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[4464],[4465]と同じ頭でバス停です。
・NHK「交通事故に遭うリスク高い“危険なバス停” 全国に1万か所」(3月22日 6時29分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210322/k10012928001000.html
> 危険度に応じて3段階に分類
> 最も危険性が高いAランクは停車したときに車体が横断歩道にかかるバス停
> 停車したときに車体が交差点にかかるか横断歩道から5メートル以内となるBランクのバス停
> 交差点から5メートル以内などCランクのバス停
Aランクの敵(ボス)を何匹やっつけましたと手柄をいいふらすスマホゲームのごとく。…スマホゲームのごとく!(※あまりにもアレなので2回いいました。)
優先順位をつけることと、そのつけかたまではよいのですが、優先順位に「Aランク」などの呼びかたをつけてしまうのが余計なことで、これが著しく軽薄で不適切といわざるを得ません。難攻不落とはいわないけれど、『攻略!』が難しい相手を「落とした!」といって(相手は物のように扱いながらじぶんたちの内輪で)誇るようなえげつなさ(相手へのリスペクトのなさ)も感じてしまう、それが「Aランク」などの呼びかたです。二言はありません。そんな呼びかたを決裁してしまうようではいけません。言い出す人はいるかもしれないけれど、それはだめだと言えなくてはいけません。
※部内ではもっとゲームそのもの「大ボス」「中ボス」「ザコ敵」と呼びながら検討をしていたという実態があったとしても、それはそれとも思いますが、絶対に部外に出してはいけません。▼「…つーわけで、いまはレベル上げっスね。」からの「よう怪・マイクボンボン」については[3386]を参照。
https://2019.images.forbesjapan.media/articles/36000/36969/photos/410x615/369699cd204e949001c70dfa73eb942bc90a5.jpg
https://tkgurume.up.seesaa.net/image/IMG_20170617_140717.jpg
https://hamarepo.com/writer/story/images/images/hamarepo/yoshida_sa/2018/12/7004/21.JPG
※画像はイメージです。
まだ事故が起きていなくても改修しようという、いわゆるヒヤリハットの類でありますから、「深刻」という表現を使って「最も深刻な状況」「深刻な状況」「解消すべき状況」などのように、丁寧に言葉を選んでラベルを与えるべきなのです。
・(再掲)読売新聞「警察許可や住民と合意必要、移設困難で手つかず…#危険なバス停<3>」(2019年9月2日)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190901-OYT1T50167/
・[3756]
> 横浜市は全国でも特別に道路(市道)がひどいということも書いてください。ほかにはあま市([3543])もひどいとか、武蔵野市([3617])もひとくせあるとか、そういう特殊な状況は(道路網が急ごしらえにならざるを得なかった大都市近郊の)いくつかの自治体にある。しかし、全国のほとんどの自治体ではそこまで深刻ではない(田んぼで直角にぶつかるとかいう別の問題のほうが大きい)ので、かなり局地的な事案なんだという理解が必要です。
数えるとすごい箇所数ではあるものの、おおかた横浜市(や、横浜市のような市)だろうと思われましょう。そういうことを説明する数字はニュースには出てきませんでした。国(政府)として取り組むべきは、円滑に改修(移設)が進むようガイドラインをつくることまでで、(ニュースの最後にある通り)あとは個々の当事者(道路管理者・バス事業者・住民・管轄の警察署)の問題なんです。そこに数値目標など要らない(そのこと自体は管轄じゃない)。いちばん大変なのは横浜市だろうから、そこに支援があればもちろんよいけれど、そのことは直接には横浜市内にしか便益をもたらさないのだということもまたよく承知して、基本的には横浜市によって主導されたいことがらなのだと理解しましょう。
この文脈では、国道にあるバス停については国も道路管理者という立場で当事者になるけれど、このときほかのいかなる道路管理者とも同等で、国道だけ何か違うということがあってもいけません。地元にしか便益のないバス停に関して国の支出があるというのが国民に説明できないとあらば、バス停の部分だけ県道に移管する(県の支出で改修するものとする)とか、いくらでも方法はあるでしょう。あまつさえ、バスの停車帯の部分だけ『重複指定!』で、国道の車線が減らないままバス停は県道にもなる(※「も」に傍点)みたいな“とんち”を考えましょうよといいました。そうしようといいました。…いってないけど!(※表現は演出です。)
・横浜市「丘の上の五叉路」(2019年1月21日)
https://www.city.yokohama.lg.jp/nishi/shokai/kanko/spot/sozoroaruki/sozoro41.html
> なぜこんなに道が集中したのかといえば、このあたりはヨコハマの寺町といわれるほど、お寺が密集している。
・[3951]
> 山1つずつ別のお寺さんだからという理屈を示さずにどうしますか。
https://img.dailyportalz.jp/4115/9053/8211/2005__001_05.jpg
「バスレーン1つだけから成る県道」みたいなマニアックな新定義が出てこないものかと。簡単に進まない背景にあるのは、そういう管轄の違いなのです。むやみに件数ばかりアピールするのでなく、いかに簡単に進むように制度を変えてみせましょうかという、なんとかハックとかなんとかソンみたいなことをこそ競ってほしい。法令は結構(かなり)“とんち”なのです。いかに柔軟に切り抜けるかが大切です。ふざけているとは思わないでください。(※恐縮です。)
・リクルートライフスタイル「鉄道メシ」(2017年8月8日)
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/ekiben/17-00234
> ジェラート界のSM分離や!
> 実現しました「SM分離盛り」!(私が勝手に命名)
本来は通過交通をさばくべき大きな道路にまで路線バス(*)が走らざるを得ない、道路網と路線網双方の間に合わせの結果が『危険なバス停』であります。道路の階層構造が破綻しているのです。大小ごちゃ混ぜで、どれ1つとして本来の機能は発揮できない横浜市内の道路事情を説明せずに『危険なバス停』だけを取り上げるのはいけません。
*幹線的なバス路線が少ないバス停で遠くまで急行するのでなく、まことに多数のバス停に停まり停まり走る、の意。また、『危険なバス停』が多いという前に、バス停が多過ぎるのではないか(≒横須賀線には駅が少ない)、の意。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/M/Meshi2_Writer/20170731/20170731232125.jpg
> 「肥田牧場 アイス工房メーリア」最寄りの東戸塚駅も、この「SM分離」によって昭和55年(1985)開業。
▼「JR初音ケ丘(じぇいあーるはつねがおか)」「JR狩場初音ケ丘(じぇいあーるかりばはつねがおか)」「JR横浜ヒルサイド(じぇいあーるよこはまひるさいど)」並びに『戸塚秋葉町』『秋葉柏尾』『戸塚中川』『戸塚王子』『柏陽台』『南名瀬』については[3622]を参照。横浜市内の横須賀線の沿線にありながら駅がない地域がたくさんあります。(※「横浜市内の」に傍点。駅ができたら運賃が非常に安いと期待される「横浜市内」の、の意。)
・(一社)交通工学研究会「機能階層型道路ネットワーク計画のためのガイドライン(案)」(2018年9月)
http://www.jste.or.jp/Activity/h27-29.pdf
『危険なバス停』の解消が「移設」によらないと達成できない場合、バス停の位置が変わるということになります。バス停の位置が変わるということについて住民が同意しないといけない、あるいは移設すべきという住民の意見が提出されてからでなければ行政は動けないといった諸々の形式的なことが、この場合(危険の解消)に期待される迅速さに対してあまりにも足かせになっていないかと疑いたいところです。危険の解消という公共の利益と、個々の住民の自宅から最寄りのバス停までの距離がわずか数百メートル程度の範囲で多少変わる(遠くなって不便という方向だけでなく、自宅の目の前がバス停になったらごみのポイ捨てなど増えていやだというのもある)という、まことに異質なことを同じ土俵に載せないといけないのはおかしい、制度の不備ではないかと考えてみるのはいかがでしょうか。
行政としての横浜市は、住民の代わりとして移設を推進することができる立場ではありません。しかし首長は住民の代表です。個々の住民の同意や提案を待たずに、市長がバス停の移設を推進するということは、できるのでございます。市長と市役所が一体になりすぎてはいけません。そこには大きな役割の違いがあるのです。市長は市役所の報道官ではないのです。
「Aランク」などの呼びかたはどのレヴェルで公式なのでしょうか。
・(2020年7月31日)
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000223568.pdf
> バス停留所安全性確保対策における安全上の優先度の判定方法について
> 令和元年12月13日付国自旅第210号「路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業の停留所の安全性確保対策について」の「バス停留所安全性確保対策実施要領」において別途通知することとしていた安全上の優先度のランク分け(判定)の手法等
「Aランク」と書いてある通達でした。
・読売新聞(3月19日)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210319-OYT1T50272/
> 調査では、全国約40万のバス停について、危険度が高い順に(A)横断歩道にバスの車体がかかるか、過去3年で停車中のバスに起因する人身事故が発生(B)横断歩道の前後5メートルの範囲か、交差点に車体がかかる(C)交差点の前後5メートルの範囲に車体がかかる――の三つに分類。
・読売新聞(3月19日)
https://www.yomiuri.co.jp/topics/20201029-OYT8T50098/
> 読売新聞では、各地の運輸支局などの発表に基づき、調査で判明した危険なバス停のうち、Aランクのものを地図上に、A〜Cまでを一覧で、各都道府県ごとに掲載した。
数字を表にしていただきたい。所在地の市町村と道路管理者の別がわかるように集計していただきたい。都道府県ごとに合計の数字を見てもピンと来ませんので市町村を見ていきます。なんとなく知っている千葉県と神奈川県だけを見ることをお許しいただきたく、その上で、千葉県を見ると国道が多いのかなと思ったほか、千葉県より神奈川県は確かに多かったが横浜市ばかりというわけではありませんでした。
https://news-pctr.c.yimg.jp/uUzvQ3lML_bkIqyakc1vFhcD1LjPo8yt_iUb5dR3d8r5m8rSD2r1Nf-NxZJIuHs6pZnmbd48LDyYRgWhgQEbbZKhKSphSplqMETus5xZQeOiqPAjH2z_lyjimg5bi3nM9Mi38DSUdqf03qPeQ2GqNWdr3CoCmZT_3K2TBoL8KBg=
※画像はイメージです。
千葉市と横浜市を比べると横浜市は数が多いけれど、そういう街なのでとしかいいようがありません。(※恐縮です。)道路管理者の別で集計したら見えかたが変わるかもしれません。「中央交通」って何かなと思えば「かなちゅう」で、「横浜市」と書いてあるのが「横浜市営バス」。バス停の位置としては横浜市内は区名のみで示される一方、千葉市は区が区別されず千葉市とだけ示されていますが、これは陸運支局がそう発表したということなんですか。発表の通りにしか書かないんですか。新聞の理屈で略されちゃって、ウェブで見る時にはわかりにくいし検索にもヒットしにくくなるのが難点です。新聞ではないのですから「横浜市中区」とぜんぶ書き、相模原市も千葉市も同様に区まで表示しましょうよ。そうしようといいました。(※見解です。)
※紙面の製作システムからテキストが流してよこされるウェブのCMSでできる範囲でしかやっていない。データを見やすく表示できるCMSを別建てで建てましょうよ、の意。
愛知県を見ますと、あま市が突出してということはなく、まず名古屋市が多くて豊田市が多いということでした。あま市ほどの道路網になりますとかえってバスはさほど問題でなく、一般の車両の事故のほうが深刻であるということでした。(※恐縮です。)そして、都道府県ごと(取りまとめを発表した運輸支局ごと=つまり都道府県ごと)に日付が異なるので1枚の表にはしないという判断なのかなとも思いました。しかし、『危険なバス停』というタグを与えてまでシリーズ化するなら1枚の表にしてほしいところです。
| A | B | C | 計 | | | | | | 北海道 | 1 | 35 | 36 | 72 | 青森 | 28 | 169 | 94 | 291 | 岩手 | 14 | 41 | 2 | 57 | 宮城 | 11 | 57 | 54 | 122 | 秋田 | 61 | 170 | 85 | 316 | 山形 | 2 | 14 | 8 | 24 | 福島 | 15 | 71 | 25 | 111 | 茨城 | 60 | 155 | 73 | 288 | 栃木 | 20 | 34 | 8 | 62 | 群馬 | 7 | 0 | 0 | 7 | 埼玉 | 45 | 366 | 243 | 654 |
---|
千葉 | 90 | 256 | 79 | 425 |
---|
東京 | 20 | 110 | 94 | 224 | 神奈川 | 27 | 370 | 335 | 732 |
---|
山梨 | 6 | 64 | 54 | 124 | 長野 | 45 | 142 | 56 | 243 | 新潟 | 61 | 95 | 29 | 185 | 富山 | 5 | 70 | 32 | 107 | 石川 | 19 | 31 | 18 | 68 | 福井 | 31 | 101 | 59 | 191 | 岐阜 | 53 | 263 | 68 | 384 | 静岡 | 178 | 496 | 209 | 883 |
---|
愛知 | 9 | 272 | 236 | 517 |
---|
三重 | 36 | 29 | 23 | 88 | 滋賀 | 151 | 182 | 34 | 367 |
---|
京都 | 51 | 257 | 164 | 472 | 大阪 | 19 | 268 | 161 | 448 | 兵庫 | 59 | 163 | 98 | 320 | 奈良 | 27 | 26 | 10 | 63 | 和歌山 | 55 | 179 | 57 | 291 | 鳥取 | 68 | 48 | 8 | 124 | 島根 | 0 | 12 | 7 | 19 | 岡山 | 0 | 20 | 10 | 30 | 広島 | 81 | 156 | 40 | 277 | 山口 | 5 | 30 | 8 | 43 | 徳島 | 30 | 118 | 55 | 203 | 香川 | 0 | 1 | 0 | 1 | 愛媛 | 32 | 17 | 0 | 49 | 高知 | 15 | 37 | 4 | 56 | 福岡 | 27 | 221 | 105 | 353 | 佐賀 | 16 | 104 | 47 | 167 | 長崎 | 36 | 63 | 21 | 120 | 熊本 | 28 | 140 | 48 | 216 | 大分 | 22 | 65 | 50 | 137 | 宮崎 | 0 | 16 | 12 | 28 | 鹿児島 | 7 | 29 | 12 | 48 | 沖縄 | 15 | 59 | 37 | 111 |
3月19日の時点で、そのときまでに公表されていた数字ということであります。このように1枚の表にして見ることには、どんな意味が生じるでしょうか。対策には費用がかかる、箇所ごとに平均的な額がかかると仮定して、その配分やいかに、という文脈であります。この意味では、表を横に見て率を見るようなことには意味がなく、表を縦に見て、「ランク」ごとの実数の多いところ(専任の担当者などをあたらせたときに迅速化が期待できる余地の大きいところ)はどこかなという見かたをすることに意味が出てくるのであります。縦に見て多いほうから3つまでを太字で示しました。
※横に見て率を考える時には、バス停ぜんぶの数も調べないとですね。静岡県は、そもそもバス停の数が極端に多いということはありませんか。バス停が多ければ多いほど、ぞんざいなつくりの箇所も多いはずだ。本当でしょうか。
・国土数値情報「バス停留所データ」
https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/jpgis/datalist/KsjTmplt-P11.html
> 全国のバス停留所の位置(点)、名称、区分(民間路線バス、公営路線バス、コミュニティバス、デマンドバス)、事業者名、バス系統について整備したものである。
ほかのデータとくっつけないと道路管理者はわからない。
バス停の名称を見て直感されることは、設置の年代が古そう、あるいは交差点など道路が古そうということです。実際に年代まで調べてデータベース化できるといいですね。
新聞として報じる際には人口密度も加味していただきたい。都市部(県庁所在地と隣接市町村)に限って数字をまとめれば、人口の異なる県を比べることも可能になるでしょうか。本当でしょうか。東京都を見ると大島町のバス停がたくさん出てくるので戸惑いがあります。陸運支局にまとめさせた「ランク」は、人口密度は考えず道路構造だけを見たものになっています。人口密度を考えるのは陸運支局の管轄ではないということです。
・「Aランク」に限っては事故の発生を加味しているので、間接的には人口密度や交通量を考慮した判定になっています
・「Cランク」は住民の不安や関心を反映して件数が増えることになる(住民から指摘があれば追加的に計上される)ので、「Cランク」のバス停が多いということは心情として重大ということ
それぞれに別々の読み方が要求される数字だと思いました。このときちょうど、『市川市しんま』なるものをお探しの検索でこのフォーラムに来られた方がおいででした。ええ。『市川市しんま』。「真間」のことだとわかるのに5秒くらいかかりましたと申し添えます。メンマはアルデンテでお願いします。(※本文とは無関係です。)▼「激特事業箇所」については[3779]、それに▼「武蔵野線で吉祥寺に行く方法」と「京葉線で千葉大学に行く方法」については[4325]、▼「湾岸幕張PAに徒歩で行く方法」については[3160]を参照。
・読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201031-OYT1I50006-1.jpg
「危険度」に対数的な差があるかのような色づかいの表ですが、本当でしょうか。そもそも交差点や横断歩道という自動車と歩行者の接点に危険があることは承知している、運転者も歩行者もじゅうぶん注意して事故を防いでいるということが前提です。その中では、「Aランク」の箇所を1つでも減らせば「Bランク」10箇所とか「Cランク」100箇所を減らしたのにも匹敵する『効果』(事故防止の)が出るかのように思わせることは適当ではないでしょう。
図で例示されているのは「交差点ではない箇所」で「信号機のない横断歩道」のようですが、この状況で事故が起きたときの過失の割合がよくわからないところ。「危険度」を下げたいということもさることながら、バス事業者や陸運支局としては「バスは関係なかった」といえるように(両手をあげて「ノータッチ」を審判にアピールするがごとく)、バスが関係しないように避けようということであるといえます。もちろん、そのようにすることで「危険度」も下がれば“御の字”でございます。安全のためにできることを何でもしようという正義感のようなものではなく、個々の利害関係者がじぶんの利益になるよう動くことが安全につながるように、というのが制度設計というものです。
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