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武蔵野線の話題ですが、数学です。
・「並列計算機によるシミュレーションと地図の塗り分け問題」(2006年6月10日)
http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/KOUKAI/text-h18/hagita.pdf
> 地図の塗り分け問題
> 与えられたすべての地図を隣り合う(線分を共有する)領域は違う色になるように塗り分けることができるためには, 何色の絵の具が必要でしょうか?
> この問題は, 領域を点, 線分を共有する2領域間を辺で結んだグラフを考えると, 地図を塗り分ける問題は, 地図から作られたグラフの点を, 辺で結ばれた2点が異なる色になるよう塗り分けることと等しくなります.
> 地図からグラフをつくる
同じ要領で路線図からグラフをつくれば(駅をノードとする路線図そのままではだめです=路線をノードとし、乗換駅での接続を辺とするグラフに書き換える必要があります)、路線カラーを最少で何色で塗り分けることができるか証明できそうです。
いま、各々に解いていただきたく、そして、解きながらでよいですから(…というセンセイ、時々いますよね、話が気になって解けないじゃないですかぁ)以下、考えてみましょう。
E233系車両の南武線への投入が完了した後、山手線のE235系の量産が開始されるまでに、約2年、360両(※)を大きく上回る数の通勤形車両の製造能力が余ると見込まれています。
・個人のサイト「E235系報道公開+量産車の投入スケジュール」(2015年3月28日)
http://tx-style.net/groups/series235/forum/topic/e235%E7%B3%BB%E5%A0%B1%E9%81%93%E5%85%AC%E9%96%8B%E9%87%8F%E7%94%A3%E8%BB%8A%E3%81%AE%E6%8A%95%E5%85%A5%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB/
> NHKでは「ことし秋ごろから山手線で新型車両の運行を1編成で始め、3年後から順次、現在の車両と置き換えていく」と、量産車の投入が2018年から行われると報じています。
> 量産先行編成は、主制御器や補助電源装置のメーカーが統一されていない状況なので、南武線向けE233系の直後に量産編成を新製することはスケジュール的にも困難な状況でした。
> 一方で「3年後」を最短で見積もったとしても南武線と山手線の間に24か月の空白ができますので、新津だけでも新潟地区向けE129系以外に450両程度の製造能力が余ることになります。
さすがですね。得体のしれない情報でなく、きちんとした情報のみから、正しく推測(期待を交えず)されています。
※このサイト、このフォーラムも同様です。すべて公開の情報のみに基づいて推測いたしております。
E217系は機器が更新されたばかりですから、まずは武蔵野線の車両(※360両)がどう置き換えられるのか、注目されます。余ると見込まれる製造能力とも、ちょうど見合います。
では、なぜ、まだプレスリリースが出るに至っていないのでしょうか。これには、武蔵野線をめぐる施策が、ほかの多くの施策と密接に関連している、いわゆる「バタフライ」な課題になっているためとみられます。
武蔵野線では、八王子・府中本町−大宮間の「むさしの号」、海浜幕張−大宮間の「しもうさ号」が運転されるようになったのが、最近の大きな改正です。
これまでの他線区での施策の流れも参考にしますと、こうした「1日数往復」の列車(「M電」)が、次に「データイムに毎時数本」に増発(※別の列車からの振り替えで線区としては増発なし)されるとともに列車愛称が省かれて通常の「電車」となり、さらに「運転時間帯を拡大」(同、増発なし)し、最終的には「大増発!」(純増)という段階へ至るという流れがございます。
宇都宮線・高崎線の「東京50km圏」においても、同様の流れで増発されていくのではないかなぁ、と見ているところ([2910])ですが、そもそも、「むさしの号」「しもうさ号」の運転開始以来、悩ましい問題が起きています。路線図の上で、宇都宮線・高崎線・東海道線・湘南新宿ライン、武蔵野線、中央線(快速)の運転系統が同じ色(オレンジ色もしくは「みかん色」)で描かれ、色では区別ができないということです。
手元には上野東京ラインの開業前年の路線図(東京駅で配布されていた、東京駅の構内や周辺の地図と一体になった、2つ折りが3つ折りになった大判のリーフレット)しかなく恐縮ですが(新しいのをもらおうと思いつつ、いつも忘れてくるのです=PDFを参照すれば、という話もありますが、ここはあえて、紙しか見ない人になりきってみます)、武蔵野線についてはオレンジ色の線が1本で描かれており、「むさしの号」「しもうさ号」の運転経路は示されていません。本数からして、あくまでイレギュラーな乗り入れだという扱いなのでしょう。
ここが、仮に「データイムに毎時数本」の段階へ進むとなれば、路線図にも示すことが期待されてきます。このとき、一体、何色で描けばよいのでしょうか。
さて、冒頭の問題は解けましたでしょうか。
※それはそれとしまして、以下は文章のみで述べます。すみません。このフォーラム、数式は載せられないんです。
いま、武蔵野線のラインカラーは全線でオレンジ色です。中央線と同一であるので、中央線と武蔵野線の乗換駅である西国分寺では、ラインカラーが(路線の案内としては)まったく機能していません。
・JR東日本「駅構内図(西国分寺駅)」
http://www.jreast.co.jp/estation/stations/1156.html
一般に「乗り換え=2つの階段を経て移動すれば完了される」と認識されていますので、中央線ホームから中央線ホームへ移動して「武蔵野線に乗り換え」たつもりになるというエラーが誘発されます(※)。中には、「階段をあがってすぐに次の階段がある」と聞いてきたとみられ、中央線ホームから上がってきてすぐ、同じ中央線ホームに降りる階段に進んでしまうというエラーも見かけます。
※武蔵浦和でも、同様です(実際に、埼京線ホームで「ここ、武蔵野線の乗り場ですよねぇ(ゼェゼェ=隣の埼京線ホームから階段を使って移動してきた)」と聞かれたこともあります)。
ここから、旅客案内上、武蔵野線の西国分寺あたりでの路線カラーは、少なくともオレンジ色以外の色に変更することが期待されているといえます。
ほかにどんな制約があるでしょうか。府中本町では南武線(カナリアイエロー)と、武蔵浦和では埼京線(エメラルドグリーン)と、南浦和では京浜東北線(スカイブルー)と、新松戸では常磐線(エメラルドグリーンおよびブルー)と、西船橋では総武線(カナリアイエロー)、東西線(スカイブルー)と、異なる色であることが求められます。
さらに、京葉線との直通運転において、京葉線(ワインレッドまたは過去のスカイブルー)とも異なる色であることが求められます。
すなわち、…
・オレンジ
・カナリアイエロー
・エメラルドグリーン
・スカイブルー
・ブルー
…これらの色が軒並み、使えないということになります。すると、…
・山手線と同じウグイス
・京葉線と同じワインレッド
・中電(湘南色)のグリーン(みかんの葉っぱの色? 茶畑の葉の色?)
・これまで未使用の色(ブラウン、黄土色、桃色など)
・乗り入れを示す細い白線
…などの使用を検討していくということになります。欲をいえば、私鉄や地下鉄とも異なっていることが望まれ、…
・ブルー、イエロー(西武線)
・オレンジ(東武線)
・エメラルドグリーン(埼玉高速鉄道線)
・赤、紺(つくばエクスプレス)
・スカイブルー(北総線、メトロ東西線)
…これらの色もまた、できれば避けることが望まれます。
残る色を考えますと、各線との違いがもっとも明確になるのはウグイスやグリーンだとわかります。「武蔵野台地の雑木林の若芽」などといえば、緑にすることにも理屈が立つでしょう(※)。また、横浜線も緑であること、山手線も緑であることとあわせ、「ループ=環状線や環状に近い路線」は緑、という図式を成り立たせることができます。
※逆に、現在のオレンジ色は、電車の運行開始当初の車両運用の都合という以外には、まったく理屈が立ちません。旅客案内上は、前述の西国分寺の乗換の一例だけで即、「アウト」といえる配色です。
また、武蔵野線の車両を使用して南武線や「武蔵野南線」(貨物線)、中央線(青梅線・五日市線)、高崎線、宇都宮線、常磐線、京葉線(外房線・内房線)との直通運転を行なうとしますと(配線上、可能なものをすべて挙げました)、グリーンよりもウグイスが適していることがわかります。
ここまでは、あくまで武蔵野線の全線で同じ色の路線カラーを決める、すなわち、現行の府中本町−西船橋間での通しでの運行が引き続き主体となる場合の話です。しかし、大宮に乗り入れる「むさしの号」「しもうさ号」を大宮駅(以北)で区別できるためには、少なくとも、もう1色、あるいは「ループ」(環状線)としての路線カラーとは別に2色、路線カラーを割り当てることが必要となってきます。新たな色を3色も決める、また、車両(のドアや帯)を3色それぞれ塗り分けて編成を分けるとなると、車両運用上、無理があります。埼玉高速鉄道の車両のように、自社線を示すブルーと、直通先の南北線を示すエメラルドグリーン、それに乗り入れを示す細い白線を組み合わせるように、武蔵野線でも、運転系統ごとの色を別々にしつつも、車両側では複数の色を組み合わせた配色の帯なりドアの色なりということにしていくことになろうかとみられます。
もう一つ気になるのは、中央快速線の分割編成における「基本編成」が、8両編成(うちグリーン車2両)となることです。ダイヤが大幅に刷新されるとしても、全58編成に組み込むのは多すぎるのではないか、と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。データイムには、それなりにグリーン車付きの8両編成が「余る」ともみられます。
ここで考えられるのが、▼データイムに「むさしの号」「しもうさ号」を中央快速線のグリーン車付きの8両編成で運転する可能性、▼ラッシュ時に東所沢や立川から「武蔵野南線」(貨物線)を経由して鶴見、戸塚などに、同じくグリーン車付きの8両編成で乗り入れる可能性です。
前者については、武蔵野線で増発が難しいのは、あくまでラッシュ時の話で、むしろデータイムには、ホーム延伸を必要としない範囲での他線区との直通運転の拡大やグリーン車の導入などが(沿線としても、経営上も)求められてくるとみられます。最長で、青梅発上総一ノ宮行き(武蔵野線経由)のような列車(8両編成)が設定されても驚きません。この場合、青梅線内でも外房線内でも、また国立でも、データイムのフリークエンシーを確保するための輸送力適正化(減便せず減車)の施策ともなります。特に外房線では、グリーン車付きの列車を減らさず、しかし減車はしたいという状況にあって、とても好適といえます。同じことは、データイムの内房線、常磐快速線の柏−取手間などにもいえることです。
※とはいえ、これをもって「東西軸」だといわれますと、ちょっと難がありますけれども。
後者については、鶴見では踏切の除却により貨物線ホームの設置が技術的には可能となったとみられています。上野東京ラインで、南行き列車の品川折返しを設定すると、そのままでは品川→大船間(朝ラッシュ時に、この方向で)が減便となるところを一部、補うような増発を、武蔵野南線からの乗り入れによってまかなうということも考えられなくはありません。
武蔵野線と南武線の本格的な直通運転には、南武線内での快速停車駅でのホーム延伸などが必要となり、だいぶ工期のかかる話となりましょうが、武蔵野南線ということであれば、また立川方面からの直通で途中駅は通過としますと、府中本町の南武線ホームだけを延伸すれば、すぐに運行が開始できるとみられ、意外と現実味があります。
※運行管理の上でも、貨物列車の運行経路と同一であれば、旅客列車も運行しやすいはずです。本当でしょうか。
他方、乗り入れ先の横浜や戸塚では、グリーン車の停車位置を合わせるため、新しく8両編成の停止目標を新設または移設することが必要となり、乗務員の習熟も必要で、いきなり多数の列車を設定することはできず、仮にこのような運行を行なうとしても必然的に、最初はわずか1日数往復の、ライナーやホリデー快速のような列車として開始されることになろうかとみられます。(あくまで仮の話です。)
また、府中本町では武蔵野線と他線との直通運転においてホームに停車できるよう、配線の変更を伴う駅改良が計画されているとの一部報道がだいぶ前にあった(…ように記憶していますが、いま当該の記事を見つけられず困っています。記憶違いではないと信じたいのですが、見つけられない以上は記憶違いかもしれず恐縮ですが)という状況にございます。
こうしたこといっさい「鉛筆」で、「東京メガループ」と銘打ちながら、フタを開けてみれば「ループ」ではない運行のほうが目玉であったとか、これまでの「よくするプロジェクト」(ホームの壁や柱の色を駅ごとに塗り分ける)は何だったのか、と、かすんで見えるほど鮮烈な施策がいきなりドーン! となっても驚きません。このため、武蔵野線の車両の置き換えについて、なかなか発表にならないということがあるのではないかなぁ、と、ちょっと(かなり)期待を込めて待っているところであります。
※とはいえ、最大限にうがった見かたをしますと、もうほとんどできそうな(何も支障がない)ことを、あえて「次期答申」に盛り込んだ上で、早い年次において「工期短縮に努めることにより早期実現を図った」とする(!)ことも可能といえば可能です。いえ、さすがに、そこまであざといことをするような業界ではないと信じたいところです。
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