットで、▼行間の空きなく、という、東京駅や横浜駅の発車標(横浜では現存しません)に続きます。

・東京駅
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 そして、これがどうして達成されたかといえば、なるほど、大きな駅の連動装置のために「ハイレゾ!」なPCをば、といって、有無を言わさず漢字ROMが24ドットになりました([3038])、あるいは「21世紀はハイレゾで高品位な明朝体の時代だっ!」と(PCメーカーに『カタログ』で)いわれて「うのみにした!」などと仮定しますと(恐縮です!)、おお、京葉線や新幹線で24ドットタイプのLED式発車標を実現するときに、ドットマトリクス敷き詰めにかかる放熱などの問題が解決されたのではないか、それを受けて16ドットでも敷き詰め型(仮)が実現されたのではないか、などと連鎖的に想像されてまいります。

 といって、京葉線の全線開業とCTCの使用開始は1990年3月10日とのことで、おお、京葉線にはさほど大きな連動駅はないにもかかわらず、もれなくハイレゾだ、などというとってもラブリィ…いえ、バブリィなことをなさったのは、さすが1990年ですねぇ、といって気が遠くなってみます。本当でしょうか。

 ここで、▼1972年、東京地下駅(総武快速線)と東海道新幹線のコムトラックph-2(山陽新幹線の延伸)が同時に整備されたあたりから、▼京葉線東京駅のための旅客案内装置は新幹線仕様で、東北新幹線などといっしょに、ある程度は先行的に用意されていたのではないか、などと邪推されてきます。(まったく邪推です。)

 こうした先入観からは、おお、1991年に「暫定整備!」の成田空港線でも24ドットなのは、新幹線の「亡れい!」なのかっ! そうなのかっ!! …などと決めつけたくなってきますが、うーん、資料が足りず、そこまでは言えないというところに戻ってまいります。それに、1991年だってバブリィでしょ、ということでもあります。

 次に気になるのは、京葉線の24ドットの字形(ビットマップフォント)と、横浜駅、成田空港線での24ドットの字形とが大きく異なることです。前者は▼○ャープのワープロ専用機のような字形で、私鉄でも見かけそうなソレ、後者は▼他のどこでも見たことがないが、数字だけは、連動駅やATOSでの16ドットの字形と共通のデザインっぽいなぁ、というところが気になってくるのでございます。…気になりますっ!!

・横浜駅
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・(個人のブログ)名寄駅(2004年12月24日)
 http://pstation.blog2.fc2.com/blog-entry-18.html
 http://blog-imgs-27.fc2.com/p/s/t/pstation/20041224015609.jpg

 > 宗谷本線 名寄駅改札口にある発車標です。
 > 宗谷本線主要駅の稚内・幌延・音威子府にも下車しましたが、どこにも発車標はなかったので(昔ながらの札をぶら下げるタイプの案内はありましたが)、電光式発車案内の北限でしょうか?
 > 実際には列車名と種別+時刻の交互表示です。
 > 北海道の中規模駅によくあるタイプといえますでしょうか。

 国鉄のCTC駅装置があったところ(連動駅のみ?)に、JR化の前後(1985年〜1995年くらい)に、LED式の発車標が設置された、そして、なぜか24ドットであるという状況とみられます。

・ウィキペディア「宗谷本線」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%97%E8%B0%B7%E6%9C%AC%E7%B7%9A

 > 1986年(昭和61年)11月1日:CTC化に伴い、上記29駅すべて駅員無配置となる。

 全然違いました。民営化直前に、最初からピコピコなCTC(駅装置にPCなど使った、の意)が導入されていたのでした。LED式の発車標も、この時に同時に整備されたとみられます。

 そして、ぬおー! 「24ドット」の初登場の時期を探って宗谷本線を調べたら「1986年」だとわかりましたっ! たわし、わかっちゃいましたっ!! …本当でしょうか。


★【電気・電子】「新陽社」を読み解く(※メッソウではございます)


 ずっと、ずーっと前にも参照したように記憶しておりますが、いま改めて参照してみます。(恐縮です。)

・新陽社「会社沿革」
 http://www.shin-yosha.co.jp/company/compa01.html

※古いほうから見ます。

 > 1946(昭和21年)10月 終戦後、戦災で荒廃した旅客設備の復興のため当時の鉄道省および関係者の意向により設立

※いきなりぐさっときます。(印象は歴史的で個人です。)いまでいえば(会社としての)「JR中央ラインモール」くらいのソレ、あるいは「あじさい茶屋」(日本食堂)でしょうか。事業領域や規模を外から(上から)あらかじめ決められている会社、ということです。(マコトに恐縮ですが、では、そうした事業をすべて本社が抱えていたら『肥大化』しすぎてしまいます。うまい「駅そば」…いえ、うまい「按ばい」で「分社化!」されることは、とっても大事なことだと実感されましょう。)

 > 1950(昭和27年) ■国鉄工事請負業者の資格取得
 > 1953(昭和28年) ■反転式発車標開発
 > 1954(昭和29年) ■電気掲示器の私鉄への営業展開

※うーん、国鉄っぽい会社が民業っぽいことをば、といって、その実(少し前でいう)「NHKエンタープライズ」(1985年)的なソレは、まあ、取引の相手方も同業者(鉄道事業者)に限られるので問題にはならなかったということですね…たぶん。

 > 1964(昭和39年) ■東京オリンピック開催に伴い、首都圏主要駅、観光駅に掲示器を大量納入
 > 1972(昭和47年) ■東京地下駅開業及び山陽新幹線岡山開業に伴い、電気掲示器の大量受注

※赤瀬氏の著書([3010])などで写真のある「古いサイン」のうち、乳白アクリルや緑色や黄色のアクリルに黒い文字が書かれているタイプの「電気掲示器」のほとんどが、1964年に一括して整備されたものであろうと推定されます。そして、黒地に赤や青で「丸付き矢印」や「ピクトグラム(新幹線、手荷物、地下鉄など)」を描いたグラフィカルなソレは、1972年に一括して整備されたものだとわかります。

・錦糸町駅(※乳白アクリルに黒マスク)
 http://atos.neorail.jp/photos/images/atos0076.jpg

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・馬喰町駅(※黄色地に階段のピクトグラム)
 http://atos.neorail.jp/photos/images/atos0040.jpg

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・津田沼駅(※「(↑)出口」の黄色いサイン)
 http://atos.neorail.jp/photos/led/led00237.jpg

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※「東京地下駅」は総武地下ホームのことです。この時、発車標は反転式のものが設置され、新幹線ともども、初めてプログラム制御(新幹線ではCTCと連動!)になったとの説明が「交通技術」に見られます(別途述)。

 > 1978(昭和53年) ■成田新東京国際空港開港に伴い、字幕式案内標採用
 > 1982(昭和57年) ■LEDによる異常時情報装置を開発(上野、大宮、名古屋駅に採用)
 > 1984(昭和59年) ■多色(緑、橙、赤)LED式発車標開発(大船駅に採用:全国初)
 > 1985(昭和60年) ■PRC情報による発車標制御装置を開発(埼京線各駅に採用)

 なんとも惜しいことに、3色の「多色」表示が可能なLED式発車標が1984年に実用化(全国初とのことですから、私鉄も含めて初だと推定されます※本当でしょうか)されていながら、1985年の埼京線PRCでは反転式発車標が設置されたという、(後から見れば)いま絶妙に▼LED式の実用化が遅い!、▼在来線PRCの開発期間が長い!(その初期に仕様を確定しないといけなかった?)という一種『ダブルパンチ』のようなもので、(埼京線では)どうにもならなかったとうかがえます。残念ですね。

 > 1998(平成10年) ■LED式発車標でグッドデザイン賞受賞

 授賞は1998年ですが、製品の駅での使用はもう少し早かったと記憶されています。

 そして、おお、続きがございます。

 > 2002(平成14年) ■LED式発車標のATOS対応設備への改良及び開発(東京電気工事事務所長から感謝状)

 おおー、なるほど、概ね2002年より前のATOS導入では、ほぼすべての発車標が新設であったところ、概ね2002年の導入からは、既設の古い発車標(1984〜1994年ごろに設置されたもの:ATOS導入を見越して「グッドデザイン賞」のソレを設置してあった箇所で後からATOS連動になったケースを除く)をそのままATOS連動に切り換えたり(錦糸町駅の一部、東京駅、新橋駅)、いつぞやの大船駅で使用を終えたものを東戸塚駅で再利用([1179],[1189])などと、そういう動きがあったのでした。なるほど、そこにはこれまでにない開発(工程)があったんですね、とわかります。(単に移設してつなげばOKというものではなく、いくらかI/Fの設計やソフトウェアをいじったとみられる、の意。)


(掲載にあたり追記)北海道のCTC・PRCについては[3253]、千歳線については[3446]、それに成田空港駅については[3249],[3396]などで触れています。24ドットについては[3210]も参照。また、永楽電気「ATOSユニット」については[3219]を参照。埼京線での「PRC情報による発車標制御装置」(1985年)までは、発車標の制御もまた「放送文選択コードと呼ばれるパルス列みたいなの!」([3242])くらいのソレを、『PRCとも呼ばれるPC-98みたいなPC!』からの『何らかのI/F!』越しの信号で、かなり電気的に直接『制御』されていた…やのような気配が漂いますが、これがATOSの時代になると、発車標の側では「ATOS対応設備」といって、妙にタニンギヤウギな呼びかたになるところが注目されましょう。


この記事のURL https://neorail.jp/forum/3463/


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