・「メモリーカード」の登場で「デジタルアナウンスマシン」の時代へ
(約9000字)
この一連の記事では、「じゅんふどうのあっとらんだむ」で「じどうほうそう(ただしはっしゃめろでぃーをふくむ)」を技術面で立体的に読み解くことを目指します。
お好きな順番でお読みいただけるよう、1つの記事を短めに、そして細切れに掲載いたします。その分、1つの記事を読むだけではよくわからないということになるでしょう。
といって、その実、[3220]の続きです。「年表」([3208])も参照ください、といって、その実、『ハイパーな閲読っ!』(※)を***は***はしれっとした顔で要求します。
※これができるのがハイパーメディアでしょ(いまでしょ)などと『したり顔』で…(略)。なんでも『したり顔』と評する我々のほうがよっぽど『したり顔』なのかもしれませんね。
・memex量産先行機(2012年5月)
http://halfdozengallery.com/leftright/2012-05/artwork
http://farm8.staticflickr.com/7232/7258674174_bb5c6f6139_o.jpg
・memex実用機(2014年11月21日)
https://plus.google.com/photos/+TrevorFSmith/albums/6083870029114561137
https://lh3.googleusercontent.com/I1p3l-gz7lo4vLNij4EnxuAWis8dBuZb4mH1aZyFBc5tM_lvspkaQTzWtwYygRFA3BCz=w1920-h1080-no
・[3220]
> 上記ではあまりにもムチャな推定がなされた気がするので(フェルミにもほどがある!)
> しかし、ICやLSIで音声を扱うようになったのがいつごろかは、ちょっとわかりません。
うーん。やはりTOAさんに戻ってみます。
・TOA「1980年〜」
http://www.toa.co.jp/profile/history/1980.htm
http://www.toa.co.jp/assets/images/profile/history/history_1970_photo_01l.jpg
> 1970年 FS-391 ラック形非常用放送設備
> 非常用電源
http://www.toa.co.jp/assets/images/profile/history/history_1975_photo_01l.jpg
> 1975年 FS-751 壁掛型非常用放送設備
http://www.toa.co.jp/assets/images/profile/history/history_1978_photo_01l.jpg
> 1978年 FS-761 ラック形非常用放送設備
http://www.toa.co.jp/assets/images/profile/history/history_1980_photo_01l.jpg
> 1980年 EV-500 音声ファイル装置(出力4チャンネル)
http://www.toa.co.jp/assets/images/profile/history/history_1986_photo_01l.jpg
> 1986年 FS-861 ラック形非常用放送設備
・TOA「History Topics」
http://www.toa.co.jp/profile/history/topics/page_01.htm#page01_02_b
> 1970年(昭和45年)
> 「モノレールステーション」の自動放送システム
http://www.toa.co.jp/assets/images/profile/history/topics/page_01_photo_02c.jpg
> 自動案内放送システムの先駆け
> 1971年(昭和46年)に京成電鉄成田駅、翌1972年には南海電鉄和歌山市駅に「自動案内放送システム」を相次いで採用いただきました。1975年の南海電鉄最大のターミナル駅である難波駅へのシステム開発をきっかけに、音声ファイルの開発をスタート。「自動案内放送システム」は鉄道や空港などに採用され続け、交通施設市場への展開の先駆けとなりました。
・TOA「声とメロディの道標」
http://www.toa.co.jp/memory/detail/#12
> おそらく誰もが耳にしたころのあるこのフレーズ、「〜番線に電車が到着いたします」。1975年(昭和50年)「南海電鉄難波駅」に採用されたTOAの『自動案内放送システム』は、その後またたく間に全国の駅へと広がった。進化し続ける「音声ファイル」により、自動放送は駅業務をスマートに、案内をより正確に。人々の日常を楽しく快適にナビゲートしている。
※「ころのある」は原文ママですが「ことのある」もしくは「ことのある、このころの」の誤りでしょうか。
おお、(調べるまで知らなかったのですが&15年以上前に調べようとしたときには資料がほとんど見つけられなかったのですが)やはりTOAさんが「自動放送装置」(「音声ファイル装置」)の「ふろんとらんなぁ!」だったんですねぇ! さすがです。
▼こんなこともあろうかと「東成田線」([3183])を読み解いておいたのだよワトソン君。
・[3183]
> 早すぎた「東成田線」を読み解く
> 「東成田駅」は1972年竣工
> > 昭和53年5月20日に開港のはこびとなった。京成空港新線も翌5月21日にやっと開業され、長年の夢がやっと叶えられた思いである。
「成田空港駅」としては開業が遅れた(1978年)ので「成田駅」だけでの「導入事例」と記されるわけですが、その実、「東成田線」にかかるシステムの整備だと読み解かれましょう。万博のモノレール(1970年)の次が京成で「私鉄初!」「(モノレールを除く)鉄道初!」だとわかります。当然ながら、自動改札機にしても国鉄は私鉄より後であったように、「国鉄初の自動放送!(音声ファイル装置)」がいつ、どこなのかは、もっと調べないとわかりません。
・TOA「EV-500」(生産完了品)
http://www.toa-products.com/faq/siyozu/ev-500_sa1j.pdf
> 本装置は、大規模半導体記憶素子を音声記録媒体として使用した完全電子化音声応答装置です。
> AC100V 50/60Hz
> 46VA
> ROMテーブル順次読出方式
> 放送文記憶容量:131.4秒
> 6.7kg
> 放送中文番号表示部
> メインフレーム FR-500N
> メモリユニット MU-501〜504
> 制御ユニット
> 入出力ユニット
> ラックマウント金具
> プラスチック足(ラックマウント時取り外す)
おおー、プラスチック足! これ、通風を確保するために、たいへん重要なんです。ラックにマウントしない時は足が要るんですよぉ。木製のテーブルに直置きなんてしたら熱暴走します…たぶん。
・TOA「EV-10」(生産完了品)
http://www.toa-products.com/faq/siyozu/ev-10_sa1j.pdf
> 音声ファイルユニット
> 本ユニットは壁掛型防災アンプFS-831のオプション用音声ファイルユニットです。
> ・本質的に人間の声をデジタル化したものですから再生音は極めて自然性に優れています。
> 1回線
> 放送文記憶容量 24秒
> 放送文数 3文章(固定)
> 起動入力 3(スイッチ起動 2,スイッチ又はタイマー起動 1)
> 0.35kg
おおー、「本質的に」の用例が時代っぽいと感じました。そして、「マイコン!」の時代より前で、こう、ピコピコと、「プログラムできるような感じ」がまったくなく、すべてハードウェアで配線されている、起動入力の方法と放送文が1対1に対応している(?)ことがわかります。
> 確認・待機アナウンス起動スイッチ
> 訂正アナウンス起動スイッチ
> 日常点検アナウンス起動スイッチ
おおー、さすが文書主義! 文書はたいへん正直です。▼「日常点検アナウンス」と称して「閉館の時間になりました」をタイマーで流す、▼火災報知器と連動して「確認・待機アナウンス」を自動で流す、▼スイッチを押して「訂正アナウンス」を流す、と、使いかたまで想像されてきます。
※タイマーといっても、1日2回(12時間のタイマーを内蔵)か、1日1回(24時間のタイマーを内蔵:装置としては時刻なんて知らないが、操作したときに一瞬でコンデンサーを充電して、24時間かけてゆっくり放電だっ!! そして眠りに落ちたら…いえ、「L」に落ちたら起動だっ!!)という、ソレを、出荷時に基板上のアレであらかじめ設定されてから納められると読めました。本当でしょうか。そして、おお、タイマーで流れる「日常点検アナウンス」が変な時間に(日に日に前倒しで=装置にとっての1日が短くなってゆく)流れるようになってきたら『故障』([2539])ですので(装置ごと「まるっと」!)交換してください(いまなら「5年間はセンドバックで当日対応!」だとかっぽいソレの、当時のやりかたで)、といって、コンデンサーがふくらんで…などと想像されてきます。(いかにも本当っぽいですが、あくまで想像です。)
・(参考)「ふくらんで壊れる」かどうかわからない「昔のコンデンサー」いろいろ
http://blogs.yahoo.co.jp/kiyo19371122/30477267.html
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-93-22/kiyo19371122/folder/670095/67/30477267/img_1?1352349228
※吟味した部品の味もさることながら、興にまかせての…いえ、「箱」がスバラシイ! レコードを片手に…(惜)。
★「メモリーカード」の登場で「デジタルアナウンスマシン」の時代へ
1970年の「音声ファイル装置」と、後年の「デジタルアナウンスマシン」の決定的な違いはなんでしょうか。
仕様をみていきますと、おお、「メモリーカード」の抜き差しで音声を簡単に差し替えられる、また、メーカーとしても、音声を制作する部門と装置を製造する部門がエレガントに「分化」していったのだろうとうかがわれてきます。
・TOA「EV-100P」(生産完了品)
http://www.toa-products.com/faq/siyozu/ev-100p_sa1j.pdf
> デジタル アナウンスマシン
> 本機は、EV-100Rでメモリーカードに録音されたメッセージを再生する、再生専用の音声ファイル装置です。
> 8文章
> 文章起動入力×8
> ストップ入力×1
> 増設入力×1
> ビジー出力×1
> 増設出力×1
> メモリーカードバッテリー交換表示 LED×4
> 3.3kg
> ゴム脚
> ヒューズ(250V 0.8A)
あらゆる電気製品にヒューズがついていたのはいつごろまでかなぁ、といって、1990年にはもう、ヒューズはすっかり見なくなっていたかなぁ、などとシノバレます。本当でしょうか。
※1985年ごろの「マイコン!」とも「スーパーパソコン!!」ともつかないあたりでは、機種やメーカーによっては、ヒューズがついていたはずです。では、いまはどうなっているかといえば、「リセッタブルな高分子!」で自動切断と自動復帰ができるソレ(ポリスイッチ)に置き換わっているということです…たぶん。といっても、安いACアダプタなど分解すれば「昔ながらのヒューズ!」が出てくるかもしれませんよ。えぶりばーでぇレッツお野菜! 分倍河原でBBQしながら分解だっ!! …などと(略)。
・TOA「EV-300P」(生産完了品)
http://www.toa-products.com/faq/siyozu/ev-300p_sa1j.pdf
> EIA規格に適合するラックに取付けることができる1サイズのユニットで録音メディアにメモリカードを使用したメンテナンスフリーの再生専用デジタルアナウンスマシンです。
> 44.1kHzサンプリング時
> ダイレクト制御 8プログラム
> バイナリ制御 256プログラム のいずれか
> 上記に優先して緊急文章を1文章再生可能
> 起動1〜8,再生,停止1,停止2,緊急:無電圧メイク接点:50ms以上
> RS-232C端子
> 出力1・2ビジー
> 4kg
> ゴム足……4
おおー、ゴム足! (同)時代が下って、加水分解しにくいゴム足が実用化されました、と読み解かれました。生産完了とはいっても、割と新しそうです。本当でしょうか。
> 別売品
> メモリカード:EV-M1024,EV-M2048,EV-F4MA
おお、型番からは、1MB、2MB、工業グレードの4MB、と予想しました。
・TOA「EV-M1024」
http://www.toa-products.com/faq/siyozu/ev-m1024_sa1j.pdf
> 10kHz SB-ADPCM:196秒
> 10kHz LOG-PCM:98秒
> 16kHz SB-ADPCM:131秒
> 16kHz LOG-PCM:65秒
> 32kHz PCM:16秒
> 42kHz PCM:12秒
> メモリー保持用バッテリ
> 約2.2年
> 専用ソフトケース付
形状からすると、とってもPCMCIAカード!(1995年ごろ[3136]。) もはやPCMCIAカードにしか見えません。ゴシゴシ…試しに目をこすってみたところ、「目が赤く」なっただけでした。
・TOA「EV-F4MA」
http://www.toa-products.com/faq/siyozu/ev-f4ma_sa1j.pdf
> PCMCIA/JEIDA準拠タイプII
> ATAフラッシュメモリーカード
> 4MB
> 35g
PCMCIAカードでしたっ! よくあるソレに「名入れ」していただいたソレ、と見受けられます。本当でしょうか。そして、型番の「F」の意味は、「バックアップ電池不要のフラッシュメモリー!」の「F」だとわかりました。そういえば、「ぼうけんのしょ」が消えるソレは「2メガの大容量!」で「電池!」でしたよねぇ。翻って、「EV-M1024」は、(技術の水準が)ファミコンの時代のソレだろうと推定されます。
・ウィキペディア「PCカード」
https://ja.wikipedia.org/wiki/PC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89
> 1985年、日本電子工業振興協会 (JEIDA)(当時)に、ICメモリカード技術専門委員会が設置され、規格仕様の検討が開始された。当時はまだノートパソコンは存在せず、主に電子手帳向けの規格だった。
> 1989年に、米国でパソコン用メモリーカードの規格統一のための組織、PCMCIA (Personal Computer Memory Card International Association) が設立されたのを受け、1990年にJEIDAの呼びかけで共同作業が開始され、JEIDAガイドラインVer4.0を基にして、PCMCIA Standard Release 1.0が発行された。
> ICメモリカード技術専門委員会は、PCカード技術専門委員会に改組された後、JEIDAは現電子情報技術産業協会 (JEITA) に引き継がれている。
とのことで、おお、TOAさんとしては、さすが、規格策定が表だって進められる(1985年)ようになる5年前(1980年)に、ほぼ規格に準拠した装置をつくられていたとわかります。本当にさすがです。
※いえ、TOAさんよりはむしろ、東芝やNECのほうが主導的であったかなぁ、と想像されます。それでも、(TOAさんが)遅滞なく採用できているところを指して「さすが」と形容したいと思われましょう。ここに「断絶」([3036])が生まれなかったのは、スバラシイことだと感じました。
・「おきのと゛くて゛すか゛」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%88III_%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%81%B8%E2%80%A6
> ROMは前作の2倍である2メガビット(256キロバイト)ROMを使用、バッテリーバックアップのセーブファイル容量は64キロビットとなっている。
…えっ! 256KBを「2メガ!」などといっていたんですか。なるほど。
・個人の日記「任天堂各ハード別、ROMカセットの最大容量」(2009年6月24日)
http://d.hatena.ne.jp/kettle/20090624/1245783609
> たまにこういうのを一生懸命調べたくなってしまう
※よくあることですよ。ええ。よくあることです。本当ですよ?
> 1985 スーパーマリオブラザーズ…40KB(320kb)
この5年前の1980年に、最初から1MB(1024KB)の「EV-M1024」を用意して「音声ファイル装置」を一種「発ばい」なさったとしますと、なるほど、型番で「1024」と、「どうだすごいだろ大容量だろ特別に作らせた特注品だぜっ☆」と、いいたくなるのが、とってもわかるような気がしてまいります。いま端的に、「AIと呼ばれる人工知能」がクリアしたといって話題の「スーパーマリオブラザーズ」25.6本分に相当するということです。
※同時代でなく、「5年先取り!」で25.6倍ですから、たいへんすごいということですよ…たぶん。そして、メモリーカードそのものは東芝製だったのではないかなぁ、などと想像してみます。いまも、その時以来の「フラッシュメモリーの東芝!」なのです…もっとたぶん。
…いえ、「バッテリーバックアップの8KB」のほうで考えたほうが妥当でしょうか。8KBで「ぼうけんのしょ」3つ分(64Kbitを3で割って…1Kbitほど余るのはチェックサムなどで使うのでしょう、きっと)、としまして、なんと、「ぼうけんのしょ」128つ分にあたります。おお、そんなに たくさん「ぼうけんのしょ」を かかえて どこへゆく? ちょっと **まで おしていって くれないかのう。
・個人のブログ(2011年9月18日)
http://mysteryadv.blog18.fc2.com/blog-entry-75.html
http://blog-imgs-34.fc2.com/m/y/s/mysteryadv/NEC_0668.jpg
> 500本を超えました
・日本キャステム「音声コーデック試聴」
http://www.kyastem.co.jp/technical/CodecSample.html
だいたいギモンが解けた気がしてきます。
・[3203]
> ・「元祖・発車音 開発ストーリー」(2011年)
> http://idephon.com/idechan/wp-content/uploads/sites/2/2014/10/jrBooklet.pdf
> > ハードシステムにおいては、発音装置のクオリティをCDと同程度まで高めた。
TOAさん「EV-M1024」における「42kHz PCM:12秒」くらいのソレを指して「同程度」と評しているのかなぁ、と思われてきました。装置側のソレ(用意されているビットレート)は、なかなか簡単には変えられないとみられ、1989年3月に向けてすぐにできたのは、てっとり早く大容量のメモリーカードを使って、「発車音と呼ばれた発車メロディー」と「放送文」を番線ごとに1枚のメモリーカードに収めること、だったのではないかなぁ、と想像されてきます。(まったく想像です。)
・「改訂新版 PCカード/CFカードの徹底研究」CQ出版
http://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/49/49971/49971_1syo.pdf
|