・表 主な在来線トンネルの供用開始年と保安装置(ウィキペディアより抜粋)
(約6000字)
補足です。そして、理解が正しくなかったことを、いま正確に理解しなおします。
・[3107]
> 「地下鉄内」は「地下線内」が正しく、開業当時の総武・東京トンネル(1972年7月15日=後述)や埼京線の大宮駅(1985年9月30日)などが該当します。あー、だから埼京線ってATCだったんですね、と、書いてみると気がつきます。埼京線より後の京葉線(1988年12月1日)では貨物列車がある(1975年に貨物線として部分開業)のでATCにできず(※※)、その結果、総武・東京トンネルも(更新にあたって選択の余地なく)ATS-Pでよしとなったわけです。「合理的な基準」って、すごいですね。
うーん、と、後から不安になりました。見通しが不良だという意味では、単に駅部だけが地下構造であったとしても、急こう配や急曲線があることをもって「地下線」に相当するんだ、従って車内信号式の保安装置の設置を求めることが妥当なんだ、ともいえましょう。他方で、本当に大宮駅の埼京線ホームの土木構造のみを理由に、ATSでなくATCになるということがあり得るのでしょうか。
トンネルについても見ながら、探ってまいります。
・[3114]
> > 「列車はこの先、羽田トンネルに入ってまいりますぅ。」
> > 「この羽田トンネル××は、多摩川・羽田空港・昭和島・××の下を通る、総延長約×キロのトンネルで、東京大田区にある大田市場の近くに××(※地上に出る)していますぅ。昭和4×年×月××(に着工)、×年の歳月をかけて昭和4×年に××××したぁ。×××は××に××××××、××××××××××、××××××××した。」
> > 「羽田トンネルは平成23年12月に国から指定を受けた京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の川崎殿町区域を通っています。この特区では、医薬品、医療機器、××××、および関連産業や中小企業等への波及効果を××、××経済成長とライフイノベーションの実現を図る取り組みが行われています。また、このトンネルは、東京モノレールと京浜急行空港線の2路線が乗り入れる天空橋駅の××を通っております。」
※余談ですが(※)、「超ウルトラスーパークリック!」([3101])っぽい名称の特区ですねぇ。「浜ノベ特区」くらい短くできないんでしょうか。逆に、もっと長くするには「先端」「オンリーワン」「リーディング」とか、「および中小企業振興」とか、もう、その、そう、ゾロゾロと付け加えればいいんですね、わかりますわかります。
・ウィキペディア「沈埋トンネル」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%88%E5%9F%8B%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB
> 総武快速線隅田川トンネル - 1972年
> 東海道貨物線羽田トンネル - 1973年
> 京葉線東京港トンネル - 1990年
おお、いま絶妙に、地下とも海底とも何ともいいがたい(ただしそれなりに距離が長い)トンネルにおいて、ATCを必須としなければならない制約([3107])が、総武快速線では適用、「羽田トンネル」では回避されたと読み解かれます。たいへん大げさには、ちょっと感激です…ちょっとだけ。
しかし、そうすると、これより後の1985年に開業した埼京線で、ATCが採用されたことに、大宮駅が地下構造であることは関係ないとみられることになります。本当のところは、どうなんでしょうか。
■表 主な在来線トンネルの供用開始年と保安装置(ウィキペディアより抜粋)名称 | 供用開始年 | 保安装置 | 山陽本線 関門トンネル | 1942年、1944年 | | 総武快速線 隅田川トンネルほか | 1972年 | ATC→ATS | 東海道貨物線 羽田トンネル | 1973年 | ATS | 武蔵野線 生田トンネル | 1973年 | ATS | 埼京線 赤羽台トンネル(東北新幹線と一体) | 1985年 | ATC | 埼京線 大宮トンネル(大宮駅) | 1985年 | ATC | 青函トンネル | 1988年 | ATC | 京葉線 東京港トンネル | 1990年 | ATS | ほくほく線 赤倉トンネルほか | 1997年 | ATS | 仙石線 仙台トンネル(あおば通−仙台間) | 2000年 | ATS→ATACS |
・ウィキペディア「関門トンネル(山陽本線)」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E9%96%80%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB_%28%E5%B1%B1%E9%99%BD%E6%9C%AC%E7%B7%9A%29
・(参考)埼京線の大宮トンネル
http://www.tawatawa.com/shindensha/1jh/page022.html
川越線はATSで、大宮駅から出発する時点で「ATC開放」です。これだけで、大宮駅が地下だからATC云々、は成り立たない話だとわかってホッとします。
・(たぶん解決編)「なぜ埼京線の一部にATC区間が存在するのです…」(2010年5月22日)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1341193383
> もともと、赤羽線として運転していたときには池袋の山手線の退避線の線路を使用して、山手線と同じ電車区で同じ103系を使用していたため。ATCを使用していました。埼京線として赤羽以北に伸ばす際もATCが使われています。
> 自動ATC切り替え機能のある横須賀線のE217系が新宿湘南ラインに使われていた時代、勝手にATCに切り替わり、おまけに逆向きの区間だったために新宿より先にいけない問題がありました。
> 開通当時の保安装置にATS-Pがありませんでした。通勤路線にはATS−B形を使用していたのですが、それを使用すると並走している新幹線のATCに干渉する恐れがあり、ATCを採用しました。
え゛ー、みなさん、断片的には正しく、しかし前後の文章ではおかしな「予想」をされていて(いえ、私も他人のことはいえません)、単独で「ベスト」な回答をされた方はいなかったようですね。
「ATS-B」とATCの干渉…とはいえ、東海道新幹線も見ますと、東京−品川間で東海道線と、西大井−新川崎間で横須賀線と並走しています。あのくらい離れている、あるいは新幹線側が高架で一段高くなっている(高架橋のコンクリートによって電波が遮られる)、または周囲に遮蔽物がない(≒反射波が無視できる)明かり区間では問題なく、赤羽台トンネル(複々線の開削トンネル=断面形状が長方形=電波的にはたいへんいけない形状のようにも思えます)だけで問題になるのかなぁ、などと想像されます。(あくまで想像です。)
・ウィキペディア「自動列車停止装置」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%8B%95%E5%88%97%E8%BB%8A%E5%81%9C%E6%AD%A2%E8%A3%85%E7%BD%AE
> B形は主に国電区間で用いられた方式で、商用周波数を利用した送電電流を2本の線路の間に流して軌道電流として用いる。B形は制御点に列車が到達したことを接近リレーで検知して、通常は流れ続けている軌道電流を一定時秒停電することにより、「停止信号接近」の情報が地上から車上へ伝達される。
> 2009年(平成21年)現在では、B形の区間は全てATCまたはP形に換装され、S形の区間はP形を追設、あるいは即時停止地上子 (123 kHz) や時素式速度照査地上子対 (108.5 kHz) による非常制動を付加したSx形などに改善された。(旧来のS形をそのまま含んでSx形を構成している)
> 余談であるが、埼京線の赤羽 - 大宮間にATCが存在する理由として、建設当時はATS-Bが技術的に新しいものであり、かつ並行する東北新幹線の交流電気の影響を受け誤作動するおそれがあったためと言われている。
出ました! ウィキペディアにあって「余談」ですね、わかります!
・ウィキペディア「Wikipedia:井戸端/subj/余談について」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E4%BA%95%E6%88%B8%E7%AB%AF/subj/%E4%BD%99%E8%AB%87%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
> 機械的に「余談」を削除するのは、大変に困ります。北アメリカ航空宇宙防衛司令部では、重要な部分も削られてしまいました。まずは、文の編集で対応すべきです。--Los688 2006年7月23日 (日) 14:15 (UTC)
> 「余談」という言葉のみをとらえて内容を吟味もせず削除してしまうのはどうかと思います。「俺は内容についてはわからないけど、これはいらないと思う」というのは矛盾しています。--Etoa 2006年7月23日 (日) 14:32 (UTC)
・(個人のブログ)「『余談』の集積がウィキペディアを豊かにする」(2008年12月30日)
http://tht.sblo.jp/article/24954983.html
本件にあって、「余談」がたいへん役に立ったことを申し添えます。
ここまでだけでは『鉄識』の域を出ないと心配されますので、しかるべき資料を参照します。
・「信号・列車制御技術の変遷と動向」RRR Vol.72 No.2(2015年2月)
http://bunken.rtri.or.jp/PDF/cdroms1/0004/2015/0004006220.pdf
> 東海道新幹線では,60Hzの電気が供給されていますが,この場合,レールには60Hzの電流だけでなく,180,300,・・・という60Hzの奇数倍の高調波電流が流れます。新幹線のATC信号には,720〜1,020HzのAF信号を使いましたが,この帯域での高調波電流は(略)
> 電源周波数は電力会社が管理していますが,この周波数が少しずれても高調波の周波数は大きくずれてしまうのです。(略)そこで電源高調波そのものを信号の仕組みに取り入れることにしました。(略)電源同期式と呼びます(図2)。
なるほど、と、「B形」の原理を知ると、仮に赤羽台トンネルで、埼京線のレールに50Hz(東京なので、そういうことですよねぇ)の交流電流、東北新幹線のレールにはATCの信号電流(周波数は不明)、東北新幹線の架線やき電線が周波数は50Hzで同じでも変電所が異なるので位相が異なるという、きわめて電磁気的に混乱しそうな状況であったことがわかります。また、誤動作が心配されたのは埼京線の側、ATSの側であって、(新幹線のために開発されたともいえる)ATCはさすがにびくともしない設計となっていたことがわかります。
※見かたを変えることの重要さが「RRR」の記事からも伝わってきます。ひそみにならってみますと、ATSの「B形」は、ATCと同じ発想(軌道回路に信号電流を流し、地上子は用いない)でありながら、50Hzの電流という1種類だけの信号電流(1種類なので信号電流とは呼ばれない?)がオンオフされるだけという、スイッチングハブとダムハブのようなソレ、と早合点できそうです。見かたによっては、やたら大量の地上子を必要とするATS(特に後年のATS-P)のほうが、ムダが多く感じられます。(あくまで主観は個人です。)
つまり、ある線区でATCが採用されるに至る流れには、▼ATCの設置を義務付けられる場合と、▼ATSが設置できないためATCを設置する場合、の2通りがあることがわかります。
埼京線は、単独ではATSでよい(ATCにする義務はない)と判断される線区だった(当時も現在も)とみられますが、以下のような依存関係の流れが見えてきます。
・(1)東北新幹線が必ずATCでなくてはならない
・(2)赤羽台トンネルでの干渉を防ぐため埼京線もATCにする
・(3)赤羽線の運行に山手線の車両を充当する
この順に計画が決まっていたので(3)となった、と読み解くのが妥当で、(3)だったから埼京線もATCになった、などと読み解くのは、順序を無視した突飛な『新説』(いわゆる「画期的な新説」[3076])だとして、実務者からは一笑に付されると心配されます(実務者が高みで笑っていたかもしれない[3107]も参照)。
また、結論としては、赤羽台トンネルという土木の都合(といいますか用地の都合といいますか)が根本的な要因となって(※)、埼京線がATCになったと読み取ることができます。
※直接の理由は「干渉」ですが、なぜ干渉するのかといえば、「ぜんぶ赤羽台トンネルのせいだ」ということです。この話を、単に保安装置の新旧世代だけ云々していては、たいへん理解が浅いように感じられましょう。
E217系の『新宿問題』については理解が及びませんが、253系の大宮発着列車は…と考えると、もう一声ほしく思います。ATCの車上装置に当該区間のデータを載せてあるかないか(ATSは地上装置が発する「叫び」に愚直に…いえ、パッシブに従うものですから車上装置に区間ごとのデータなど必要なく=自然振り子のようなもの⇔ATCは強制振り子のようなもの)、という、単にコスト(新たな運転のために追加の措置を講じる判断をするかしないか)の問題なのかなぁ、と、素朴には想像されますが、本当でしょうか。
※いま、より便利な「大増発!」によって一種「上書き」された形で「過去のもの」として忘れられる(ことが期待されているとみられる)「E217系の新宿行き」について、これからわざわざジクジクと掘り返すような資料や記事が、いまさら出てくるとも思えませんが、出てきたならそれはそれでおもしろそうですから、われこそはというかたはぜひ「チャレンジ」なさっていただきたく…。(私は取り組みません、の意。)
・YouTube E217系の新宿行き(2013年11月24日)
https://www.youtube.com/watch?v=GzQJwngh-BA
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