フォーラム - neorail.jp R16

「A列車 色がおかしい」を越えて進もう


発行:2016/9/30
更新:2022/4/26

[3358]

【MOBILITY - A City in Motion】

「MOBILITY」(2001年ドイツ)を読み解く(後編)


「Statistics」を読み解く
「Intersections and four-way intersections」より「Right over left」「Right of way street」を読み解く
「the three most significant evaluation criteria in MOBILITY; effectiveness, quality and mobility」を読み解く
「13 traffic-related indicators」を「MD-GRAPE」(1995年)それに「Xeon Phi」で読み解くSP
「mobility」とは何か
表 「the three most significant evaluation criteria in MOBILITY; effectiveness, quality and mobility」(「Manual」22ページより作成)

(約25000字)

 中編([3359])の続きです。


 前編([3360])では、本件ゲームの概要を紹介します。まず、本件ゲームのタイトルと同じ「モビリティ」を名称に冠する日本の公益財団法人「交通エコロジー・モビリティ財団」のパンフレットを参照しながら、本件ゲームの今日的なおもしろさを浮き彫りにします。次に、各国で「Spatial planning」と呼ばれる空間計画について理解を深めるため、ドイツ国内の空間計画に関する行政のしくみを解説している国土交通省の記事を参照します。

 中編([3359])では、本件ゲーム内でプレーヤーが配置する「Traffic-relevant buildings」「Traffic-technical buildings」を本質的に理解できるよう、日本国内の公益財団法人などを例に挙げながら本件マニュアル(英語)を読み解きます。具体的には、前述の▼交通エコロジー・モビリティ財団に加え、▼日本道路交通情報センター(JARTIC)、▼道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)、▼公害地域再生センター(あおぞら財団)、それに▼筑波新都市開発(現・筑波都市整備)、▼関西文化学術研究都市推進機構(新産業創出交流センター)のページを参照しながら、本件ゲームに登場する各施策等の実際を探ります。また、本件ゲームにクレジットされているRMV(Rhein-Main-Verkehrsverbund)ならびにVRR(Verkehrsverbund Rhein-Ruhr)の路線図を参照し、古今東西の交通網の成り立ちの多様性を探ります。

 後編([3358])では、本件ゲーム内で表示される13つの指標について読み解きながら、「モビリティとは何か」に迫ります。また、▼科学技術館で展示されている「GRAPE」、▼2013年発売のゲームに使われている「GlassBox」を参照しながら、実現したいシミュレーションと計算機の性能との難しいトレードオフに悩まされてきた歴史を振り返ります。最後に、これからの時代に求められる専門家像を探るとともに、そのエビデンスとなる高校レベルでの工学的情報教育への展望についてまとめます。


★「Statistics」を読み解く


 先に「Statistics」を読み解いて、なるほど、ゲーム内のデータを余さず使えばこんなにおもしろ…いえ、『おもしろくてためになる!』エデュティメントができあがるんだといってウロコしてみます。

※(ゲーム内での)通時的な統計がきちんと出てくるゲームって、意外とないんですよねぇ。瞬間瞬間の「状態」は見せてくれても、決算など(ゲーム内で)「10年分だけ!」などと(略)。仮にはAと称するゲームに「総走行キロ」「旅客輸送人キロ」など…ゲフンゲフン。(ゲーム内で)毎日23時59分.5に『一時停止のポーズ!』をかけてじぶんでφ(..)メモメモしなさいですって? …えーっ。(じぶんの手元で)データを続々と生み出しながら(みずから)捨てていく構図、ニッポンそのものですよ、ええ。それとは事情が異なりますが、東日本大震災の後、被災車両の貴重なログが上書きされて永久に失われたはなし…は以下を参照。

・JR East Technical Review「東北地方太平洋沖地震における新幹線脱線メカニズム解明と地震対策について」(2013年)
 https://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_45/Tech-45-13-16.pdf

 > 車両のATC運行記録と列車の最寄りにある地震計が観測した地震動記録を持ち寄り、双方の時刻歴を突き合わせて、最も揺れが大きかった時刻における列車の在線キロ程と速度を割り出し

※平素からは、そこまでの分析はしていない(できるだけのインフラがない)ということのようですね。

 > 前述のような調査の方針と流れが決まったのは3月下旬で、震災から10日以上を経過していました。本来ならばもっと早く調査に着手すべきところでしたが、今回の震災では被災規模が甚大でその範囲も広範に及んだことから、まずは被災状況の把握と復旧方針の全体計画を策定することに時間を費やしました。実際の調査は3月下旬から4月中旬にかけて進めましたが、この間にも復旧の着手が早かった関東北部や盛岡以北に在線した列車は暫定営業区間で運用することとなり、車上記録が上書きされてしまうなど、十分な調査ができなかった事象も散見されました。

※いえいえいえ、特別な事象がなくてもログはすべて残すものだといって、改ざん防止の措置等も講じながらですね(略)。「野帳」については[3346]を参照。

 それはともかく、本件「MOBILITY」と題されたドイツのゲームの話題であります。あしからず。

・同「Manual」

 > General
 >  人口、就業者の率、(人口あたり?)レジャー施設(の定員?)

 > Passenger cars
 >  道路網の長さ、走行距離、平均速度

 ほおぉ!

 > Local public transport
 >  This allows you to analyze your local public transport system.

 どのように「analyze」されるのかは画面を見ましょう。

 > Traffic
 >  an overview of all urban traffic aspects

 このマニュアルの中で「urban traffic aspects」が未定義語だと思いまーす。(恐縮デース。)(本件ゲーム内で)農地は考えず、また高速道路や高速鉄道という「interurban」も出てこないので、ぜんぶ「urban」(都市内交通)だと思いまーす、の意。本当でしょうか。

 > User shares
 >  an insight into the various alternative concepts

 新技術等の普及率を確かめる画面だと早合点します。

 > Indicators
 > Finances

 別画面の情報も集約して表示されると早合点します。本当でしょうか。

・(参考)「都市内交通」
 https://kotobank.jp/word/%E9%83%BD%E5%B8%82%E4%BA%A4%E9%80%9A-105118

 > 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
 > 都市交通
 > 都市間交通に対して都市内交通のことをいうが、単に一都市内に限定されず、地域住民の通勤圏や生活圏が拡大するにつれて、その圏内も含めてより広い範囲をいう。したがって、都市内交通と郊外交通を含むこととなる。近距離交通が中心で、その交通の流れは、ビジネスや買い物、娯楽などは都心を中心とし、通勤では郊外と都心を結び、レジャーでは郊外中心というように一定の型があり、全体としてラッシュ・アワー現象が著しい。
 > いわゆる「時差通勤」が提唱されるが、その全面的実行はむずかしい。

 わあぃ満員電車は永遠なり。本日はオヒガラもよくお客さまにおかれましては満員のことと存…本当でしょうか。これからは(立席定員をゼロにした)けい太くん([3300])の一存でメロンパンをですね(略)。

 > 第一に、日本の都市交通発達上の特徴がある。すなわち、明治以後、鉄道あるいは海運、河川運を中心とした交通体系がつくられ、また主要街路はかなり整備されたが、住民の生活用道路は劣悪なまま残された。とくに馬車の普及が後れたことと、第二次世界大戦前、自動車の普及が抑えつけられたために、歩道・車道の区分・分離、道路の幅員拡張、舗装など自動車を受け入れるための道路条件が悪いまま残されたことが、1960年代になって急激にモータリゼーションが進行したとき、歩行者死傷率を高くし、交通公害、交通まひを激しくした一つの要因となった。

 「歩道・車道の区分・分離」を実現する前提となる「道路の幅員拡張」に反対していたら「歩行者死傷率」「交通公害、交通まひ」は減らないんですよ。ええ、減らないんですとも。

 > 『W・オーエン著、中尾光昭・本間義人訳『都市交通改造論』(1973・サイマル出版会) ▽角本良平著『都市交通政策論』(1975・有斐閣) ▽中西健一・平井都士夫編『交通概論』(1977・有斐閣) ▽岡並木著『都市と交通』(岩波新書) ▽平井都士夫著『都市と交通』(新日本出版社・新日本新書)』

 おお、ワタクシ、もっと新しい岩波新書「東京の都市計画」だけ読んだ「最近の普通の人!」ですとも、ええ。

・岩波新書「東京の都市計画」(1991年12月20日)
 https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/43/5/4302000.html

・Google ストリートビュー 「元祖ジャンボめろんぱんと東京スカイツリー®」「新感触ぷにぷに」付近
 https://goo.gl/maps/FY23kVMLkHw
 https://goo.gl/maps/8VwPohBVYan

・東武トップツアーズ「東京スカイツリー®特集」
 http://tobutoptours.jp/skytree/

 > 志木・朝霞台・和光市からスカイツリーシャトルで行こう! 4,700円
 > 東京スカイツリー天望デッキ(350m)日付指定入場券引換券付き

 えーっ。地下鉄を乗り継いで…確かに行きにくいですね、わかります! 朝霞台から新越谷までJR線経由がよろしいということで892円っ(※東京スカイツリー®の入場料金2,060円は含んでおりません)。いやいやいや、池袋から北千住までJR線で689円っ(同)!

・(参考)総務省統計局「文化・レジャー」
 http://www.stat.go.jp/data/chouki/26.htm

・(参考)経済産業省「レジャー・余暇活動の動向について」
 http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h17/h4a0506j3.pdf

 > 総合的に「レジャー・余暇活動」を時系列的にとらえる指標はあまり見受けられないことから、本稿では、「第3次産業活動指数」を用いながら、レジャー・余暇活動の動向を考察するとともに、同活動の将来の見通しについて触れてみることとしたい。

 > 100世帯当たりの乗用車の保有台数
 > 第?T−2−6表 「レジャー・余暇活動指数」試算に使用した品目名

 > 「レジャー・余暇活動指数」をその構成品目で要因分解し、その伸び率寄与度を全期間(元年1〜3月期から17年1〜3月期)を通じてみると、寄与度の最も大きかった品目は、飲食店、次に娯楽業、ドライブ、旅行業となり、最も小さかった品目は、宿泊業であった(第?T−2−11図、第?T−2−7表)。

 わあぃあんきんた〜ん([3313],[3326])。荻窪から南伊豆まで往復で10時間…いえいえいえ、熱海も日光・鬼怒川も日帰りだっ。(※およそ3のイメージです。)…それはともかく、「人口あたり施設数」といって図書館や博物館、それに美術館などを数える(=それ自体が設置基準である)がごとく、人口、就業者の率と同じ画面に「leisure facilities」が表示されるのだといって納得してみます。

 以下、ゲーム画面の操作方法については読まずともだいたいわかるといって28ページまで飛びます。

・同「Manual」

 > Consultant

 わあぃ呼ばれて飛び出