フォーラム - neorail.jp R16
発行:2016/5/6
更新:2018/5/20

[3269]

【オートメーションと鉄道】

東京圏の自動アナウンス 2020


「音片」ごとのバージョン履歴を思い出してみる(回)
鉄道の自動アナウンスにおける「今後の課題」
表1 「音片」のバージョン(世代)
表2 ATOSと連動した自動放送の世代(『独自研究』!)

(約12000字)

 ATOSの旅客案内装置が本格的に駅に展開された1995年から、2020年で、25年になります。この間、「1マス5年」を5マスほど、そして、展開前の開発段階も1マスと数えれば、6マス30年ほどの工程を経てきていることになります。ATOSの旅客案内装置は、それに見合った「進化」や「洗練」を見ているでしょうか。

 ここでは、1995年から2020年までの動きをまとめながら、「今後の課題」を展望します。


●「音片」ごとのバージョン履歴を思い出してみる(回)


 なかなか思い出せるかどうか自分でも自信がないのですが、時折、思い出したようにorioriのほうなど参照しながら思い出せるよう努めてみようと思います。(恐縮です。)

■表1 「音片」のバージョン(世代)

世代分類(仮)音片の例
1接近v1・列車が/まいります//ご注意ください
(「まいります」のアクセントが不自然)
1接近v1・まもなく
(音素間のつながりが不自然で合成と思われる)
1接近v1・大月//方面行きが/まいります
(梁川駅、笹子駅など)
(女声のみ)
1接近v1・トーキョー/行きが/まいります
(「トーキョー」の長音が不自然で合成と思われる)
(女声のみ)
1番線v1・1番/線(/の)
1接近v1・危ないですから/黄色い線の内側まで/お下がりください
(「きいろいせんのぅちがわまで」と聞こえる)
1駅名v1・イナゲー/イナゲ/です
(明らかにアクセントが誤っているもの)
(女声のみ)
1次発・終着v1・本日も/ゴリヨーいただきまして/ありがとうございます
・ありがとうございましタ
・お忘れ物のないよう/ご注意ください(女声のみ)
1啓発※・当駅では/喫煙所を除きまして/シュージツ/禁煙となっております
・みなさまのごキョーリョクをお願いいたします
(全体としてきわめて速く不自然)
(「シュージツ」「キョーリョク」の長音が不自然で合成と思われる)
(女声のみ)
1・この/列車の/ドアは//
 手で開けてくださいますよう/お願いいたします
(宇都宮駅の日光線)
2番線v2・じゅう/4番線
(新宿駅の中央・総武緩行線=当時)
(「よんばんせん」の「ん」の連続が不自然で合成と思われる)
2接近v2・東京行きが/まいります
2接近v2・上野/東京/方面行きが/まいります
(山手線)
2・京浜東北/線の/快速/電車は/
 当駅には/停車いたしません
(京浜東北線の快速通過駅)
3接近v3・東京行きがまいります。
・高崎行きがまいります。
(一続きになったが不自然)
3接近v3・当駅止まりの/列車がまいります。
(「れっしゃ」の「れ」にアクセントがあって不自然)
(「明るい印象になった」といわれた=当時)
3接近v3・あぶないですから、黄色い線まで、お下がりください。
(風邪を引いたような声質で違和感)
3駅名v2・いなげー/いなげー
(アクセントが修正されたもの)
4接近v4・東京行きがまいります。(さらに自然に)
4駅名v3(男声の駅名連呼:常磐線での導入から)
4次発・終着v3・おはようございます
・ジェイアール東日本をご利用いただきまして、ありがとうございます。
(女声、男声。「ジェイアール東日本」の発音が完ぺき)
4番線v3・14番線(の)
5・グリーン車がついております。
5・次の電車を、ご利用ください。
5英語v1(簡易型?)
6(男声が交代:上野東京ラインの開業から)
6英語v2(詳細型?)


※「禁煙」以外にも「啓発」の音片があるのかないのか不明です。

・京急電鉄
 https://keikyu.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/58/~/%E9%A7%85%E3%82%84%E9%9B%BB%E8%BB%8A%E5%86%85%E3%81%A7%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%83%8A%E3%83%BC%E5%95%93%E7%99%BA

 > 電光案内装置の啓発案内・駅自動一斉放送の啓発放送・車内ポスターの掲示・駅貼り啓発ポスターの掲示・駅係員および乗務員の啓発放送・係員の口頭協力依頼などを実施しています。

 > ORACLE

※傍題ですが、ぬおー、京急のFAQのシステムに「オラクル、入ってる」と示されています。「(比ゆ的に)買ってきて取り付ける」([2976])とは、このことで、これでいいんですよぉ。子会社の(自称)SIer(に限らず、店舗でもオフィスビルでも何でも)に「みてみて! ひとりでできたよ☆(初の単独開発!)」といわせるような企業体というのは、意思決定としていかがでしょうかねぇ、の意。…げっ、げふんですっ。企業体や組織として3歳であれば3歳の、そして14歳であれば14歳の意思決定や行動しかできないということは、忘れてはイケマセン。しかし、必ず一度は3歳も14歳も通らずには「ビック!」になれないという一種『ジレンマ』もあるのが難しいところです。社会としては、個々の会社が育つのにつきあわされるというわけです。まあ、しっかり見守ろうではありませんか。先に年を取った会社の務めは、成長段階にある会社の年齢を見極めて、年齢に見合ったアドバイスをタイミングよく提供していくことだろうと思われました。…うーん。私鉄は年を取っていてJRは若いですということです。京急のオラクルを見ただけでも、「名状しがたい年の功のようなもの!」は実感されましょう…などと、あくまで傍題でした。(恐縮です。)

・横浜市交通局「啓発放送」
 http://www.city.yokohama.lg.jp/koutuu/kigyo/newstopics/2014/news/n20141210-8211-01.html

・個人のページ「大阪市営地下鉄の啓発放送」
 http://subway-osaka.sakura.ne.jp/station.html

※(ポスターもそうですが[3233])「啓発放送」って、(総量や、更新の頻度が)多すぎても少なすぎても『効果がなくなる』(減るどころじゃない! ゼロやマイナスになるんだ!)と思うんですよぉ。なるほどなるほど、それで?(もしゃもしゃ)…あざっす。「ドミナント・ネガティブ効果」([3242])も参照。

・「大月//方面行きが/まいります」ほか
 http://kifpict.jakou.com/yanagawasasago.html

・「この/列車の/ドアは//手で開けてくださいますよう/お願いいたします」
 http://nstation.blog87.fc2.com/blog-entry-236.html

 > 日光線ホームに107系が停車していたので撮影しました。ATOSが「この列車のドアは、手で開けてくださいますよう、お願い致します。」と言っていたのがちょっと笑えましたw

[1054]
 > 「のぅちがわまで」と聞こえていた「の内側まで」が「まで」と短くなったことで、言い回しそのものがすっきりしました。その上、音声自体もリニューアルされています。機械的な一本調子の抑揚が、文の流れに即した自然な抑揚に変わりました。(放送を聞いていると、本当に「危ない」と注意されているのだ、と感じます。それだけ「人間的な音声」になったともいえますね。)

・oriori「中央本線」
 http://www.oriori.org/atos/coming/01_chuo.shtml

 「トーキョー/行きが/まいります」は確認できないのですが、「穂高!/行きが/まいります」は確かにあり、おお、行き先によって一続きの音片が一種「(特別に?)起こされて」いたケースと、駅名連呼の音片と兼用であったケースと、両方あったのだろうと思い出されてきます。「トーキョー/行きと/なります」はあっても、「トーキョー/行きが/まいります」はなかったかもしれません。

・ほぼ原形っぽいソレ(「きいろいせんのぅちがわまで」)
 http://www.oriori.org/atos/coming/W_rapid_tokyo01c.mp3

・同「4番/線に」
 http://www.oriori.org/atos/coming/M_chuoSpRa_tokyo01c.mp3

・同「4番線に」
 http://www.oriori.org/atos/coming/M_chuoSpRa_tokyo02c.mp3

 男声の「4番/線に」の音片が、音声としては「4番線に」という一連の発声で録音されながら、従前の装置の都合に合わせて無理やり2つの音片に分けられでもしたかのように聴こえてまいります。


 余談ですが「ジェイアール東日本」の発音はなかなか難しく(日本語ですが)、NHK(「えねーちけー」)では「ジェーアール」と発音しているかと思います。…じぇじぇ。

・YouTube 日本マイクロソフト 清く正しい「ジェイアール東日本」の発音の例
 https://www.youtube.com/watch?v=B7gYmZlJ_z0




 > 従来の方法ですと、概ねですね、長くて3時間とか、4時間とか、かかっていた作業があるんですけども、
 > ほぼ、ま、10分…とか、そういったレベルの時間に、短縮することができました。

 1秒もかからずに「ジェイアール東日本」(「イ」の音も省略せず)と発音されています。さすがです。

※その直後の発話が詰まり詰まりであるのに対して、「ジェイアール東日本」の流暢さだけが際立ちます、の意。「かぎ括弧つきで早口で唱えられる便利でおトクな業界専用フレーズ(『ミスをすることがございます』『安全性を高める取り組み』)」([3117])も参照。文字に起こしてもよくわからないものが、音声や映像では「話速(話す速さ=の変化)」という情報も加わるので、とっても多くを物語ることがわかります。

・個人の日記「エネーチケー」(2005年5月18日)
 http://d.hatena.ne.jp/negen/20050518/1116401164

 > 一週間前の記事だけど。朝日新聞より。
 > 話し言葉、「ニホン」が「ニッポン」に圧勝 国立国語研
 > http://www.asahi.com/culture/update/0511/017.html
 > > NHKは「エヌエチケー」が70%で、「エネーチケー」(13%)、「エヌエッチケー」(5%)と続き、正しいとされる発音「エヌエイチケー」はわずか3%だった。

 > モノローグだけじゃ、(あくまでも一般の人が思ってるような)話し言葉の実態は完全には見えてこない。だから、
 > > このコーパスを検索すると、話し言葉の実態が浮かび上がる。
 > という認識は必ずしも正確とはいえないのだ。講演や学会発表で用いられる日本語の特徴として挙げるならいいかもしれないが、日本語の話し言葉全般の特徴として捉えられるとなると、ちょと違うかなって感じ。
 > まあ、「話し言葉」の定義次第なんだけど、一般の人は使われてる資料の性質・性格まで見ないから、朝日新聞の記事だけだといろいろと誤解するような気がするよ。

 いやーワタクシ、『一般の人』ですみません! 「正しいとされる発音「エヌエイチケー」」をNHKのアナウンサーが発しているとして、それを聞いて、自分の口から再び発するときにどういう発音になって出てくるかといって、その実、▼音だけ聞いたら「えねーちけー」(13%)、▼文字も見て「エヌエイチケー」(3%)だとは思っているが(自分の)口がついてこないので「エヌエチケー」になる(70%)、そして▼文字だけ見て、昔ならったローマ字の発音で「エヌエッチケー」(5%)と、こう、コーパスで見かけ上、観測された割合が、発音の理屈と、年代別の人口などから推定できる割合と整合するのかどうかとか、そちらのほうに興味が向かうというものですね、わかります!

※スナップショットとしての、ある時点での「割合」がわかることより、いかなるメカニズムでそのような実測値となるに至ったのか、そちらのほうが重要だろう、の意。(恐縮です。)もっとも、残り「9%」に、いかなるバリエーションがあったのかも、…気になります! 「ケー」を「ケイ」とした「エヌエッチケイ」「エヌエイチケイ」「エヌエチケイ」「エネーチケイ」くらいでしょうか。それ以上は想像がおよびません。小さな子どもの声で「えねえちけ・えふえむ」などと…ぎゃふん。

 似たようなことの視覚版といいましょうか、富士フイルムのロゴマーク(「Fuji」)が漢字の「四」とほとんど同じだと感じられるか、いえ、先に「Fuji」という文字を読んでしまって、ロゴマークとして1つの図形だとはとらえられなくなるか、というのも、人による違いや、このマークを初めて見た時の年齢にもよって、いろいろでしょう。

・「富士フイルムが新ロゴ 「FUJI」マーク外れる」(2006年7月12日)
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0607/12/news104.html
 http://image.itmedia.co.jp/news/articles/0607/12/sk_fuji.jpg

 > 現在のロゴは1980年から26年間にわたってほとんど同じものを使ってきた。

・「味の素」「コクヨ」
 http://www.ronworld.net/blog/archives/2013/07/28-184952.html

 このへんのソレ(赤い三角形で「ニッポン+フジヤマ!」だとか、「J」の先っぽを長〜く伸ばすとか)を、ちょっと遅れて採り入れました感が漂うような気もしてきますが気のせいです。


 本題に戻ります。

[1054] thtさん(2000年7月19日)
 > 改良がすべての部分に対して行なわれた時点で、いわゆる「ATOS放送」と「東海道型放送」を比べると、「ATOS放送」に軍配があがるのではないかと思います。既に、戸塚の放送では「暗い」「つぎはぎ」といった短所が(部分的ではあっても)解消されています。ATOS展開完了の時点では、相当「高品位な」放送になっているはずです。

 うーん。

・いまでも「まもなく」は初期のままのような気がします。
・「改良」された部分も、時期の違いで声質の違いが大きく、新しく違和感が出ている箇所もありそうです。
・結局、「高品位な」とまでは、まだ言えないような気がします。

 その結果(?)。

・ツイッター
 https://twitter.com/keisei_omiya_e/status/728037923480698880

 > ATOS女声の「7番線に」すき

 「あぶないですから、黄色い線まで、お下がりください」より後の時期の「音片」は、何がいけないのかはわかりませんが(※)、どうもパッとしません。

 仮に、仮〜には、「ADPCMとはいえPCM!」だったのが「MP3!」になったような、そういうもにゃっとした気持ち悪さがございます。ワタクシ、MP3はキライです。サンプリングが粗くてギスギスな音にはなろうとも、ADPCMのほうが好ましい音を再生できると感じます。(恐縮ですが、こう、比ゆ的に視覚的には、音声にブロックノイズが盛大に出ているような感じなんですよね。ええ。意味不明ですね、わかります! 『音声信号にブロックノイズ!』のようすを可視化したり定量的に示せないと、わかってもらえないです。)

・ウィキペディア「JPEG」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/JPEG

 > JPEGではブロック単位で変換を行うため、圧縮率を上げるとブロックの境界にブロックノイズと呼ばれるノイズが生じる。
 > また、周波数領域への変換においては、低周波成分に画像のエネルギーが集中するため、高周波成分のエネルギーは小さくなる。このため量子化を行うと高周波成分はゼロに落ち、無くなってしまう。すると画像の急峻な変化を十分に表現できないため、エッジ周辺では、ある一点に集まる蚊にたとえモスキートノイズと呼ばれるノイズが生じる。
 > 色差を間引く為、特に赤には弱く、赤の部分でノイズが発生しやすい。

・ウィキペディア「MP3」
 https://ja.wikipedia.org/wiki/MP3

 > 帯域分割フィルタとMDCT(変形離散コサイン変換)による周波数領域データへの変換
 > 聴覚心理に基づいた周波数領域での適応的ビット割り当て

 ほとんど同じ考えかたですから、MP3でも、▼分割の境界に生じるノイズ(にじみやズレ)、▼急峻な変化に追随できず生じるノイズ(もたつきやズレ)が生じているはずです。そのようすを直感的に可視化することができそうになく、JPEGになぞらえて理解(曲解)するしかなさそうです。本当でしょうか。(「素数進数(仮)」[3197]も参照。)

※傍題ですが、みなさま「自放音源」といってヨロコバレるのは、単に珍しいからというだけでなく、音質が格段によいということもあろうかと思われてきました。仮に、ATOS連動の放送の中、発車メロディーだけが「自放音源(音声でなく楽曲なのでビットレートを高くしてあるはずだ!)」から流れているとしますと、アナウンスも「自放音源」に切り替わると、アナウンスのビットレートも高いのではないか(膨大な数の音片を載せる必要のある詳細型の放送の装置ほどには無理な圧縮をかけていないのではないか)、と想像できそうです。

[3248]
 > ゆりかもめの「まもなく」の自然さに驚き、そしてATOSの音声(いわゆる先行導入の駅で女声だけだったときのもの:大宮や川崎など)は、元の話者とは似ても似つかない音声になっているのだろうと認識したのでありました=当時。

 > いま、まさに「『ATOS放送』がゆりかもめ化!(肉声で録音!)」して、このクオリティが「東日本管内全駅!(1700!)」に…と思いきや、これまた、そう、すんなりとはいかない(古い音片も残っている)のが惜しまれます。本当に惜しまれます。どこまでいっても惜しいことをなさるんですねぇ…。

 > 「発車します」の、実につややかなこと。これが人間の声ですよ。合成か肉声(の録音)か、わからないほうがおかしいとすら言いきります。

 この時のゆりかもめの放送の声質と「7番線に」(「接近放送」で番線の音片が一続きになった)の声質は、だいぶ近いと感じます。放送の全体でなく、個々の音片の単位で「好き嫌い」が生じるのがよくわかります。

 しかし、最近の「次の電車を、ご利用ください。」は、録音にあたってどのような指示がなされたのかがわからない、音声を聞いてもニュアンスのよくわからない(ナレーターも納得いかないまま原稿を読んでいるのではないかという)音声になっていると感じます。ナレーターの声質や機器の音質などがよくなる(全体的に整って、そのレベルでは不満がなくなる)と、こんどはかえって、繊細なニュアンスが1つ1つ、大きく注目されることになってくるわけです。

 発注側(の現場→遠くは、現場で育った人が後に支社で発注など左右するかもしれない、の意)が「めちゃくちゃな日本語」(「電車は続いてまいります、あわせてご利用ください」[3242]など)を使って、ソレにも気づいていないようでは、「確かな発注!」はできないだろうといって「諦かん」のようなものを…ゲフンゲフン。

・(参考)「映像品質測定装置および映像品質測定方法ならびにそのプログラム」(公開番号2007-214991)
 http://astamuse.com/ja/published/JP/No/2007214991
 http://astamuse.com/ja/drawing/JP/2007/214/991/A/000025.png

 > 図16

 これができるのは映像だから(あまり個人差がなく主観評価を行なえるから)で、同じことを音声で、といって、とってもむずかしいというのは先述(「CMOS評価」[3034]、検出の感度や個人差[3169])の通りです。

 うーん。


●鉄道の自動アナウンスにおける「今後の課題」


 以下、誰がまとめても同じ表ができあがると信じながら、仮の表をまとめてみます。

■表2 ATOSと連動した自動放送の世代(『独自研究』!)

世代(仮)主な変更点駅・線区(時期)
第1世代女声のみ・先行導入駅(大宮、宇都宮など)
・中央本線の一部の駅(梁川、笹子など)
第2世代男声が追加される・中央快速線〜総武緩行線まで?
(1995年10月〜1999年6月)
・新駅(渋谷・恵比寿・ひたち野うしく)
・ゆりかもめ(1995年11月)
第3世代行き先が一続きになる・さいたま新都心(2000年4月)
・総武快速線、横須賀線、東海道線
(2000年5月〜2001年11月)
・「湘南新宿ライン」(2001年12月)
第4世代男声の次発放送・常磐線、高崎線、埼京・川越線、
 宇都宮線(2004年2月〜2005年10月)
・南武線(2006年3月)
第5世代英語放送(簡易型?)・外客誘致法に基づく指定(2006年3月)
・常磐線に2階建てグリーン車(2007年1月)
・横須賀線の大船−久里浜間(2009年11月)
・武蔵野線(2012年1月)
・鎌倉で英語放送(2014年3月)
第6世代男声が交代
英語放送(詳細型?)
・「上野東京ライン」(2015年3月)
・水戸支社管内の上り線の放送も?
・横浜線(2015年7月)
・近年インバウンド(〜2019年?)
今後の課題
(普通の課題)
・「終点まで、この電車が先に到着します」
・運転見合わせ区間や迂回・振替乗車の案内
・改札口やコンコースでの特急列車などの案内
(「こんどの優等列車」を案内する次発放送)
(インタラクションと
 音環境の整理)
・「ホームドアから離れてください」
・発車ベルの自動化または廃止?
(車両、ホームドアの開閉アラームの音声化?)
・小音量でのスポット化(グリーン車や指定席など)
・ホームドアに「開」ボタン?
・半自動扱い時の閉扉の自動化?
(さらなる拡充)・英語以外の言語への対応
・文字情報との同期やスマホとの連携など


 「今後の課題」は、最近の技術の傾向などそれなりに踏まえつつ、他社線で既に実現していることも含め、…という意味で、もはや「私見」ではなく、誰もが同じことを当面の課題だと認めるはずだ、という理屈でまとめてございます。しかし、取り組みが進めば進むほど、単に音響機器メーカーの人とナレーターがスタジオにこもりさえすれば「すぐれたアナウンス(装置)!」ができるというところに留まらなくなってくると思われます。より多くの部署(や会社)がうまく連携しないと実現できないこと、そういう「バタフライ!」な課題に直面していくということです…たぶん。

 評価といっても、レイヤーをごちゃまぜにしていてはイケマセン。

・(1)音声(「音片」)の品質
・(2)放送文の意味や構文の明快さ
・(3)放送の意図にあったニュアンスの音声であるか
・(4)鉄道利用のシナリオに沿って過不足なく情報が提供されるか

 (歩きながら、または焦りながら)ホームで聞くための音声と、(それなりに落ち着いて)改札口や待合室で聞くための音声が、同一の音声でよいのかどうかも、よくわかりません。列車の頻度や生活のリズム感も異なる「1700の駅!」で、自動放送の「話速」が一定でよいとも思えません。

 日本語として正しいか、敬語やあいさつが丁重か、ということより、▼絶対に誤解させない、▼聞き逃しをさせないという意味での「情報を伝える日本語」として洗練されていくことが期待されています。

 運転見合わせの案内や、何かをお願いする放送文では「もうしわけなさそうに」、いつも通りのことや、さして重要でないことは「淡々と」、など、アクセントの強弱や話速の変化を駆使してお伝えするのが「プロの仕事」というものです。原稿だけできていて読みさえすればニュアンスがバッチリ…というものでもなく、原稿作成の段階からアナウンスは始まっているんだっ! …などと(略)。

 設備(機器)や施設(配線や建築)の都合で、いわゆる「ホーム系」と「改札系」が分かれている感があるのは、自動放送についても同じでしょう。ここをシームレスにするというのは、いうはやすくのナントヤラ、人の流れには向きがあります。▼電車が着いて降車客がどわっ、という時には降車客のためのアナウンス、▼そのまま、流れが改札口に達するころ、改札口では「お帰りのきっぷはいまのうちにお求めください」、▼電車が入ってくる前には乗車客のためのアナウンス、▼さかのぼって、改札口では「本日、強風のため…」とアナウンス、などと、場所だけではアナウンスの内容が固まらず、人の流れの向きにあわせる(駅事務室で監視カメラの映像のほうなど見ながら人の流れを見てタイミングをあわせてアナウンスする)ことも必要となることがわかります。

 これを機械化するためには、いくら利用者から反発があろうとも、監視カメラの映像の自動解析が必須となってまいります。顔認識によって、仮に流動が(大渋滞で!)止まっていても、顔の向きで歩行の向きがわかる、そして、乗り場へ向かう人が多いのか、改札へ向かう人が多いのか、流れの大勢の向きが判断できると、自動で、多いほうにあわせたアナウンスを流すということが実現できましょう。

 そして、多いほうにあわせるということは、流れと逆向きに動く利用者への案内は手薄にならざるをえないということです。そこで検討されると思われるのが、きわめて狭い範囲だけに音を届ける最新の音響技術です。もはや、あなただけに聴こえる、あなたの耳元でささやく、というくらいの個別の自動放送も可能になってくるでしょう。そのうち、こっそりたばこなど吸おうとした人の周囲、半径3mくらいに限って『啓発』放送を流す…というよりは、一種『狙い撃ち』にするような技術も、導入されていくのかもしれませんね。カメラは見ているっ! そして『AIと呼ばれる人工知能』は見逃さないっ!!

 それはともかく、流れと逆向きに動く利用者に対しても、自動で、適切なアナウンスをすることが可能でしょう。画像の自動認識で外国人らしいと判定して、そのかたの周囲だけに外国語のアナウンスをお届けすることもできましょう。白杖を認識しさえすれば、点字案内板の有効範囲に入る前から、点字案内板の位置をお知らせでき、逆に、点字案内板のお知らせの音声を終日、流し続けるということを削減できるとも考えられましょう。いえ、点字案内板に代わる、もっとスマートな案内を、利用者は何の機器も持ち歩かずに実現できたりも、しないでしょうか。

 また、あえて「お帰りのきっぷ」の例を挙げましたが、改札のしくみや制度が変われば、もはやこのようなアナウンスは不要になることがわかります。アナウンスは「従」であって、「主」のありよういかんによって、アナウンスをいくら工夫しても、どうにもならない(わかりやすくならない、便利にならない)ということがあるのです。そこを忘れて「よくする******」などと称して一種「競そう」させるようでは、「今後の課題」がいつまでも課題のままであったり、しないでしょうか。


この記事のURL https://neorail.jp/forum/3269/


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