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駅の自動アナウンスに関する、契約と技術の話でございます。
・身近なATOS → 自動案内放送 → 検証(2003/6/15)
http://atos.neorail.jp/atos1/pa/pa_4.html
日付は古いですが、基本的にはこの後、状況に大きな変化はありません。(あってほしかったです=後述。)なお、近年、放送設備(音響・拡声の設備)が更新された駅では、スピーカーが必ず番線ごとに1台ずつの設置となっているようで、上下線の自動アナウンスが同じスピーカーから出力されるという問題は解決してきています。(直近では、大井町など。めろでぃ〜ぼーどの11641。むしろ、まだ上下線が同じスピーカーのままである箇所を数えていったほうが早いくらいでしょうか?)
音声合成の仕組みについては、「初音ミク」のおかげで、もはや説明が不要になったかと思います。(あるいは、意外と仕組みまでは理解されないまま流行っているのでしょうか。)以下、このフォーラムでまだ話題になっていない話題を、一通りおさらいいたします。
・YouTube スワローあかぎ(2014/3/16)
http://www.youtube.com/watch?v=uCdGbG6xdU0
2014年3月のダイヤ改正で新設された「スワローあかぎ」の「スワロー」の部分だけ、従来とは異なる音声合成ライブラリで作成されているようです。非常に低品質な合成です。どうしてこんなことをしなければならないのか考えてみますと、そういうことなのかな、という、後述の事情が浮かび上がってきます(後述)。
・YouTube 上総湊の合成音声によるアナウンス(2012/2/11)
http://www.youtube.com/watch?v=huEimt2fkac
業務用(お客さまに聞かせるのでなく、例えば倉庫や工場内で作業内容を音声で指示するようなシステム)としては十分な品質ですが、これを駅で使うとはどういう感覚なのか、信じられません。「スワローあかぎ」は、この合成音声と同じような声質に聴こえますが、まったく同じ音声合成ライブラリによるものかまでは、わかりません。
・YouTube 仙台での「浜吉田」行きのアナウンス(2013/3/16)
http://www.youtube.com/watch?v=C_Uiv9nt_bA
「浜吉田」の部分だけ、明らかに異なる声質での音声になっています。「スワローあかぎ」とも異なり、もとの音声とは別のナレーターによる録音、もしくはJRやメーカーの社員による内製の(外注せず、自分たちで吹き込んだ)録音とみられます。「スワローあかぎ」もそうすればよかったものですが、「自分の声を録音してもよい」といってくれる人が見つけられなかったのかもしれません。
※自分でマイクでアナウンスするのと、録音されたのを繰り返し再生されるのとでは、必要な度胸がけた違いです。手を挙げる人がいなかったからといって、責めてはいけません。餅は餅屋です。
・YouTube 仙台での「亘理」行きのアナウンス(2011/12/18)
http://www.youtube.com/watch?v=U7ELI_INvfQ
・YouTube 吉川美南(2012/3/26)
http://www.youtube.com/watch?v=3rQkhgUcevM
2011年度、東日本大震災の後、部分復旧した区間での運転に際して追加が必要となった「亘理行きがまいります」の「音片」と、武蔵野線でのATOS導入にあわせて用意された「音片」(吉川美南に関するものを含む)が、最後に作成されたものとみられます。(仙台では、音質が良いために、声質の違いが目立つのでしょう。)後述しますが、2012年度からは、これまでと同じ声質での新しい「音片」の作成がいっさいできない事情が発生していると考えられます。
一方、武蔵野線の西船橋、南越谷で9月以降、これまでの自動アナウンスに追加する形で、英語アナウンスが追加されています。
・YouTube 西船橋の英語アナウンス(2014/9/9)
http://www.youtube.com/watch?v=RplbJDBWnuk
「(…)/府中本町行きがまいります//危ないですから/黄色い線まで/お下がりください//The local train, ** arrive shortly, on track '9'. Please stand behind the yellow line.」
「(…)//次の電車を/ご利用ください//Please stand clear, /of the closing doors.」
これらの音声は、ナレーターによる文節ごとの読み上げによる録音かと思われる、自然な音声になっています。
同じ英語アナウンスは、武蔵野線での使用開始(9月1日)より先に、武蔵小杉でも使用されています。
※私も7月に実物を聞いておりますが、ATOSと連動したアナウンスだとは気付きませんでした。(東京の総武線ホームのような、ATOSによる自動アナウンスとは独立して流れる、指定席特急券が必要な旨のアナウンスと同様のものと思っていました。)
ほかに、詳細は確認していませんが馬喰町、津田沼でも、エアポート成田の案内でのみ英語アナウンスが追加されているとの投稿がツイッターほかでみられます。津田沼では3月ごろにいろいろ変更があったとのことです。
・めろでぃ〜ぼーどの11660
http://hassya.net/melobo/bbs.cgi
・YouTube 武蔵小杉の英語アナウンス(2014/6/9)
http://www.youtube.com/watch?v=86hQODChET0
武蔵小杉での成田エクスプレスの入線時に流れる英語アナウンスでは、「The 'Narita Express', ** arrive shortly, on track '4'. Please stand behind the yellow line./ご乗車には/乗車券のほかに/指定席/特急券が/必要です」という具合になっております。ほかの「音片」と同様に、英語の部分も、列車名や番線を自由に組み合わせて案内できるよう「音片」に分割されて用意されているとみられます。
ただ、区切りが不自然ですね。たぶん、区切りのせいで、だと思うのですが「**」の語が聞き取れません。その直前との間に「間(ま)」がなければ「will」だろうと思いますが、「間」のせいで「, for」かなとも思ってしまいます。「stand clear of 〜」も、区切るとおかしくなります。英語では日本語にも増して、おかしな「間」を作ってはいけないと思います。
※「The 'Narita Express', 」と、ここで「間」があると、とっさに「関係代名詞節が来るぞ〜」(「どんな成田エクスプレスなのか、詳しく説明してくれるんだな」)と身構えてしまいます。
成田エクスプレスでは「The 'Narita Express', 」という「音片」が使われているので、武蔵野線での「The local train, 」という「音片」は、日本語での「電車が」に対応しているのでしょう。ということは、「列車が」に対応する別の英語の「音片」もあるに違いありません([2436])。臨時列車など、「列車」扱いのときに英語がどうなっているか、ちょっと気になります。
とはいえ、今後、あらゆる行先や種別の案内に対応すべく、膨大な数の「音片」を順次、拡充していくのでしょう。そして「The 'Ueno-Tokyo Line' special rapid service train, bound for 'トウキョー', with a 15-car, and the superior class cars coupled, will arrive shortly, on track '1'.」などとなっていくのでしょう。英語として正しいかとは別の、いわゆる「日本式」のアナウンスの文法として、いかにもこうなりそうな気配です。これの、いまはまだ用意されていない部分をすっとばしているので、「間」が不自然に感じられるわけです。
※いうなれば、「列車が/まいります//ご注意ください」の状態ですね。エスカレーターが急に止まるような、前に放り出されるような感覚、と形容したくなります。来ると予想されるものが来ないときというのは、そういうものです。
「Please stand clear, /of the closing doors.」の部分になぜ「間」があるのかと勘繰りますと、「Please stand clear, /of the safety gates.」などとして、ホームドアに対応させた文言に替えたり、そのまま通過列車用にも使うということかと思います。これと対応する形で、日本語のほうも「ホームドアから離れてください」(つくばエクスプレス)、「閉まるドアから離れてください」という、危険回避のための動作を具体的に指示する文言に変わるとよいですね。
※「ご注意ください」では、どうしてよいのかわかりません。「離れてください」といわれれば、離れます。
※[2938]でも述べましたが、一字一句、エビデンスのある文言にしていっていただきたく、たいへん期待しています。
武蔵小杉では、発車時のアナウンスでは英語は追加されていませんが、停車中に流れるアナウンス(ATOSと連動したもの)でも、対応する英語のアナウンスが追加されています…と思いきや、「Thank you very much, /for riding JR-East. 」しか言わずに終わってしまいます。中途半端ですね。そして、これもおかしな「間」があって、英語としての流れが途切れていて不自然です。
・YouTube「Train now arriving. Please stay behind the yellow line.」
http://www.youtube.com/watch?v=EB-6kKsq38M
「Train now arriving.」(「電車がきます」くらいの簡潔さで直感的です)でいいと思うのですが、なぜわざわざ、「, ** arrive shortly」としたのでしょう? 説明っぽくなってしまい、冗長です。人命にかかわる警告や注意喚起のアナウンスでは、1語でも少なく、1音でも短く、が鉄則です。
武蔵小杉のアナウンスは「stay」ではなく「stand」に聞こえます。stayとstandを比べると、stayのほうが、より積極的に危険を回避するニュアンスがあるかと思います。
※英語だ、わあい、と、そこで思考が止まっていてはいけません。
・「わあい」
http://ejje.weblio.jp/content/%E3%82%8F%E3%81%82%E3%81%84
自動アナウンスのライセンス(正確には、音声合成ライブラリで使う音声データのライセンス)に期限があるのかどうかわからないのですが、期限があるとすれば、その期限を迎えるにあたって契約が更新されなかった、あるいは、吹き込んだナレーターさんのご退職、音声合成ライブラリで使う特許の使用契約の打ち切りなどによって、そもそも契約を更新することができなかった、そのため、新しい「音片」の作成が(契約上)できなくなった、ということが考えられます。
わかりにくいので「初音ミク」に例えますと、声優さんの所属事務所とクリプトン・フューチャー・メディア社(以下、クリプトン社)との契約が仮に終了したとして、クリプトン社が「初音ミク」の販売を終了することに相当します。既に売られた「初音ミク」をユーザが使い続けることは可能ですが、ユーザが新しく「初音ミク」を買うことはできなくなります。また、これまでに「初音ミク」を使用して作られた作品は、永久に利用が可能です。
駅の自動アナウンスで使う「音片」(いわゆる「パーツ」)を作成するための音声合成ライブラリが「初音ミク」と違うのは、契約がB2B(企業間)であることです。「初音ミク」でいえば、クリプトン社はヤマハ社と契約することによって、「ボーカロイド」という技術を使った「初音ミク」を開発・販売することができています。ここで、ヤマハ社との契約が無効になれば、クリプトン社はいっさい、新しいボーカロイド製品を作れなくなります。また、既に購入済みのユーザから回収することまではしませんが、新たなユーザへの販売は(在庫が残っていても)終了することになります。
駅の自動アナウンスでの事情と照らし合わせますと、以下のようになります。
・既に使われている駅で、ただちに使用を停止する必要はない(購入済みのユーザは「初音ミク」を使い続けられる)
・新しい駅に導入することはできない(クリプトン社は販売を続けられない)
・既に使われている駅で、新しい「音片」(いわゆる「パーツ」)を追加することができない(クリプトン社に在庫があっても販売できない)
なお、既に作成してあった「音片」を、既に使われている駅で新しく使用を開始することの可否は微妙です。今回、使用を開始する駅では新規であっても、別の駅では既に使われている「音片」であれば可能(※)、そうでなければ、契約が有効なうちに作成したことが明らかでないので不可、といったことになるかと思います。
※3月の津田沼などが該当します。クリプトン社の出荷は停止したが店頭在庫は売り切ってよい、くらいの状況でしょうか。
ナレーターさんの所属事務所のページには「JR東日本管内全駅」という記述がありましたので、「管内全駅」(1700!)に展開するまでの長い期間、もしくは無期限の契約なのかと思っていました。しかし、よく考えれば、契約が無期限なわけはありません。おそらく、開発(開発部門での音声の利用開始)から数えて16〜17年くらい(システムの使用期間を15年と想定し、その前の開発段階の1〜2年を含めておく)の契約にしていたのではないでしょうか。
※いまは、契約締結を前提とした開発や試作、企画立案の段階では契約や許諾なしでも使用できるという例外規定ができていたかと思います。
・ジェイアール東日本建築設計事務所「1700の肖像 JR東日本全駅写真集」(2009)
http://www.jred.co.jp/books.htm
http://tairyudo.com/tukan6bo/tukan6478.htm
http://book.akahoshitakuya.com/b/4903793028
※15年以上経ったいまだから想像がつくことです。15年待ちましたとも。
例えば30年後も50年後も同じ声が使われ、また、適宜、30年前や50年前とまったく変わらない声質で新しい「パーツ」が作られ続けるのかと思って、ゾッとしておりました。これは、声の肖像権といいますか、著作隣接権の一種といいますか、具体的にどういう法的な位置付けになるのかについては不勉強で恐縮ですが、そういうもの自体、契約を結んだ当初(1995年ごろ?)には確立したものがなかったと思います。それでも、良心的でまともな契約内容になっていたのだとすれば、さすが大手メーカー(の法務部門)だなぁ、と感心します。
※逆に「初音ミク」の契約はどうなっているのかと心配にもなりますが、高度な演技といいますか、B2Bなナレーションとは異なって作品性のある音声データになっていますので、駅の自動アナウンスと同列には議論できない話ですね。作品は、長く、無制限に楽しめてこそ、作品といえます。アーティストとレコード会社との契約が終わった途端に、販売済みの昔のレコードやCDまで回収されるようなことがあっては、おちおち楽しめません。これに対し、駅の自動アナウンスは楽しむためのものではなく(楽しんでもよいですが、それは楽しむ側の勝手です)、適切な期間、使われた後は、スパッと使用を終えて、いさぎよく「退役」していく類の、あくまで実用に供するものです。
契約が終了したとすると、これからの新規の駅装置の導入に際しては、新しい音声合成ライブラリ、もしくは、通常の録音音声の使用契約が新たに15年くらい、結ばれることになろうかと思います。
※逆に、契約が続いている間はやめるにやめられなかった、ということかもしれません。意欲的に取り組んだ(音声合成を採用した)ものの失敗だった(通常録音の品質に近づけなかった)、ということになってしまうのでしょうか。研究開発に注目する立場として、もっと音声合成の進歩がみられることを期待していただけに、かなり残念です。
ここで、興味深い動向がございます。
ATOSと同じメーカーが納入した都営地下鉄の運行管理システム([2923])では、VoIPを使用した「中央音源方式」が採用されています。
・日立評論「都営地下鉄4路線運行管理システムの一括更新と総合指令所の構築」(2014/9)
http://www.hitachihyoron.com/2014/09/pdf/09_articles07.pdf
> 案内放送には,中央音源方式を採用しており,中央の案内放送装置が各駅の案内放送を作成している。作成された音声は,VoIP(Voice over Internet Protocol)でデータ化し,運行制御LANで対象駅の案内駅装置に送られ,音声化された後に放送装置から出力する。
最初に資料を読んだときには、なんと無駄なことを(トラフィックが増えるわ、QoSが必要になるわ)、と思ったのですが、実はこれ、音源の使用契約をディスカウントしよう(値切ろう)という魂胆なのではないかと思い当りました。
VoIPにすれば「有線放送(の一種)」といいはることができ(農協みたいですけれども)、各駅ごとの装置で個々に音源を使用する契約(駅の数だけ金額が増えていく)でなく、「中央音源」の装置だけで音源を使用する契約にできるわけです。もちろん、装置単独の場合とは違って「放送」になるので金額自体は高くなる面もあると思いますが(※)、駅の数(駅装置の数)が多い場合、逆転して「中央音源方式」のほうが安上がりになるのではないかと思います。
※装置単独というのは、(通信でない)カラオケ機器や、メロディー電報のような扱いだと思います。放送や通信カラオケのほうが、契約1件の金額自体は高いはず。他方、駅のカラオケ…いえ、「駅用放送装置」を駅の数だけ作ってきたメーカーにとっては痛手となります。
・三愛電子工業「駅用放送装置 SRK-306Diの特長」
http://www.san-ai.co.jp/business_avsystem.html
http://www.san-ai.co.jp/news_pdf/srk.pdf
> クリックすると駅のアナウンスが流れます。
…とのことですので、ぜひクリックしてみてください。もう1回、流したいときは、ページごと再読込する必要があります。
※クリック数が増えても痛手には変わらないですが、せめてポチッと、ひとつ。
あるいは、あくまで「都営地下鉄」という組織内での使用に留まるものであり、VoIPも内線、(複数の駅にまたがるとしても、ある1つの巨大な仮想の建屋における)構内放送設備といいはることができれば「有線放送」(※)でもなく、駅の数だけスピーカーがぶらさがった(装置とスピーカーの間がVoIPになっただけの)1つの装置で、本当に装置1台分ということにできるのかもしれません。
※コンビニの店内放送などは、どうなっていたでしょうか。また、音楽などの著作物と、構内アナウンスの音声とでは、使用料を払う相手も、使用料の性格も異なります。ここでは深く掘り下げませんが、きちんと調べるとおもしろそうです。
・ローソン「CSほっとステーション」
http://www.lawson.co.jp/search_music/index.php
・廣告社「大手コンビニ店頭で、広告してみませんか。「ちょっと買ってみよう」を促すプランをご提案します。」
https://www.kokoku-direct.jp/sp_media/convenience/
> 店内放送
> 14万円〜/週/全国のローソン約10,000店
> ※20秒CM×1日4回
※意外とリーズナブル…いえ、制作費用が含まれていないとみえ、お高いかも。
・ローソン「エンタメ・キャンペーン」
http://lwp.jp/mm8/campaign/static/mm8/shop/
※告知されている放送時間が分刻み。鉄道並みですね。
※逆に、都営地下鉄のシステムでVoIP越しにCMを流すことは、いくら都知事が言い出したとしても(いまの都知事は言わないと思いますが)、いろいろな都合で「できない」ということになるのではないでしょうか。
それとともに、これまでネックであった音源の更新(新しい「パーツ」の追加)も、中央だけで済みます。これは、単に手間が減って楽だという次元の話でなく、変更に伴うテストの費用を大幅に削ることができ、作業ミスも減らすことができるという意味で、大きなインパクトがあることです。
・YouTube 都営浅草線の新しい自動アナウンス
http://www.youtube.com/watch?v=JlAiGHDN6ms
・YouTube 都営大江戸線の新しい自動アナウンス(2014/2/1)
http://www.youtube.com/watch?v=z3pyQdJfAQs
特に合成っぽさは感じられず、ナレーターによる通常の録音かと思います。
そもそも、ATOSにおいて合成音声が採用されたのは、(従来のように連動駅だけで詳細な自動アナウンスを行なうのではなく)非連動駅をすべて含めた駅の数(最大で1700!)に比例した金額となる前提で、初期のコストが高いことは覚悟のうえ、「音片」の作成や追加のコストを実質ゼロにすることで、長期的にみたときのコストを抑えよう(契約期間で割り算すれば高くない)という狙いだったはずです。つまり、音声合成のもととなる音声(簡単にいえば「50音」)だけを録音するという最低限の費用に、「管内全駅」(1700!)をかけた金額で、16〜17年の契約を結んだとみられます。(あくまでイメージです。契約の詳細など、部外者は知るよしもありません。)
それが、VoIPという驚きの白さ、いえ、いろいろと真っ白になるような方法でコスト圧縮がはかれるとなると、音源そのものには従来と同等にコストをかけることができる、すなわち、合成音声の品質向上を断念して、通常の録音音声に回帰するということも選択肢になってくるのではないかとみることができるわけです。つまり、いま、同じメーカーに駅自動アナウンスの仕様策定を頼めば、都営地下鉄と同様の仕様が提案されてくるだろう、ということです。(技術的に)つまらないような、(趣味的に)楽しみなような、複雑な状況ですね。
なお、VoIPを使う方式では、指令から全駅のホームへ直接、一斉アナウンスが行なえるという利点もあります。とはいえ、一斉アナウンスが役に立つ場面というのは案外少なく(結局は各駅で個別のアナウンスが必要となるケースが多く、それを自動化することを先に考えたほうがよい)、台風や噴火、地震、津波、ミサイル、その他、管内の広域にわたる火急の事態ではむしろ、NHKの放送をそのまま流したほうがよほどよい、ということになってきます。(一鉄道会社の指令に、そこまでのアナウンス能力を期待するのは筋違いといえます。)また、火災や浸水などについては消防法上、各駅の非常放送装置によって避難誘導されるはずで、ここをVoIPにすることはできないはずです。
※物騒な話で恐縮ですが、東日本大震災の経験もありますし、ここ数日では蔵王山などの動きもありますので、まったくの絵空事ではなくなってきています。
・YouTube JR宝塚線 伊丹の英語アナウンス(2014/2/16)
http://www.youtube.com/watch?v=qLIpyT5SF0w
つまらなくもあり、うれしくもあり、といった状況としては、熱海駅や伊東線の各駅に英語アナウンスを追加するとなると、宝塚線と同じものになるのではないかと思われる、という状況がございます。同様に、横浜線や青梅線・五日市線でのATOS導入に際し、仮に既存の自動アナウンスの装置を更新・改修してATOSに連動させるとしたら(さほど古いものではないはずですし、現に詳細な案内ができており、機能的には不足ありません)、同様に、宝塚線と同じ状態にアップデートされるのではないかと考えることができます。
契約上、どうなるのかわかりませんが、横浜線、青梅線・五日市線、京葉線では、ATOSの開発が始まってからの新駅はいまのところ八王子みなみ野しかなく、万一、「八王子みなみ野〜」と「八王子みなみ野」という2つの「音片」がない(=八王子みなみ野だけ駅名連呼を使えず、両隣の駅で「次は〜に止まります」のアナウンスができない)ことだけ目をつむれば、これまで通りの自動アナウンスを導入できるのかもしれません。ただ、上述しましたように、新規の駅装置を構築する形で、新しく「あの音声」を使い始めることは、契約が既に無効になっているとすれば難しいことだと思われます。
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